2019年7月22日月曜日

寄付金の変化

 困った時はお互い様,助け合いましょう。その術としては,無償で労働力を提供するボランティアのほか,お金を寄付するというのもあります。貨幣経済が浸透した現在では,後者の比重が高まっています。

 子どもが難病を患い,海外で高額な手術を受けないといけない。そこで親が募金を手掛け,数千万円もの寄付が寄せられた,というケースは実際にあったこと。日本には1億2千万人の人口がいますが,その100人に1人(120万人)が50円出してくれたら,6000万円のお金が集まります。善意のチカラはもの凄い。

 寄付金の額というのは,助け合いのスピリットを「見える化」するのにいい指標だと思います。ググればどっかの団体が調査した数値も出てきますが,時系列変化もみれる公的統計のデータが望ましい。

 お金といったら,総務省の『家計調査』です。品目別の支出額の統計表をみたら,品目のカテゴリーに「寄付金」というのがあります。最新の2018年のデータをみると,1世帯あたりの寄付金の年間支出額は4506円となっています(単身世帯は除く)。

 普通の家庭の場合,500円の寄付を年間に9回やっている計算ですね。あくまで平均なんで,額が際立って高い世帯に引きずられている可能性もありますが。

 はて,この額はどう推移してきているのでしょう。今世紀になってからの推移をグラフにしてみます。


 2010年までは3000円近辺を推移してきましたが,2011年には6579円と,ボーンと跳ね上がっています。理由は明確。同年3月に起きた,東日本大震災の被災者への寄付でしょう。私も,コンビニのレジの募金箱に入れさせていただきました。

 翌年には元の水準に戻りますが,2015年から上昇に転じ,16年には5000円を超えます。17年には下がりますが18年にはまたアップして4506円。長らく続いた3000円付近から一段上がった水準が定着しつつあります。

 返礼品目当てのふるさと納税でしょうか。あるいは,ネット募金やクラウドファンディングが増えているためかもしれません。今では,個人でもこういうことをしやすくなっていますからね。

 事態にもう少し迫るべく,どういう層で寄付金の支出が増えているかをみてみましょう。1世帯あたりの年間支出額は,世帯主の年齢層別に知ることができます。最新の2018年と,10年前の2008年を比較してみます。


 増えているのは,30~50代となっています。60歳以上の高齢層では減少です。20代は,お金がないためか額は少ないものの,10年間の増加率が高くなっています。

 ITの素養がある若年層や壮年層の増加率が高いことから,やはりネット募金やCFの影響の線が強そうですね。余談ですが,2018年の40代(ロスジェネ)で谷ができているのも注目。

 昨日,このグラフをツイッターで流したところ,ちきりんさんが「テクノロジーで時代が変わることの好例」と言われてましたが,その通りだと思います。ネットのおかげで,人々の善意を集めやすくなっている。

 しからば,他の分野にもこのテクノロジーを適用したらどうか。昨日は参院選の投票日でしたが,投票率は過去最低レベルで50%を割ったそうです。それに寄与しているのは,若年層でしょう。「若者は選挙に行くな,どうせ政治に関心なんてないだろう,お前らは存在しないも同然」。こんなことを言っている,メチャクチャな煽り動画も公開されてましたが,こんなふうに挑発するだけでいいのでしょうか。

 投票所に出向き,紙にマルをつけ,四角い投票箱に入れる。こういうアナログなやり方が,時代にそぐわなくなりつつあると感じます。随所で言われていることですが,ネット選挙の導入を検討すべきかと思います。上記のグラフから察せられるように,テクノロジーで事態は変わる可能性は大ありです。

 寄付に話を戻すと,ITを介して善意を集めやすくなっているのは,素晴らしいことですね。人々を納得させる有意義なプロジェクトであるならば,その実行に必要な資金を簡単に集めることができます。今は大学も苦しくなっており,研究者も自前で研究費を調達しないといけない時代。自分の研究の意義を,一般人に分かってもらえるよう,分かりやすく説明できるようにならないといけない。科研費の申請書に書くような文書では,とうてい分かってもらえません。

 上記の年齢別グラフをもう一度みると,寄付金の支出額が高齢層では下がっています。しかし,貯蓄はスゴイのですよね。ガッツリ溜め込んだところで,振り込め詐欺の被害に遭うこともあるし,自分が死んだあと,相続ならぬ争族(遺族の争い)を引き起こすだけです。はき出すことも考えてほしいなと思います。

2019年7月21日日曜日

教員採用試験の合格率・人物重視度

 陽は出てませんが,蒸し暑く夏らしくなってきました(横須賀)。7月も下旬ですが,多くの自治体で教員採用試験の一次試験が行われていることと思います。東京都は先週でした。受験者のみなさん,お疲れ様でした。

 「これから二次試験対策だ」と意気込む人がいる一方で,「どうせ筆記はパスしないだろうから,二次対策は止めだ」と消沈している人もいるでしょう。また,筆記が受かるかどうか予測がつかず,困惑している人もいるはず。

 結果がどうなるかは神のみが知りますが,過去のデータ(経験的事実)で見当をつけることはできます。合格者を受験者で割った,合格率という指標です。東京アカデミーが自治体別のデータを調べ,HPで公開してくれています。2017年夏に実施された,2018年度試験のデータです。
http://www.tokyo-ac.jp/adoption/outline/result/hokkaido.html

 東京都の小学校教員採用試験の数値は,以下のようになっています。

 A)受験者数 = 3544人
 B)1次合格者数 = 2581人
 C)2次合格者数 = 1979人

 これに基づくと,1次の筆記試験合格率は,2581/3544=72.8%となります。筆記の合格率は7割,じゃんじゃん通すのですね。東京都の試験問題は結構難しく,「ダメだろうな」と気落ちしている人もいるでしょうが,案外大丈夫かもしれないですよ。

 2次試験の合格率は,1979/2581=76.7%ですか。これも思ったより高いな,という印象です。受験者ベースの最終合格率は,1979/3544=55.8%,半分を超えています。受験者の2人に1人が通ると。

 教員採用試験も競争率が低下し,難易度が下がっているといいますが,ホントにそうなのですね。私の世代(ロスジェネ)が新卒だった頃と比べると,隔世の感があります。「まさかあの人が…」という優秀な人がバンバン落とされてましたから。

 他の自治体についても同じ数値を計算しましたので,一覧をお見せしましょう。石川県は,1次合格者数が非公表なんで,データを出せませんでした。


 どの自治体も合格率が高くなっています。70%,80%を超える数値がちらほら見られます(赤字)。北海道の1次合格率は97.9%(受験者758人,合格者742人)。二次の合格率も82.9%で,受験者ベースの最終合格率は両者をかけて81.1%,「ホントかよ」と目を疑います。

 1次と2次の合格率が乖離している自治体もあります。福島県は1次はちょっとばかり難しいようですが,2次で落とされることはほとんどないようです。逆に高知県のように,1次はたくさん通して,2次でバンバン落とす自治体もあり。

 筆記重視か人物重視かは,自治体によって異なるようです。高知県の受験者は,1次をパスしたからといって安堵せず,面接対策に本腰を入れる必要がありそうです。

 自分が受ける自治体がどれほど人物(面接)重視か? こういう関心をお持ちの学生さんもいるかと思います。まあ,上記の合格率から見当はつきますが,単一のメジャーを作ってみます。2次試験の不合格者が,不合格者全体に占める割合(%)です。

 計算式=(1次合格者数-最終合格者数)/(受験者数-最終合格者数)

 東京都の場合,(2581-1979)/(3544-1979)=38.5%となります。残念ながら不合格となった人のうち,2次面接で落とされた人が38.5%であったと。私が住んでいる神奈川県だと,57.8%となります。お隣同士ですが,神奈川県のほうが人物重視のようです。

 全自治体のデータをご覧いただきましょう。


 50%超は赤字にしましたが,結構ありますね。北海道,大阪府,大分県では不合格者の8割以上が面接での脱落者となっています。

 この数値は人物重視度を測る尺度であって,2次試験の難易度を示すものではありません。北海道は,2次の合格率も高いですしね(最初の表)。ただ大阪府は,2次の合格率が低いので,対策に万全を期す必要がありそうです。

 福島県と沖縄県は,筆記で決まる度合いが高いようです。不合格者のうち,面接で落とされた人はごくわずかです。筆記試験の難易度は高くなっています。福島県の教職教養では,学習指導要領の原文の空欄補充問題が毎年出ます。選択肢なしで,書かせる問題です。拙著『教職教養らくらくマスター』にて,赤シートを使った暗記学習をしておくとよいと思います。

 以上,2018年度の小学校教員採用試験の経験データを紹介しました。受験生諸氏の展望を晴らすのに役立てばと思います。「合格率,こんなに高いんだ」と安堵されましたか。自治体によって難易度は違いますけど,普通にやっていれば大丈夫です。これから2次試験対策を始める学生さん,面接では気負いは禁物。肩の力を抜きましょう。

 ただ,知的武装はしておいたほうがいいです。最近の教育時事を取り上げ,「あなたはどう思うか」「どうしたらいいか」と,意見を求められることがあります。それに対し,口ごもるようではアウト。最近の政策文書の概要には目を通し,自分なりの考えは持っておきたいものです。

 日頃から新聞をマメにチェックしている人は特別の準備は要らないでしょうが,そういう人は少ないでしょう。そこで,拙著『速攻の教育時事・2020年度試験対応』をおススメいたします。新学習指導要領の改訂の答申,教員の働き方改革,第3期・教育振興基本計画等,重要文書のエッセンスを見開きでまとめています(合計71テーマ)。短期間で,教育時事に精通できるよう,工夫を凝らした本です。
https://jitsumu.hondana.jp/book/b432109.html

 健闘を祈ります。

2019年7月20日土曜日

学校の職業教育の評価

 日本教育新聞で週1の連載を初めて5年になります。我ながらよく続けているもんだと思います。「毎週,よくネタが尽きませんね」と言われますが,ブログやツイログをちょっと漁れば,ネタなんていくらでも出てきます。
https://blog.goo.ne.jp/tmaita77

 本紙は国内唯一の教育専門紙で,全国津々浦々の学校で講読されていると聞きます。私のコラムは2面に格上げしていただき,読者の目に触れやすくなっています。そのせいか,コラムをみたという読者さん(多くが教員)からメールが来ることも増えてきました。

 一昨日の夕方,地方の高校の先生からメールがきました。「日本の学校は,職業と直結した職業教育が脆弱であると思う。他国と比較したデータはないか」というものです。うーん,ざっくりしていて答えにくいですが,教育を受けている生徒や学生の評価をうかがい知るデータはあります。

 内閣府が2018年に実施した『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』では,生徒・学生に対し,「現在通っている学校は,仕事に必要な技術や能力を身に付けるうえで意義があるか」と訊いています。4段階で答えてもらう形式です(Q48の3)。
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html

 私は,各国の中学生・高校生・大学生のサンプルを取り出し,この問いに肯定の回答をした生徒・学生の率を出してみました。「意義がある」という,最も強い肯定の回答のパーセンテージです。*個票データの分析による。

 結果を簡素なグラフにすると,以下のようになります。


 日本はいずれの段階でも,意義を認める生徒・学生の率は低くなっています。中学校は28.3%,高校は28.7%,大学は23.2%です。中高生よりも大学生で低い,という傾向すら出ています。「中→高→大」と,コンスタントに評価が上がっていくアメリカとは対照的ですね。

 ドイツは高校で高いですが,教育と職業訓練の2本立て(デュアルシステム)のなせる業でしょうか。

 メールをくださった高校の先生は,「やはり…」と肩を落とされているかもしれません。日本の生徒・学生に,学校の職業教育の意義を評価させると,こういう有様になります。まあ日本の生徒の場合,将来就きたい職業なんて未定という子が多いので,「意義がある」という明瞭な評価をしにくかったとも考えられます。

 それに,上記の結果をもって学校だけを責めるのは筋違いでしょう。日本の雇用はジョブ型ではなく,メンバーシップ型で,企業は学生が学校で何を学んだかなんて関心を持っていません。面接で,学校で学んだことを訊かれるなんて稀。先方が知りたいのは,性格にクセがないか,組織の和を乱さないか,長く勤めて自社の色に染まってくれるか…。こんなところです。ねらいは,一緒に働くにふさわしいメンバーを迎え入れることです。

 対してジョブ型の欧米では,学校で何を学んだか,何ができるかを徹底的に訊かれます。逆にいえば,それを訊かないと侮辱罪として学生の側から訴えられるケースもあるそうです。労働者に期待する職務が明瞭で,それを遂行する能力を有しているか。この点をジャッジすると。学校では,実践的な職業教育に力が入るわけです。

 日本では,入社後に職業訓練を行い,長いことかけて自社の色に染めていきます。勤続年数と共に給与をアップさせ,定着のインセンティブを強めるという仕掛けつきです。しかし,そういう「丸抱え」のやり方も綻びを見せ始めています。大企業は40代半ば以降の社員のリストラをしていますし,経団連のトップも「もはや終身雇用の維持は難しい」と口にしています。企業も体力がなくなり,学校にも実践的な職業教育を期待する度合いは高くなっていくでしょう。

 そもそも,異国の人にすれば「クレイジー」としか思えないメンバーシップ型を維持していたら,これからますます増える外国人労働者,高度なスキルをもった外国人労働者を採用するなんてできますまい。彼らは,自分の能力に見合った給与を情け容赦なく求めてきますのでね。「新人は,最初はみんなお茶くみと雑巾がけから」。こんなことをしたら,裁判を起こされちゃいます。

 今年の春に専門職大学ができましたが,こういう時代の変化に即したものだと思えます。教員の4割は実務家教員とすることとありますが,中等レベルの学校でも,こういう人材がある程度必要になってくるでしょう。実践的な職業教育は,大学を出たての22歳の若者には難しい。産業界の経験のある実務家教員の採用枠を増やすべし。また副業が奨励され,パラレルキャリアの時代になりつつあるので,社会人講師に教壇に立って貰うのもよし。

 教育は人なりと言いますが,実践的な職業教育を充実させるには,上記のように教員集団の組成を変える必要も出てきます。その度合いは,民間企業の経験が長い教員,またパート教員の割合で測ることができるかと思いますが,この2つのマトリクス上に世界各国を散りばめるとどうでしょう。下のグラフは,「TALIS 2018」の個票データから作ったものです。


 うーん,日本は2つの指標とも低いので,原点付近にあります。パート教員率は9.7%,民間経験10年以上の教員に至っては1.9%なり。学校と社会の敷居が高い故か,教員の多様性が進んでいません。

 対して,右上のカナダやブラジルはスゴイですね。教員の8割はパートで,3~4割が民間経験が長い実務家教員となっています。17日公開のニューズウィーク記事でデータを出しましたが,ブラジルでは教員の仕事時間の9割は授業なんですよね。その理由が分かる気がします。

 学校とは,勉強をするところ。社会生活に必要な資質や能力を育むところ。これが原点です。社会の変化に伴い,学校も,このような原点回帰が求められるようになっています。思い切ってスリム化を断行し,業務を授業に絞るのはどうでしょう(学校行事等の特別活動は授業です)。そうすれば,教員の多様性を押し進めることもできます。目指すべきは,上記のマトリクスにおいて右上にシフトしていくことです。

 少子高齢化に伴い,学校にも人手不足の波が及んでいます。今となっては,教師と子どもが全身全霊で触れ合うことによる全人教育など,学校だけでできることではありますまい。積極的に学校を開放し,外部社会の助けも借りて,社会全体で子を育むという気構えが必要なのです。

 そういう分業において,学校は教授・学習活動に専念する。それがどれほどできているかは,最初のグラフで示された,職業教育への評価によって知ることができます。学校の職業教育への評価が低いのは,日本の雇用慣行による部分が大きいのですが,機能を散漫させている学校の問題でもあるように思います。

2019年7月15日月曜日

中日新聞の非常勤講師の記事

 中日新聞のWeb版に「研究者目指したけれど 大学非常勤講師らの嘆き(下)」という記事が出ています。私もちょっとだけ登場しています。
https://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2019071502000002.html

 メインは,天池洋介さんという現職の非常勤講師の方です。年齢は39歳,私と同じく氷河期世代ですね。現職の人で,実名・顔出しで出るとは勇気があるなと思います。雇い止めや就職活動への影響を恐れ,尻込みする人が多いのですが,問題を告発したいという気概が勝ったのでしょうか。

 内容もリアルです。年収は200万未満,1日1食,コンビニ弁当にも手が出ない…。生活苦を包み隠さずさらけ出しています。東海圏の大学や専門学校4校で非常勤をされていて,今年度は前期6コマ,後期5コマですか。1コマ(半期15回)の対価が15万円ほどですので,年収は15万 × 11コマ=165万円。幾ばくかの雑収入を合わせても,200万には届きそうにありません。

 それでも,「1日1食,コンビニ弁当にも手が出ない」というのはオーバーではないかと思われるかもしれません。しかし,奨学金返済や研究費・学会参加費自腹という重荷が加わりますので,あり得ないことではありません。

 年間の奨学金返済が30万円,研究費・学会参加費が15万円とすると,手元に残るのは,165-45=120万円。月に10万円で,食費,交際費,家賃,光熱費,税金,国保・年金等を賄わないといけない。「1日1食,友人から恵んでもらったお米でおかずは白菜の漬物」となっても,なんら不思議ではないです。これが,専業非常勤講師のリアルです。

 その専業非常勤講師ですが,文科省統計では「本務なし兼務教員」としてカウントされています。4年制大学(以下,大学)の専業非常勤講師数をみると。1989年は1万5689人だったのが,2016年9万3145人に膨れ上がっています。6倍の増加です。同じ期間にかけて専任教員が1.5倍にしか増えてない(12万1105人→18万4273人)ことと比すと,すごい増加率です。

 大学の人件費抑制志向が強まっているためですが,上記のような超薄給で,よくもまあなり手がいるもんだと不思議に思われるでしょう。答えは簡単,大学院重点化政策で行き場のないオーバードクターが増えているからです。今や,非常勤講師の職も奪い合いで,採用時に給与すら聞けない状態になっています。需要側の要因(人件費抑制)と供給側の要因(ODの増加)が,絶妙にマッチしているわけです。

 様相は専攻によっても違います。大学の専任教員数と専業非常講師数を専攻別に整理すると,以下のようになります。上段は大学院重点化前の1989年,下段は最新の2016年のデータです。文科省『学校教員統計』から採取した数値です。


 どの専攻でも,専業非常講師が増えています。増加幅は専任教員を上回り,専業非常勤講師の比重も増しています。2016年でみると,人文科学と芸術では,前者より後者が多くなっています。人文科学は,大半が語学系の授業を持つ非常勤でしょうが,この依存率はすさまじい。

 授業の多くを,不安定な生活にあえぐ専業非常勤講師が持ったらどうなるか。研究室がなく,複数校を掛け持ちしている人も多いので,学生の質問に落ち着いて応じるのも難しい。「時間がないから今度ね」「またね」…。こういう拒否反応を何度もされたら,学生も勉学の意欲が萎えるというものです。

 首都圏非常勤講師組合のアンケートの自由記述をみると,待遇の悪さに不満を高じさせ,投げやりな態度で授業をする人もいるようです。これも無理からぬこと。真面目に授業準備や質問対応をすればするほど,時給が下がる構造ですので。私自身,2012年頃から「もらえる分しか仕事しない」と割り切るようになりました。学生さんに申し訳ないとは思いつつも。

 それだけならまだしも,露骨に有害なことをする輩もいます。たとえば,卒論代行のバイトです。1本請け負えば手取りで15万円ほどもらえます。半期1コマの授業と同じ対価です。自分の専門も活かせるので,これはオイシイ。良心を痛めつつも,背に腹は代えられぬと,こういうバイトに手を染める輩もいるんです。これは,大学教育にとって明らかに有害なこと。

 昨今,経営難に苦しむ大学が増えていますが,人件費抑制志向も度が過ぎると,大学教育の質を脅かすことになりそうです。大学教員の専業非常勤化は,高度人材の人権侵害のみならず,学生の教育を受ける権利をも侵害します。

 では,どうすべきか。まずは,非常勤講師の待遇改善でしょう。実をいうと,大学によって少なからぬ幅があります。1コマの対価も違いますし,わずかながらボーナスを支給したり,試験採点の手当てを出す大学もあります。この辺は,大学の良識に関わることです。その気になればできること。とくに,授業の多くを非常勤講師に外注している大学は,考えてもらいたいところです。

 そもそも,授業の大半を非常勤講師に外注するのも問題。非常勤講師が持つ授業の割合に制限を設けるべきです。授業の半分以上を非常勤講師が担当するなど,言語道断。学生にすれば「何この大学,先生はほとんどバイト?」です。

 あとは,大学教員市場に続々と送り込まれるオーバードクターを人為的に減らすこと。供給過剰の状態にある,大学院博士課程の定員の見直しも必要でしょう。まあ,行き場がないことが知れ渡ったためか,博士課程の入学者は2003年をピークに減少の傾向にあるのですが(下図)。


 中日新聞記事にて,ご自身の苦境を包み隠さず曝露された,天池洋介さんの気概に敬意を表します。現職の非常勤講師が,実名・顔出しでこの問題に切り込むのは,非常にレアケースです。

 現在,39歳とのこと。私は40歳になった2016年に,「若い人に代わって欲しい」と,非常勤講師を軒並み雇い止めになりました(会議や会合に出ない,私の態度が問題になったという話も聞きましたが)。この「40歳の壁」に阻まれないことを祈ります。

 最後になりましたが,名古屋から横須賀まで取材に出向いてくださった,中日新聞の細川暁子氏に感謝の意を表します。

2019年7月13日土曜日

都道府県別の空き家率の推計

 鹿児島の奄美地方では,梅雨明けが発表されたそうです。関東はいつになるのやら。曇天の日が続き,気が滅入ります。

 昨日,「2043年の都道府県別の空き家率の推計」という表をツイッターで流したところ,「実感ある数値だ,計算方法を教えて欲しい」という質問がきました。メールでです。

 別に,込み入ったことをしているのではありません。中学生でも思いつくような,単純な外挿法です。今のトレンドが続くと仮定した場合,未来はどうなるかを推し量っただけです。使用したのは,2013年と2018年の都道府県別の住宅数,空き家数です。総務省『住宅土地統計』に載っています。

 私の郷里の鹿児島県を例に,説明いたしましょう。


 2013年から18年にかけて,住宅数は1.017倍,空き家数は1.130倍に増えました。この倍率を18年の戸数にかけて,23年の住宅数・空き家数を出します。同じ倍率を23年の戸数にかけ,5年後の28年の戸数を出す…。この繰り返しです。

 分母と分子が今のペースで変化し続けると仮定した場合,どうなるかです。直線的な変化を仮定した乱暴な試算ですが,これによると,20年後の2038年の鹿児島県の住宅数は94万2883戸で,うち空き家が27万991戸と見込まれます。空き家率は28.7%です。さらに20年経った2058年には43.7%になると。

 県内の住宅の4割が空き家…。にわかには信じがたいですが,実際はもっと高くなるのではないでしょうか。人口減少の中,さすがに新住居の建設は控えられるでしょうから,分母の増加は緩やかになる,いや減少に転じる可能性があります。対して分子の空き家数は,増加のスピードが高まるとみられます。これから,死ぬ人が増えてきますので。

 今から40年後,鹿児島県の空き家率は50%,半分を越えているかもしれません。しかるに,同じやり方で全県の空き家率を予測してみると,このラインを超える県も出てきます。2018年の実測値,2038年と2058年の予測値を高い順に並べたランキング表を掲げます。20年スパンの未来展望です。


 全国値はほとんど変わりません。住宅数と空き家数の増加スピードがほぼ同じだからです。しかし前者より後者が大きい県では,空き家率はどんどん上がります。先ほど例示した鹿児島県は,その典型です(18.9% → 28.7% → 43.7%)。

 20%を超える県は薄い色,30%を超える県は濃い色をつけました。時代と共に,不穏なゾーンが広がってきます。空き家が今のペースで増え続けるとしたら場合,2058年には,空き家率20%超の県が19県,30%超が11県になると見込まれます。

 被災3県(宮城,福島,岩手)は,信じがたい数値になっています。計算に使った,2013~18年の空き家の増加倍率が高いためです。2011年の東日本大震災の影響であるのは明白で,これら3県の数値は割り引いて考える必要があります。

 しかし,それとは無関係な西の諸県の空き家率も高く出ています。和歌山県は52%,鹿児島県は44%,徳島県は43%です。少産多死が進む中,分子の空き家数の増加速度は高まるでしょうから,実際はもっと高くなる可能性もあり。

 全住宅の2割,3割,4割が空き家…。こういう地域が出てくるわけです。放置しておいたら,ゴーストタウン化するのは必至。堀江貴文さんが予言している通り,「家賃は要らないから,ハウスキーパーとして空き家に住んでください」と懇願される時代になるかもしれません。

 前回も書きましたが,先行き不透明な中,長期のローンを組んで新居を建てるのはどうか,という気になってきますね。

 空き家は,放置しておくだけなら,朽ち果てたり,犯罪の温床になったりと,社会の安全を脅かす危険因子になります。しかし適切に活用されるなら,全く逆です。若者の「住」支援に使われてもいいでしょう。若者の離家を促し,未婚化・少子化の歯止めになるかもしれません。

 私が住んでいる地域にも,空き家と思しき建物がゴロゴロあります。夕刻のウォーキングで,「この平屋いいなあ。あと10年後には,『ハウスキーパー募集,家賃不要』なんていう張り紙が貼られるのかなあ」と,物色を楽しんでいます。

2019年7月12日金曜日

人口当たりの空き家数はどうなるか

 今年1月1日の日本人人口は1億2447万6364人で,前年に比して43万3239人減ったそうです。1年間で43万人も減ったのは初めてとのこと。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6329638

 どんどん縮んでいくニッポンですが,1年間で43万人も減少とは驚きです。私が住んでいる横須賀市の人口は39万6千人ほどですが,このレベルの都市がごっそり無くなっていることになります。たった1年間で。

 高齢化の影響で死亡者数が増え,出生数は減っています。両者の差分が自然減ですが,年々この数が増えていると。厚労省の『人口動態統計』から,両者の長期推移をとれます。また,国立社会保障・人口問題研究所のレポートから,将来推計も得られます。下図は,1900~2060年までのカーブです。


 明治期以降,長らく出生数が死亡数を上回る「自然増」の時代が続いてきました。私が生まれた1976年では,出生数183万人,死亡数70万人でした。しかしこの頃から前者が減り,後者が増え始め,2007年には逆転し,「自然減」の時代に突入。その差はじわじわ広がり,2018年の出生数は94万人,死亡数は136万人となっています(推計値)。この年の自然減は42万人。なるほど,冒頭の43万人という数値とほぼ一致しています。

 死亡数と出生数の差分,グラフの色付きのゾーンが自然減ですが,2020年以降,毎年50万人以上人口が減っていくと見込まれます。毎年,このクラスの大都市が消失していくわけです。ある論者が「静かなる有事」と言っていますが,言い得て妙です。

 気が滅入りますが,さぞ家は余るようになるだろうなと思います。住む人が死んでも,家は残りますので。2018年の『住宅土地統計』によると,総住宅数は6242万戸で,うち空き家が846万戸となっています。同年の人口は1億2618万人ほど。

 この3つの数値の推移と,将来予測値を出してみました。『住宅土地統計』の実施年(5年おき)のデータです。2023年以降の予測値は,2013~18年の増加倍率を適用して出しました。2013~18年にかけて住宅数は1.0295倍,空き家は1.0323倍に増えましたが,2018年の戸数にこの倍率をかけて,2023年の戸数を推し量った次第です。同様に2023年の戸数に上記の倍率をかけて2028年の戸数を出す。以下,同じです。人口は,2019年の『日本統計年鑑』に載っている数値を使っています。


 2018年のデータだと,人口100人あたりの住宅数は49.5戸,空き家は6.7戸です。これから人口が減るのは分かっていますが,住宅数・空き家数が今のペースで増え続けるとすると,2058年には人口100人あたりの住宅数が83.2戸,空き家数が11.5戸になると見込まれます。

 今後,空き家増加のスピードが増すとすると,人口100人につき空き家が20戸(5人に1戸)の時代になるかもしれません。戦後初期の住宅難の時代からすれば,夢のようですね。

 これは日本全国の予測値ですが,都道府県別の見積もりもできます。都道府県別の将来推計人口(『国勢調査』の実施年,5年間隔)は,2045年までしか得られません。2045年の推計人口を,2043年の住宅数・空き家数の推計値と照らしわせてみます。


 人口当たりの空き家数をみると,100人当たり20戸(5人に1戸)を超える県が5県あります。2013~18年の空き家増加ペースが続くと仮定した見積もりですので,被災3県(岩手,宮城,福島)は割り引いて考えないといけないですが,西の5県はそういう特殊事情とは無縁です。

 私の郷里の鹿児島は,2040年代には人口120.4万人,空き家30.6万戸,県民4人に1戸の空き家が出る計算になります。スゴイですね。

 皆さんは,このデータをどうご覧になられますか。近未来の日本は,朽ち果てた空き家だらけのゴーストタウンになる,国内外の犯罪者の巣窟になる…。こういう不穏な未来図を思い浮かべる人もおられるでしょう。

 家というのは,人が住まないと荒みますからね。しからば,人に住んでもらえばいいだけのこと。先進国ニッポンでも,住居に困っている人はたくさんいます。そういう人たちに安い賃料,ないしはタダで貸し出せばいいのです。ハウスキーパーの役割を果たしていただくと。

 今でも,タダで人様の家を借りている人はいます。2013年の『住宅土地統計』によると,家賃0円の借家に住んでいる世帯は36万世帯となっています。間もなく公開される2018年データでは,50万世帯を超えているかもしれません。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/0.php

 近い将来,黙っていても家が空から降ってくる時代になりそうですね。2043年の鹿児島県の推計住宅数は96万戸,うち空き家が31万戸,住宅の3分の1が空き家になると。放置しておいたら,地域全体がゴーストタウン化するのは必至。とにかく,人に住んでもらうしかないわけです。
 
 若い世代で,住宅ローンの残高が増えているそうです。住める家が余りまくる時代になるのに,長期ローンを組んでマイホームを建てるというのは,いかがなものでしょう。人口減少社会においては,新たなハコを作るのではなく,今あるハコを活かす。これが基本です。

 近未来の日本については悲観的な予測だらけですが,明るい展望もあります。黙っていても,家が空から降ってくるようになることです。

2019年7月9日火曜日

労働時間と所得

 今月の21日は,参院選の投票日です。夕刻のウォーキングで,候補者のポスターを貼った掲示板に出くわします。思ったより若い人や女性が多く,好感を持ちました。

 その中で,「8時間労働で普通の暮らしができる社会へ」と言っている人がいます。労基法で規定されている法定労働時間(週40時間)ですが,これを満たせば勤労の義務を立派に果たしているわけですので,当然といえばそうですよね。

 しかし現実はそうではない。だからこそ,こういうフレーズに「おお」となってしまう。こんな感覚になっている自分が怖くもあります。

 労働時間と給与はある程度相関するはずです。昔に比して単純労働や肉体労働が減った今では,他の要素が入り込む余地が多分にありますが,普通に働けば普通の暮らしが保障される社会が望ましい。ごく当たり前のことで,普通に働くの目安が「1日8時間労働=週40時間労働」です。

 基礎的なデータを出してみましょう。2017年の総務省『就業構造基本調査』に,週間就業時間と年間所得のクロス表が出ています。全国編,人口・就業に関する統計表の「03001」表です。

 年間200日以上の規則的就業をしている就業者を取り出し,週間就業時間と所得のクロスをとってみます。所得は200万円刻みの4カテゴリーにまとめました。


 どうでしょう。男性は週35時間で段差があり,それ以降の所得はほぼフラット(変化なし)になっています。年齢や職業などの要素が混ざっているためかもしれませんが,フルタイム(正社員)にあっては,労働時間と給与はあまり関連しないようです。

 真ん中の「週35~45時間」あたりをみると,4割ほどが所得400万未満で,600万を超えるのは4人に1人です。男性の場合,普通に働いた対価がこうなのですが,普通の暮らしができるレベルといえるでしょうか。私のような独り身を養う分には十分ですが,そうでないとなると…。判断が割れるところです。

 右側の女性をみると,こちらは厳しい印象を持ちます。水色と茶色のゾーンが広く,法定の労働時間働いても,4人に3人が400万円(税引き前!)に達しません。4人に1人は,200万円に満たないワーキングプアです。女性の場合,馬車馬のように働いても600万円稼ぐのは難しい。

 現実をみると,候補者がポスターに書いている「8時間労働で普通の暮らしができる社会へ」というフレーズに魅かれてきますね。今の日本社会では,それが実現されているとは言い難い。女性は特にです。

 その女性を正規雇用と非正規雇用に分けてみると,もっと悲惨な状態が露わになります。


 正社員に絞ると幾分かマシになりますが,法定労働時間では400万に届くのは並大抵のことではありません。右側の非正規は,もう目を背けたくなる模様で,どれほど働いても半分がワーキングプアで,9割が400万未満となっています。

 非正規はマイノリティかというと,そんなことはありません。女性雇用者の4割は非正規雇用です。実数にすると755万人ほど。夫の扶養下に入っていて,就業調整している人が多いでしょうが,この超薄給で生計を立てている人もいます。たとえばシングルマザーです。

 法定労働時間どころか,どんなに働いても貧困から抜け出るのは難しい。母子世帯の困窮は,右側のグラフの模様からはっきりとうかがい知ることができます。女性は男性に扶養されるべしという考えが続いてきた結果ですが,21世紀になってもこんな有様とは驚きます。女性の社会進出は,M字カーブの底が浅くなっただの,そんなことでは測れないようです。

 こういう社会って,他にあるんでしょうか。OECDの成人学力調査「PIAAC 2012」では,仕事をしている人に週間就業時間と年収を訊いています。年収は,国全体の中でどの辺に当たるかを見積もってもらう形式です。

 週35~44時間働いている女性を取り出し,どれほどの年収を得ているかを国ごとに比べてみます。下位25%未満のプアと,上位25%以上のリッチの比重をグラフにすると,以下のようになります。前者が高い順に29の社会を並べてみました。


 赤色は,フルタイム勤務をしつつもワーキングプア状態に置かれている女性の率と読めます。首位はスロバキア,2位はギリシャ,3位は日本で,フルタイム就業女性の半分以上がワーキングプアです。普通に働いても,普通の暮らしが得られない社会なり。

 対して下方にあるのは,フルタイムで普通に働けば普通の暮らしができる収入を得られる国で,欧米の主要国はこのエリアに位置しています。オランダはいいですね。パート大国と言われ,日本のような正規・非正規なんていう区分はなく,賃金はあくまで労働時間の関数。それが表れています。

 日本のように,普通に働いても女性の大半はワープアっていう社会は少数派です。女性は男性に扶養されるべしという考えが強いためですが,それは時代にそぐわなくなっているのは明白。未婚率,離婚率の高まりで,自身の稼ぎで生計を立てている女性は増えています。シングルマザーとして子育てをしている人も多し。

 正社員になれたらいいですが,雇用の非正規化により,それも容易ではなくなっています。となると,2番目の図の右側のような蟻地獄でもがき苦しむことになる。メディアで報じられる母子世帯の悲惨な生活実態は,その可視化です。

 上記のデータは,独身者と既婚者が混ざったものですが,未婚の非正規女性の稼ぎを見てみましょうか。老後がチラチラ見え始めている,アラフィフ年代(45~54歳)に注目します。下表は,47都道府県の中央値を高い順に並べたものです。


 ううう,全県がワーキングプア一色です。単身では生活が難しいと思われますが,これで暮らしている人もいます。さらには,子を養っているシングルマザーもいます。

 未婚者ですので,就業調整をしているとは考えられません。独り身を養うべく,フルタイム労働をしている女性が大半でしょう。しかしその対価はこの有様であると。怖くて,老後のことなど考えたくもないはず。日々の暮らしで必死で,そんなことに思いをめぐらす時間もないのでしょうけど。

 最近話題になっている,アラフィフ独身女性の貧困の可視化です。繰り返しますが,女性は男性に扶養されるべしという考えが根付いてきた故のこと。しかるに,パートナーがおらず独り身で暮らす女性が増えている中,それは明らかに時代錯誤なり。

 普通に働けば普通の暮らしが得られる。この大原則に照らせば,上表のデータはもう,違法とも言い得るレベルです(実際そうなんですけど)。今度の参院選では,こういう歪みを正してくれそうな人に票を投じようと思います。

 AIの台頭により,人間が労働から解放される時代がくるといいます。それはずっと先でしょうが,1日8時間の「普通」の労働で済む時代は,すぐそこのはずです。AIとBI(ベーシックインカム)の組み合わせで,普通に働けば普通の暮らしが得られる社会の実現を。

2019年7月4日木曜日

同性愛への寛容度の年齢差

 同性愛指向の外国人を,日本政府が難民認定したそうです。母国に返すと,迫害される恐れがあるためとのこと。
https://digital.asahi.com/articles/ASM723SMMM72UTIL00Y.html

 意識や考え方というのは,社会によって大きく違います。社会学という学問が成り立つ所以ですが,とりわけ同性愛(homosexuality)に対する考え方には,大きな国際差があります。上記の外国人は,同性愛への見方が厳しい国から逃れてきた人です。

 各国の研究者が共同で実施する『世界価値観調査』では,同性愛をどれほど認められるかを,10段階で自己評定してもらっています。2010~14年に実施された第6回調査のデータによると,日本人の10段階評定の平均は5.14となっています。

 はて,この値は高いのか低いのか。調査対象国の中では,どの辺に位置づくのか。58か国の平均点を出し,高い順に並べると以下のようになります。


 8.18から1.13までの開きがあります。「同性愛,普通じゃん」という国もあれば,「絶対に許さない」という国もある。首位はスウェーデンで,2位はオランダ,3位はスペインとなっています。

 いずれも,同性婚が合法化されている国ですね。赤字は,同性婚が合法の国です。アメリカでも,2015年に同性婚を認める判決が出され,今では合法となっています。

 対して右下の国は,同性愛への見方が厳しい社会です。平均点が2.0にいかないのは,21か国あります。多くが中東やアフリカの諸国で,文化的・宗教的要因のためでしょう。同性愛には重い刑罰が科され,極刑に処される国もあるといいます。

 日本はというと,58か国中12位で,思ったより高い位置にあります。同性婚が合法の5か国より高いじゃないですか。ブラジルを凌駕するというのは驚きです。

 意識は進んでいるのに,何で同性婚が合法化されていないのか。うーん,政策を決める高齢者の頭が固いのですかねえ。実のところ日本は,意識の年齢差が大きな国です。上記の表は成人全体の寛容度の平均点ですが,年齢層別に出してみると,日本の20代は7.25,60歳以上は3.44となっています。倍以上の差です。

 年齢による意識の違いがこんなにも大きい国は珍しい。それを見て取れるグラフをお見せしましょう。57か国について,10歳刻みの年齢層ごとに寛容度の平均点を計算し,縦軸上の布置図にしたものです。


 57か国の分布幅の中で,日本がどの位置にあるかが分かります。年齢が上がるにつれ,きれいに右下がりに落ちていきます。順位でいうと,20代から5位,6位,11位,11位,16位,という具合です。

 対してアメリカは,年齢差はさほど大きくなくフラットです。というか,こういう国のほうがスタンダードです。

 最初の表でみた日本の高い位置は,若年層の押し上げによるようですね。20代の若者の意識は欧米と遜色ありません。いや,欧米よりも高いくらいです。しかし高齢層になると,一気にガク落ちすると。

 日本は短期間で激しい社会変動を経てきたので,同性愛に限らず,諸々の意識や価値観の世代差が大きくなっています。それはそれでいいのですが,厄介なのは,為政者に世代的な偏りがあることです。政治家の大半が高齢者なのは,誰だって知っています。上記のグラフをみると,その損失が大きいことが分かり残念です。

 議場に若者が増えれば,社会は大きく変わるような気がします。もうすぐ参院選ですが,意中の候補者がいない場合は,何も考えずに若い人に入れるのもいいでしょう。私はいつも,そうしています。棄権するよりは,為政者の歪んだ構成を正すのに票を使ったほうがいいからです。

 日本の選挙は長年の地盤がモノをいい,新参者は不利になる傾向があります。投票率の低下が進んでいますが,棄権票の一定割合を女性や若手の候補者に上乗せするというのはどうでしょう。為政者の構成を正す必要があることには,コンセンサスができています。そのために民意を使うのは,的外れなことではありますまい。この点については,日本女性学習財団の機関紙『ウィラーン』の7月号でも申しました。
http://www.jawe2011.jp/welearn-publish/2808
 
 最初の表をみると,同性婚が合法化されている国(赤色)の多くが,世界で重要な役割を果たしている国です。日本も同性婚を合法化しないと,これらの国から人材を迎えることができず,経済的にもマイナスの結果になるという警告もあります。

 今回のデータから,その素地は十分にできていることがうかがわれます。これを政策や法律の形に具現化するのは,政治の役割です。若い有権者のみなさん,自分たちの意向を代弁してくれる同世代の人を議場に送りましょう。送られてきた選挙票をゴミ箱に捨てたりしないように。

2019年7月2日火曜日

若者の情報機器の所持率(2018年)

 内閣府が2018年に実施した『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』の結果が公表されました。主要7か国の13~29歳を対象とした,意識や生活実態の調査です。
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html

 調査票をみると,興味深い設問が盛りだくさんですが,ありがたいことに,申請すればローデータを送ってくれます。私は早速申請し,ローデータのファイル(エクセル)をメールで送ってもらいました。7か国,7472人のデータです。

 昨日,文科省HPをのぞいてみたら,学校教育の情報化の推進に関する法律が制定・施行されたとあります。日本の学校の情報化(ICT化)のレベルは世界最低なんですが,これをどうにかしようということでしょう。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1418577.htm

 これからは,学校で大量の紙が配られることはなくなり,庶務連絡や宿題の提出等もネット経由になるかもしれないですね。そうなれば,生徒もパソコンを持たざるをえなくなります。

 はて,日本の生徒のパソコン所持率はどれくらいなのか。上記の調査にて,バッチリ尋ねられています。調査票のF18です。スマホ,タブレット,ノートパソコン,デスクトップパソコン,携帯ゲーム機器の所持率を出すことができます。

 上述のように調査対象の年齢は13~29歳と広いのですが,10代前半,10代後半,20代前半,20代後半,というように区分してみます。13~15歳,16~19歳。20~24歳,25~29歳の4群に分けましょう。

 これら4つの年齢層に分け,5つの機器の所持率を国別に計算してみました。以下に,一覧表を掲げます。個票データから,私が独自に算出した数値であることを申し添えます。


 スマホの所持率は高いですね。10代後半以降は,どの国でも9割以上となっています。ただ10代前半では,日本は79.2%で他国と開いています。あまり早くスマホを持たせるのはよくないと,頑なに考えている親御さんもいますからね。しかし海外でそんなことを言ったら,嘲笑されるでしょう。

 タブレットは,日本はどの段階でも25%前後で,7か国では最も低くなっています。いわゆるデジタル教科書の普及度の違いでしょうか。中学生段階でみると,イギリスとスウェーデンは6割を超えています。

 日本でも,今年度より紙の教科書に代えてデジタル教科書を使用できることになっています。分厚い紙の教科書を何冊も詰め込んだ重いランドセルを背負わせるのは,子どもの健康をも害します。デジタルなら全教科,薄いタブレット1台でOK。音声や動画等の効果も期待でき,とりわけ特別支援教育の現場で重宝するでしょう。

 予想通りと言いますか,パソコンの所持率は低いですね。10代前半では,ノートは19.7%,デスクトップに至ってはわずか8.1%で,他国と比して陥落が目立っています。その一方で,携帯ゲーム機器の所持率は49.7%でトップ。むーん,ちょっと寂しい気持ちになります…。

 調査票をみると,「あなたは***を持っていますか?」という聞き方なので,自分専用ではないけれど,家にはあるという生徒は多いかもしれません。家族共用で使っていると。OECDの国際学力調査「PISA 2015」では,15歳の生徒に「自宅にコンピュータが何台あるか?」と問うています。上記の7か国にデンマークを加えた8か国の回答を見ると,以下のようになります。
https://nces.ed.gov/surveys/international/ide/


 家に1台もないという生徒は,日本でも少数派です。どうやら,自分専用のPCを持ってないという子が多いようですね。イギリス,ドイツ,スウェーデン,デンマークでは半分以上の生徒が「3台以上」と答えており,専用のPCを持っている子が多いと推測されます。

 学校のICT化が進んだ北欧の諸国では,自分専用のPCはほぼ必須でしょう。日本はそうではなく,自宅に鎮座しているPCを家族と共有で使う生徒がどれほどいるか。あまりいないのではないでしょうか。

 なぜ,日本の生徒はパソコンを持たないか。子育て世帯の家計が苦しく,お金がないからでしょうか。この要因の寄与が大きいなら,余裕のある家庭では所持率が高く,そうでない家庭では低いという,階層格差があるはずです。

 家庭の年収とのクロスがとれるといいのですが,内閣府の調査ではこの変数は盛られていません。次善の策として,父親の学歴との関連をみてみましょう。13~15歳の生徒を,父大卒群とその他の群に分け,ノートパソコンの所持率を出してみました。


 どの社会でも,大卒家庭の生徒のPC所持率が高くなっています。韓国は20ポイント以上の開きがあり,階層差が大きいですね。しかし日本は,大卒群が22%,その他が17%で,大きな差ではありません。

 日本では,家庭環境にの関係なく,生徒のPC所持率が低いようです。余裕のある家庭であっても,パソコンを買い与えないのでしょうか。私としては,さもありなんという感じです。今時,パソコンはそんなに高い買い物ではないですしね。

 大きいのは,パソコンを必須ならしめる環境に置かれていないことでしょう。学校からの庶務連絡は紙で,授業でコンピュータが使われることはほとんどなく,PCでの調べものや解析が必要な宿題も出ません。

 私は大学で教えていた時,3年生の調査統計の授業で,エクセルで簡単な棒グラフも作れない学生さんが多いことに驚きました。話を聞くと,「エクセルなんて1年時の情報処理の授業以来,開いたことがない」とのこと。これは,PCを必須ならしめる環境を用意していない大学の責任だな,と強く感じました。IT人材,データサイエンティストの育成を掲げていますが,今も当時と同じままだとしたら,そんなフレーズは聞いて呆れます。

 なぜパソコンにそんなに拘るのか,情報収集や仲間とのSNSのやり取りはスマホで十分じゃん,と言われるかもしれません。しかしですね,情報化社会を生き抜くには,それだけでは足りないのです。スマホをボケ―と眺めて,面白おかしい記事のシェアボタンをタップしているだけではダメ。収集した情報を組み合わせ(加工し),創作物を生み出し,発信するチカラも必要なのです。

 それには,スマホよりもパソコンが適しています(現時点では)。パソコンを持たない日本の生徒が,創作物の発信活動をどれほどしているかは,推して知るべし。下図は,15歳の生徒に「学校外で,コンピュータを使って創作物(created contents)をどれほど発信するか」を訊いた結果です。


 朝日新聞流の中抜きグラフにしましたが,日本では「ほとんど,ないしは全くしない」という生徒が8割で,週に1回以上する生徒は1割しかいません。

 これでは,情報化社会の荒波を自分の力で泳いでいく力は育たず,情報を受動的に消費するだけの「情報メタボ」が量産されるだけでしょう。そういう人は「自分の頭で考える」習慣がないので,時流に簡単に流される弱さを持っています。

 最近,政府与党を支持する若者が多くなっているそうですが,「投げやりな人は,強力な独裁者を希求する」という,何かの本に書いてあったフレーズを思い出します。生きる道を水路づけてもらったほうがラクだからです。

 インターネットの普及により,誰もが思うがままの情報を自前で発信できるようになりました。発信する側になるときもあれば,消費する側に回るときもある。もっぱら後者に終始するというのは,あまりに勿体ないことです。いや,ヤバいことだと思います。

 20世紀は一つの会社に長く勤続する正社員の時代でしたが,21世紀は,自分のスキルを売りに色々な組織を渡り歩く時代,ないしはフリーランスの時代であると思っています。こういう時代では,ネットを通じて自分を「売り込む」スキルが不可欠です。子どもの頃から,自分の作品をネットで発信するなどは,それを鍛える最良の訓練になります。しかし,日本の現状は上記のグラフの通り。これはよくない。

 学校教育の情報化の推進に関する法律もできたことですし,今後は状況が変わっていくものと思います。インターネットという文明の利器を,積極的な意味合いで使う若者が増えることを願います。パソコンの所持率は,それを可視的に見て取る指標であるともいえるでしょう。

2019年7月1日月曜日

2019年6月の教員不祥事報道

 今日から7月ですね。昨日は記事を書いたので,6月分の教員不祥事報道の整理を今日します。

 先月,私が把握した不祥事報道は39件です。生徒の個人情報を流出させてしまった事案が多く見られます。生徒の個人情報をUSB等に入れて校外に持ち出す際は,管理職の許可が要るとされます。

 2010年頃までは,学校における個人情報の取り扱いについて,教員採用試験でよく聞かれてましたが,最近は出なくなっています。しかしこうも不祥事が起きていると,再び当局の通知が出題されるようになるかもしれません。受験者は,文科省HPをまめにチェックしておきましょう。

 私は,1日1回は見るようにしています。先ほどのぞいてみたら,学校教育の情報化の推進に関する法律が成立したとあるではありませんか。日本の教育の情報化(ICT化)は,世界で最低レベルなんですが,これを改善しようと,法律までできたのは大きな意義があると思います。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1418577.htm

 2018年の若者調査で,日本の生徒のPC所持率が格段に低いことが露わになりました。学校の側が,PCを必須ならしめる環境を用意していないことも原因かと思います。
https://twitter.com/tmaita77/status/1145310471664197632

 今日から7月です。梅雨明けはまだ先のようで,曇天の日が続き,気が滅入ります。ブログの背景だけでも,晴れ模様にいたしましょう。

<2019年6月の教員不祥事報道>
高校教諭が酒気帯び容疑 研修会の帰りに運転中スマホ操作
 (6/1,河北新報,宮城,高,男,41)
作新ボクシング部監督資格停止に(6/2,NHK,栃木,高,男)
少女にみだらな行為疑い 教諭逮捕、愛知県警
 (6/4,日経,愛知,特,男,29)
女子高生にホテルでわいせつな行為 公立中教諭を容疑で再逮捕
 (6/4,京都新聞,京都,中,男,34)
「仕事でストレス」小6女児にわいせつ行為
 (6/5,産経,東京,高,男,30)
SNSで知り合い少女に裸の写真送らせる 高校教諭逮捕
 (6/5,神戸新聞,兵庫,高,男,41)
前日に飲酒で酒気帯び摘発 秋田・北秋田市の小学校教諭 停職1年
 (6/5,秋田テレビ,秋田,小,男,54)
校内で同僚盗撮 講師を懲戒免職(6/6,NHK,秋田,中,男,28)
静岡の中学教諭逮捕 男子高校生に淫行疑い(6/6,産経,静岡,中,男,27)
生徒に不適切発言で教諭に戒告(6/6,NHK,鹿児島,高,男)
修学旅行先で利き酒、校長停職 福岡の中学、主幹教諭
 (6/6,中日新聞,福岡,中,男,50代)
教え子女児に強制性交疑い 青森、小学校教諭の男逮捕 
 (6/7,産経,青森,小,男,44)
部活終えた女子生徒を車に乗せ太ももなど触る
 (6/10,東海テレビ,岐阜,高,男,37)
体罰:児童けが、教諭を減給処分 平生の小学校
 (6/11,毎日,山口,小,男,40)
わいせつなどで教員と教頭処分 県教委
 (6/11,岐阜新聞,岐阜,わいせつ:高男37,窃盗:中男53)
島根県の新人教員2人を懲戒処分 県教委は採用方法検討
 (6/12,山陰中央テレビ,島根,盗撮:小男23,住居侵入未遂:男)
同日に同い年の男性教師2人が同じ理由で懲戒免職 少女に現金渡してみだらな行為 
 (6/12,東海テレビ,愛知,中男37,高男37 教諭)
富山西高教諭を書類送検 女子大生にストーカー疑い
 (6/14,北日本新聞,富山,高,男,40代)
体罰で野球部元監督を戒告処分(6/14,NHK,兵庫,高,男,53)
偽造した印鑑で文書作成の高校教諭を停職(6/15,産経,兵庫,高,女,60)
懲戒処分:同僚の体触る 39歳教諭停職 県教委
 (6/15,毎日,広島,小,男,39)
「支払ってもらっただけ」恐喝容疑の教諭逮捕
 (6/16,神奈川新聞,神奈川,中,男,39)
県立高校教師の女が”飲酒運転”で逮捕(6/17,九州朝日放送,福岡,高,女,48)
速度超過繰り返し免許取り消し、報告せず 28歳の中学校教諭を処分
 (6/18,神戸新聞,兵庫,中,男,28)
生徒の個人調査票を紛失…岐阜県立加納高校の女性教諭
 (6/18,CBCテレビ,岐阜,高,女,30代)
四天王寺高校 非常勤講師の男が児童買春疑いで逮捕
 (6/19,MBS,大阪,高,男,57)
高校の男性教諭が男子生徒を道路脇の斜面に突き落とす
 (6/21,共同通信,静岡,高,男)
松戸市の中学校教諭 USBメモリ紛失 在校生822人分の個人情報含む
 (6/22,NHK,千葉,中,男,30)
水泳授業の見学、生理日数を申告させる(6/22,朝日,滋賀,高,男)
中学校男性教諭が酒気帯び運転で検挙・学校の慰労会後に
 (6/23,FNN,山形,中,男,20代)
個人情報:生徒130人分のファイルを紛失 教諭を減給処分
 (6/25,毎日,群馬,中,男,67)
10代少女を車内に監禁の疑い 教員の27歳男を逮捕
 (6/26,朝日,群馬,男)
中学生に炎天下の校庭を3時間走らせる体罰(6/26,産経,千葉,中,男,32)
柔道部員と乱取りし骨折、報告も怠る 高校教諭を停職
 (6/26,朝日,宮崎,高,男,30代)
児童福祉法違反の中学校教諭が懲戒免職(6/27,NNN,石川,中,男,27)
講師が答案書き換え、20人以上の点数上げる
 (6/27,京都新聞,京都,高,女,50代)
大阪府教委が高校教諭を懲戒免職に 女性の胸元を盗撮容疑で逮捕
 (6/28,毎日,大阪,高,男,29)
女子生徒にセクハラ発言、30代男性教諭を懲戒処分
 (6/28,日刊スポーツ,大阪,中,男,30代)
女子学生触ったか 中学教諭逮捕(6/29,NHK,神奈川,中,男,25)

2019年6月30日日曜日

無理をしている借家世帯

 暮らしの豊かさを測る指標として,収入(所得)が取り上げられますが,生活には支出が伴います。食費や娯楽費などは節約がききますが,毎月必ず定額を払わないといけないものがあります。その代表格は住居費,借家世帯でいうと家賃です。

 生活のゆとり(余裕)は,収入と家賃を対比してうかがうこともできます。たとえば,年間家賃が年収の何%かです。この指標は不動産業界でもよく使われます。最近は,アパートを借りる際,連帯保証人は立てなくていいから家賃保証会社を使ってくれと言われますが,私は今の部屋を借りるとき,審査パスの目安は「家賃/年収」比が25%までです,と言われました。

 年収300万円だと,年間家賃は75万円まで,月家賃だと6.3万円が限度ということになります。しかし,このレベルを超えてしまっている世帯もあるでしょう。ここで明らかにしたいのは,こういう無理をしている世帯がどれほどあるかです。「住」は生活の基盤ですが,この面の支援が希薄なわが国では,重い住居費の負担に苦しんでいる世帯が少なくないと思うのです。

 そうですねえ。試みに,「家賃/年収」比が3割を超える世帯の数を出してみましょうか。総務省の『住宅土地統計』(2013年)に,借家世帯の年収と月家賃のクロス集計表が出ています。表184-3-1「主世帯の年間収入階級(10区分),1か月当たり家賃(10区分)別借家(専用住宅)数―市区 」という表です。

 年収と家賃の区分は,以下のようになっています。それぞれ10の階級に区分されています。


 ちょっと乱暴ですが,各階級に含まれる世帯の年収ないしは家賃を,カッコ内の階級値で代表させます。年収が200万円台(③)の世帯は,一律中間の250万円とみなすわけです。家賃がFの階級の世帯は,同じく中間の5万円とみなします。

 このような仮定を置くことで,クロス表の各セルの世帯について,「家賃/年収」比を計算できます。たとえば「年収④×家賃F」の世帯の場合,以下のようになります。

 「家賃/年収」比=(5万円×12か月)/350万円=17.1%

 このようにして,合計100のセル(10×10)の「家賃/年収」比を出せます。30%(3割)を超えるセルに黄色マークをつけると,以下のようになります。


 「家賃/年収」比が3割を超える世帯は,黄色マークのセルの世帯数を合算することで出てきます。東京都内23区だと,86万9960世帯です。年収と家賃の双方が分かる借家世帯数(205万170世帯)に占める割合は,42.4%となります。

 年収300万円で,家賃7.5万円以上の部屋を借りているような世帯です。大都会の23区では,こういう無理をしている世帯が借家世帯の4割以上であると。

 ちなみに●をしたのは,「家賃/年収」が5割,半分を超えるセルです。年収300万円だと,年間家賃は150万円,月家賃12.5万円以上の部屋に住んでいる世帯ですね。多額の貯金でもない限り無謀といえるレベルですが,同じく都内23区だと,こういう世帯は34万4160世帯,借家世帯全体の中での割合は16.8%となります。およそ6分の1です。

 大都会の東京23区にスポットを当てていますが,無理をしている世帯が多いようです。家賃が高いですからね。給与も高いですが,家賃負担はそのメリットを消してしまうほど重し。

 なお,区による違いもあります。無理をしている借家世帯が多いのは,どの区でしょう。都内の23区別に,「家賃/年収」比が3割を超える世帯,5割を超える世帯の割合を算出してみました。以下に,一覧表を掲げます。左は2003年,右は2013年のデータです。


 「家賃/年収」比が3割を超える世帯の率は,23区全体でみると,2003年では37.9%でしたが,2013年では42.4%に上がっています。4割を超える区は,10年間で9区から16区に増えています(色付き)。2013年の中野区と渋谷区では,借家世帯の半分以上が無理をしている世帯です。

 「家賃/年収」比が半分を超える世帯の率も増えています。2013年だと,新宿区,文京区,台東区,渋谷区,中野区,豊島区で2割超えです。この中には単身の学生世帯も含まれますが,勤め人だと,家賃を払うために働いているようなものです。

 家賃負担に苦しむ世帯の広がり。「家賃/年収」比が3割以上の世帯の率を地図に落とすことで,可視化しておきましょう。


 「家賃/年収」比が3割以上とは,以下のような世帯のことです。

 年収200万円 ⇒ 家賃5.0万以上
 年収300万円 ⇒ 家賃7.5万円以上
 年収400万円 ⇒ 家賃10.0万円以上
 年収500万円 ⇒ 家賃12.5万円以上

 私からすれば「これは苦しい!」の一言です。私なら,年収300万円の身で,家賃7.5万以上の部屋を借りようなどとは思いません。皆さんはどうでしょうか。上記のマップで色が付いた区では,こういう世帯が借家世帯の4割以上を占めるのです。

 昨日,このデータをツイッターで流したところ,「都心ならこんなもんだろう,当たり前」というリプが多数でした。貧乏性の私の感覚がズレているのでしょうか。「苦しいなら郊外に移ればいいだけ」という声もありましたが,それだと長時間の通勤地獄に晒されます。都心に通うリーマンの場合,金銭的・時間的・精神的コストの上昇で,苦しみの総量は増えちゃうかもしれません。

 どうあがいても都心での暮らしは大変,なので地方に移住してください。政府はこう言いたいでしょうが,それで済ますのは怠慢というもの。労働者の収入は減る一方で,家賃は上がっています。重い家賃負担に苦しむ世帯が増えているのは,その結果です。諸外国と比して希薄といわれる「住」の支援を充実させる。事業所の郊外移転を促すなどの施策は,政府がなすべきことです。

 私は過日,毎日新聞にて「8050問題」についてコメントしました。50歳男性の親同居・未婚無業者比率の都道府県差に,記者さんが興味を持ってくれたからですが,最近では都市部でも率が上がっていることについて,「家賃が高騰していることも原因ではないか」と申しました。
https://mainichi.jp/articles/20190623/k00/00m/040/068000c

 実家に籠っている中高年の離家を促すにしても,アパートの家賃がこうも高くては,なかなか上手くいきますまい。まずは実家から出し,少しずつ就労させるという段階的な支援が基本ですが,ちょっと働くだけで払えるレベルではないのです。

 「住」は生活の基盤。この面の支援を怠り続けるならば,「8050」のような問題も深刻化してしまうでしょう。まあ近い将来,家が空から降ってくる時代になるという,楽観的な予測もできなくはないのですが。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/0.php

2019年6月23日日曜日

教員の勤務時間の国際比較(2018年)

 OECDの国際教員調査「TALIS 2018」の結果が公表されました。新聞で報じられましたので,ご存知の方が多いかと思います。

 2013年調査に続き,日本の教員の勤務時間は世界一という結果で,教育関係者の間では「またか」と落胆が広がっています。日本の結果報告書は,国立教育政策研究所のHPでアップされています。国別の詳細データを見たいという方は,OECDのHPに飛ぶといいでしょう。

 しかし,公表されているのは各国の教員全体のデータであるようです。世界を見渡すと,教員の半分以上がパートタイムという国もありますので,国際比較に際しては,フルタイム勤務の教員の限定する必要がありそうです。となると,個票データに当たらないといけません。

 個票データは,下記リンク先でダウンロードできます。ファイルがとても大きいので,教員調査は3つに分割されています。私は一つのエクセルにまとめ,コンプリートのデータベースを作りました。ファイル容量は219MB! これを開くとPCの動作が不安定になりますが,セーフモードで開くとバグるを幾分か抑えることができます。
http://www.oecd.org/education/talis/talis-2018-data.htm

 分析の第一報を書きます。世間の関心事である,教員の勤務時間についてです。教員調査の問16にて,調査日からした直近の1週間の総勤務時間を書き込んでもらっています。平均値に丸める前に,大雑把な分布をみてみましょう。下の図は,主要国の中学校教員(フルタイム勤務)の分布図です。ドイツは,調査に参加していません。


 日本は,半数以上が週60H時間と答えています。週5日勤務とすると,1日12時間以上です。立派な過労死予備軍といえるでしょう。日本の中学校をのぞいてみると,そういう教員が全体の6割近くもいます。

 それに対し,韓国とフランスでは,半数近くが週40H未満勤務となっています。いいですねえ。韓国は,日本と同じく長時間労働の国として知られていますが,教員は別なようです。給与も高く,教員は社会的地位の高い職業として,若者の志望率も高いそうな。フランスは,一週間無休で営業したパン屋が罰せられるような国で,国民全体の労働時間も短いのですが,教員も例外ではないようです。

 北欧も短いですね。デンマークは,9割が週50時間未満です(日本は2割未満)。ICTの先進国ですが,こういうテクを活用して,教員の過重労働を抑制しているのでしょう。庶務連絡はネット経由で,大量に紙を刷って配るなんてことはしません。

 分布についてイメージを持ったところで,平均値(average)を出してみると,日本は59.3Hにもなります。週60Hが,フツーの中学校教員の働き方であると。異国の人にすれば,クレイジーに映るでしょう。韓国は34.1H,アメリカは47.1H,イギリスは50.2H,フランスは38.7H,スウェーデンは44.1H,デンマークは40.2H,となっています。

 主要国の中でも日本の特異性は明瞭ですが,比較の射程をもっと広げましょう。47か国について,中学校のフルタイム教員の週間平均勤務時間,ならびに週60H以上勤務者の割合を出してみました。結果を端的に伝えるべく,横軸に前者,縦軸に後者をとった座標上に,47の国を位置づけたグラフにしてみます。「瑞」はスイスではなく,スウェーデンです。


 日本は週の平均勤務時間が59.3H,長時間労働者率が56.7%という数値ですが,国際的な布置図でみると明らかにぶっ飛んでいます。2013年調査でも同じようなグラフになりましたが,5年を経た2018年でも変わっていません。教員の過重労働,世界一の国です。

 異国の人にすれば,「おお,さすがはジャパン。教員がすごく熱心に授業をしているから,国際学力調査でいつも上位なんだな」と思われるかもしれません。しかし,授業時間・授業準備時間の週平均値は27.4Hで,データが分かる46国の中では28位です。日本の教員の授業時間・授業準備時間は,国際的にみたら少ないほうです。

 週の総勤務時間は59.3Hで,うち授業・授業準備時間は27.4H。後者に占める前者の割合は46.2%となります。日本の中学校教員では,総勤務時間のうち授業・授業準備時間の比重は半分にもなりません。教員の本務は授業であることを思うと,これも「はて?」という感じです。

 この点の国際比較もやってみましょうか。横軸に総勤務時間の平均値,縦軸に授業・授業準備時間の平均値をとった座標上に,データがとれる46国を配置してみました。


 日本は総勤務時間(横軸)は最も長いですが,うち授業時間(縦軸)は短いほうです。授業時間が総勤務時間に占める割合は半分もいかないのですが,こういう国は他にないようです。

 斜線は授業時間比率ですが,イギリスやスウェーデンでは仕事時間の6割,韓国とフランスでは7割,アメリカでは8割が授業です。南米のチリやブラジルでは,この比率は9割を超えます。教員の仕事は授業という割り切りが明確なようです。

 日本の教員の仕事時間は世界一長く,その半分以上は授業や授業準備以外のことに食われていると。会議,事務作業,生徒指導,部活指導…。思い当たる業務は数多くありますが,最後の部活指導を教員がするというのは,日本の特徴であるようです。

 部活は教育課程外の課外活動で,他国にも似たような性格の活動はありますが,教員が指導に当たることはあまりないと聞きます。授業ではない課外活動なので,教員免許状を持たない外部スタッフでOKです。中学校教員に,週の課外活動指導時間を尋ねた結果をみると,これまた日本の特異性が明らかです。


 日本では42%の教員が週10時間以上と答えていますが,こんな国は他にありません。0時間(ほぼノータッチ)の教員の比重が高い国が多く,北欧のスウェーデンやフィンランドでは8割の教員が「ゼロ!」と回答しています。

 そもそも北欧では,学校での部活という概念がないといいます。日本の運動部のような活動は,地域のスポーツクラブ等に委ねられていると。学校外とも連携した,社会全体で子どもを育てるという気風があるのです。

 日本の教員は,いろいろと仕事を負わされている「何でも屋」であるかのようですが,そのことが本務の授業遂行に影響していないか。こう問いたくなる人もいるでしょう。「TALIS 2018」の結果を報じた新聞記事の中に,日本は,生徒に考えさせる授業の実施頻度が低いことを強調したものがありました。調査票をみると,問42の(e)と(f)の集計結果であるようですね。

 前者は「明確な答えのない課題を出す」,後者は「批判的思考力が必要な課題を出す」というものです。「しばしばする」ないしは「いつもする」と答えた教員の比率の国際比較をすると,以下の図のようになります。


 日本は,双方とも低い位置にあります。私の中学時代を振り返っても,こういう授業を受けた記憶はないです。当時と比して受験競争が緩和され,いわゆるアクティヴ・ラーニングの重要性がいわれる現在では変わっているのかと思いきや,そうでないようです。

 型にはめた後は,型を破らせることが必要といいます。後者は,既存のものとは違う新しいものを生み出す力を鍛えることになります。言わずもがな大学ではこちらが重視され,卒業研究では自分で問題を立てて,未知のことを明らかにする作業が求められるのですが,これが不得手な学生さんが多い。高校までの間に,この手の訓練をしたことがないためでしょう。

 日本の先生方も,型を破らせる授業には馴染みがないし,やりたくもないと思っているかもしれません。そういう意識は改めてほしいと思いますが,この手の授業をするには入念な準備が要るのも確かです。日本の教員の勤務時間の長さを考えると,そのための時間が取れない可能性もあります。授業を「練る」余裕がない,ということです。

 以上,「TALIS 2018」のデータをもとに,教員の勤務時間の国際比較をやってみました。残念ながら,5年前の2013年調査でいわれた課題がそっくり引き継がれている形です。

 しかし当局も手をこまねいてはいません。2017年頃から教員の働き方改革の必要がいわれ,具体的な動きも出ています。たとえば中学校教員の過重労働の原因となっている部活動については,部活動指導員というスタッフが法的に位置付けられました。単独で指導や大会引率を行える人です。

 また昨年3月にスポーツ庁が「部活動ガイドライン」を出し,適切な休養日・休養期間を設けること,レク的な部活も認めること,学校外のスポーツ団体や民間事業者等も活用すること,を提言しています。学校が一手に担っている状況の打破です。

 さらに,これまで教員が担ってきた業務を仕分けし,教員が担う必要のない業務,教員の業務だが軽減可能な業務を洗い出しています(中教審答申)。部活指導は前者,学習評価や成績処理は後者に属します。AIにテストの採点をさせるという実践も出てきています。ICT化を押し進め,紙を大量に配る日常を脱したいものです。

 「TALIS 2018」の結果では,こうした改革の成果は見られませんでしたが,改革が緒についたばかりであるためと思いましょう。

 ニューズウィーク記事でも申しましたが,日本は,優秀な人材を教員に引き寄せることに成功してきています。しかし近年は,教員採用試験の競争率は低下傾向。民間が好景気だからと楽観するのは容易いですが,教員のブラック労働が知れ渡ったことによる「教員離れ」が起きている可能性もあります。教員の働き方改革は,職務の専門職性を明瞭にすること,教員を高度専門職に昇華させる契機です。これを進めない限り,他国と同様,優秀な人材は他の専門職に流れてしまうでしょう。

2019年6月18日火曜日

対等夫婦

 現在は,同世代の半分が4年制大学に進学します。昔は大学なんて高嶺の花と諦める家庭が多かったのですが,今では,多くの家庭が子を大学に行かせようと考えています。出生順位なんて関係ないでしょう。できれば,子をみんな行かせてやりたい。

 しかるに,子を2人大学にやるのは生半可なことではないようです。子を2人以上大学ないしは大学院に行かせている世帯の所得分布をとると,半分が1000万円を超えています。東大生の家庭とほぼ同じです。

 このデータをツイッターで流したところ,一馬力ならともかく二馬力ならどうにかなる,「所得というより,生きる意味でのパートナーシップがあるかないか」ではないか,というリプが寄せられました。
https://twitter.com/toki21991/status/1140214017631248384

 個人ではともかく,世帯単位なら1000万を越えるケースは結構あります。進学該当年齢の子がいる親世代の所得中央値は,男性は650万円,女性は350万円ほどです(正社員)。夫婦の合算で1000万円です。

 何度も言いますが,共稼ぎが求められる時代ですよね。夫婦の間に,生きる意味でのパートナーシップを構築したい。きわめて多義的な概念ですが,共稼ぎであること,できれば夫婦が対等の割合の収入があること,また家庭内の家事労働を対等に分担することが望ましい。こういう夫婦は,いつでも柔軟に役割をチェンジし,先行き不透明な中を生き抜いて行けます。

 収入が対等で,家事分担も対等。こういう夫婦は,パーセンテージでどれほどいるのでしょう。おそらく日本ではごくわずかでしょうが,他国では違うような気もします。希望が得られることを願い,数値を出してみることにしました。

 ISSPが2012年に実施した「家族と性役割に関する調査』では,パートナーのいる人に対し,家事分担はどうか,パートナーとあなたのどちらの収入が多いか,と尋ねています,前者はQ18,後者はQ20です。個票データを利用可能です。
http://www.issp.org/data-download/by-year/

 パートナーのいる25~54歳女性を取り出し,「夫が自分と対等以上家事をする」,「夫と対等以上の収入がある」と答えた人の割合を計算しました。また双方の回答をクロスし,どちらにも当てはまる人の割合も出しました。この数値が,先ほど述べた「収入が対等で,家事分担も対等」の夫婦の出現率に相当します。

 手始めに,日本とスウェーデンの比較図をご覧いただきましょう。両方の設問に有効回答を寄せた,25~54歳の既婚女性が母数です(日本は212人,スウェーデンは220人)。結果を面積図で表現しました。


 夫が対等以上家事をするという女性は,日本は32.4%,スウェーデンは53.8%です。日本の数値が高すぎるような気もしますが,それは置いておきましょう。夫と対等以上稼ぐ妻の率は,順に5.6%,38.9%となっています。スウェーデンは,妻の4割が夫と対等以上の稼ぎがあるのですね。

 2つの正方形が重なった緑色のゾーンは,双方の条件を満たす女性の比重です。夫が自分と対等以上家事をし,かつ夫と対等以上の稼ぎがある女性の率。日本は1.9%,スウェーデンは20.5%と出ました。生きるパートナーシップが構築された対等夫婦の出現率は,日本は53分の1ですが,スウェーデンは5分の1であると。

 さもありなんという結果ですね。しかし,男女共同参画先進国のスウェーデンとの比較は極端じゃね?という意見もあるでしょうか。では,調査対象41か国全ての計算結果を見ていただきましょう。上図でいう赤色(家事対等),青色(収入対等),緑色(両方!)の比重の一覧です。


 いかがでしょう。3つの数値とも,日本は低い位置にあるようです。夫と同等以上の稼ぎのある女性,家事・稼ぎの比重が夫と対等以上の女性の率は,41か国の中でダントツの最下位となっています。

 口先の意識の上では,日本のジェンダー観は薄くなっているといいますが,こうして行動のレベルでみると,薄まっているどころか,未だにワーストであることが分かっちゃいます。

 右端の「対等夫婦」の出現率が2割を超える数値は赤字にしました。首位は,ポルトガルの36.1%です。この南欧国では,既婚女性の3人に1人が「夫が自分と対等以上家事をし,自分は夫と対等以上の収入がある」と答えています。あくまで自己評定であることに注意が要りますが,スゴイですね。

 2位はインドの29.3%です。性役割観が強い社会のように思えますが,男性が怠けるので,あくせく頑張る女性が多いのでしょうか。東欧の旧共産圏の社会でも比較的高いようですが,国民皆労働の伝統が強いためか。

 右端の数値を高い順に並べたグラフにしておきます。


 パートナーと「生きるパートナーシップ」を築いている女性の出現率です。今から7年前のデータですが,日本のこの無様な位置は,目に焼き付けておいていいでしょう。

 しかし,夫と家事や稼ぎの比重が対等であるからといって,妻の心中が晴れやかであるとは限りません。女性がバリバリ働くのが当然の旧共産圏の女性は,日本の女性を羨ましがるといいます(主婦なんて夢のようだと)。

 日本の場合,対等夫婦の女性のサンプルがわずかしかないので検証できませんが,他国のデータにて,幸福度の設問とのクロスをしてみると,多くの国において,この群の女性の幸福感は,他の女性よりも高くなっています。

 担うことのできる役割には,なるべく幅を持たせておいたほうがいい。稼ぎのない女性はDVや貧困と常に背中合わせですし,家事スキルのない男性は,定年後はただの「お荷物」です。日本では,妻に去られた(死なれた)高齢男性の自殺率はべらぼうに高し。

 日本では2%もいない対等夫婦ですが,柔軟に夫婦の役割がチェンジできるのでいいですよね。どちらか一方が,学校で学び直しをするなんてのもできる。日本は,男女の性役割分業で社会が築かれてきた経緯があり,仕事・家事の双方に求められるレベルがとても高くなっています。両方するなんてムリ,どちらか一方に特化すべし。そこで仕事は男性,家事は女性の専業になったと。

 しからば,2つの役割遂行のレベルを下げてしまえばいい。私が何度も言っている「ゆる勤」「手抜き家事」のススメです。これが不可能でないことは,欧米社会のルポを読むとよく分かります。
https://twitter.com/tmaita77/status/1127339881259134976

 対等夫婦を増やす策として,保育所増設だの,3世代同居を推奨だの言われそうですが,それは今の高いレベルの就労・家事への適応を前提とした話(保育所増設には賛成ですけど)。これでは,とりわけ女性は地獄をみます。子をあやしながら仕事していい,店のレジ係は座っていていい…。平時の料理はとことん手抜き。

 諸外国にて,対等夫婦の出現率が日本よりはるかに高いのは,こういう戦略が社会の隅々にまで浸透しているからではないでしょうか。高齢化が進み,国民の多数が体力の衰えた高齢者になる日本において,模倣すべきであるのは明らかでしょう。

2019年6月11日火曜日

月収のデータを知らぬ広告

 阪急電鉄の車内広告が炎上しています。以下のような文章が書いてあります。
https://mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/040/238000c

 毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか,30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と,どっちがいいか?

 月収は50万円がスタンダードで,30万円は低い部類だ,と言っているかのようです。SNSでは「世間の感覚とズレている」「30万のどころか,その半分しかもらえていない」といった声が上がっています。私も,そう言いたいです。

 上記のフレーズには,50万と30万という数字が出てきますが,今の労働者の月収をこのラインで区切った分布をご覧に入れましょう。10人以上の民間企業に勤める一般労働者の月収分布で,2018年6月のものです。同年の厚労省『賃金構造基本統計』によります。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

 一般労働者とは,パート等の短時間労働者を除く労働者です。フルタイム就業者とほぼ同義とみていいでしょう。


 どうでしょう。阪急の広告で暗に「低い」と言及されている30万のラインですが,この線を超える労働者は多くありません。40~50代の中高年でやっと半分を超える程度です。ましてや,50万を越える人などマイノリティーです。

 問題の広告は,水色のゾーンの人たちの反感を買ったのではないかと推測します(私もその一人です)。広告の作成者は,月収30万にいかない人なんてそういないだろう,と読んだのでしょうが,さにあらず。これが今の日本の現実です。

 しかしまあ,広告を作る過程で「おかしい」と異論が出なかったのでしょうか。大手の広告代理店に作成を委託したと思われますが,そういう所に勤めている人は,収入の感覚が世間一般とズレているのかもしれません。

 1000人以上の大企業に勤務する,大学・大学院卒の男性労働者に絞って同じ図を作ると,以下のようになります。


 先ほどの労働者全体の図と,模様が大きく異なります。この集団だと,月収50万がスタンダードで30万は低い,と言えなくもないです。広告を作ったのは,もしかするとこういう人たちだったのかもしれないですね。

 悲しいかな,全労働者の数パーセントしかいないであろう,勝ち組?集団によって作られた広告は,世間様の反感を買い,車中から撤去される運びとなりました。ぎゅうぎゅうの通勤電車の中,こんな広告が目に入ったらストレスも倍増するというものです。

 阪急電鉄は反省の意を示し,今後はチェックを強化すると述べています。結構なことですが,社内ではなく,外部人材のチェックを経るべきでしょうね。私がモニターだったら,間違いなく上記のようなデータを示してダメ出しをするところです。

 ネットメディアの隆盛によりフェイクニュースが増える中,ファクトチェックや質の担保をどうするか,という問題が出てきています。手間がかかるのはもちろん,それなりの専門知も必要で,誰にでもできる仕事ではありません。

 そこで,無職博士のチカラを借りるのはどうでしょう。4月15日の文春オンラインの記事にて,「ガードマンや店員として働いている人文系の博士に2万円を払い,ザっとチェックしてもらうだけで,メディアの質は大幅に高まる」と言われています。その通りかと思います。
https://twitter.com/tmaita77/status/1117639837568233472

 情報化社会では,各種の媒体を通して,いろいろな創作物が飛び交いますが,フェイクの排除,不正(盗用など)の摘発,クオリティの担保に際して,浪費されている知的人材のパワーを使わない手はありますまい。実は私も,ある会社と長いことお付き合いし,この手の仕事をさせていただいています。定収入が得られ,助かる限りです。

 阪急の広告騒動を機に,知的人材の活用の在り方も考えてみてはどうでしょう。

2019年6月8日土曜日

8050問題

 8050問題という言葉をよく聞くようになりました。80代の老親と50代の子が同居している世帯に関わる問題です。

 中高年が親と同居したっていいのですが,仕事もせず家に引きこもって,基礎的生活条件を親に依存し続けるのはちょっと心配。親はいつまでも元気ではありません。同居(寄生)させている親の側は,「私がいなくなったらこの子はどうなるのか…」と気をもんでいます。

 寄生している子も心中は穏やかでなく,劣等感や将来への絶望感に苛まれているケースが多し。それが暴発したのが,先月に川崎市で起きた通り魔事件でした。容疑者は,叔父夫婦と同居する51歳の男性で,長らく引きこもりの状態にあったとのこと。数日後には,同じような凶行を起こしかねないと,年老いた元官僚が,同居する40代の息子を刺し殺す事件も起きています。

 今回の容疑者と似たような生活条件にある人は,統計でみてどれほどいるのでしょう。2015年の『国勢調査』によると,親と同居している,45~54歳の未婚・非就業の男性は23万4639人となっています。2005年では,16万911人でした。10年間で1.5倍に増えています。

 中央の50歳をとると,2005年は1万5735人,2015年は2万3398人となります。50歳人口に占める割合は,順に1.9%,2.7%です。2015年でいうと,50歳男性の37人に1人が,親同居の未婚無職者ということになります。

 この比率は地域別に出すこともできます。2005年と2015年について,47都道府県別の数値を計算し,高い順に並べてみます。50歳男性のうち,親同居の未婚無業者が何%かです。


 3.0%以上は濃い紫,2.5%以上3.0%未満は薄い紫をつけました。この10年間で,不穏なゾーンが広まっているのが分かります。50歳の親同居・未婚無業男性の率が3%を超える県は,2015年では4県でしたが,2015年では25県と半数を超えます。

 上記の3段階で,47都道府県を塗り分けた地図はツイッターで流しました。10年間の変化を俯瞰できます。
https://twitter.com/tmaita77/status/1136946959489486848

 上位には地方周辺県が多くなっています。雇用がないためでしょうか。家が広い,親が勤勉志向で貯蓄がそこそこある,というように,子をパラサイトさせる条件もあるのではないかと思います。

 大都市内部の地区別にみると,社会学的な背景も浮かび上がってきます。東京都内の23区別に同じ数値を算出し,地図に落としてみます。都内の地区レベルだと,50歳だけでは分子の人数が小さくなるので,45~54歳に射程を広げていることを申し添えます。


 どうでしょう。相対水準による色分けですが,親同居の未婚無業男性の出現率には,地域性があるのが知られます。北部や東部で高し。アラフィフ男性の所得や大卒率とも相関しており,教育からの疎外との関連がうかがわれます。不利な生活条件が世代を超えて引き継がれやすい,という事実もです。

 50にもなって,結婚も仕事もせず,親のすねをかじりながら実家に居座るなんて…。いぶかしく思う方もいるでしょう。親はいつまでも元気ではない。家を継ぐとしたら相続税を払わないといけない。今のぬるま湯は,やがては水風呂,いや氷風呂になる。

 事態を憂いて,1999年の山田昌弘教授の『パラサイトシングルの時代』では,親同居税の導入が提案されています。しかるに,若い人の場合はいささか「甘え」の部分があるでしょうが,50代になるまで未婚・無業で親と同居し続けている人の心中は,それとは違うと思います。

 中高年の親同居・未婚無業者率は地方で高いのですが,都会でブラック企業に痛めつけられて帰郷したという人もいるでしょう。地方では周囲の目も厳しい。今の状態を,心地よいぬるま湯と思っている人は,あまりいないのではないか。


 上記の表は,アラフィフの無職男性で求職活動をしていない人に,その理由を尋ねた結果です。半分近くが「病気・けがのため」となっています。この中には,メンタルの病も含まれるでしょう。

 長らく社会とのつながりを断って(断たれて)暮らしてきた人には,精神を病んでいる人も多し。こういう人たちを社会につなげるに際しては,段階的な取組が必要です。たとえば,当人が興味を持っていることを認め,それを糸口にすることです。引きこもりにはゲーム好きが多いですが,それを逆手にとった「eスポーツ」による就労支援の取組には興味が持たれます。
https://twitter.com/tmaita77/status/1135526938569654272

 また,ゆるい働き方を認めることも大切。生活保護受給者に就労指導が入る際,いきなり1日8時間のフルタイム就労を促されるといいますが,これはよくない。段階的にインクルージョンを進めていくことが求められます。

 中には,教員免許状のような高度な資格を持っている人もいます。昨今,学校も人手不足に悩んでいますが,こういう人たちをパート勤務で雇ってみたらどうでしょう。オランダでは,中学校教員の半数がパート勤務です。こういう「ゆる勤」を取り入れることで,ワークシェアリングが進み,教員のブラック労働も是正されることになります。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-11922.php

 目的をもって好きなことにのめり込んでいる,ちょっとの時間でも就労している,社会と接している…。こういう条件を満たす人は,引きこもりではありません。まずは,これを満たすことからです。

 こういう取組を契機に,社会全体に「ゆる勤」を広めるといいでしょう。上記リンク先のニューズウィーク記事で申しましたが,国民の多数が体力の弱った高齢者になる時代,そうでないと社会が回りそうにないです。幸い,AIの台頭によりそれが可能な見通しになっています。20世紀は「フルタイム(正社員)」の時代でしたが,21世紀は「パート」ないしは「フリーランス」の時代です。

 8050問題は,日本社会全体を未来型に変身させるカギを内包しているともいえるでしょう。

2019年6月1日土曜日

子どもの生活安全度

 川崎市で通り魔事件が起き,2名が犠牲になりました。そのうちの1人は,小学校6年生の女子児童です。

 「どういう世の中になってしまったのだろう」と,人々は恐怖に慄いています。あまりの恐怖に,監視カメラの網を張り巡らせるべきだとか,登下校の子ども1人1人にできる限り大人が付き添うべきだ,という意見も出ています。子を持つ親にすれば,こうも言いたくなるかもしれません。

 不遜ですが,数でみて,殺される子どもはどれほどいるのでしょう。厚労省『人口動態統計』の死因統計に「他殺」というカテゴリーがあります。最新の2017年統計によると,他殺という死因による0~14歳の死者数は29人となっています。

 「1年間で,こんなにも多くの子どもの命が奪われているのか」と憤慨されるでしょうか。しかし,70年ほど前の1950(昭和25)年の統計にて,同じ数を拾うと732人となっています。現在の25倍です。戦後初期の頃は,1年間で732人,均すと1日2人の子どもが殺されていたわけです。

 ラフな10年間隔の推移をたどると,以下のようになります。


 きれいな右下がりの傾向になっています。時代と共に,凶行の犠牲となる子どもは減ってきています。むろんこの数はゼロにならないといけないのですが,子どもの生活安全度が向上してきているのは確かです。

 「子どもが減っているからだろ」と思われるかもしれません。事故死や自殺など,他の危険指標も見たいとう要望もあるでしょうか。それにお応えいたしましょう。0~14歳の人口,交通事故死者数,自殺者数も揃えてみました。


 少子化により,子ども人口は減ってきています。1950年では2942万人でしたが,前世紀の末に2000万人を割り,2017年では1540万人となっています。戦後初期の頃に比しておよそ半減です。

 しかし,交通事故死者や殺人被害者のほうは,それよりもずっと速いスピードで減っています。下段の指数(1960年=100)をみると,それがよく分かるでしょう。ただ,自殺だけは要注意信号のようですが。

 総じて,子どもの生活安全度は昔に比して上がっています。にもかかわらず,「子どもが危険だ」と,世間はパニック状態です。

 ここにて,ハンス・ロスリングの名著『ファクトフルネス』の一節が想起されます。突発的な事件,センセーショナルな報道により,社会が悪くなっていると思い込む「ネガティブ本能」が働きやすくなると。こういう状況下では,監視カメラの増設だの,社会の異分子の排除だの,極端な意見も支持されやすくなります。

 怖いのは,こういうふうに歪められた世論に押されて,政策が決定されることです。とりわけ教育の分野では,それが起きる危険性が高いです。私見ですが,2015年の「道徳の教科化」は,上記のようなネガティブ本能に押されて実施されたのではないかと思っています。

 学者や評論家の仕事は基本的には問題提起であり,「今の社会は悪い」「ここが問題だ」と言います。「今のままでOK,何もしなくていい」などとは言いません(言えません)。しかし『ファクトフルネス』でも言われていますが,「悪い」と「良くなっている」は両立します。前者は今の状態であり,後者は過去からした変化です。この両輪をバランスよくとらえ,歪んだネガティブ本能が暴走するのを抑えたいものです。

 さしあたり力点を置くべきは,被害予備軍のガードよりも,凶行を生まないための環境づくりでしょう。メンタルケアや福祉の拡充は,その中核に位置します。増加傾向にある子どもの自殺防止と同時に,極刑をも恐れぬ「無敵の人」をなくすことにもつながります。

 ロスジェネには,「無敵の人」の予備軍が多くいそうで怖い。朝日新聞の取材でも申しましたが,就労のハードルを下げ,パート等の「ゆるい」働き方を普及させ,精神を病んだ人をも包摂するインクルージョンを進めるべきです。AIの恩恵は,それに活用されるべし。
https://digital.asahi.com/articles/ASM4T747JM4TULZU017.html

 話が逸れましたが,揺るぎない事実を知るのは,とても大事なことです。これからも,それに寄与する仕事をしていきたいと思っています。

2019年5月31日金曜日

2019年5月の教員不祥事報道

 5月は今日でおしまいでした。晩御飯を食べ,お茶を飲んでいるときに思い出し,慌ててツイログを掘り返しました。時の流れは早し。最近は,月曜が始まったらもう週末,というふうに感じられます。年のせいでしょうか。

 今月,私がネットで把握した教員不祥事報道は46件です。教頭が若手女性教員に「君を食べちゃう」と言った事案。43歳ってことは,私と同世代。こういう人がよく,若くして管理職試験にパスしたもんだと思います。

 教師がいじめに加担するという事案もあり。いじめが社会問題化するきっかけとなった,1986年の中野区の中学校のいじめ自殺事件。被害生徒の「葬式ごっこ」に教師も参加したといいます。30年を経た今で,このようなことが繰り返されることに,ショックを覚えます。

 小学校の若手女性教員がテストの採点を怠っていた事案。「余裕がなかった,授業を終わらせることを優先した」と当人は話しているとのこと。教員の本務は授業で,テストの採点等は,教員が担うべき業務であるものの,補助スタッフの力を借りることで負担軽減可能と,中教審答申で指摘されています。情状酌量の余地のあるケースです。
https://twitter.com/tmaita77/status/1130803014271291392

 教員の業務の仕分けについては,最近の教員採用試験でよく出ますので,受験者は知っておきましょう。

 明日から6月,暦の上では夏です。今年はエルニーニョ現象とやらで冷夏になるという予測もありますが,熱中症には気をつけましょう。背景を五月雨模様にチェンジします。

<2019年5月の教員不祥事報道>
小学校教諭が住居侵入容疑で逮捕(5/4,NHK,島根,小,男,34)
部活の顧問が「殺すぞ」と暴言吐き指導 中3女子自殺の一因か
 (5/6,読売,茨城,中,男)
中学校の男性教諭がスマホを女生徒のスカートの下に入れ盗撮し停職処分に
 (5/8,CBCテレビ,愛知,中,男,28)
岐南中の教頭が7000円持ち去る 岐阜市のパチンコ店
 (5/8,岐阜新聞,岐阜,中,男,50代)
盗撮などで公立学校の男性教諭3人を停職処分(5/9,中京テレビ,愛知,盗撮:中男28,生徒と交際:高男28,わいせつ:中男39)
小学校教諭 酒気帯び運転の罪で略式起訴(5/9,FNN,秋田,小,男,50代)
県立高 全校生の個人情報盗難か(5/9,NHK,茨城,高,男)
全国Vの高校バレー部で体罰 20代コーチ、部員を複数回平手打ち
 (5/9,神戸新聞,兵庫,高,男,20代)
酒気帯び運転疑い小学校教諭逮捕(5/10,NHK,福岡,小,男,57)
元教え子に半裸画像送らせる 中学教諭逮捕
 (5/10,読売テレビ,京都,中,男,33)
1月に人身事故、小学教諭を県教委が戒告処分に
 (5/10,秋田魁新報,秋田,小,男,20代)
サッカー部コーチが暴言と体罰 群馬・桐生第一高 (5/10,産経,群馬,高,男)
女子高生のスカート内にスマホ自称府立高教諭を逮捕 
 (5/11,日刊スポーツ,大阪,高,男,57)
バイクを置いて逃げ・・・酒気帯び運転容疑(5/11,FNN,大阪,小,男,38)
小学校教諭を住居侵入容疑で逮捕(5/12,NHK,長野,小,男,25)
41歳中学教諭「気持ち抑えられず」女子高校生にわいせつ容疑
 (5/13,NHK,千葉,中,男,41)
小学校教諭がテスト実施怠る(NHK,広島,小,女,20代)
改元10連休に“無銭宿泊” 中学教諭ら逮捕(5/14,北海道,中,男,29)
現金1万円盗む 講師を懲戒処分(5/14,NHK,栃木,小,男,53)
女子生徒にわいせつ行為 男性教諭を懲戒免職
 (5/14,テレ玉,埼玉,中,男,28)
体罰の小学校教諭処分 札幌市教委
 (5/16,北海道新聞,北海道,小,男,50代)
クラス目標欄に教諭、中3男子を「皆でいじめよう」
 (5/17,読売,福島,中,男,48)
中学校講師がわいせつ行為で逮捕(5/17,NHK,愛知,中,男,47)
小学校講師 実は免許なし、授業も無効で子どもは補習
 (5/17,TBS,千葉,小,男,23)
小学校教諭 道育成条例違反疑い(5/17,NHK,北海道,中,男,24)
中学教頭が体罰で減給処分(5/17,NHK,和歌山,中,男,50代)
児童の頭たたき、校長に「つねった」とウソ報告
 (5/17,読売,鹿児島,小,男,50代)
女性の胸元を盗撮した容疑で高校教諭を逮捕
 (5/19,産経,大阪,高,男,29)
少女に淫らな行為で中学教諭逮捕(5/21,NHK,石川,中,男,27)
女子生徒に不適切行為 停職処分(5/22,NHK,新潟,高,男,30代)
野球部員が投げられ前歯2本を折るけが 男性教諭を戒告処分に
 (5/23,産経,静岡,高,男,30)
10代の少女を買春 私立高の非常勤講師を逮捕 
 (5/23,産経,大阪,高,男,57)
児童に体罰、小学校教諭を処分 川崎市教委、別の教諭は盗撮で停職
 (5/23,神奈川新聞,神奈川,体罰:小男34,盗撮:小男31)
戒告処分:男子児童たたいた男性教諭を(5/24,毎日,神奈川,小,男,34)
帰宅中人身事故、教諭2人を戒告 県教委が処分
 (5/24,秋田魁新報,秋田,小女20代,小男50代)
盗撮:県立高校の教諭、懲戒免職 「無意識でやった」
 (5/25,毎日,茨城,高,男,52)
教諭を逮捕 酒気帯び運転の疑い(5/26,NHK,奈良,中,男,57)
女子生徒にわいせつ行為か、県立高校の男性教諭
 (5/27,NNN,岐阜,高,男)
障害ある生徒に女性教諭が体罰や暴言(5/28,神戸新聞,兵庫,特,女,29)
懲戒処分:部活動で体罰、高校教諭減給 県教委
 (5/28,毎日,神奈川,高,男,58)
体罰防止誓った会見の2日後、女性教諭が体罰
  (5/28,読売,兵庫,中,女,48)
児童に体罰 男性教諭を停職処分(5/29,NHK,千葉,小,男,36)
生徒とみだらな行為 懲戒免職に(5/30,NHK,北海道,中,男,30代)
道立高の男性教諭、飲酒運転で事故
 (5/31,北海道新聞,北海道,高,男,40代)
強制わいせつなどの罪で刑確定した小学校教諭が失職
 (5/31,宮崎,小,男,58)
教頭「君を食べちゃう」、大阪 八尾市中、部下にセクハラで処分
 (5/31,共同通信,大阪,中,男,43)