2018年6月3日日曜日

晩産化の進行

 私の母(故)は1940年生まれ,私は76年生まれですので,私は母が36歳で産んだ子どもということになります。当時では,立派な「晩産」の部類です。

 40年以上の時を経た現在では,40歳を超してからの出産も珍しくありません。40歳以上の母から生まれる子は増えていますし,全出生児に占める割合も然り。厚労省の『人口動態統計』から,ラフな変化を跡付けてみると,以下のようになります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html

 ネットでは1980年の資料から見れるようですので,この年次からの5年間隔の推移を作ってみました。


 少子化で,生まれる子どもの数は減っています。1980年では158万人でしたが,2016年では100万人を切っています。しかるに,40歳以上の母から生まれた晩産児は増えています。1980年に比して8倍近くの増加です。

 その結果,晩産児の割合はぐんぐん増えており,1980年では0.45%でしたが,2016年では5.62%なり。最近では,生まれてくる子どもの18人に1人は,晩産児です。

 遅い年齢で結婚する晩婚が増えているためでしょう。またある方がツイッターで言うには,出産可能なレベルの経済力が備わる年齢が上がっているのでは,とのこと。なるほど,今の40代の世帯年収は一昔前の30代。あり得るかもしれませんね。
https://twitter.com/amareviewer/status/1003140865622065153

 40歳以上の出産といえば,第2子や第3子がほとんどだろうと思われるかもしれませんが,2016年では第1子が最も多くなっています。体力の低下する時期に,要領をなかなか得ない「初の育児」を迫られることになる。

 それだけならまだしも,年老いた親の介護ものしかかってきます。晩産に伴う問題として,しばしば指摘されるのは「ダブルケア」です。40歳で出産した場合,子が高校に入る時に親は55歳,大学に入る時に58歳,大学卒業時(自立時)には62歳になっています。45歳出産の場合は,プラス5歳です。親はとうに80歳を超え,「育児+介護」のダブルの負担が課されることになります。

 言わずもがな,その大半を担うのは女性です。それは統計にも表れており,近年,中高年女性の睡眠時間が殊に短くなっています。平均の睡眠時間では事の重みが伝わりにくいので,1日6時間未満しか寝てない人の割合をとってみましょう。

 下図は,働いている有業男女のうち,平日の睡眠時間が6時間に満たない人の割合の年齢カーブです。青色は1991年,オレンジ色は2016年の曲線なり。『社会生活基本調査』の行動時間階級の統計から作成しました。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200533&result_page=1


 左側が男性,右側が女性のグラフですが,男女とも50代の伸び幅が大きくなっています。女性は,1991年では7.7%でしたが,2016年では23.9%にも達しています。今では,働く50代女性の4人に1人は,1日の睡眠が6時間未満です。

 50代になっても,高校生くらいの子がおり,弁当づくりで早起きしないといけない。加えて親の介護…。心身ともに疲弊している,この年代の女性の姿が目に浮かびます。
https://twitter.com/ulala_go/status/1002790783349641216

 なお晩産化の度合いには,地域差もあります。生まれてきた子ども全体のうち,晩産児が何%かを都道府県別に計算することができます。時代変化も知りたく,1995年と2016年の地域別数値を出し,高い順に配列したランキングにしてみました。90年以前のデータはPDFでの公表で,データを打ち込むのが面倒なので,95年との比較にしたことをご容赦ください。


 20年前の1995年では,0.6%~2.7%の分布幅でしたが,2016年では3.9%~7.9%のレンジになっています。全国的に晩産は進んでおり,最近では半数の県で晩産児率が5%(20人に1人)を超えています。マックスの東京は7.89%,13人に1人です。

 都市的な地域で晩産率は高くなっていますが,親との同居率(近居率)が低い,地域の人間関係も薄いなどの条件も相まって,ダブルケアの負担は想像以上に重い事態が予測されます。

 最近ではこの問題への関心が高まり,2016年の内閣府調査では,ダブルケア人口の推計値がはじき出されています。保育所への入所審査に,ダブルケアをしていることも考慮する自治体もあり(横浜市)。ダブルケアの当事者の互助会なども生まれているそうです。インターネットの普及により,こうした「つながり」の創出は以前より容易になっています。

 こうした取り組みと並行してなすべきは,家事の省力化です。諸外国を倣って弁当など手抜きでいい。さすがに運動会の弁当は手抜きはしづらいですが,午前中に終わらせちゃう「時短」運動会が父母に好評のようです。

 今後50代は,「育児+介護」のダブルケアのステージになります。これまでの通念は通用しません。完璧を求めるべからず。それを追求し,3代共倒れになっては,元も子もありません。求められるのは,3代の存続を可能ならしめる「手抜き」です。家庭科の教科書では,まあ手のかかる調理法ばかりが指南されていますが,これも変えないといけないと思います。時短メニューを推奨・紹介すべきだと思います。

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