2016年12月31日土曜日

2016年の総括

 今年も残るところ,あとわずかになりました。大したことは書けませんが,2016年の総括をしておこうと思います。

 1976年生まれの私は,今年の7月12日で40歳になりました。人生80年とすると折り返し地点に差し掛かったのですが,身体にガタがきていることを感じさせられた年でした。

 6月,部屋掃除でちょっと重い物を持ち上げたとき,「ピキーン!」とぎっくり腰になりました。初めてのことです。

 私は,あまり物を捨てられない質ですが,部屋に物が多すぎることは健康を害することになると悟り,7月に室内改造を行いました。不要な物は極力捨て,開いたスペースに本棚を増設し,書籍の収容力アップを図りました。また仕事の効率化のため,大型のL字デスクを購入しました。


 今のデスクは,こんな感じです。右側に,いろいろ物が置けていい。またカレンダーを前方に貼り,予定を常に展望できるようにしています。ヒマ人の私は,手帳などは不要。カレンダーに,たまにある予定や原稿締め切りを書き込むだけで十分。

 しかるに,この大作業の疲れが出たのか,翌月の8月上旬に,帯状疱疹を発しました。身体の免疫が弱ったことで,子ども時代に経験した水疱瘡のウィルスが再発したとのこと。

 さらに同月の中旬には,2年前に抜髄した左奥歯が痛くなり,のたうち回るほどの苦しみを味わいました。先日,根の再治療が終わりましたが,右奥歯もヤバいということで,現在も通院を続けています。週1の通院は,生活に規則性ができていいっす。

 後はそうですねえ。特記すべきことといったら,紙媒体の本で,初のパクリ被害に遭ったことでしょうか。出版社と筆者から誠意ある謝罪がありましたので,事を荒立てませんでしたが,気をつけてほしいなと思います。
http://tmaita77.blogspot.jp/2016/07/blog-post_28.html

 本ブログの総括もしておきましょう。このブログは2010年12月末に開設しましたので,運営歴6年ということになります。記事数は,トータルで1240本です。今年は,本記事を合わせて181本の記事を書きました。だいたい,1日おきに更新というペースです。

 閲覧数(PV数)が上位10の記事を掲げましょう。「データえっせい」の人気記事のベスト10です。


 職業別の未婚率や県別の大学進学率の記事がウケています。今年書いた記事で殿堂入りしたのは,5月29日の「2050年の人口ピラミッド」だけか・・・。黄色マークの数で,その年のガンバリ度が可視化されるのですが,来年は,殿堂入りする記事がもっと増えるよう,がんばります。

 来年は,どういう年になるか。普通なら,ここで来年の抱負みたいなことを書くべきなのでしょうが,私は,そういうことは好みません。「あなたの目標は何ですか?」。シューカツ面接定番の質問ですが,私はこういう問いは大嫌いです。

 これまで通り,適当に食い扶持を稼ぎながら,好きなことをやっていくだけ。その積み重ねで,自分の立ち位置がちょっとずつ上がっていけばいいなと思っています。

 食い扶持を稼ぐ業は文筆ですが,教員採用試験の書籍執筆(毎年改訂)に加え,新聞やWeb誌で連載を4本持たせていただいています。自分の勉強になり,かつおカネももらえて,本当にありがたいです。この境遇への感謝の気持ちは忘れないでいたい。

 あと一点。海が見える街に住みたく,神奈川県の三浦半島への移住を,ちょっとばかり真剣に考えています。今年にそれが実現する可能性は,ゼロではないです。

 しかし,今住んでいる地域もいい。下の写真は,今日の夕方に撮った,ゆうひの丘からの眺望です。


 では皆さま,よいお年をお迎えください。来年も,本ブログをよろしくお願い申し上げます。

2016年12月31日
   舞田敏彦

2016年12月30日金曜日

2016年12月の教員不祥事報道

 毎月恒例の教員不祥事報道ですが,明日は今年の総括をしますので,今日やっちゃいます。今月,私がネット上で把握した教員不祥事報道は43件です。

 今月も紙上を賑わせてくれましたが,部活の引率で生徒を乗せた車を高校講師が飲酒運転し,ガードレール下に転落した事故には肝を冷やされます。死傷者は出なかったそうですが,一歩間違えば大惨事です。

 女性に面会を強要した教頭や,新人教員に対する校長のパワハラなど,管理職の不祥事も目につきます。

 今日は,多摩センターの映画館で,大ヒット映画「君の名は」を遅まきながら観てきました。田舎の女子高生と大都会の男子高生が入れ替わる,というのはいい。
http://www.toho.co.jp/movie/lineup/kiminonaha.html

 若き青少年を描いた作品というのは,いいですねえ。私も,四半世紀前はあんなだったんだなあ。今年で40になり,体力の衰えもちょっと感じてきたところですが,スピリットの若さだけを失わないようにしたい。

 明日は大晦日。無事に年を越せますよう。

<2016年12月の教員不祥事報道>
私立中教諭 体罰で生徒が骨折(12/1,NHK,千葉,中,男,50代)
背後から近づき女児の胸触る、45歳中学教諭を逮捕(12/2,産経,徳島,中,男,45)
山形の小学校講師を逮捕 16歳少女にわいせつ行為
  (12/2,日刊スポーツ,山形,小,男,25)
生徒の成績記した紙片紛失、ズボンのポケットに入れ帰宅中の男性教諭
 (12/4,産経,京都,中,男,30代)
「興奮して」生徒に体罰 大阪の20代支援学校講師(12/5,産経,大阪,特,男,20代)
生徒の進路希望先、テスト模範解答の裏に 滋賀の県立高(12/6,朝日,滋賀,高,女,52)
着服、セクハラ…男性教諭2人を懲戒処分
 (12/7,河北新報,山形,着服:高男40代,セクハラ:高男50代)
生徒蹴った容疑、部活顧問教諭を書類送検(12/8,朝日,福岡,高,男,30代)
<高松の小学校>児童のノート「悪い例」 掲示の教諭注意(12/8,毎日,香川,小,男)
はねられ男性死亡高校教諭逮捕(12/8,NHK,千葉,高,男,30)
下半身露出疑い 小学校講師を逮捕(12/8,河北新報,宮城,小,男,25)
飲酒運転で逮捕された教諭を停職処分(12/8,神奈川新聞,神奈川,小,男,57)
生徒平手打ち、レスリング部顧問が体罰(12/9,朝日,福岡,高,男,20代)
中学教師が生徒に「つぶしてやる」 仙台市教委が処分検討 
 (12/9,NHK,宮城,中,男,50代)
部活で足蹴り、髪引っ張る…バレー部元顧問男性教諭(12/9,産経,大阪,中,女,32)
<福岡大付属高>セクハラの教諭を解雇(12/10,毎日,福岡,高,男,44)
酒気帯び運転で公立高教諭の男逮捕 忘年会で飲酒(12/10,産経,熊本,高,男,57)
小学校教員が酒気帯び運転で逮捕(12/13,BSN,新潟,小,女,28)
「食べるのが遅い」と教諭が児童引きずり投げる(12/13,読売,千葉,小,男,40代)
車に写真置き「会いにこないと近所に配ります」と脅す 小学校教頭、強要未遂容疑
 (12/24,産経,滋賀,小,男,50)
教え子の女子生徒にキス…京都府内の中学教諭が停職処分
 (12/15,サンスポ,京都,中,男,30代)
<期末テスト>成績表、教室に置き忘れ 見た生徒が漏らす
 (12/16,毎日,大分,中,男,40代)
教え子にわいせつ行為、中学教諭を処分(12/16,京都新聞,京都,中,男,30代)
小5女児に性行為用の潤滑ジェルかける 高校非常勤講師を逮捕
 (12/16,産経,東京,高,男,44)
懲戒免職:卒業アルバム代など着服 県教委、県立高教諭を処分
 (12/17,毎日,山形,高,男,40代)
ストーブで女子生徒殴る 姫路の中学臨時講師(12/18,神戸新聞,兵庫,中,男,30)
相撲部顧問の教諭、部員に体罰…日大東北高(12/19,読売,福島,高,男,20代)
死亡事故の女性教諭 停職1カ月の処分(12/21,NNN,山梨,小,女,50代)
無免許運転で逮捕の男性講師 懲戒免職(12/21,TV金沢,石川,小,男)
理科実験で気分不良、中学教諭2人を書類送検
 (12/22,読売,大阪,中,男性教諭(29)と女性教諭(23))
女子生徒に時計贈り「好きや」男性教諭を懲戒処分
  (12/22,日刊スポーツ,大阪,高,男,40)
中学校長、パワハラで停職へ 新人教員2時間立たせ説教(12/22,朝日,愛知,中,男)
女子生徒にわいせつ行為 中学教諭を懲戒免職(12/22,産経,千葉,中,男,60)
中学教諭、生徒を蹴って馬乗りに 10日間のけが(12/23,朝日,大阪,中,男,36)
「デブ」と生徒に連呼、拳で顔殴る 横須賀の中学教諭
 (12/23,朝日,神奈川,中,男,20代)
教諭を公然わいせつ容疑で逮捕(12/25,NHK,長野,小,男,40)
盛岡市:高校生乗せたバス転落 酒気帯び容疑で講師逮捕
  (12/25,毎日,岩手,高,男,24)
ストレッチで無理に押し生徒けが 処分明けの男性教諭(12/26,朝日,大阪,中,男,39)
平手打ちで生徒の鼓膜破る 中学教諭を懲戒処分 (12/27,神戸新聞,兵庫,中,男,36)
岐阜県 小学校男性講師が懲戒免職(12/27,CBC,岐阜,小,男,33)
男性教諭を減給 USB紛失、千葉市教委(12/28,千葉日報,千葉,中,男,27)
教員免許失効気付かず授業 (12/30,NHK,香川,高,女)
暴言繰り返し生徒が不登校に、男性教諭が停職処分(12/30,TBS,岩手,高,男,38)

2016年12月27日火曜日

後期高齢者の運転免許保有率

 高齢者による運転事故が多発している印象を受けます。幼い子どもが被害者となる,痛まし事件も起きています。

 被害に遭った人からすれば,認知能力が衰えた高齢者の免許は強制返納させるべし,と言いたいところでしょうが,免許を持っている高齢者は数でみてどれくらいいるのでしょう。

 警察庁の『運転免許統計』という資料にて,運転免許保有者の数を年齢層別に知ることができます。数種類の免許を持っている場合,上位の免許保有者に計上されますので,何らかの運転免許を持っている人間の実数(頭数)です。
https://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/index.htm

 免許保有者の数の年齢曲線を描くと下図のようになります。最新の2015年と10年前の2005年のカーブです。いずれも年末時点の数値です。


 左側をみると,若者では免許保有者が減っています。20代でみると,この10年間で1384万人から1056万人に減っています。よく言われる,若者の「クルマ離れ」も寄与しているのでしょうか。

 しかし右側をみると,高齢層の免許保有者は増えています。75歳以上の後期高齢者でみると,237万人から478万人へと倍増です。これは高齢人口が増えたことにもよるでしょうが,当該年齢人口当たりの出現率でみても,20.4%から29.6%へと増加しています。最近では,後期高齢者の3割が何らかの運転免許を持っていると。

 この出現率は,都道府県別に出すことも可能です。2015年末の75歳以上の免許保有者数を,同年10月時点の当該年齢人口で除して,後期高齢者の免許保有率を都道府県別に計算してみました。分母は,総務省『国勢調査』の数値です。


 最高の長野の41.1%から,最低の東京の17.79%までの幅があります。長野では5人に2人ですが,東京では6人に1人というところです。

 やはり,交通網の発達した都市部では,高齢者の免許保有率は低い。まあ,他の年齢層でも同じでしょうけど。

 上位は地方県ばかりですが,これらの県の郡部とかでは,クルマがないと生活に支障が出るためと思われます。こういう地域で個人タクシーとかやったらかなり儲かるような気がしますが,こういうビジネスってあるのかしら。

 この問題へのアプローチは2つあり,一つは高齢者の足を確保すること。今言った個人タクシー,カー・シェアリング,高齢者向けの電動自転車などが挙げられるでしょう。3番目のものは,私の隣の部屋のお爺さんが使っています。健康にもいいそうです。

 あと一つは,高齢者への物資の配達サービスの充実。最近はこの手の業者が増えており,私の卒論ゼミの教え子にも,この業界で働いている子がいます。とてもやりがいのある仕事だそうです。今後は,空を使ったドローンによる宅配も出てくるのでしょうね。

 高齢者の皆さんは,これまでの運転実績を過信せず,認知能力の衰えの可能性があることをしっかり自覚して,安全運転を心がけてほしいと思います。

2016年12月24日土曜日

身長の伸び盛りの変化

 22日に,今年度の文科省『学校保健統計』の結果が公表されました。いろいろなファインディングについて報じられていますが,昨日の朝日新聞に「子どもの身長,頭打ちに 伸びる要因出尽くした?」という記事が出ています。
http://www.asahi.com/articles/ASJDN77CQJDNUTIL06S.html

 栄養状態がよくなったこともあり,子どもの平均身長は昔に比して大きく伸びているのですが,近年,それが頭打ちになっているそうです。高度経済成長期ならいざ知らず,確かに21世紀の今では,子どもの身長が伸びる要因は「出尽くした」といってよいかもしれません。

 しかるに,ここで見たいのは,身長が最も伸びる時期,すなわち「伸び盛り」が昔と比してどう変わったかです。言わずもがな,伸び盛りは時代とともに早くなってきています。これを心理学の用語で,発達加速現象といいます。

 その様を,データでみてみましょう。学齢期にかけての身長の伸びがどう違うかを,明治生まれと平成生まれの世代で比べてみました。比べたのは,1894(明治27)年生まれ世代と,1999(平成11)年生まれ世代です。文科省『学校保健統計』の長期時系列データにて,6~17歳までの身長変化を跡付けられる,最も古い世代と最も新しい世代を比較することとしました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001014499&cycode=0


 男子のデータですが,どうでしょう。どの年齢でも,平成世代は明治世代に比して,平均身長が大きく伸びています。13歳の時点をみると,平成世代は159.5cmであり,明治世代の139.7cmよりも20cm近くも大きくなっています。スゴイ。

 平成っ子の13歳は,明治っ子の17歳です。明治期の17歳といったら,大半が働いていました。平たく言うと,今の13歳の子どもは昔でいう「オトナ」なわけです。

 しかし,心はそうではありますまい。今の13歳といったら,学校制度の上では中学校1年生のガキンチョです。一人前の社会的役割を付与されていません。成長する身体と,未熟なままの心。現代では,このギャップが殊に大きくなっているといえましょう。

 いじめ,不登校,暴力行為などの問題行動が,この年齢で激増する「中1ギャップ」現象はよく知られていますが,こういう要因によるかもしれませんね。危険な「13歳」です。

 次に,身長の伸びが最も大きいのはいつかをみると,明治世代では14~15歳,平成世代では11~12歳のようです。

 ある年齢から次の年齢にかけての身長の伸び幅を,年間発育量といいます。平成っ子の11~12歳でいうと,152.3-145.0=7.3cmなり。下図は,この値をグラフにしたものです。


 明治っ子では14~15歳が伸び盛りでしたが,平成っ子では11~12歳となっています。なるほど。よく言われるように,伸び盛りの時期が早くなってきています。発達加速現象の可視化です。

 11~12歳といったら,小学校5年生から6年生にかけてでしょうか。最近では,この時期が一番の伸び盛りであると。こういう急激な身体の成長に直面し,子どもの心の揺れも大きくなることに注意が要るでしょう。

 私は今,アニメの「あずきちゃん」に見入っています。いみじくも小学校5年生,上記の統計でいう「伸び盛り」の子どもたちの物語です。
http://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=azuki

 このアニメの面白さは,大人への過渡期(思春期)にさしかかりつつある子どもたちが,大人としての役割を遂行しようと試行錯誤する様が描かれていること。その最たるものは,恋愛です。

 働く子どもの姿が出てくるのもいい。ラーメン屋のケンちゃんは店のお手伝いをしますし,エリート家庭の勇之助くんも,欲しい物を買うために,ケンちゃんのラーメン屋でアルバイトをします。皆で力を合わせて,無人のペンションを切り盛りする話もいい。

 伸び盛りの子どもたちに,一人前と言わぬまでも「半人前」の役割を与えるのは,身体と心のギャップに由来する心的葛藤の解消にもいいのではないかと思います。

 今の中学校では,1週間程度の職場体験学習が実施されていますが,こういう体験の機会をもっと自然な形で提供できたらいい。自営業がめっきり減った今では,それはなかなか難しいことですが,家庭でのお手伝いがその機能を果たすことはできるでしょう。

 これから共働き世帯がますます増えてきますが,伸び盛りの子どもにも,それを後押しする力になってほしい。お手伝いは,子どもの道徳意識の涵養や良好な自己イメージの形成に寄与します。来週公開される『日経デュアル』の記事で,この点の実証データをお見せしましょう。

 伸び盛りの子どもの苦悩の源泉は,先に書いたように,成長する身体と未熟なままの心のギャップです。これを埋めるべく,彼らに「役割」を与えること。重要なのは,このことです。子どもは庇護されるべき存在ですが,彼らをもっと信用し,共に社会を支える存在として認めることも大事であると思います。

2016年12月22日木曜日

都道府県別の部活のブラック度

 スポーツ庁より,今年度の全国体力テストの結果が公表されました。正式名称は『全国体力・運動能力等調査』で,全国学力テストと同じく,毎年度実施されています。

 小学校5年生と中学校2年生の体力を計測するものですが,対象の児童・生徒や学校に対する質問紙調査も含まれています。今年度の目玉は,中学校調査において,部活に関する事項を尋ねていることです。

 運動部に属している生徒に対し,週間の平均部活時間を訊いています。また学校に対しては,部活の休養日を週にどれほど設けているかを問うています。

 公立中学校のデータをみると,男子の週間の平均部活時間は952.3分,女子は967.0分です。女子のほうが長いのですね。部活の休養日を設けていない学校の割合は,22.0%となっています。およそ2割。この点は,新聞でも大きく報じられました。

 これは全国の数値ですが,何と何と,都道府県別の数値も公表されています。これは前例のないことです。スゴイ。下に掲げるのは,都道府県別の一覧表です。


 運動部の平均活動時間は,男女とも最長は千葉,最短は岐阜となっています。男子でいうと,千葉は1099分ですが,岐阜は657分。違うものですねえ。

 部活の休養日を設けていない学校の割合は,マックスの大阪では67.5%ですが,山形と福井では皆無となっています。

 上表の3つは,部活のブラック度を測る指標として使えるでしょう。これらを合成して,各県の部活のブラック度を計測する単一尺度を作ってみましょう。

 それぞれは値の水準が違うので,単純に足したり均したりはできません。そこで,47都道府県中の最高値が1.0,最低値が0.0となるような相対スコアに換算します。計算式は,以下です。

 相対スコア=(当該県の値-全県の最低値)/(全県の最高値-最低値)

 たとえば,東京の男子の平均活動時間(788.78分)をスコアにすると,(788.78-657.17)/(1098.92-657.17)=0.298,となります。女子の活動時間のスコアは0.390,休養日の設けていない学校の比率のそれは0.946,となります(表の左欄)。

 東京の公立中学校の部活ブラック度は,これら3つのスコアの平均をとって,0.545という数値で測られる次第です。

 同じやり方で,47都道府県の部活ブラック度スコアを出し,ランキングにすると下表のようになります。運動部の平均時間と休養日不定の学校比率から試算した,部活のブラック度の尺度です。


 トップは奈良,2位は愛媛,3位は神奈川となっています。上位には,大都市の近郊県が多い印象です。中部や東北には,部活が比較的ホワイトな県が多くなっています。

 中学校の部活のブラック度を可視化した数値ですが,実はこれが,正社員の長時間労働率と有意に相関している。私は前に,プレジデント・オンラインの連載にて,正社員のブラック就業率を出したことがあります。年間300日・週60時間以上働いている者の比率です。電通で過労自殺した女性社員に匹敵するレベルで働いている,過労死予備軍です。

 横軸に上表の部活ブラック度スコア,縦軸に正社員の長時間就業率をとった座標上に,47都道府県を配置してみました。下図をご覧ください。


 攪乱が結構ありますが,2つの指標の間にはプラスの相関関係が見受けられます。相関係数は+0.3765で,47というケース数の場合,1%水準で有意と判断されます。

 「ブラック部活は,ブラック就労に続く学校」と,どなたかがツイッターでつぶやかれていましたが,地域単位のデータにて,それを匂わせる傾向が出てきました。他の要因を介した疑似相関の可能性も大ですが,あまり完璧を求めず,興味深いファクトが出てきたらどんどん公開しようというのが,私の考えです。


 部活は、規律ある集団行動の精神を生徒に体得させるなど、好ましい教育効果を持っています。日本企業の高いパフォーマンスを支える人材を供給する機能も果たしています。


 しかし,滅私奉公も厭わない人間を大量生産しているともいえます。ブラック企業は,体育会系の学生を好んで採るといいますし。

 活動を節度あるものにする必要があるのは,言うまでもありません。わが国に長らく蔓延っている,職域の病理を治療するためにもです。

2016年12月20日火曜日

創作物の発信頻度の国際比較

 現在では,インターネットにより,誰もが自分の創作物を発信し,それを見聞きした人からフィードバックを得ることができます。

 あくせく働いてモノを大量生産する時代は終わり,21世紀では,斬新な「イノベーション」が重要となるのは,疑い得ないところです。子ども期より,インターネットを使って,自身の創作物を世に問う経験を持つことは重要といえましょう。

 先日,データが公表された「PISA 2015」では,15歳の生徒に対し,ズバリこの点を尋ねています。「学校外において,デジタル機器を使って,自分の創作物(created contents for sharing)をネットにアップするか」という問いです。創作物の例として調査票では,音楽,詩,動画,コンピュータ・プログラムなどとされています。
http://www.oecd.org/pisa/data/2015database/

 選択肢は,①「全く・ほとんどしない」,②「月に1・2回」,③「週に1・2回」,④「ほとんど毎日」,⑤「毎日」,です。③~⑤を「週1回以上」にまとめて,3カテゴリーの回答分布を国別にとると,下図のようになります(無回答は除く)。


 「週1回以上」の比率が高い順に44か国を並べましたが,日本は見事に最下位です。日本の青少年は,ネットで創作物を発信する頻度が世界で最も低くなっています。青少年の8割りが,全くないしはほとんどそれをしていないと。

 彼らはよくスマホを眺めていますが,情報を受け取るばかりで,それを創造し発信する姿勢には欠けるようです。

 15世紀の印刷術の発明はグーテンベルク革命といわれますが,インターネットの出現は「ポスト・グーテンベルク革命」と形容されます(潮木守一教授)。一部の人間だけでなく,誰もが手軽に情報を発信できる。この文明の恩恵をもっと利用するよう,学校の情報教育などにおいて,子どもを仕向けたいものです。

 次期学習指導要領の目玉は「アクティブ・ラーニング」ですが,AL形式の授業でも,皆の創作物を積極的に発信し,外部のフィードバックをもとに洗練させていく活動がされてもよいでしょう。生徒のインセンティブを高めることにもなります。

 むろん,よからぬ情報を発信してしまわないよう,情報モラルの指導も並行してです。

 ツイッターで何回も書いてますが,マスコミ志望の学生さんは,大学に入ったらすぐに自分のオリジナル・メディアを持ち,在学中にかけてそれをじっくり育てるべし。その作物が,シューカツの強力な武器になります。怪しい塾などに行ってはいけません。

 ある出版社の編集者さんに聞いたのですが,採用側も,受験者のSNSやHP,ブログなどをしっかり見るそうですよ。充実したコンテンツを持っていると,面接はその話題で盛り上がり,事が有利に運ぶとのこと。

 私はいま,4つのメディアで連載を持っていますが,仕事をいただいたきっかけは,言わずもがな,このブログを編集者さんが評価してくださったことによります。

 日本の青少年よ,文明の恩恵を利用して,自分を発信すべし!

2016年12月17日土曜日

有給に対する意識の国際比較

 表記のグラフをツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておこうと思います。
https://twitter.com/tmaita77/status/808911372797014016

 実は,ツイッターで発信したのは,2015年のデータによるものでした。ここでは,最新の2016年データをもとに,同じグラフを作ってみましょう。元データは,エクスペディア社の『世界26か国有給休暇・国際比較調査2016』にものです。
https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2016/

 調査対象は,各国の18歳以上の有業男女で,今年9月にインターネット調査をしたとあります。

 さて,日本はどういう位置になるか。横軸に「有給日数を知らない」,縦軸に「有給取得に罪悪感を感じる」という回答比率をとった座標上に,データのある12か国を散りばめると,下図のようになります。


 前年と同じく,日本はぶっ飛んだ位置にあります。日本人は,世界一の休み下手。イノベーションには休むことが不可欠といいますが,労働生産性の低さと関連しているかもしれません。

 12月7日の記事でみたところによると,日本と韓国は,子どもの学力が高いにもかかわらず,労働生産性が低い社会です。あくせく働いてモノをつくる20世紀型から,斬新なイノベーションが重要となる21世紀型へと変化している情勢に,ついていけてないといえるでしょう。

 頭を機械にして,だらだらと長時間ルーティンワークするのでは,高いクオリティのものは生まれません。

 日本人が有給取得をためらう理由の1位は,人手不足ということですが,それは不可避の趨勢とみなし,サービスの質を落とせばいいのでは。すかいらーくが24時間営業を止めるそうですが,英断であると思います。

 私も来年から仕事を減らし,腰を据えて,4冊目の単著執筆にかかろうかと思っています。ちょうど,連載を持っている一社とトラブルになっていますので,こことの関係は切り,負荷を減らそうかなと考えています。