国際学力調査のPISAをご存知でしょうか。各国の15歳の生徒を対象に,OECDが3年おきに実施している大規模調査です。対象国の教育関係者は,本調査の結果に一喜一憂します。読解力の国際順位が何位,数学的リテラシーは何位,というように。
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
しかるに,この調査は学力調査だけからなるのではなく,生徒質問紙調査や学校質問紙調査も含んでいます。その中には,生徒の生活意識や各学校の教授活動の有様などを明らかにする,興味深い質問が数多く盛られています。
むろん,これらの質問紙調査の結果も公表されてはいます。ですが,国ごとの単純集計だけではなく,設問と設問をクロスさせたり,複数の設問の回答結果から,関心のある尺度(反学校尺度など)を構成し,その多寡を規定する要因を探ったりする分析を,自前で行えたらいいのになあ,と前から思っていました。
現代は,インターネット時代です。OECDのサイトにて,回答結果がそのまま入力された段階のローデータをダウンロードできることは知っていました。このような,加工が施される前の原データを使って,独自の分析を手掛けた研究もあります。たとえば,須藤康介「学習方略がPISA型学力に与える影響」『教育社会学研究』第86集(2010年)など。
http://ci.nii.ac.jp/naid/40017178243
では私もと,OECDサイトの該当箇所(下記)に当たってみたのですが,目的のデータセットは,SASやSPSSといった高度(価)なソフトのファイルで提供されています。私はそれを持っていないので,諦めかけたのですが,下のほうに,メモ帳のテキスト形式の圧縮データがアップされていることに気づきました。
http://pisa2009.acer.edu.au/downloads.php
これを展開し,エクセルに取り込めば,目的のデータセットを得ることができます。ここ3日ほど,ヒマをみつけて格闘してみたのですが,ようやく取り込みに成功しました。以下の写真は,学校質問紙調査のデータセットです。"School"の綴りが間違っていてすみません。
74か国,総計18,641校分のデータです。容量もかさんで,50MBにもなりました。起動や保存にも時間がかかりますが,まあ,これは仕方ありません。
さあこれで,PISA2009の学校質問紙調査のデータを,問題関心に即して,自前で分析できる手筈が整いました。何から始めたものやら・・・。
調査票をざっとみたところ,「生徒による教師への敬意が欠けていることが,支障となることがあるか」という設問に目がとまりました。デュルケムは,「道徳的権威(l'autorité morale)とは,教師にとって不可欠な資質である」と述べていますが,現代日本の教員は,この「不可欠」の資質をどれだけ備えているのか,興味を持ちました。
日本の場合,PISA2009の対象は15歳(高校1年生)の生徒です。よって,学校質問紙調査の対象は,高等学校ということになります。上記の設問に対する,わが国の185校(無回答,無効回答は除外)の回答分布は,「全くないが」18.4%,「非常に少ない」が57.3%,「ある程度はある」が23.2%,「よくある」が1.1%,です。
これだけでは「ふーん」でおしまいですが,本調査の対象は,高等学校です。わが国の高校は,有名大学への進学可能性に依拠して,明にも暗にもランクづけられています。集団による外的拘束性といいますか,どのランクの高校かによって,生徒の生活意識や行動が非常に異なることは,教育社会学において繰り返し明らかにされています。
そうならば,教員への敬意の度合いにも,相応の学校差がみられるでしょう。上記の185校のランクを測るのに使える設問はないかと,調査票に目を凝らしたところ,次のものが目につきました。
「あなたの学校(学科)に対する保護者の期待を最も特徴づけているのは,どれですか」という設問で,3つの選択肢が提示されています。
①:本校が非常に高い学業水準を設定し,生徒にこれに見合った高い学力をつけさせていくことを期待する圧力を多くの保護者から受けている。
②:生徒の学力水準を高めていくことを本校に期待する圧力を,少数の保護者から受けている。
③:生徒の学力水準を高めていくことを本校に期待する圧力を,保護者から受けることはほとんどない。
①を選んだ学校を「進学校」,②を選んだ学校を「準進学校」,③を選んだ学校を「非進学校」といたしましょう。各群の学校数は,順に,54校,91校,40校です。なかなかきれいな分布ではないですか。調査対象校が,精緻なやり方で抽出されたことがうかがわれます。
では,この3つの学校群において,教員への生徒の敬意(respect)がどう異なるかを観察してみましょう。下図をご覧ください。
相対的な差ですが,教員への生徒の敬意は,非進学校ほど低くなっています。③と④の回答の比率は,進学校では9.3%ですが,ランクを隔てた非進学校では35.0%にもなります。上述のような階層的構造を持っている,わが国の高校教育システムの反映といえましょう。
ところで,このような傾向は,わが国に固有のものなのでしょうか。申すまでもなく,PISAは国際調査です。ローデータが手に入りましたので,他国についても,同じデータを簡単につくることができます。
私は,各国の調査対象校を同じやり方で3つの群に仕分け,両端の進学校群と非進学校群について,上図の③と④の回答率を明らかにしました。教員への生徒の敬意が欠けている学校の比率と読めます。ただし,いずれかの群のサンプル数が20校を下回る国は,分析から除外しました。
下図は,横軸に進学校群,縦軸に非進学校群の比率をとった座標上に,日本を含む45か国を位置づけたものです。日本(9.3%,35.0%)の位置がどこかに注意してください。
均等線(Y=X)よりも上方にあるのは,教員への敬意が欠けている学校の比率が,進学校よりも非進学校で高い国です。Y=3Xよりも上に位置する国は,その差が3倍を超えることを示唆します。
ほう。日本は,3倍超の位置にあります。日本のほか,チェコ,オーストラリア,ハンガリー,そして南米のチリなどがこのゾーンにプロットされています。これらの国では,わが国と同様,後期中等教育段階において,高等教育進学規範に由来する学校差が大きいものと推測されます。
日本よりも大学進学率が高いアメリカは2.5倍です。総合制ハイスクールの伝統があるこの国では,高校が階層化されている程度は,日本に比べれば小さいものと思われます。複線型の中等教育が廃止されたイギリスは,2.8倍というところです。
さて,図の右下に目をやると,日本的な感覚からすれば驚くべきといいますか,非進学校よりも進学校において,教員への敬意が欠けている学校の比率が高い国が見受けられます。多くが東欧の諸国です。これらの国の後期中等教育システムの仔細は存じませんが,基底にあるのは,平等的な社会主義のエートスでしょうか。こうした社会では,成績で生徒をしごくような教員は蔑視を受けるのかもしれません。むろん,調査に回答した各学校の校長の判断基準が異なる可能性も無視できませんが。
PISA2009のローデータを使って,私が最初に手掛けた分析は,以上のようなものです。記録にとどめておこうと思います。これからも,分析の結果を随時,この場で開陳していきます。
ところで,学校質問紙調査に加えて,生徒質問紙調査のローデータもエクセル形式でつくりたいのですが,メモ帳のテキストファイルからの取り込みがうまくいきません。容量が大きすぎるからです。必要な部分だけを取り込む方法はないものか。格闘中です。
2012年9月21日金曜日
2012年9月19日水曜日
成人の肥満率の国際比較
前回は,わが国の成人の肥満率がどう変わってきたかを明らかにしました。そこにて分かったのは,中高年層を中心に,肥満化が進行してきていることです。2010年でみると,BMIが25超の肥満者の比率は,50代では37.3%にもなります。およそ3人に1人です。
しかるに,米国のような社会では,国民の肥満化がもっと進んでいます。世界全体を見渡すなら,米国をも凌駕する社会が見受けられるかもしれません。今回は,できるだけ多くの国(社会)のデータをもとに,成人の肥満率の国際比較を手掛けてみようと思います。
用いる資料は,WHOの"World Health Statistics"の2012年版です。この資料から,2008年の成人(20歳以上)の肥満率を,189の国について知ることができます。ここでいう肥満率とは,BMIが30を超える者が全体に占める比率をさします。
http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/en/index.html
前回もいいましたが,BMIとは,Body Mass Indexの略称であり,人間の肥満度を測るための尺度です。体重(kg)を身長(m)の2乗で除すことで求められます。国際基準では,この値が30を超える者を肥満者とみなしています。BMIが30を超える人間についてイメージを持っていただくため,いくつかの例を挙げましょう。上記の式に依拠して,7つの身長ごとに,BMI30に相当する体重(kg)を計算してみました。
①:身長1.60mの場合 → 体重76.8kg以上
②:身長1.65mの場合 → 体重81.7kg以上
③:身長1.70mの場合 → 体重86.7kg以上
④:身長1.75mの場合 → 体重91.9kg以上
⑤:身長1.80mの場合 → 体重97.2kg以上
⑥:身長1.85mの場合 → 体重102.7kg以上
⑦:身長1.90mの場合 → 体重108.3kg以上
私と同程度の身長(④)の場合,体重91.9kg以上が肥満と判定されます。どうでしょう。原資料に書かれているような,"obese"(でっぷり肥った)という形容がまさにふわしい人間です。WHOの資料に載っている各国の肥満率は,BMIが30を超える"obese"な者の比率のことです。
2008年の日本の場合,この意味での肥満率は,成人男性で5.5%,成人女性で3.5%です。しかし米国の場合,順に30.2%,33.2%にもなります。この国では,成人男女の3人に1人が,上の例のような肥満者ということになります。
これは2国の数値ですが,他の多くの国も交えた比較を行いましょう。横軸に成人女性,縦軸に成人男性の肥満率をとった座標上に,189の国をプロットしてみました。日本を含む主要先進国の位置を読み取っていただければと思います。点線は,189国の平均値を意味します。
いやー,上には上がいるものです。米国とて,189国の中でみれば,成人の肥満化の程度は「中ほど」というところです。右上にあるのは,男女双方の肥満率が高い社会です。太平洋の南西部に浮かぶナウル共和国の肥満率は,男性は67.5%,女性は74.7%にもなります。この島国では,成人の約7割がBMI30超の肥満者です。
ほか,図の右上には,クック諸島,トンガ,パラオ,サモアなど,太平洋南部の島国が位置しています。これらの国における成人の肥満化は,日本や米国のような先進国の比ではありません。また,女性の肥満率が男性よりもかなり高いことも特徴です。マーガレット・ミードの『サモアの思春期』では,この島における「女性の男性的性質」というようなことが明らかにされていますが,こういう(逆)ジェンダーも影響しているのでしょうか。
さて,上図では,われわれに馴染み深い主要国の傾向が,左下の部分に凝縮されてしまっています。そこで,ピンク色の枠内を拡大した図もつくってみました。下図がそれです。
この図では,米国や南米諸国が右上に位置しています。アルゼンチンは,肉の生産量が多い国ですよね,一方,原点に近い左下には,日本や韓国のようなアジア諸国やアフリカ諸国がプロットされています。ヨーロッパ諸国は,だいたいその中間です。
図中の国名の位置から予想されることですが,各国の肥満化の程度は,経済発展の程度と関連しているようです。WHOの資料では,各国を経済発展の程度に応じて4つにグルーピングし,それぞれの肥満率の平均がとられています。ピンク色のドットから分かるように,富裕国の群ほど,肥満率が高いゾーンに位置しています。肥満とは,豊かさの病理であることも知られます。
国際比較は面白いものです。自分の国の立ち位置が分かると同時に,現象の社会的性質をも把握させてくれます。現在は,諸々の国際機関の原統計がネット上で見れるようになっています。今回使った"World Health Statistics"も然り。この資料は,大学院生の頃,松本良夫先生と自殺の国際比較研究を行った際に,統計局統計図書館で閲覧した覚えがあります。でも今は,そうした手間はかかりません。WHOのサイトにて,PDFファイルで全文を閲覧することができます。
私は,自前で下手に代表性の低い調査などをするよりも,信頼のおける公的調査の結果をしゃぶり尽くすことが大切であると考えています。そのための環境は着々と整備されてきています。こうした条件を使いこなせるようになりたいと思います。公的統計は,国民の共有財産なり。近く,『国勢調査』のオーダーメード集計の発注に挑戦してみるつもりです。
http://www.stat.go.jp/index/seido/2jiriyou.htm
しかるに,米国のような社会では,国民の肥満化がもっと進んでいます。世界全体を見渡すなら,米国をも凌駕する社会が見受けられるかもしれません。今回は,できるだけ多くの国(社会)のデータをもとに,成人の肥満率の国際比較を手掛けてみようと思います。
用いる資料は,WHOの"World Health Statistics"の2012年版です。この資料から,2008年の成人(20歳以上)の肥満率を,189の国について知ることができます。ここでいう肥満率とは,BMIが30を超える者が全体に占める比率をさします。
http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/en/index.html
前回もいいましたが,BMIとは,Body Mass Indexの略称であり,人間の肥満度を測るための尺度です。体重(kg)を身長(m)の2乗で除すことで求められます。国際基準では,この値が30を超える者を肥満者とみなしています。BMIが30を超える人間についてイメージを持っていただくため,いくつかの例を挙げましょう。上記の式に依拠して,7つの身長ごとに,BMI30に相当する体重(kg)を計算してみました。
①:身長1.60mの場合 → 体重76.8kg以上
②:身長1.65mの場合 → 体重81.7kg以上
③:身長1.70mの場合 → 体重86.7kg以上
④:身長1.75mの場合 → 体重91.9kg以上
⑤:身長1.80mの場合 → 体重97.2kg以上
⑥:身長1.85mの場合 → 体重102.7kg以上
⑦:身長1.90mの場合 → 体重108.3kg以上
私と同程度の身長(④)の場合,体重91.9kg以上が肥満と判定されます。どうでしょう。原資料に書かれているような,"obese"(でっぷり肥った)という形容がまさにふわしい人間です。WHOの資料に載っている各国の肥満率は,BMIが30を超える"obese"な者の比率のことです。
2008年の日本の場合,この意味での肥満率は,成人男性で5.5%,成人女性で3.5%です。しかし米国の場合,順に30.2%,33.2%にもなります。この国では,成人男女の3人に1人が,上の例のような肥満者ということになります。
これは2国の数値ですが,他の多くの国も交えた比較を行いましょう。横軸に成人女性,縦軸に成人男性の肥満率をとった座標上に,189の国をプロットしてみました。日本を含む主要先進国の位置を読み取っていただければと思います。点線は,189国の平均値を意味します。
いやー,上には上がいるものです。米国とて,189国の中でみれば,成人の肥満化の程度は「中ほど」というところです。右上にあるのは,男女双方の肥満率が高い社会です。太平洋の南西部に浮かぶナウル共和国の肥満率は,男性は67.5%,女性は74.7%にもなります。この島国では,成人の約7割がBMI30超の肥満者です。
ほか,図の右上には,クック諸島,トンガ,パラオ,サモアなど,太平洋南部の島国が位置しています。これらの国における成人の肥満化は,日本や米国のような先進国の比ではありません。また,女性の肥満率が男性よりもかなり高いことも特徴です。マーガレット・ミードの『サモアの思春期』では,この島における「女性の男性的性質」というようなことが明らかにされていますが,こういう(逆)ジェンダーも影響しているのでしょうか。
さて,上図では,われわれに馴染み深い主要国の傾向が,左下の部分に凝縮されてしまっています。そこで,ピンク色の枠内を拡大した図もつくってみました。下図がそれです。
この図では,米国や南米諸国が右上に位置しています。アルゼンチンは,肉の生産量が多い国ですよね,一方,原点に近い左下には,日本や韓国のようなアジア諸国やアフリカ諸国がプロットされています。ヨーロッパ諸国は,だいたいその中間です。
図中の国名の位置から予想されることですが,各国の肥満化の程度は,経済発展の程度と関連しているようです。WHOの資料では,各国を経済発展の程度に応じて4つにグルーピングし,それぞれの肥満率の平均がとられています。ピンク色のドットから分かるように,富裕国の群ほど,肥満率が高いゾーンに位置しています。肥満とは,豊かさの病理であることも知られます。
国際比較は面白いものです。自分の国の立ち位置が分かると同時に,現象の社会的性質をも把握させてくれます。現在は,諸々の国際機関の原統計がネット上で見れるようになっています。今回使った"World Health Statistics"も然り。この資料は,大学院生の頃,松本良夫先生と自殺の国際比較研究を行った際に,統計局統計図書館で閲覧した覚えがあります。でも今は,そうした手間はかかりません。WHOのサイトにて,PDFファイルで全文を閲覧することができます。
私は,自前で下手に代表性の低い調査などをするよりも,信頼のおける公的調査の結果をしゃぶり尽くすことが大切であると考えています。そのための環境は着々と整備されてきています。こうした条件を使いこなせるようになりたいと思います。公的統計は,国民の共有財産なり。近く,『国勢調査』のオーダーメード集計の発注に挑戦してみるつもりです。
http://www.stat.go.jp/index/seido/2jiriyou.htm
2012年9月17日月曜日
成人男性の肥満率
2010年の12月20日の記事では,子どもの肥満化が進んでいることを明らかにしました。外遊びの減少や,食習慣の乱れのためと解されます。こうした問題を受けて,今の学校現場では,食育の実践が重視されています。
しかし,肥満化が進んでいるのは,成人についても同じでしょう。長時間のデスクワークの増加など,運動不足を招いている要因は数多く想起されます。食習慣の乱れについても,昨年の1月29日の記事でみたように,朝食欠食率のような指標が若年層を中心として高まってきています。
今回は,20歳以上の成人男性について,肥満と判定される者の比率を明らかにしてみようと思います。以下,簡単に肥満率ということにします。
まずは,成人男性の肥満率がどう変わってきたかをみてみましょう。1980年(昭和55年)以降の時期について,5年刻みのピンポイントで比率を拾ってみました。ソースは,厚労省『国民健康・栄養調査報告』の2010年版です。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h22-houkoku.html
前後しますが,この資料に載っている肥満率とは,BMIという指標の値が25を超える者の比率です。BMIとは,Body Mass Indexの略で,体重(kg)を身長(m)の2乗で除した値だそうです。私の身長は1.76mですが,この場合,体重77.4kg以上の者が肥満と判定されることになります。私は今,だいたい70kgほどですが,公的統計の基準では,まだ肥満の域に達していないようです。安堵。しかし,出っ腹は隠しようがないのですが。
下表は,この意味での肥満率の推移をとったものです。年齢によって様相は異なるでしょうから,10歳ごとの年齢層別の数値も掲げています。
最下段の全体の推移からみると,この30年間で成人男性の肥満率は上昇してきています。1980年では17.8%であったのが,1990年には22.3%と2割を超え,2010年現在では29.3%と3割に迫る勢いです。しかるに,今の中高年層では,既に3割を超えています。2010年でいうと,最も高い50代男性の肥満率は37.3%です。3人に1人が肥満と判定されることになります。
上表のデータを,統計図によって表現しておきましょう。下図は,それぞれの年の各年齢層の率を等高線図で表したものです。本ブログを長くご覧頂いている方はお分かりかと存じます。時代×年齢の「社会地図」図式です。時代と年齢による値の変異を,上から俯瞰できる仕掛けになっています。
近年,中高年層の箇所に,高率ゾーンが広がっていることを読み取っていただけたらと思います。黒色は,35%を超えることを示唆します。今後,このような膿(うみ)がますます広がっていくとしたら,それは怖いことです。
ところで,よく話題になることですが,米国では,国民の肥満化が日本とは比較にならないほど進行しています。国際基準では,BMI30超が肥満とされています。"OECD Health Data 2012"によると,BMIが30を超える者の比率は,米国では35.5%にもなります(2010年)。日本は,3.8%です。
http://www.oecd.org/health/healthpoliciesanddata/oecdhealthdata2012.htm
BMIが30超ということは,私と同じ身長(1.76m)の人間の場合,体重が93kgを超える計算になります。1.65mの場合は,82kg超です。米国では,国民3人に1人がそのような輩であることになります。このような状況を受けてか,大都市のニューヨークでは,「糖分の多い炭酸飲料などについて,16オンスを超える大型の容器で販売することを禁じる措置」を取ったとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120916-OYT1T00514.htm
しかるに,この国において,肥満状態になっている人間の多くが貧困層であることもよく知られています。安価なジャンクフードに依存する度合いが高いからです。こうした貧困と肥満の結びつきは,わが国においても観察されます。昨年の1月12日の記事では,東京都内49市区の統計を使って,生活保護世帯率と小学生の肥満児率が強く相関していることを示しました。
国民の肥満化は,各人の運動不足や食習慣の乱れに起因することは疑い得ないところですが,その基底には,格差社会化のような社会変化があることを看過すべきではありません。わが国において,肥満化の進行が止まるかどうかは,食育基本法や食育推進基本計画に盛られた理念や数値目標の実現の度合いと同時に,もっと大きな政策の有様にも依存すると考えられます。
しかし,肥満化が進んでいるのは,成人についても同じでしょう。長時間のデスクワークの増加など,運動不足を招いている要因は数多く想起されます。食習慣の乱れについても,昨年の1月29日の記事でみたように,朝食欠食率のような指標が若年層を中心として高まってきています。
今回は,20歳以上の成人男性について,肥満と判定される者の比率を明らかにしてみようと思います。以下,簡単に肥満率ということにします。
まずは,成人男性の肥満率がどう変わってきたかをみてみましょう。1980年(昭和55年)以降の時期について,5年刻みのピンポイントで比率を拾ってみました。ソースは,厚労省『国民健康・栄養調査報告』の2010年版です。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h22-houkoku.html
前後しますが,この資料に載っている肥満率とは,BMIという指標の値が25を超える者の比率です。BMIとは,Body Mass Indexの略で,体重(kg)を身長(m)の2乗で除した値だそうです。私の身長は1.76mですが,この場合,体重77.4kg以上の者が肥満と判定されることになります。私は今,だいたい70kgほどですが,公的統計の基準では,まだ肥満の域に達していないようです。安堵。しかし,出っ腹は隠しようがないのですが。
下表は,この意味での肥満率の推移をとったものです。年齢によって様相は異なるでしょうから,10歳ごとの年齢層別の数値も掲げています。
最下段の全体の推移からみると,この30年間で成人男性の肥満率は上昇してきています。1980年では17.8%であったのが,1990年には22.3%と2割を超え,2010年現在では29.3%と3割に迫る勢いです。しかるに,今の中高年層では,既に3割を超えています。2010年でいうと,最も高い50代男性の肥満率は37.3%です。3人に1人が肥満と判定されることになります。
上表のデータを,統計図によって表現しておきましょう。下図は,それぞれの年の各年齢層の率を等高線図で表したものです。本ブログを長くご覧頂いている方はお分かりかと存じます。時代×年齢の「社会地図」図式です。時代と年齢による値の変異を,上から俯瞰できる仕掛けになっています。
近年,中高年層の箇所に,高率ゾーンが広がっていることを読み取っていただけたらと思います。黒色は,35%を超えることを示唆します。今後,このような膿(うみ)がますます広がっていくとしたら,それは怖いことです。
ところで,よく話題になることですが,米国では,国民の肥満化が日本とは比較にならないほど進行しています。国際基準では,BMI30超が肥満とされています。"OECD Health Data 2012"によると,BMIが30を超える者の比率は,米国では35.5%にもなります(2010年)。日本は,3.8%です。
http://www.oecd.org/health/healthpoliciesanddata/oecdhealthdata2012.htm
BMIが30超ということは,私と同じ身長(1.76m)の人間の場合,体重が93kgを超える計算になります。1.65mの場合は,82kg超です。米国では,国民3人に1人がそのような輩であることになります。このような状況を受けてか,大都市のニューヨークでは,「糖分の多い炭酸飲料などについて,16オンスを超える大型の容器で販売することを禁じる措置」を取ったとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120916-OYT1T00514.htm
しかるに,この国において,肥満状態になっている人間の多くが貧困層であることもよく知られています。安価なジャンクフードに依存する度合いが高いからです。こうした貧困と肥満の結びつきは,わが国においても観察されます。昨年の1月12日の記事では,東京都内49市区の統計を使って,生活保護世帯率と小学生の肥満児率が強く相関していることを示しました。
国民の肥満化は,各人の運動不足や食習慣の乱れに起因することは疑い得ないところですが,その基底には,格差社会化のような社会変化があることを看過すべきではありません。わが国において,肥満化の進行が止まるかどうかは,食育基本法や食育推進基本計画に盛られた理念や数値目標の実現の度合いと同時に,もっと大きな政策の有様にも依存すると考えられます。
2012年9月15日土曜日
卒業生・修了生の惨状の段階比較
8月30日の記事では,大学院博士課程修了生の惨状を紹介したのですが,この記事をみてくださる方が多いようです。ツイッターを拝見すると,「博士課程に行くのはやめようかな」という類のつぶやきが散見されます。
いたずらに危機感を煽るものではありませんが,生半可な考えで進学すると,悲惨な末路をたどるハメになる確率が高いことをお知りいただければと存じます。まあ,言わずもがなですが。
でも,修士課程までなら進んでもいいかな,とお思いの方はたくさんおられると思います。9月9日の記事でみたように,大学卒業者の約1割が修士課程に進学しているとみられます。理系の専攻では,修士課程への進学率はもっと高いことでしょう。
8月30日の記事では博士課程修了生,9月9日の記事では大学卒業生の進路(惨状)をみました。今回は,その中間に位置する修士課程修了生の状況にも目配りします。
ただ,先の2つの記事と同じことをベタに繰り返しても面白くありません。私がここにてやろうとしていることは,タイトルのごとく,卒業生・修了生の惨状の度合いが,3つの段階(学部,修士,博士)でどう異なるかを比較することです。どの段階まで進もうかしらん,とお考えの方の参考になればと存じます。
まずは,3段階の卒業生・修了生の進路構成を比べることから始めましょう。2011年の文科省『学校基本調査(高等教育機関編)』によると,同年春の大学卒業者は55万2千人,修士課程修了者は7万5千人,博士課程修了者(単位取得満期退学者含む)は1万6千人です。下図は,各々の進路構成を図示したものです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528
赤色は就職率(非正規含む)ですが,ほう,修士課程修了者が72.3%と最も高くなっています。その分,この段階では,⑤~⑦の無業・死亡・進路不明率が最小です。ざっとみた限りでは,惨状の度合いが最も低いのは,修士課程の修了者のようです。
これをどうみたものでしょう。理系の場合,修士まで出たほうが就職に有利ということをよく聞きますが,理系専攻の修士(Master)らが健闘している,ということでしょうか。大学院の場合,理系専攻の学生が多くを占めますし。
どうやら,専攻別に観察してみる必要がありそうです。細かい専攻分野まで下りると数が少なくなりますので,大まかな専攻系列ごとの統計を出してみましょう。3つの段階について,専攻系列別の無業者率と死亡・進路不明率を計算しました。無業者率とは,上図でいう⑤と⑥の者が全体に占める比率です。死亡・進路不明率は,⑦の者の比率です。
無業者率と死亡・進路不明率の合算値をもって,惨状の度合いのバロメーターとしましょう。全専攻をひっくるめた全体の傾向でいうと,この意味での惨状値は修士課程で最も低くなっています。これは,先の図でみた通りです。
しかるに,様相は専攻によって違っています。学生数が多い理系の専攻は,全体の傾向に即していますが,文系の専攻はさにあらず。人文科学系は,学部→修士→博士と段階を上がるにつれて,惨状の度合いが増していきます。この専攻の場合,両指標の合算値は,学部卒は28.9%,修士卒は36.9%,博士卒は63.2%です。修士と博士の溝が明確ですなあ。
一方,工学専攻の場合は,順に,11.9%,6.7%,27.4%となります。人文系の右上がり型とは違ったV字型(谷型)です。
それぞれの専攻系列について,3段階の変化を可視的に表現してみましょう。横軸に無業者率(⑤+⑥),縦軸に死亡・進路不明率(⑦)をとった座標上に,各専攻の3段階の数値を位置づけて,線で結んでみました。aは学部,bは修士課程,cは博士課程です。
10の専攻の折れ線を一つの座標に盛り込むと,グチャグチャになりますので,2専攻ごとに分けています。なお,中間のbの記号の記載を省略している図もあります。
いかがでしょう。人文系と芸術系は,学士,修士,博士となるにしたがい,右上のデンジャラス(デッド)・ゾーンに昇っていきます。言葉がよくないですが,まさに「昇天」です。人文系では,bとcの距離が大きくなっています。先に申したように,修士と博士の断絶が大きい,ということです。
社会科学系や私が出た教育系は,bとcの垂直方向の距離が大きいようです。これは,博士課程に行くと死亡・進路不明率が殊に高まることを示唆します。
理系の専攻はというと,L字を斜めにしたような型です。修士まではいいが,それより上はヤバイ,ということです。まあ,その程度は文系の専攻に比したら小さいのですが。
以上をもって,卒業・修了生の惨状の段階比較を終わります。人文系,社会系,教育系,および芸術系の分野において,博士課程進学を希望される方は,上図を部屋の壁にでも貼って,気を引き締めていただければと存じます。
いたずらに危機感を煽るものではありませんが,生半可な考えで進学すると,悲惨な末路をたどるハメになる確率が高いことをお知りいただければと存じます。まあ,言わずもがなですが。
でも,修士課程までなら進んでもいいかな,とお思いの方はたくさんおられると思います。9月9日の記事でみたように,大学卒業者の約1割が修士課程に進学しているとみられます。理系の専攻では,修士課程への進学率はもっと高いことでしょう。
8月30日の記事では博士課程修了生,9月9日の記事では大学卒業生の進路(惨状)をみました。今回は,その中間に位置する修士課程修了生の状況にも目配りします。
ただ,先の2つの記事と同じことをベタに繰り返しても面白くありません。私がここにてやろうとしていることは,タイトルのごとく,卒業生・修了生の惨状の度合いが,3つの段階(学部,修士,博士)でどう異なるかを比較することです。どの段階まで進もうかしらん,とお考えの方の参考になればと存じます。
まずは,3段階の卒業生・修了生の進路構成を比べることから始めましょう。2011年の文科省『学校基本調査(高等教育機関編)』によると,同年春の大学卒業者は55万2千人,修士課程修了者は7万5千人,博士課程修了者(単位取得満期退学者含む)は1万6千人です。下図は,各々の進路構成を図示したものです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528
赤色は就職率(非正規含む)ですが,ほう,修士課程修了者が72.3%と最も高くなっています。その分,この段階では,⑤~⑦の無業・死亡・進路不明率が最小です。ざっとみた限りでは,惨状の度合いが最も低いのは,修士課程の修了者のようです。
これをどうみたものでしょう。理系の場合,修士まで出たほうが就職に有利ということをよく聞きますが,理系専攻の修士(Master)らが健闘している,ということでしょうか。大学院の場合,理系専攻の学生が多くを占めますし。
どうやら,専攻別に観察してみる必要がありそうです。細かい専攻分野まで下りると数が少なくなりますので,大まかな専攻系列ごとの統計を出してみましょう。3つの段階について,専攻系列別の無業者率と死亡・進路不明率を計算しました。無業者率とは,上図でいう⑤と⑥の者が全体に占める比率です。死亡・進路不明率は,⑦の者の比率です。
無業者率と死亡・進路不明率の合算値をもって,惨状の度合いのバロメーターとしましょう。全専攻をひっくるめた全体の傾向でいうと,この意味での惨状値は修士課程で最も低くなっています。これは,先の図でみた通りです。
しかるに,様相は専攻によって違っています。学生数が多い理系の専攻は,全体の傾向に即していますが,文系の専攻はさにあらず。人文科学系は,学部→修士→博士と段階を上がるにつれて,惨状の度合いが増していきます。この専攻の場合,両指標の合算値は,学部卒は28.9%,修士卒は36.9%,博士卒は63.2%です。修士と博士の溝が明確ですなあ。
一方,工学専攻の場合は,順に,11.9%,6.7%,27.4%となります。人文系の右上がり型とは違ったV字型(谷型)です。
それぞれの専攻系列について,3段階の変化を可視的に表現してみましょう。横軸に無業者率(⑤+⑥),縦軸に死亡・進路不明率(⑦)をとった座標上に,各専攻の3段階の数値を位置づけて,線で結んでみました。aは学部,bは修士課程,cは博士課程です。
10の専攻の折れ線を一つの座標に盛り込むと,グチャグチャになりますので,2専攻ごとに分けています。なお,中間のbの記号の記載を省略している図もあります。
いかがでしょう。人文系と芸術系は,学士,修士,博士となるにしたがい,右上のデンジャラス(デッド)・ゾーンに昇っていきます。言葉がよくないですが,まさに「昇天」です。人文系では,bとcの距離が大きくなっています。先に申したように,修士と博士の断絶が大きい,ということです。
社会科学系や私が出た教育系は,bとcの垂直方向の距離が大きいようです。これは,博士課程に行くと死亡・進路不明率が殊に高まることを示唆します。
理系の専攻はというと,L字を斜めにしたような型です。修士まではいいが,それより上はヤバイ,ということです。まあ,その程度は文系の専攻に比したら小さいのですが。
以上をもって,卒業・修了生の惨状の段階比較を終わります。人文系,社会系,教育系,および芸術系の分野において,博士課程進学を希望される方は,上図を部屋の壁にでも貼って,気を引き締めていただければと存じます。
2012年9月14日金曜日
東京都内49市区のいじめ発生率
大津市の中学生いじめ自殺事件を受けて,いじめ問題への関心が全国的に高まっています。昨日,東京都教育委員会は,「いじめの実態把握のための緊急調査」の結果を公表しました。今年の4~7月にかけて,都内の公立学校において認知されたいじめの件数が明らかにされています。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/09/20m9d100.htm
上記の期間中に,都内の公立小・中学校では3,433件のいじめが認知されたそうです。正式に認知されずとも,いじめの疑いあると思われるケースは7,042件。合計すると10,475件であり,1万件を超えます。
都の『学校基本調査』の速報結果から分かる,今年の5月1日時点の公立小・中学校の児童生徒数は787,192人です。先ほどのいじめ件数(10,475件)をこれで除すと,13.3‰という比率が得られます。この4か月間で,児童生徒千人あたり13.3件のいじめが起きた計算です。この値をいじめ発生率とし,小学校と中学校とに分けて計算すると,下表のようになります。
予想通りですが,小学校よりも中学校で率が高くなっています。文科省の全国統計でみても,年を問わず,いじめの認知件数は中学校で最も多い傾向があります。学年別にみると,とりわけ中学校1年生の数値が際立っています。このような中学校1年時の危機は,「中1ギャップ」と呼ばれています。
ところで,上記の都教委調査では,上表のaとbが都内の市区町村別に公表されています。各地域の公立小・中学校の児童生徒数(c)は,都の『学校基本調査』から分かります。これらの統計を使えば,都内の地域別にいじめ発生率を計算することができます。
私は,都内の49市区について,公立小学校と中学校のいじめ発生率を明らかにしました。児童生徒数が少ない町村については,率の計算は見送ります。下表は,49市区のいじめ発生率の一覧です。順位も添えています。
いじめの発生率は,地域によって大きく異なります。黄色は最大値,青色は最小値ですが,昭島市の公立小学校のいじめ発生率は,目黒区の55倍にもなります。
なお,都全体の傾向では,中学校の発生率のほうが高いのですが,地域別にみると,それとは違うケースも見受けられます。いじめは,思春期の危機というような心理学的視点で説明されることが多いようですが,それが適合するかどうかは,環境によって一様ではないことが示唆されます。
しかるに,上表の数値が各地域のいじめの発生実態を的確に表現しているのかという,根源的な疑問もあります。上記の都教委調査に際しては,各学校が「今年4月以降のいじめについて,児童・生徒へアンケートを行い,保護者への聞き取り調査も実施した」とされています。しかしながら,「学校によって調査方法が異なるため,極端に認知件数が少ない自治体もあることから,・・・必ずしもいじめの実態を反映しているとは限らない」と都教委も認めています(読売新聞下記サイト記事)。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120913-OYT8T00933.htm
しからば,ここにて試算した地域別の数値が何の意味もないかというと,そういうことでもなさそうです。公立中学校にあっては,上表のいじめ発生率が高い地域ほど,不登校生徒の出現率が高い傾向にあります。後者の指標は,2010年度間に「不登校」という理由で30日以上欠席した生徒数を,同年の全生徒数で除して出したものです。分子と分母の数値は,都教委『公立学校統計調査報告(学校調査編)』から得ました。
公立中学生の市区別統計を使って,いじめ発生率と不登校生徒出現率の相関図を描くと,下図のようになります。
撹乱はありますが,いじめが多い地域ほど,不登校生徒も多い傾向です。両指標の相関係数は+0.413であり,1%水準で有意と判定されます。小学校段階では,このような相関は検出されませんが,中学校段階では,いじめと不登校の相関が認められます。
次に興味が持たれるのは,いじめ発生率が高い地域はどういう地域か,ということです。この点について,各市区の一人親世帯率や就学援助受給率のような貧困指標を説明変数に充ててみましたが,有意な相関はみられませんでした。また,貧富の差が大きい地域ほどいじめが起きやすいのではないかと考え,昨年の12月22日の記事で計算した,49市区のジニ係数との相関をとってみましたが,こちらも無相関でした。
このほど公表された都教委のいじめ調査結果の信憑性は完全とまではいきませんが,市区町村レベルの数値が公にされたことの意義は大きいと存じます。おそらく,全自治体の中で初ではないでしょうか。
願わくは,文科省の『全国学力・学習状況調査』の結果も,県よりも下った市町村別に知ることができるようになってほしいものです。文科省の学力調査の中には,「いじめは,どんな理由があってもいけいないことだと思うか」など,重要な設問が盛り込まれています。この設問への回答分布を市町村別に知ることができれば,いじめの社会的要因のかなりの部分を解明できるのではないでしょうか。多額の資金を投じて実施する,せっかくの全国調査です。結果を隅から隅までしゃぶり尽くすことができますよう。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/09/20m9d100.htm
上記の期間中に,都内の公立小・中学校では3,433件のいじめが認知されたそうです。正式に認知されずとも,いじめの疑いあると思われるケースは7,042件。合計すると10,475件であり,1万件を超えます。
都の『学校基本調査』の速報結果から分かる,今年の5月1日時点の公立小・中学校の児童生徒数は787,192人です。先ほどのいじめ件数(10,475件)をこれで除すと,13.3‰という比率が得られます。この4か月間で,児童生徒千人あたり13.3件のいじめが起きた計算です。この値をいじめ発生率とし,小学校と中学校とに分けて計算すると,下表のようになります。
予想通りですが,小学校よりも中学校で率が高くなっています。文科省の全国統計でみても,年を問わず,いじめの認知件数は中学校で最も多い傾向があります。学年別にみると,とりわけ中学校1年生の数値が際立っています。このような中学校1年時の危機は,「中1ギャップ」と呼ばれています。
ところで,上記の都教委調査では,上表のaとbが都内の市区町村別に公表されています。各地域の公立小・中学校の児童生徒数(c)は,都の『学校基本調査』から分かります。これらの統計を使えば,都内の地域別にいじめ発生率を計算することができます。
私は,都内の49市区について,公立小学校と中学校のいじめ発生率を明らかにしました。児童生徒数が少ない町村については,率の計算は見送ります。下表は,49市区のいじめ発生率の一覧です。順位も添えています。
いじめの発生率は,地域によって大きく異なります。黄色は最大値,青色は最小値ですが,昭島市の公立小学校のいじめ発生率は,目黒区の55倍にもなります。
なお,都全体の傾向では,中学校の発生率のほうが高いのですが,地域別にみると,それとは違うケースも見受けられます。いじめは,思春期の危機というような心理学的視点で説明されることが多いようですが,それが適合するかどうかは,環境によって一様ではないことが示唆されます。
しかるに,上表の数値が各地域のいじめの発生実態を的確に表現しているのかという,根源的な疑問もあります。上記の都教委調査に際しては,各学校が「今年4月以降のいじめについて,児童・生徒へアンケートを行い,保護者への聞き取り調査も実施した」とされています。しかしながら,「学校によって調査方法が異なるため,極端に認知件数が少ない自治体もあることから,・・・必ずしもいじめの実態を反映しているとは限らない」と都教委も認めています(読売新聞下記サイト記事)。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120913-OYT8T00933.htm
しからば,ここにて試算した地域別の数値が何の意味もないかというと,そういうことでもなさそうです。公立中学校にあっては,上表のいじめ発生率が高い地域ほど,不登校生徒の出現率が高い傾向にあります。後者の指標は,2010年度間に「不登校」という理由で30日以上欠席した生徒数を,同年の全生徒数で除して出したものです。分子と分母の数値は,都教委『公立学校統計調査報告(学校調査編)』から得ました。
公立中学生の市区別統計を使って,いじめ発生率と不登校生徒出現率の相関図を描くと,下図のようになります。
撹乱はありますが,いじめが多い地域ほど,不登校生徒も多い傾向です。両指標の相関係数は+0.413であり,1%水準で有意と判定されます。小学校段階では,このような相関は検出されませんが,中学校段階では,いじめと不登校の相関が認められます。
次に興味が持たれるのは,いじめ発生率が高い地域はどういう地域か,ということです。この点について,各市区の一人親世帯率や就学援助受給率のような貧困指標を説明変数に充ててみましたが,有意な相関はみられませんでした。また,貧富の差が大きい地域ほどいじめが起きやすいのではないかと考え,昨年の12月22日の記事で計算した,49市区のジニ係数との相関をとってみましたが,こちらも無相関でした。
このほど公表された都教委のいじめ調査結果の信憑性は完全とまではいきませんが,市区町村レベルの数値が公にされたことの意義は大きいと存じます。おそらく,全自治体の中で初ではないでしょうか。
願わくは,文科省の『全国学力・学習状況調査』の結果も,県よりも下った市町村別に知ることができるようになってほしいものです。文科省の学力調査の中には,「いじめは,どんな理由があってもいけいないことだと思うか」など,重要な設問が盛り込まれています。この設問への回答分布を市町村別に知ることができれば,いじめの社会的要因のかなりの部分を解明できるのではないでしょうか。多額の資金を投じて実施する,せっかくの全国調査です。結果を隅から隅までしゃぶり尽くすことができますよう。
2012年9月13日木曜日
職業別の年収と労働時間
前回は,『国勢調査』のデータをもとに,232の職業について,就業者の女性比率と非正規率と明らかにしました。
これは,それぞれの職業従事者の属性分析ですが,各職業の年収や労働時間というような待遇面はどうか,という関心をお持ちの方が多いと思います。事実,職業別の年収ランキングというような類の週刊誌記事が,世間の耳目を集めることがしばしばです。
この問題については,昨年の9月21日の記事でも扱いましたが,そこにおいては,性別や年齢といった要因を統制していません。前回の記事でみたように,職業によって女性比率は大きく違いますし,年齢構成も異なります。たとえば,大学教授などは多くが男性で,大半が40歳以上です。
今回は,性別と年齢を揃えた比較を行うこととします。また,先の記事では,それぞれの職業の月収に注目したのですが,ここでは,賞与などの諸手当をも含んだ「年収」を出してみようと思います。上記リンク先の記事と今回の記事の違いは,このようなものです。
依拠する資料は,2011年の厚労省『賃金構造基本統計調査』です。この資料から,自分が属する30代後半の男性について,118の職業の年収と月あたりの労働時間を明らかにしました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin_zenkoku.html
本資料によると,2011年の30代後半男性の高校教員の所定内月収は41.6万円です。同年中の賞与等の平均額は169.6万円。よって,この職業の年収は,(41.6×12か月)+169.6 ≒ 669.0万円と算出されます。ほう。自分と同年齢の高校の先生は,700万円近く稼いでいるのだなあ。顔が浮かぶのが何人かいます。イイナ。
次に,もう一つの勤務条件指標である所定内労働時間はというと,月あたり170時間。月20日勤務とすると,1日あたり8.5時間という計算になります。多忙な先生方からすると,リアリティのかけらもない数字に思えるでしょうが,所定内実労働時間(総実労働時間数から超過実労働時間数を差し引いた時間数)は,このようになっています。
では,他の職業についても,同じ数字をみていただきましょう。118の職業の数値をベタな一覧表で示すというのは芸がないので,前回と同様,2指標のマトリクス上に各職業を位置づけてみます。横軸は労働時間,縦軸は年収です。点線は,118職業の平均値を意味します。
予想通りといいますか,年収のトップは医師です。30代後半にして,年収1,112万円なり。次が歯科医師(865万円),大学教授(860万円),記者(844万円),弁護士(799万円),という具合です。なお,これらの年収ベスト5のうち,弁護士だけは,労働時間が平均よりもかなり長くなっています。
赤字のドットは教員の位置を示唆します。大学の先生は,給与が高い上に,労働時間も短くていいなあ,と思われるかもしれませんが,そう単純な話ではありません。大学教員は,週3~4日出校というのが相場ですが,大学に行かない日だって,自宅で原稿を書いたり,各種の雑務をしたりしています。大学教員にとっては,本を読んで知識を吸収することも,見方によっては,研究という名の「労働」といえるでしょう。こういうことを勘案すると,大学教員のドットは,図の右側に大きくシフトします。まあ,他の専門職でも同じでしょうが。
今回は,30代後半男性のデータをみましたが,もっと年齢を上がれば,労働時間や年収の分布幅はもっと広がることと思います。たとえば,50代後半男性の医師の年収を同じやり方で推し量ると1,669万円にもなります。高校教員は933万円。30代後半時点よりも,差が開いています。
また,女性でみるとどうか,という関心もあるでしょう。30代後半女性の高校教員の年収は589万円であり,先ほどみた男性の額(669万円)とかなりの差がありま。給与の男女差が大きい職業を探り当てるのも,また一興です。後の課題として,取っておきましょう。
これは,それぞれの職業従事者の属性分析ですが,各職業の年収や労働時間というような待遇面はどうか,という関心をお持ちの方が多いと思います。事実,職業別の年収ランキングというような類の週刊誌記事が,世間の耳目を集めることがしばしばです。
この問題については,昨年の9月21日の記事でも扱いましたが,そこにおいては,性別や年齢といった要因を統制していません。前回の記事でみたように,職業によって女性比率は大きく違いますし,年齢構成も異なります。たとえば,大学教授などは多くが男性で,大半が40歳以上です。
今回は,性別と年齢を揃えた比較を行うこととします。また,先の記事では,それぞれの職業の月収に注目したのですが,ここでは,賞与などの諸手当をも含んだ「年収」を出してみようと思います。上記リンク先の記事と今回の記事の違いは,このようなものです。
依拠する資料は,2011年の厚労省『賃金構造基本統計調査』です。この資料から,自分が属する30代後半の男性について,118の職業の年収と月あたりの労働時間を明らかにしました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin_zenkoku.html
本資料によると,2011年の30代後半男性の高校教員の所定内月収は41.6万円です。同年中の賞与等の平均額は169.6万円。よって,この職業の年収は,(41.6×12か月)+169.6 ≒ 669.0万円と算出されます。ほう。自分と同年齢の高校の先生は,700万円近く稼いでいるのだなあ。顔が浮かぶのが何人かいます。イイナ。
次に,もう一つの勤務条件指標である所定内労働時間はというと,月あたり170時間。月20日勤務とすると,1日あたり8.5時間という計算になります。多忙な先生方からすると,リアリティのかけらもない数字に思えるでしょうが,所定内実労働時間(総実労働時間数から超過実労働時間数を差し引いた時間数)は,このようになっています。
では,他の職業についても,同じ数字をみていただきましょう。118の職業の数値をベタな一覧表で示すというのは芸がないので,前回と同様,2指標のマトリクス上に各職業を位置づけてみます。横軸は労働時間,縦軸は年収です。点線は,118職業の平均値を意味します。
予想通りといいますか,年収のトップは医師です。30代後半にして,年収1,112万円なり。次が歯科医師(865万円),大学教授(860万円),記者(844万円),弁護士(799万円),という具合です。なお,これらの年収ベスト5のうち,弁護士だけは,労働時間が平均よりもかなり長くなっています。
赤字のドットは教員の位置を示唆します。大学の先生は,給与が高い上に,労働時間も短くていいなあ,と思われるかもしれませんが,そう単純な話ではありません。大学教員は,週3~4日出校というのが相場ですが,大学に行かない日だって,自宅で原稿を書いたり,各種の雑務をしたりしています。大学教員にとっては,本を読んで知識を吸収することも,見方によっては,研究という名の「労働」といえるでしょう。こういうことを勘案すると,大学教員のドットは,図の右側に大きくシフトします。まあ,他の専門職でも同じでしょうが。
今回は,30代後半男性のデータをみましたが,もっと年齢を上がれば,労働時間や年収の分布幅はもっと広がることと思います。たとえば,50代後半男性の医師の年収を同じやり方で推し量ると1,669万円にもなります。高校教員は933万円。30代後半時点よりも,差が開いています。
また,女性でみるとどうか,という関心もあるでしょう。30代後半女性の高校教員の年収は589万円であり,先ほどみた男性の額(669万円)とかなりの差がありま。給与の男女差が大きい職業を探り当てるのも,また一興です。後の課題として,取っておきましょう。
2012年9月12日水曜日
232職業の女性率・非正規率
職業とは,人間のアイデンティティの拠り所となるものですが,現在の日本には,どれくらいの数の職業が存在するのでしょう。2010年の総務省『国勢調査』の職業小分類では,232の職業カテゴリーが設けられ,各々に従事している者の数が計上されています。また,それぞれの職業従事者のうち,女性が何人,非正規形態の就業者が何人ということも分かります。
学校の教員や医師・法曹等について,女性比率と非正規就業者率を計算してみました。非正規就業者とは,「労働者派遣授業所の派遣社員」と「パート・アルバイト・その他」という就業形態カテゴリーを足し合わせたものです。下記サイトの表7-1から数字を採集し,統計をつくりました。抽出速報結果であるため,粗い数字になっていることに注意ください。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001032402&cycode=0
小学校教員は40万8千人。幼稚園から大学までの教員数を合算すると,128万1千人。結構な数ですね。全国民を1億2千万人とすると,国民94人につき1人がこれらの学校の教員ということになります。一方,裁判官や弁護士のような法曹はわずか2万6千人。国民4,598人に1人です。
女性比率をみると,教員では,下の段階の学校ほど値が高くなっています。保育士や幼稚園教員は,9割以上が女性です。小学校が6割,中学校が4割,高校が3割,大学では4人に1人というところです。
下段の3つの職業では,女性比率はさらに低くなっています。現在,「ゴーストママ捜査線」という,女性警官(ユーレイ)が主人公のドラマが放映されていますが,警察官の女性比率は低いのですね。性犯罪やDV被害等,女性警官の対応が望まれるケースも多いとあって,現在,女性警官を増員する方針が打ち出されています。目標値は「1割(10%)」とのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20120724-OYT8T00785.htm
次に,右欄の非正規率に注目すると,保育士の4割が非正規就業者です。幼稚園教員は18.4%,次に高いのは大学教員で17.9%が非正規教員です。かくいう私は大学非常勤教員ですから,上表の29,600人の中に含まれることになります。法曹や警察官では,さすがに非正規雇用は皆無のようです。
以上は,10の職業のデータですが,232の職業の全てについて,女性比率と非正規率を出してみました。結果を,視覚的な統計図でお見せします。横軸に女性比率,縦軸に非正規率をとった座標上に,232の職業をプロットしてみました。縦長の図になっていますが,これは,職業名をできるだけ多く記載するスペースをとるためのもので,他意はないことを申し添えます。点線は,就業者全体でみた女性率と非正規率を示唆します。
赤のドットは,上表でみた保育士ならびに各学校の教員です。緑色は,医師,法曹,および警察官・海上保安官です。全職業の中での,学校教員の位置を読み取っていただきたいと思います。
しかし,司書・学芸員の非正規率は高いのですねえ。また,介護関係職の非正規率の高さも目につきます。訪問介護職の非正規率は73.5%です。少子高齢化,生涯学習社会化が進行する中,これらの職への需要が高まっていますが,(安上がりの)非正規雇用の増加で対処されていることがうかがわれます。
あなたの職業の位置はどこでしょう。興味ある方は,上記サイトの表7-1から,ご自身の職業の女性率,非正規率を出し,上図のドットのどれに当たるかを突き止めてみてください。10分ほどの作業です。
なお,職業別の労働時間と給与については,昨年の9月21日の記事で明らかにしています。ソースは,2010年の厚労省『賃金構造基本統計調査』です。関心ある方は,ご覧ください。
学校の教員や医師・法曹等について,女性比率と非正規就業者率を計算してみました。非正規就業者とは,「労働者派遣授業所の派遣社員」と「パート・アルバイト・その他」という就業形態カテゴリーを足し合わせたものです。下記サイトの表7-1から数字を採集し,統計をつくりました。抽出速報結果であるため,粗い数字になっていることに注意ください。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001032402&cycode=0
小学校教員は40万8千人。幼稚園から大学までの教員数を合算すると,128万1千人。結構な数ですね。全国民を1億2千万人とすると,国民94人につき1人がこれらの学校の教員ということになります。一方,裁判官や弁護士のような法曹はわずか2万6千人。国民4,598人に1人です。
女性比率をみると,教員では,下の段階の学校ほど値が高くなっています。保育士や幼稚園教員は,9割以上が女性です。小学校が6割,中学校が4割,高校が3割,大学では4人に1人というところです。
下段の3つの職業では,女性比率はさらに低くなっています。現在,「ゴーストママ捜査線」という,女性警官(ユーレイ)が主人公のドラマが放映されていますが,警察官の女性比率は低いのですね。性犯罪やDV被害等,女性警官の対応が望まれるケースも多いとあって,現在,女性警官を増員する方針が打ち出されています。目標値は「1割(10%)」とのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20120724-OYT8T00785.htm
次に,右欄の非正規率に注目すると,保育士の4割が非正規就業者です。幼稚園教員は18.4%,次に高いのは大学教員で17.9%が非正規教員です。かくいう私は大学非常勤教員ですから,上表の29,600人の中に含まれることになります。法曹や警察官では,さすがに非正規雇用は皆無のようです。
以上は,10の職業のデータですが,232の職業の全てについて,女性比率と非正規率を出してみました。結果を,視覚的な統計図でお見せします。横軸に女性比率,縦軸に非正規率をとった座標上に,232の職業をプロットしてみました。縦長の図になっていますが,これは,職業名をできるだけ多く記載するスペースをとるためのもので,他意はないことを申し添えます。点線は,就業者全体でみた女性率と非正規率を示唆します。
赤のドットは,上表でみた保育士ならびに各学校の教員です。緑色は,医師,法曹,および警察官・海上保安官です。全職業の中での,学校教員の位置を読み取っていただきたいと思います。
しかし,司書・学芸員の非正規率は高いのですねえ。また,介護関係職の非正規率の高さも目につきます。訪問介護職の非正規率は73.5%です。少子高齢化,生涯学習社会化が進行する中,これらの職への需要が高まっていますが,(安上がりの)非正規雇用の増加で対処されていることがうかがわれます。
あなたの職業の位置はどこでしょう。興味ある方は,上記サイトの表7-1から,ご自身の職業の女性率,非正規率を出し,上図のドットのどれに当たるかを突き止めてみてください。10分ほどの作業です。
なお,職業別の労働時間と給与については,昨年の9月21日の記事で明らかにしています。ソースは,2010年の厚労省『賃金構造基本統計調査』です。関心ある方は,ご覧ください。
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