2020年1月3日金曜日

ロスジェネの稼ぎの地域差

 年が明けました。晴天のお正月ですが,いかがお過ごしでしょうか。

 1976年生まれの私は今年で44歳になります。ロスジェネといわれるわれわれの世代も,40代半ばにさしかかっているわけです。20代前半から20年ほどの社会人生活を経て,生きてきた軌跡(データ)もたまってきました。

 職業生活の折り返しの地点ということにちなみ,中間決算をしてみようと思うのですが,私の世代のみなさん,入職してから今日までの稼ぎの総額はどれくらいですか。先月末のニューズウィーク記事でラフに見積もった所,20代前半から40代前半の20年間の稼ぎ総額は,1973~77年生まれの男性では8000万円ほどと出ました。

 悲しいかな,バブル世代と比して1000万円ほど少なくなっています。学校卒業時が就職氷河期でしたので,非正規雇用に留め置かれている人などが多いからでしょう。

 これは全国のデータですが,地域による違いも気になります。私は鹿児島出身ですが,同じ世代でも,ずっと鹿児島で働いてきた人と,ずっと東京の人では,これまでの稼ぎ総額はかなり違っていることでしょう。所得の地域格差のデータは何度も出しましたが,時間(加齢)とともに累積するとなると,雪だるま式に大きくなるはず。

 『就業構造基本調査』の実施年に合わせ,私の世代の4つの年齢時点について,男性有業者の所得中央値を出してみます。以下に掲げるのは,東京都と沖縄県の追跡結果です。


 2002年に私の世代は20代後半でしたが,当該年齢男性の所得中央値は東京が351万円,沖縄が219万円でした。この時点にして131万円もの差がついており,加齢とともにどんどん開いてきます。40代前半では,倍近くの差です。加齢による所得の伸びは,沖縄では小さいようですが,本県では非正規雇用の率が高いためでしょうか。

 4つの時点の所得中央値を合算すると,東京は1842万円,沖縄は1006万円となります。単純に考えると,20代前半から40代前半の20年間の稼ぎ総額は,これを5倍して,東京が9211万円,沖縄が5029万円となる次第です。ロスジェネの稼ぎの中間決算,東京と沖縄では4000万円以上の開きなり。

 他の県についても同じデータを作りましたので,資料として提示いたしましょう。


47都道府県のロスジェネ男性の稼ぎの軌跡ですが,各地のロス男の皆さん,このフツーのラインと比べていかがですか。

 20代前半から40代前半までの20年間の総額は,右端の4年次の合算を5倍することで,大よその見当をつけられます。東京は9211万円,大阪は8026万円,わが郷里の鹿児島は6701万円となります。違うものですねえ。田舎の同窓会で「都会に出ている人は,ちょっと多めに払え」なんてギャグが飛ぶそうですが,理に適っている面もあります。

 全県の中間決算値の表も載せておきましょう。上表の右端の数値を5倍した値です。20代前半から40代前半までの稼ぎ総額と見取ってください。


 私は28歳まで学生やりましたんで,職業生活のスタートが遅く,かつずっと「非常勤講師&文筆業」で凌いできていますので,これまでの稼ぎ総額なんて微々たるもんです。神奈川の中央値(9202万円)の半分にも達しません。立派なプアの部類です。

 ロスジェネといわれる私の世代でも,やり手の人は,現時点にして稼ぎの累積が1億円超えているのでしょうね。

 上記は40代前半までの中間決算の見積もりですが,総決算(≒生涯賃金)だとどうでしょう。これから先,40代後半,50代になるにつれ,所得はアップすることが見込まれます。そうですねえ。試みに,上表の中間決算値を2.5倍してみましょうか。このやり方で見積もると,ロスジェネ男性の生涯賃金は以下のごとし。

 東京 = 9211万円 × 2.5 = 2億3028万円
 大阪 = 8026万円 × 2.5 = 2億65万円
 鹿児島 = 6701万円 × 2.5 = 1億6752万円
 沖縄 = 5029万円 × 2.5 = 1億2573万円

 こんな感じです。巷でいわれている数値よりもちょっと低めですが,特殊事情を背負ったロスジェネなんで,まあ違和感はないです。東京と鹿児島では6000万円,東京と沖縄では1億円以上の違いですか…。

 稼ぎの地域差も,生涯のスパンで累積してみると,ものスゴイ差になります。東京でガッツリ稼いで,定年後は田舎にUターン(Iターン)なんてのもアリでしょうねえ。いや,どこで仕事しても稼ぎは同じっていうフリーランスは,田舎に居を構えるのが得策。家賃や物価が安いですから。鹿児島の奄美大島はこの点に目を付け,全国からフリーランスの移住を募っています(フリーランスの島!)。

 ただこの島は,賃貸の家賃がちと高い。借家の数が少なく,だだっ広い物件しかない故でしょうか。その点,私が住んでいる横須賀市,それも西海岸は激安です。借り手がなかなかつかないのか,家賃を下げまくっていて,部屋2つ,風呂・トイレセパレートで3万円台の物件がゴロゴロあります。交通の便がよくないので,勤め人には不便なんですが,自宅仕事のフリーランスはぜひ来たれ。都内へも気軽に行ける圏内です。

 話が逸れましたが,ロスジェネ男子の稼ぎの「これまで」と「これから」を,ラフに見積もってみました。お正月の読み物としてどうぞ。明日から帰省ラッシュが始まります。事故にはくれぐれもお気をつけて。