2011年1月29日土曜日

朝食欠食率

 「朝食パワーで学力アップ」。このような標語を掲げたポスターをよく目にします。その真偽のほどは明らかではありませんが,朝食を抜くことは,確かに体によくないでしょう。空腹で勉強や仕事がはかどらなかったり,昼食時のカロリーが過剰に体内に摂取され,肥満の原因にもなるといわれています。子どもの肥満の増加は,もしかすると,朝食欠食率の高まりと関連しているのかもしれません。

 ところで,欠食が心配されるのは,子どもだけではありません。大人についても然りです。厚労省の『国民健康・栄養調査』によると,15歳以上の男性の朝食欠食率は,1975年では6.7%でしたが,2005年には13.3%にまで高まっています。これは全体の数字ですが,年齢層別にみると,興味深い傾向がみられます。


 この30年間の朝食欠食率の変化を年齢層別に俯瞰すると,上図のようになります。欠食率30%を超えるデンジャラスゾーンが,20代の若者の部分に広がっています。じわじわと病巣が広がっていくような感じで気味が悪いです。高率ゾーンは,20代を中心に,上下へと広がっている感じで,2005年では,15%以上のゾーン(紫色)が,40代の部分にまで垂れてきています。

 言い忘れましたが,この調査でいう欠食率は,「何も食べない」という回答のほか,「菓子,果物,錠剤,カプセル」等で済ませる,という回答も欠食とみなして計算されています。若者の率が高いのは,こうした横着な朝食摂取が多いことによるものと思われます。いずれによせ,あまり好ましいことではないでしょう。

 今,学校現場では食育の取組が盛んです。その本当の成果は,彼らが大人になったとき,どれほど健全な食生活を営めるか,という観点から計測されるべきでしょう。今から10年後の調査において,20代の欠食率はどういう数字になるのか。食育に限らず,教育の効果というのは,長期的な観点からの把握が求められます。

*小・中学生の朝食欠食率については,5月17日の「朝食を抜く子どもたち」の記事で触れています。よろしければ,こちらもご参照ください。