2014年2月26日水曜日

高校・大学教員の女性比の国際比較

 OECDの“Education at a Glance 2013”を眺めていたら,各国の教員の女性比率をまとめた表が目につきました。2011年の学校段階ごとの数値が掲げられています。

 高校(Upper secondary education)と高等教育機関(Tertiary education)の数値を拾い,グラフ化すると下図のごとし。高等教育機関の教員は,多くが大学教員とみてよいでしょう。点線は,29か国の平均値です。


 わが国の「外れっぷり」のスゴイこと。高校教員の女性比28.4%,大学教員の女性比25.2%というのは,国際的にみたらかなり特異なのですなあ。

 昔に比べたら日本も右上に動いてきているのでしょうが,国際的な布置図でみたら,全然「仲間はずれ」の位置です。

 最近は,大学教員の公募でも「女性限定」公募がちらほらみられますが,こういう意図的な取組が必要なのも分かろうというものです。
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=0&id=D114020931&ln_jor=0

 東京オリンピックが開催される2020年までに,「指導者層に占める女性割合30%」という目標が掲げられていますが。この年のわが国の位置は,上図でいうとどこ辺りか。仮に目標が達成されたとしても,せいぜい韓国辺りか・・・。

 それはさておき,昨日から国立大学の二次試験が始まっていますが,報道によると,理系専攻の人気が高まっているとのこと。とくに女子の志願者が増えているみたいで,「リケジョ増える?」という見出しが躍っています。予言の成就ではないですが,私もそうなればいいなと思います。

 受験生のみなさんの健闘を祈ります。

2014年2月22日土曜日

大卒者の専攻別の正規就職率

 正規就職率。いわゆる正社員への就職率ですが,この指標に関心を持っている学生,親御さん,教育関係者はさぞ多いことでしょう。

 最近では,文科省『学校基本調査』の進路統計でも,就職者を正規と非正規に分けて集計しています。就職率が高いといっても,「ほとんどが非正規なんじゃねーの?」と突っ込まれますしね。まあ,精緻な統計が作成されるのはいいことです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm

 この恩恵を利用し,今回は,大卒者の正規就職率という指標を計算してみようと思います。性別や専攻別の数値も出してみることにしましょう。正規就職率の出し方ですが,私は,以下の計算式がいのではないかと思います。

 (正規就職者数+臨床研修医数)/(卒業生数-進学者数-専門学校等入学者数)

 就職の意思のない大学院進学者や専門学校入学者は,分母から除きます。分子に臨床研修医を加えるのは,医療系の専攻の場合,キャリアが研修医から始まるのが一般的であるからです。

 このやり方で,2013年春の大卒者の正規就職率を計算すると,男子は74.1%,女子は74.9%となります。男女とも4分の3くらいですが,女子のほうが若干高いのですね。需要が高まっている福祉系の専攻で女子が多いためでしょうか。

 では,男女の正規就職率を専攻系列別に出してみましょう。下表はその一覧です。


 全専攻でみると4分の3ほどですが,専攻によってかなり違っています。マックスは男女とも保健系であり,男子は87.0%,女子は90.9%です。医学や看護を修めた学生ですが,このご時世。やっぱり強いですねえ。

 一方,正規就職率が最も低いのは芸術系であり,男女とも半分を割っています。アーティストや作家志望で,敢えて就職に背を向ける学生さんが多いのか。まあ,これもよろし。次に低いのは教育系ですが,これは教員採用試験の再トライ組が多いためでしょう。

 表を全体的にみると,予想通りといいますか,おおよそ「理高文低」の傾向が見受けられます。

 あと,どの専攻でも男子より女子の正規就職率が高いのも特記点です。5ポイント以上の差には不等号をつけましたが,理学系では,10ポイント近くもの開きが出ています。リケジョへの需要の高まりとみられます。

 次に,上記の大雑把な専攻系列よりも下った,細かい小専攻ごとの率も出してみましょう。人文科学系の下には,文学,史学,哲学,およびその他という4つの下位専攻があります。私は,こうした小専攻別の正規就職率を計算してみました。男女いずれかの卒業生数が50人に満たない専攻を除いた,56の専攻です。

 高い順に並べたランキング表をつくってみましたので,それをご覧いただきましょう。まずは男子のものです。


 上位は,理系の専攻のオンパレードですね。1位は看護学,2位は医学。やっぱ強い。文系の主な専攻にはマークをしましたが,全体平均(74.1%)を超えるのは,商学・経済学だけです。

 続いて女子のランク表です。構造は,男子とほぼ同じです。


 このランク表を専攻選びの参考にしろというのではありませんが,社会の人材需要はどういうものか。その一端を見て取ることができる気がします。

 最後に,56専攻の男女の正規就職率を視覚化しておきましょう。私は視覚人間ですので,こういう「締め」をしたくなります。横軸に男子,縦軸に女子の正規就職率をとった座標上に,56の専攻を位置づけてみました。点線は,全体値です。


 これが,専攻別の正規就職率の布置図です。あなたが志望する,あるいは在学している専攻はどこに位置しますか。

 こういう図も,高校の進路指導室の壁に貼ってみたらどうでしょう。拡大したら,結構インパクトありそうです。

2014年2月19日水曜日

年収別の生涯未婚率

 2月9日の記事では職業別の生涯未婚率をみたのですが,一生未婚にとどまる確率は年収とも関連しています。

 2012年の総務省『就業構造基本調査』では,有業者の「年収×配偶関係」のクロス集計がなされています。私はこれを使って,有業者男女の年収別の生涯未婚率を計算し,グラフにしてみました。それをご覧いただこうと思います。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 生涯未婚率とは一生未婚のままにとどまる者の比率ですが,通常,50歳時点の未婚率のことをいいます。この年齢以降は,結婚する者はほとんどいないであろう,という仮定に立つわけです。なお,5歳刻みの統計から出す場合,40代後半と50代前半の未婚率を均すという便法がとられます。

 まずは,計算に使った素材をお見せします。上記の資料から採取した,年収別の有業者の数です。


 男性でみると年収400万円台が最も多いようですが,この層の40代後半の未婚率は19.8%,50代前半13.2%です。よって,この階層の男性の生涯未婚率は,両者を均して16.5%となります。年収400万円台の男性の場合,6人に1人が生涯未婚のままにとどまると見込まれるわけです。

 同じやり方にて,男女の各階層の生涯未婚率を計算しグラフにすると,下図のようになります。


 ほう。男女では,年収と生涯未婚率の関連の仕方が逆ですね。若干の撹乱はありますが,男性は年収が低いほど,女性は年収が高いほど生涯未婚率が高い傾向です。こうしたジェンダー差は,「X型」の図柄によって可視化されています。

 ガシガシ稼ぐキャリア・ウーマンは敬遠されるのか,あるいはそういう女性は十分自活できるので結婚に消極的なのか。どういう因果経路かは定かでありません。しかし男性にあっては,収入が少ないと結婚できないという「拘束性」が明らかなように思います。

 「男は一家を養うべし」。時代遅れの偏狂なジェンダー観念に由来する図柄ですが,これは日本独特のものなのか。今後,どうなっていくのか・・・。

 指導者層の女性比率が*%という数値指標もいいですが,男女共同参画社会の具現の度合いは,男女の生涯未婚率の年収曲線によっても見て取ることができるでしょう。

2014年2月18日火曜日

生活保護受給者の自殺率(2010年)

 最近はネット上にて,政府の各種審議会の内部資料もみれるようになっています。厚労省・社会保障審議会の生活保護基準部会の資料を眺めていたところ,生活保護受給者の自殺者数が載っているものを見つけました。下記サイトの参考資料2です。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ifbg.html

 これを生活保護受給者の数で除せば,生活保護受給者の自殺率が算出されます。ベースの受給者数は,厚労省の『被保護者調査』にて知ることが可能です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/74-16.html

 私は,2010年の分子と分母の数を採取して,生活保護受給者の自殺率を計算してみました。前者は2010年中の自殺者数,後者は同年7月末時点の受給者数です。年齢層別に出してみましたので,その結果をご覧いただきましょう。


 人口全体では,自殺率は高齢層ほど高くなるのですが,生活保護受給者に限定すると,若年層ほど高く,ピークは30代です。「働き盛りのいい若いモンが保護なんて受けやがって・・・」。こんなバッシングにさらされ,行政による就労指導もひときわ厳しいことと思います。分かるような気がします。

 それと,10万人あたり138.2人という自殺率の絶対水準の高さにも驚かされますね。これは当然,全人口でみた場合の率よりもはるかに高いものです。

 ここにて,保護受給者と人口全体の自殺率を年齢層別に出し,照合してみましょう。人口全体の自殺率は,上記の社会保障審議会資料に載っている2010年中の自殺者数を,同年10月時点の推計人口で除して出しました。下の図は,生活保護受給者と人口全体の自殺率の年齢曲線です。


 若年の生活保護受給者の自殺率が際立って高いのが一目瞭然です。30代の受給者の自殺率は全体の5.5倍にもなります。同年齢層全体と比した相対水準の高さにも唖然とさせられます。

 考えてみれば,若年の生活保護受給者は,重度の精神疾患で働けないなど,かなり「セレクト」された人たちです。ある精神科医の方がツイッターで教えて下さったところによると,30代の生保受給者の多くは精神疾患を患っているとのこと。

 これに追い打ちをかけるかのごとく,世間からのバッシングの風当たりは強く(怠け者!),行政の就労指導も厳しいときています(必要なのは配慮であるのに)。若年の生活保護受給者の自殺率が異常に高いというのも,分かろうというものです。

 生活保護は,憲法にて規定されている生存権を保障するための制度ですが,若年層にとっては,上手く機能していないのではないでしょうか。「働かざる者食うべからず」,年齢による役割規範の強い日本ならではの特徴だと思いますが,どうでしょう。

 これから先,若者は量的にますます少なくなり,彼らに対する負荷(圧力)が大きくなってくることは,昨年の10月27日の記事でみたところです。「若いのが生活保護を受けるなんてとんでもない。ブラックでも何でもいいから働け」。こんな声が強まるような気がします。そうなったとき,上図の曲線の傾斜がもっときつくなるのではないか。

 少子高齢化が確実に進行するわが国にあっては,年齢による偏狂な役割規範を克服することが求められるでしょう。性による役割観念(ジェンダー)の撤廃には関心が向けられていますが,もう一つの属性である「年齢」のほうにも,もっと目を向けようではありませんか。

2014年2月17日月曜日

積雪の夕日

 今日の帰り,自宅近辺で撮った写真を一枚。積雪の夕日です。予報によると,水曜から木曜にかけてまた積もる恐れがあるとのこと。気をつけましょう。


2014年2月16日日曜日

職業別の平均年収

 最近,総務省『就業構造基本調査』の分析にのめり込んでいますが,この調査のスゴイところは,有業者の年収分布が仔細に明らかにされていることです。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 本調査でいう年収とは,「賃金,給料,手間賃,諸手当,ボーナスなど過去1年間に得た税込みの給与総額」とされています(用語解説)。自営業主の場合は,「過去1年間に事業から得た収益」です。

 これまで,年収の男女差,年齢差,正規・非正規差,地域差などをみてきたのですが,今回は,職業別の平均年収を出してみようと思います。週刊誌でよくみかけるテーマですが,ネットアンケートなどではなく,官庁統計から割り出した場合,どういう結果になるでしょうか。

 パートや派遣等の非正規を除いた正規職員に対象を絞りたいところですが,正規職員だけの年収分布を職業別に知ることはできません。ただ,年間就業日数別の集計はされているようですので,年間200日以上就業者を取り出すことにしましょう。フルタイム,ないしはそれに準じる働き方をしている人たちです。

 私は,年間200日以上就業者の年収分布を職業別に明らかにしました。手始めに,男性の医師,教員,および介護サービス職員の年収分布をみていただきましょう。


 ほう,医師はスゴイですねえ。全体の半分近くが年収1500万以上です。教員も全体よりは高くなっています。しかし介護職は明らかに低い層に多く分布しており,年収200万円台の者が最多で,5人に1人が200万未満のワープアです。

 この分布をもとに,それぞれの職業の平均年収(average)を計算してみましょう。度数分布から平均を出すやり方はご存知ですね。各階級に含まれる者の年収を,一律に中間の値とみなします。たとえば300万円台の階級の場合,一律に年収350万円と仮定するわけです。上限のない「1500万以上」の階級は,一律2000万円としましょう。

 こうした階級値の考え方に依拠すると,医師の平均年収は,次のようにして求められます。

 {(25万×0.3人)+(75万×0.1人)+・・・(2000万×46.8人)}/100.0人 ≒ 1464.2万円

 男性医師の平均年収は1464万円と算出されました(スゴイ)。男性教員は649万円,男性介護サービス職員は277万円です。ちなみに,男性の全職業の平均年収は470万円なり。

 このやり方で,男女のフルタイム有業者の平均年収を職業別に出してみました。以下に掲げるのは,その一覧表です。船舶・航空機運転従事者の女性は該当者がいないので,「**」としています。


 いかがでしょうか。年収が高い職業は,上のほうの管理職や専門職層で多いようです。男性の上位3位は,①医師(1464万円),②法人・団体役員(837万円),③管理的公務員(791万円)です,女性の上位3位は,①医師(986万円),②管理的公務員(765万円),③法務従事者(615万円)なり。

 この表は資料としてみていただくこととし,68職業の平均年収の布置図をつくってみましょう。横軸に男性,縦軸に女性の平均年収をとった座標上に,それぞれの職業を散りばめてみました。点線は,全体の平均年収を意味します。


 医師の外れっぷりのスゴイこと。あなたが就いておられる職業はどの辺りに位置しますか。プロットしてみてください。

 なお,2月9日の記事では,同じく『就業構造基本調査』のデータをもとに,職業別の生涯未婚率を出しています。今回明らかにした平均年収との相関係数を出すと,男性では-0.498という値です。年収が低い職業ほど,生涯未婚率が高い傾向が有意に認められます。女性の場合は,このような関連はみられません(+0.165)。やっぱねえ・・・。

 興味ある方は,先の記事の生涯未婚率一覧表と突き合わせて,相関図を描いてみては。学生さんにやらせてみようかな。私の授業では,学生さんに興味を持ってもらえる素材を使うことにしています。

2014年2月14日金曜日

都道府県別・年齢層別の生活保護受給率

 2月2日の「沖縄タイムス」朝刊にて,私が計算した,高齢者(65歳以上)の県別生活保護受給率が紹介されました。各県の高齢層のうち,生活保護を受給している者がどれほどいるかです。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=61770


 2011年の沖縄でみると,65歳以上の生活保護受給率は4.93%,およそ20人に1人です。高齢者の貧困の量を可視化したデータということで,誌上に掲載させてほしい,という依頼でした。

 さて,この記事で報じられたのは高齢者の生活保護受給率ですが,他の年齢層の県別数値も計算してみましたので,ここにてそれを掲げようと思います。

 生活保護を受けている者の数を知ることができる資料として,厚労省の『被保護者調査』があります。毎年実施されているもので,各年の7月末時点の被保護人員の数が掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/74-16.html

 2011年の資料によると,同年7月31日時点における,東京の30代の被保護者は18,293人です。10月時点の都の推計30代人口は約219万人(総務省『人口推計年報』)。よって,東京の30代の生活保護受給率は,0.84%と算出されます。

 このやり方で,各県の年齢層別の生活保護受給率を試算してみました。下表は,その一覧表です。47都道府県中の最高値には黄色,最低値には青色のマークをし,上位5位の数値は赤色にしています。


 20~30代の若者では北海道が最も高く,40代以降では大阪がマックスです。大阪の60歳以上の受給率は5.34%であり,およそ20人に1人です。

 この表は資料としてみていただければと思いますが,県よりも下った地域レベルでみると,もっとすさまじい値がでてきます。上記の厚労省資料には,政令指定都市の被保護人員数も出ていますが,私は,大阪市の生活保護受給率年齢曲線を描いてみました。率計算のためのベース人口は,同市の年齢別推計人口(2011年10月1日時点)です。


 全国のカーブとの違いが一目瞭然です。この市は生活保護受給者が多いといわれますが,人口あたり何人という率にしてグラフ化してみると,確かに頷かされます。70代前半の受給率は11.3%であり,9人に1人が生活保護を受けている計算になります。

 冒頭の沖縄タイムス記事では,大阪市の突出した高さについて,「高度経済成長期に地方から都市部に集まった労働者の高齢化が顕在化」したためと述べられていますが,そういう事情もあるでしょう。

 著名ブロガーのちきりんさんは,生活保護以外の福祉を全廃したらどうかと提案していますが,そういう抜本策もありなのかなあ。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20120629
 
 「生活保護支給費はすごく増えると思うけど,・・・(中略)・・・年金や医療関係の支給費は生活保護に比べてめっちゃデカいので,その財源を回せば,少々生活保護が増えても財源には困りません。現在の制度では,ものすごい貯金がある人でも年金をもらってるし,オレオレ詐欺に数千万円もダマされるほど余裕のある高齢者も医療費の大半を補助されています」(上記リンク先記事より引用)。

 なるほどなあ。私が還暦を迎えることには,本当に具現されていたりして。