2010年12月25日土曜日

給与の男女差

 以前,「専業主婦の消滅」と題する記事を書きましたが,このことは,女性の社会進出が進んでいることと表裏をなしていると思います。実際,女性の就業条件も以前と比べたら整備されてきているといえるでしょう。今回は,その度合いを一つの尺度で測ってみたいと思います。

 私が計算したのは,一般労働者の月給の男女差です。2009年の厚労省『賃金構造基本調査』によりますと,男性労働者の「決まって支給する現金給与」月額の平均値は,354.6千円だそうです。女性の平均額は243.2千円。前者を後者で除して,男性の月給は女性のおよそ1.46倍です。この値をどうみるかですが,以前よりは小さくなっているようです。今から30年前の1980年では,1.79倍でした。では,細かく年齢層別に,時代による変化を俯瞰してみましょう。


 倍率が高いブラックゾーンは,1980年代の中高年層の部分にあります。この時代のこの層では,給与の性差が2倍以上あったわけです。しかし,最近では,こうした極端な格差はどの層でもみられなくなっています。

 確か,女子差別撤廃条約をわが国が批准したのが1985年,1999年には男女共同参画社会基本法が制定され,施策の具体化のための基本計画も策定されています。給与の性差の改善は,こうした努力の賜物であるといえましょう。しかし,絶対水準でいうと,まだ十分とはいえないようです。何しろ,まだ1.46倍ですから。

 回を改めて,今度は学歴による差をみてみようと存じます。