世界のスーパースター,大谷翔平選手ですが,年収は日本円にして約150億円だそうです。
この人を加えたら,日本人の平均年収のデータはさぞ釣り上がるでしょう。岩手県のご出身で,現在31歳とのことですが,本県の30代前半男性の年収分布に,この人を加えたらどうなるでしょう。
以下の表は,2022年の『就業構造基本調査』より採取したデータです(統計表リンクはコチラ)。
この表から平均年収を計算してみましょう。度数分布表から計算する場合,階級値を使うのですよね。各階級幅の真ん中の値で,300万円台の人(5900人)の年収は,一律に中間の350万円と仮定します。一番上の1500万円以上の人は,ひとまず2000万円としておきましょう。
この場合,平均年収は,以下のように算出できます。
{(25万×400人)+(75万×700人)+…(2000万×100人)}/23900人=359.0万円
地方の30代前半男性だと,こんなものでしょうか。
では,年収150億円の大谷選手1人を加えると,どうなるでしょう。
岩手県の30代前半男性の平均年収は359万円。しかし,大谷選手1人を加えるだけで60万円ほど跳ね上がり,422万円となる次第です。
代表値としてよく使われる平均値ですが,極端な値によって簡単に吊り上げられる。このことの典型例ですね。
代表値というのは,分布全体の特性を1つの数値にまとめたもので,乱暴という誹りを免れないのですが,それが比較的少ないのが中央値です。ちょうど真ん中の値です。上記の度数分布表から,案分比例を使って中央値を出すと336万円。これは,大谷選手を加えた場合でも変わりません。
極端な値の影響を除去するには,中央値がベターです。