2011年5月22日日曜日

浪人生の減少(続)

 1月7日,「浪人生の減少」という記事を書きました。当該の記事は,18歳人口がピークであった1992年と2010年の大学入学者の組成を比較したものです。今回は,逐年のデータを使って,もっと仔細に,入学者の現役・浪人構成の変化を明らかにしようと思います。

 文科省の『学校基本調査(高等教育機関編)』には,高校の卒業年次別に,大学入学者の数が掲載されています。2010年春の入学者619,119人の組成を百分率で出すと,現役が83.6%,1浪が10.1%,2浪が1.6%,3浪以上(多浪)が1.3%,その他が3.3%,です。その他とは,外国の学校卒業者や大検経由者などです。

 このような細かい組成は,1979年春の入学者までさかのぼって知ることができます。1979年から2010年までの32年間の変化を跡づけてみました。


 この期間中,大学入学者は41万人から62万人へと増えています。その組成をみると,現役生の比重の増加が明らかです。浪人生(1浪~多浪)の占める比率が最も高かったのは,1985年の38.5%です。この年では,入学者の約4割が浪人生だったことになります。しかし,2010年では,この比率はわずか13.1%です。図の左上に,両年の構成図を示しておきました。

 ところで,浪人が多いかどうかは,男女によって相当の違いがあるでしょう。私の周りにも,女子だから浪人はさせられない,と親に言われ,志望ランクを相当落として受験した女子生徒が何人かいました。もっとも,私とて,浪人は絶対に許さんぞ,と釘をさされていましたが…


 上図は,大学入学者の構成の変化を男女別にみたものです。一見して,浪人生の比重は男子で高いことが分かります。1985年では,男子入学者の45%が浪人生でした。2浪も8.3%,多浪も2.6%いました。2010年では,浪人生の率は16.6%になりますが,同年の女子の値(8.5%)に比べれば,高い水準です。

 ともあれ,18歳人口の減少のなか,大学に入りやすくなり,浪人生は減じてきています。この点に関する私の解釈は,1月7日の記事で申し上げた通りです。

 ところで,大学といっても,いろいろなタイプがあります。たとえば,難関といわれる国立大学の医学部などでは,浪人生の比重は未だに高いことでしょう。次回は,この点に関する統計図をお見せしたいと思います。