2014年6月19日木曜日

幼子がいる共働き世帯の妻の1日

 日経デュアル誌に連載を持たせていただくようになってから,共働き世帯のリアルの統計を探索しています。とくに生活の内実が知りたいなと思い,総務省『社会生活基本調査』(2011年)の統計表を見直したら,使えそうなのが結構あるではありませんか。

 私が注目したのは,共働き夫婦の1日の生活行動です。1日の各時間帯(15分刻み)ごとに,どういう行動をしているのかを知ることができます。たとえば,朝の7:15~7:30の時間帯において,家事をしている者が何%か,というようなデータです。
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/h23kekka.htm

 私はこのデータを使って,6歳未満の幼子がいる共働き世帯のの1日が分かる図をつくってみました。平日の時間帯別の行動分布図です。幼子がいる共働き世帯のママさん,ご自身の1日を平均像と照らし合わせてみてください。


 いかがでしょう。やはり手のかかる幼子がいる家庭の妻となると,平日といえど,1日の中で家事や育児の領分が大きくなっています。黄色の育児は,量の多寡はともかく,24時間にわたって満遍なく分布していますね。深夜であっても,子どもの夜泣き等への対応に追われる,ということでしょう。

 この図は,ご自身の日常を相対化するための資料としてみていただければと思いますが,関心が持たれるのは,上図で強調した家事と育児の実施率のジェンダー差です。

 この2つの行動に的を絞って,時間帯別の実施者率を夫と妻の双方について計算してみました。下の図は,平日の時間帯別の実施率曲線を描いたものです。


 夫と妻の差がすさまじいですね。妻の側は非正規就業(パート)であったり,時短勤務であったりと条件が違うでしょうが,この差には驚かされます。

 子がいる共働き世帯の場合,共に働く「共働」と同時に,共の子を育てる「共育」も求められますが,後者のほうは何ともお寒い状況です。女性が結婚をためらう,出産をためらうというのも,分かる気がします。

 こういう差が子どもの年齢段階によってどう違うか,地域の条件によってどう違うかも興味ある問題です。「分析」とは,全体を細かな要素に「分」けて解「析」すること。この積み重ねによって,当該の現象の左右する要因(条件)が明らかになり,対策の道筋も見えてきます。

 性別,年齢別,就業地位別,地域別…。こういう条件による差を分析することの意義は,こういう点にあると考えます。