東京では,教員採用試験の一次試験合格者が19日に発表され,昨日から今日にかけて二次試験が実施されています。
東京は人物重視の方針なのか,一次はたくさん通して二次でバンバン落とす,といわれます。他の自治体もそうなのでしょうが,全国を見渡すならば,それとは逆の県もあると思います。
自分が受ける県が筆記重視か,それとも面接・重視か。品のないことかもしれませんが,こういうことを知っておくことは,採用試験への対策にあたって不可欠でしょう。この点に関するデータは,昨年の4月8日の記事でも提示しましたが,今回は,やや違った角度から各県のタイプ分けをしてみようと思います
東京アカデミー社のホームページにて,昨年夏実施の2013年度試験の結果を自治体別に知ることができます。載っている情報は,受験者数,一次試験合格者数,および最終合格者数です。私はこれを使って,各県の小学校教員採用試験の一次試験合格率,二次試験合格率を計算しました。
http://www.tokyo-ac.jp/adoption/outline/
下表は,対照的な性格を持つ2県のデータです。福島と神奈川。後者は,横浜市等の政令指定都市も含みます。
福島は一次試験は難関ですが,それをクリアすれば後は楽勝?の感があり,二次で落とされる者は多くありません。神奈川のほうは,筆記は7割近くを通していますが,面接や実技でそのうちの6割を振り落としています。
性格づけると,前者は筆記重視型,後者は面接・実技重視型であるといえましょう。福島を受ける人は筆記試験対策に力点をおき,神奈川を受ける人は面接や模擬授業等の対策に力を入れる,というような傾斜をつけることが必要かと思います。
他の県はどうなのでしょうか。私は,試験の区分を設けていない石川を除いた46県について,上表にある一次試験合格率と二次試験合格率を明らかにしました。政令指定都市は,当該都市が立地する県の分に含めています。なお,栃木と群馬は,2013年度試験の一次合格者が非公表のようですので,2012年度試験のデータを使っていることを申し添えます。
下の図は,横軸に一次合格率,縦軸に二次合格率をとった座標上に,46の都道府県をプロットしたものです。点線は,46県の平均値を意味します。
右下にあるのは,一次試験の合格率は高いが二次のそれは低い,「面接・実技重視型」です。先ほどみた神奈川はここに位置しています。対極にあるのは,福島のように,筆記は難関だがその後は楽勝?の「筆記重視型」です。
残りの2タイプとして,一次・二次の合格率とも全県平均より高い「簡単型」と,その反対の「難関型」を設定しました。
大都市の東京は,面接・実技重視型に括られます。古都の京都は,福島と同じく筆記重視型に属します。
東北の青森と岩手は難関型。青森の一次合格率は18.0%,二次合格率は34.0%ですから,全受験者ベースの合格率はたったの6.1%,16人に1人です。まさに「難関」県です。一方,広島は43.1%であり,志望者の5人に2人が教壇に立てるようです。これは,教員の年齢構成というマクロ的な要因の所産でしょう。
さて,上記の散布図では一部の県名しか記せませんでしたが,自分の志望する県がどのタイプか分からない方がおられるといけませんので,タイプごとに塗り分けた地図を掲げておきます。石川は欠損値として斜線模様にしてあります。
教員採用試験の方針は各県の教育委員会が決めるものですが,同タイプが結構固まっていることからして,地域性のようなものも見受けられますね。それもそのはず。筆記か面接かはともかく,簡単県になるか難関県になるかは,人口要因によって決まるものですから。
今回のデータが,教員志望の方の参考になればと思います。また,学術的には,上図にみられるタイプの違いによって,各県の教員集団のパフォーマンスがどう異なるか,という問題が提起され得ることを指摘しておこうと思います。
多くの自治体で教員採用試験の二次試験が実施中,ないしはこれから行われることと思います。受験生諸氏のご健闘をお祈りいたします。