1990年代以降,日本社会に暗雲がたちこめてきたといいますが,そうした闇の広がりを可視化した統計図をつくっています。
昨日,ツイッターで発信した「20代のワーキングプア率地図の変化」は,そのうちの一つです。各県の20代の有業者のうち,年収が200万円未満のワープアが何%占めるか計算し,それを地図化したものですが,見てくださる方が多いようです。ブログにも転載しておこうと思います。
ご覧に入れるのは,1992年と2012年の地図です。双方とも,総務省『就業構造基本調査』の統計をもとに作成したものであることを申し添えます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
地域を問わず,就労しつつも最低限の生活を得るに足りるだけの収入しか得られない「ワープア」が,若者の間で増えていることが見てとれます。ワープア率4割超という黒色が広がってきていますね。90年代以降の「失われた20年」の状況を思えば,さもありなんです。
パートやバイトとかも含めているからだろう,といわれるかもしれませんが,雇用の非正規化が進んでいる現在,こうした不安定就労で生計を立てている者も少なくないはずです(とくに若者では)。これらの層をオミットしては,事態を見誤ることになるでしょう。
ツイッター上の反応をみると,「全国が総ブラック化するのは時間の問題」といったコメントが散見されます。派遣法が改正され,全ての職種で「ハケン」が使えるようになりましたが,確かにそうした危惧が持たれるところです。今度,『就業構造基本調査』が実施されるのは2017年ですが,そのデータで同じ地図を描いたら,どういう模様になっているか・・・。
さて,各県の数値を知りたいという要望が数件ありましたので,上記の地図の元データを提示いたします。計算の過程についてイメージを持っていただくため,分子と分母の数値も掲げます。これらの単位は千人です。
算出された県別のワープア率ですが,最高値には黄色,最低値には青色のマークをしました。また,上位5位の数値は赤色にしています。資料としてご覧ください。
今年もあと数日ですが,急に冷え込んできました。年末でお忙しいとは思いますが,皆様,体調を崩されませぬよう。