2月2日の「沖縄タイムス」朝刊にて,私が計算した,高齢者(65歳以上)の県別生活保護受給率が紹介されました。各県の高齢層のうち,生活保護を受給している者がどれほどいるかです。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=61770
2011年の沖縄でみると,65歳以上の生活保護受給率は4.93%,およそ20人に1人です。高齢者の貧困の量を可視化したデータということで,誌上に掲載させてほしい,という依頼でした。
さて,この記事で報じられたのは高齢者の生活保護受給率ですが,他の年齢層の県別数値も計算してみましたので,ここにてそれを掲げようと思います。
生活保護を受けている者の数を知ることができる資料として,厚労省の『被保護者調査』があります。毎年実施されているもので,各年の7月末時点の被保護人員の数が掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/74-16.html
2011年の資料によると,同年7月31日時点における,東京の30代の被保護者は18,293人です。10月時点の都の推計30代人口は約219万人(総務省『人口推計年報』)。よって,東京の30代の生活保護受給率は,0.84%と算出されます。
このやり方で,各県の年齢層別の生活保護受給率を試算してみました。下表は,その一覧表です。47都道府県中の最高値には黄色,最低値には青色のマークをし,上位5位の数値は赤色にしています。
20~30代の若者では北海道が最も高く,40代以降では大阪がマックスです。大阪の60歳以上の受給率は5.34%であり,およそ20人に1人です。
この表は資料としてみていただければと思いますが,県よりも下った地域レベルでみると,もっとすさまじい値がでてきます。上記の厚労省資料には,政令指定都市の被保護人員数も出ていますが,私は,大阪市の生活保護受給率年齢曲線を描いてみました。率計算のためのベース人口は,同市の年齢別推計人口(2011年10月1日時点)です。
全国のカーブとの違いが一目瞭然です。この市は生活保護受給者が多いといわれますが,人口あたり何人という率にしてグラフ化してみると,確かに頷かされます。70代前半の受給率は11.3%であり,9人に1人が生活保護を受けている計算になります。
冒頭の沖縄タイムス記事では,大阪市の突出した高さについて,「高度経済成長期に地方から都市部に集まった労働者の高齢化が顕在化」したためと述べられていますが,そういう事情もあるでしょう。
著名ブロガーのちきりんさんは,生活保護以外の福祉を全廃したらどうかと提案していますが,そういう抜本策もありなのかなあ。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20120629
「生活保護支給費はすごく増えると思うけど,・・・(中略)・・・年金や医療関係の支給費は生活保護に比べてめっちゃデカいので,その財源を回せば,少々生活保護が増えても財源には困りません。現在の制度では,ものすごい貯金がある人でも年金をもらってるし,オレオレ詐欺に数千万円もダマされるほど余裕のある高齢者も医療費の大半を補助されています」(上記リンク先記事より引用)。
なるほどなあ。私が還暦を迎えることには,本当に具現されていたりして。