2021年1月31日日曜日

予備校生数の変化,性別構成

  1月も今日でおしまいです。月末恒例の教員不祥事報道の整理かなと思われるでしょうが,教員不祥事報道整理は,しばらく休止させていただきます。

 教員がわいせつをしただの,体罰をしただの,こういう記事ばかり集めていると,気が滅入ってきます。「教員 逮捕」といった語で頻繁に検索しているので,私のPCの検索エンジンには犯罪関係の記事ばかり出てくるようになり,気分が悪くなってきます。

 こういうわけで,長らく続けてきた教員不祥事報道整理は休止させていただこうと思った次第です。「研修の資料作りの参考になります」と言って下さった教育委員会の関係者もおられますが,どうかご寛恕ください。気が向いたら,また再開するかもしれませぬ。

 さて,ツイッターでこぼしていますが,独り身が辛くなってきました。とくに夜です。寂しさを紛らわせようと,今月14日,横須賀中央のヤマダ電機で液晶テレビを買いました。NHKを流して,賑やかさを醸し出しています。NHKの受信契約もちゃんとしました。地上波オンリーなので,1日40円ほどです。

 昨日の夜,試験の歴史についてやっていました。80年代の予備校講師の年収は1000万円超がザラだったそうです。受験競争が激しく,需要があったからでしょう。対して今はどうかというと,「個人教師,塾・予備校講師」の推定平均年収は394万円(2019年,『賃金構造基本統計』)。いやはや,変わったものです。

 少子化で顧客が減っているためです。予備校は淘汰されていて,その様は予備校の生徒数の推移で可視化できます。資料は文科省『学校基本調査』です。予備校は学校制度の上では,専修学校ないしは各種学校に属します。受験・補習を行う専修学校と,学科分類が予備校という各種学校の生徒数を合算した数を,予備校の生徒数とみなします。

 1990年から2020年現在までの30年間の推移は以下のごとし。変化の性格を捉えるため,18歳人口と4年制大学入学者数の推移も添えます。3つの指標は値の水準が違うので,1990年の数を100とした指数でみます。


 青色は予備校生数の指数カーブですが,急坂を転げ落ちるように減っています。実数でいうと,1990年は19万5060人でしたが,2000年には10万人を割り,2020年現在では3万4682人にまで減じています。この30年間で8割減ったことになりますね。

 少子化で顧客が減っているためですが,緑色の18歳人口の減少よりも,予備校の生徒数の減少スピードは速くなっています。大学進学率の上昇により,大学入学者数は増えていることを思うと,大学受験を志す生徒の予備校利用率も下がっているとみられます。

 1990年と2020年の予備校生徒数と,大学入学者数を対比してみましょう。

(a)予備校生徒数:
 1990年=19万5060人
 2020年=3万4682人

(b)大学入学者数:
 1990年=49万2340人
 2020年=63万5003人

 aをbで割った数が,大学受験生の予備校利用率に類する指標ととれます。割り算をすると,1990年は0.396,2020年は0.055となります。ざっくり言うと,受験生の予備校利用率は1990年では4割でしたが,2020年は5.5%であると。5人に2人から,18人に1人に変わったと。

 予備校淘汰の原因は,少子化による顧客減はもちろんですが,受験生の予備校離れもあるようです。大学受験競争も緩和されてきていますしね。AOや推薦入試の比重も増しています。ちなみに大学入学者の現役生比率は,1990年が63.4%,2014年が83.9%となっています。浪人経由者は減っています。関係者には酷ですが,予備校離れを支持する事実は数多し。

 失職した予備校講師の中には,教員免許を取りに大学に入り直し,教員採用試験に挑む人もいると聞きます。授業技術に長けた専門人材は,採用側にしても歓迎したいところです。いつでも学び直し,方向転換をすることができる…。コロナ禍で失職する人が増えている今,こういう社会の実現が望まれると強く思います。

 日本の公務員比率は低いので,「公」の世界が受け皿になるべきでしょう。何度も言いますが,成熟社会では「公」の仕事の比重が増してきます。

 あと一点,予備校生徒の性別構成に触れておきます。上述のように,1990年の予備校生徒は19万5060人,2020年は3万4682人です。これを性別に分けてグラフにすると,以下のようになります。


 予備校生の激減は知ってましたが,生徒の性別構成がこんなに偏っているとは初めて知りました。女子比は1990年が18.5%,2020年が28.0%です。

 女子が圧倒的に少ないのは,「女子は浪人させられない,婚期が遅れる」といった親の思い故かもしれません。女子はリスクをおかして,高い所を目指させてもらえない。ライフチャンスの性差,中西祐子教授がいう「ジェンダー・トラック」は,予備校生の組成からも透けて見えるようです。