2019年11月15日金曜日

アラフォー世帯の夫の稼ぎ割合

 私は43歳,アラフォーのステージです。独り身ですが,結婚して家庭を持っている人が数としては多いでしょう。

 夫婦はタッグなんですが,令和の時代にあっては,偏狭な役割分担はなるべく無くしたほうがいい。しかし日本は未だにそれが強固で,家事の負担は女性(妻)に偏しています。夫婦の家事分担率のデータは,これまで嫌と言うほど出してきました。

 しからば,稼ぎの分担はどうか。夫のシェアが大きいのは想像がつきますが,具体的なパーセンテージのデータはあまり見ません。40代の家庭に焦点を当てて,データを出してみましょう。当たり前のことを数値で可視化するのは,私の商売です。

 皆さんならどうしますか。40代の有配偶就業者の所得を男女別に出して,両性の合算に占める男性の割合を出しますか。しかしこれだと,働いてない専業主婦がオミットされちゃいます。

 私は以下の2つを計算し,bをaで割ってみることにしました。

 a) 世帯主が40代である核家族世帯(夫婦+子)の所得中央値
 b) 40代の有配偶男性有業者の所得中央値

 2017年の『就業構造基本調査』のデータを使います。では,a)のほうから計算してみましょう。以下の表は,当該年代の世帯所得の分布表です。


 世帯主が40代で,夫婦と子からなる核家族世帯は全国で407万世帯ほどです(所得不明は除く)。分布をみると,最頻階級は600万円台となっています。前々回で出した,小・中学生の家庭と一緒ですね。

 累積%が50ジャストの中央値は,700万円台の階級に含まれます。按分比例を使って割り出しましょう。

 按分比=(50.0-48.6)/(61.5-48.6)=0.1063
 中央値=700万円+(100万円 × 0.1063)=710.6万円

 アラフォーの子育て世帯の所得中央値は,711万円と出ました。これがフツーの水準です。皆さんのご家庭は,これと比してどうでしょうか。このレベルの稼ぎが要る時代なんですね,子育てには。

 最近は共稼ぎの夫婦が多いので,これは夫と妻の合算の結果でしょうが,夫の割合はどれくらいか。ここでの関心事はコレです。同じやり方で,上記の(b)40代の有配偶男性有業者の所得中央値を出すと,541万円です。

 よって,アラフォー世帯の夫の稼ぎ割合は,541/711=76.1%となります。およそ4分の3です。裏返すと,妻の稼ぎ分は4分の1ということになります。

 これは全国データですが,都道府県別の数値もはじき出せます。一覧表を見ていただきましょう。


 全国値は76.1%ですが,県別にみると64.4%~95.8%までの幅(range)があります。山形は「夫64:妻36」ですが,大阪は「夫96:妻4」という割合です。

 黄色マークは8割を超える県ですが,近畿地方に多くなっています。大阪は,世帯所得が668万円で,そのうち夫が640万円。あくまで見立てですが,妻の稼ぎはほとんどないことになります。大阪は離婚率が高かったと思いますが,夫と別れた母子が貧困化するリスクはどうか。それが大きいので,夫のDVに耐え忍ぶ妻も多かったりして。

 当然,夫の稼ぎ割合は,共稼ぎ世帯の率と逆相関の関係にあります。東北地方は,共稼ぎの世帯の率が高し。山形の世帯所得は,大都市の大阪より高くなっています。これは妻の稼ぎが多いことによるもので,配偶者控除が適用されず,可処分所得だと少なくなっちゃいそうです。配偶者控除,存続させる必要のある制度でしょうか。

 東京の40代有配偶男性の所得は653万円で,鹿児島の40代子育て世帯(585万円)よりも高くなっています。ざっくり言うと,「東京の一馬力 > 鹿児島の二馬力」です。私は両方の暮らしを知ってますが,違うものですね。鹿児島では,夫婦正社員の共稼ぎでないと,子を大学にやるのは難しいと言われます。

 共稼ぎが必須の時代ですが,夫の稼ぎ割合をみると,妻の寄与度をもっとアップさせ,世帯の収入アップを図る余地はあるように感じます。ISSPの2017年調査では,自分の収入と家族の収入を訊いていますが,スウェーデンの25~54歳の有配偶男性の回答を元にすると,「当人の収入中央値/世帯の収入中央値」は58.1%です。「夫58:妻42」なり。日本の「夫76:妻24」とは,だいぶ違いますね。

 国際比較をやる術を見つけましたので,次回ではそれをやってみます。