2020年3月7日土曜日

『速攻の教育時事』(2021年度)

 実務教育出版より,『速攻の教育時事』(2021年度試験用)が届きました。今年夏の教員採用試験対策に使っていただく本です。13日頃,書店に並ぶかと思います。
https://jitsumu.hondana.jp/book/b496693.html


 最近の教育界は目まぐるしく動いており,教員採用試験では,教育時事についても問われます。教職教養の過去問をみると,教育時事の比重が高い自治体もあり,千葉県では全問題の8割を占めています。にわかに信じがたいですが,県の条例等のローカル問題も加味すると,このような比重になります。

 本書では7つの章を立て,トータルで71のテーマについて,見開き形式で解説しています。各テーマは見開きで完結していますので,どこから読んでいただいても構いません。自分の関心あるテーマから入ってもよし,重要度が高い「★3つ」のテーマから入ってもよし…。読者の自由です。

 ただ,試験で問われるであろう,重要テーマについては大よその見当がつきますので,出題予想テーマベスト10をピックアップしています。本の裏面にそのリストを載せ,2~4ページにおいて,これら10テーマのエッセンスを簡潔に書いています。


 最も重要なのは,やはり新学習指導要領です。2017年の小・中,18年に高の新学習指導要領が公示され,今年度から小学校の新指導要領が全面実施されます。高学年に教科の外国語が導入され,プログラミング教育が必修になったのですよね。高校では,公民科の必修科目として公共ができ,新教科として理数が設けられました。

 目下進行中の,教員の働き方改革も最近の試験では頻出。2019年1月の中教審答申では,教員がこれまで担ってきた業務を,①学校以外が担うべき業務,②学校の業務だが教員が担う必要はない業務,③教員の業務だが負担軽減可能な業務,の3つに仕分けしています。「この業務は①から③のどれに当てはまるか」という問題がよく出ますので,対応でできるようにしましょう。教員として働くあなた自身のためにもなります。

 3位は教育振興基本計画。5つの政策方針を覚えておきましょう。その中の4番目に「学びのセーフティネットの構築」というのがあります。高校就学支援金や,高等教育の無償化は,こういう方針のもとに実施されることになりました。

 以上は最も重要な3テーマですが,4位以降をみても,変形労働時間制,高大接続改革など,新聞紙上を賑わせた話題ばかりですよね。まずは上記の10テーマを押さえ,徐々に学習の射程を広げていくやり方がいいかと思います。

 各テーマの学習の仕方について,簡単に申しておきましょう。以下は,「部活動ガイドライン」のテーマの見開き(56~57ページ)です。


 最初に,「ここに注目」を読んで,どういうことを押さえるべきかを知りましょう。このテーマだと,ガイドラインで言われている,休養日や活動時間の規定についてです。

 その後で,「時事の基礎知識」に入ります。重要な政策文書のエッセンスを紹介しています。このテーマだと,2018年3月にスポーツ庁が策定した「部活動ガイドライン」です。全体の骨格が分かるよう,赤字で2~3の項目を立てています。ゴチックの重要箇所を中心に,文章に目を通してください。こまめに改行して,なるべく読みやすいように配慮しています。

 最後の「論点はどこ?」では,当該テーマについてどういうことが議論されているか,国が出した政策文書に対し,どういう意見(批判)が出されているかを書いています。この部分も読んでください。政策文書の内容を頭に入れる「お勉強」だけではダメです。自分自身の考えも持たないといけません。面接において,文科省通知の内容をスラスラ暗唱してみせても,「あなたがよく勉強しているのは分かりました。では,この問題について,あなたはどう思いますか? どうすれば解決できると思いますか?」と聞かれます。それに対し,口ごもるようではアウトです。

 「論点はどこ?」の記述には,筆者である私の独断(偏見)も混じっています。これが正しいというのではありません。読者さんの考えとの比較,ないしは意見形成の材料として使っていただけたらと思います。

 以上のプロセスを71回(71テーマ分)繰り返していただければ完璧ですが,中には,試験には出ないあろうが,できれば知っておいて欲しいという程度のものも含まれています。ひとまず,重要度の低い「★1つ」のテーマはオミットし,「★3つ」「★2つ」のテーマから潰していくのがいいでしょう。

 これなら,3週間から1か月あれば,本書の学習を完結できます。タイトルにある「速攻」の看板も偽りなしです。短期間で教育時事に精通できるよう,工夫を凝らした本なのです。

 むろん,お堅い政策文書を無機質に紹介するだけという,単調なトーンにはしていません。随所にデータやグラフを挿入し,皆さんの目を楽しませるようにしています。


 上記は,「児童・生徒の暴力行為」というテーマで載せているグラフです。暴力行為の発生件数,最近では小学校が最も多いのですよね。2013年に高校を抜き,18年には中学校を上回りました。中高は減っているのに,小学校だけは増えている。暴力の低年齢化として,メディアでも報じられたところです。

 これについて,皆さんはどう思われますか。私は,幼保と小学校の接続の在り方に関わる問題とみていますが…。本テーマの「論点はどこ?」で,私の考えは書いています。本書の随所に散りばめられているデータをみて,今起きている教育現実について,思いを馳せるのも面白い。

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 教育時事に特化した本は,他社からは出ていないようで,本書が唯一のものであるようです。教育の今を知り,モグリと思われないよう知的武装をするには,本書での学習が最適であると自負します。

 本書は,教員採用試験の受験生だけでなく,最新の教育事情を知りたいという現職の先生方も手に取っていただけているようで,誠にうれしい限りです。以下のようなコメントもいただきました。


 これからも毎年刊行されていく本です。内容をさらに練り上げ,「教育時事ならコレ!」と言われる最強のコンテンツに仕上げていく所存です。読者諸氏の忌憚のないご意見をお待ちしております。

 どうぞよろしくお願いいたします。