お恥ずかしいのですが,最近,すっかり太ってしまいました。後期は週4日出講しているのですが,それ以外は自宅にこもって本を読んだり,こうしてブログなどを書いたりしている日々です。明らかな運動不足であると自覚しています。
これではいけないと,駅まで自転車通勤にしようかと思案しています。でも,自宅は丘の上にあるので,行きはよいにしても,帰りはキツいなあ。いや,こんなことは言ってられますまい。春や夏になったら,ぽっこりお腹を上着でごまかすこともできなくなります。がんばらねば。
しかしまあ,自分はハチャメチャな生活をしているなあ,と思います。食事のメニューは偏る,毎晩の飲酒,昼夜逆転,そして運動不足・・・。やはり独身だからでしょうか。同居者がいれば,マズイところはマズイと指摘してくれるでしょうが,自分一人だと,もうやりたい放題というわけです。
肥満だけならまだいいですが,心臓病や脳梗塞といった,生活習慣病にかかりはしないかと,不安になることもしばしばあります。
そういえば,今年の8月29日の朝日新聞に,「独身者の寿命は既婚者より10年短い」と題する記事が載っていました。
http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY201108290291.html
アメリカのルイスヴィル大学の研究グループが,過去の先行研究の知見を整理分析した結果によると,独身男性の寿命は既婚男性よりも8~17年短く,独身男性の死亡率は結婚している人より32%高いのだそうです。
この点について,同大学の研究者は,「既婚者が得ることのできる家庭や社会などからのサポートが独身者より多いことと関係している。例えば結婚すると,配偶者同士が互いの食習慣に気を配ったり,体の調子が悪いと病院にいくよう勧めたりするようになる。それが健康をないがしろにせず,結婚後の生活をより健康的にしている」とコメントしています。
そうだろうなあ,と思います。さて,わが国ではどうなのでしょう。厚労省の『人口動態統計』には,死亡者の数が配偶関係別に掲載されています。2010年版の資料によると,同年中における,25~44歳の未婚男性の死亡者は9,722人だそうです。この年の『国勢調査』から分かる,同年齢層の未婚男性の数(ベース)はおよそ745万人です。
よって,この年齢の未婚男性の死亡率は,10万人あたり130.6人となります。同じ年齢の有配偶男性の死亡率は,同じく10万人あたりで55.3人です。前者は後者の倍以上です。上記の記事でいわれている差よりも,はるかに大きな差がみられます。恐ろしや。
これは全死因の死亡率ですが,死因ごとにみるとどうでしょうか。私は,①悪性新生物(がん),②心疾患,③脳血管疾患,④糖尿病,および⑤自殺による死亡率が,配偶関係別にみてどれほど異なるのかを調べました(①~③は,3大生活習慣病といわれるものです)。分子は厚労省『人口動態統計』,分母は総務省『国勢調査』から得ました。2010年の25~44歳男性の統計です。
どの死因の死亡率も,配偶関係によって大きく異なっています。糖尿病をのぞいて,有配偶<未婚<死別<離別,という構造になっています。配偶者がいることが,各種の疾病による死亡の抑止因になっていることが知られます。孤立が人をして自殺へと傾斜させることは,7月22日の記事でも指摘しました。
上記の表では,どの死因において,配偶関係別の差が大きいのかを読み取りにくいので,有配偶の死亡率を1.0とした指数を出してみましょう。下図は,それをグラフにしたものです。
図によると,配偶関係状態での差が大きいのは,糖尿病による死亡率のようです。未婚は有配偶の6.4倍,死別は有配偶の20.8倍です。すごいですねえ。糖尿病は,食生活の乱れ(偏り)に起因する部分が大きいだけに,独り身の人間が罹患しやすいというのも,分かる気がします。私などは,危ないなあ。
なお,女性の場合,配偶関係状態の差はこれほどまでに大きくはありません。上記のような差は,男性に固有のものであることを申し添えます。
この統計をみて,がぜん,やる気が出てきました。現在時刻は5時45分。これから,出勤前の早朝散歩に行ってきます。