2013年12月5日木曜日

女性タレントの浪費

 総務省の『就業構造基本調査』は5年間隔で実施されていますが,この調査の時系列結果をつなぎ合わせることで,加齢に伴う就業者の増減を知ることができます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 私は,結婚・出産期にかけて,女性の正規職員(正社員)の数がどう変化するかに興味を持ちました。昔に比べたら改善されているのでしょうが,わが国はまだまだ,仕事か家庭かの二者択一を女性に強いる社会であるといわれます。そうであるなら,この時期において,女性正社員の減少が観察されるはずですが,実情はどうなのでしょう。

 2007年の25~29歳は,5年後の2012年には30~34歳になります。私は,この2カテゴリーの正規職員数(男女)を調べ,両者を照合してみました。下表をご覧ください。


 20代後半から30代前半にかけて,男性正社員は増えていますが,女性は減っていますね。女性は162万人から132万人へと,およそ2割の減です。なるほど,巷でいわれていること,さもありなんです。

 しかし,2割減とはねえ。人員削減で,どの企業も正社員の数をうんと減らしていると思いますが,働き盛りの女性にここまで抜けられて,痛手にはならないのでしょうか。

 これは正規職員全体の傾向ですが,次に,職業別のデータをみてみましょう。結婚・出産期にかけて女性正社員の減少が著しい,女性がフルタイム就業を継続しづらいのはどの職業か。アンケートで意識を尋ねるのもいいですが,官庁統計から分かる「ヒトの動き」に着目するのも一つの手です。

 私は,上表と同じ増減倍率を68の職業について計算しました。2012年の30代前半の正社員数が,2007年の20代後半の何倍になったかです。

 下の表は,男女の一覧表です。0.8未満,すなわち2割以上減の場合は黄色のマークをしています。「**」は,20代後半時点の正社員がほぼ皆無なので,倍率が算出できなかったことを示唆します。「0.00」は,20代後半の時点では存在した正社員が,30代前半ではいなくなった,ということです。


 予想通りといいますか,男性より女性で多くのマークがついていますね。女性の場合,27の職業で減少率が2割を越えています。

 とりわけ注目したいのは医師(歯科医師,獣医師は含まない)で,女性の正規雇用の医師は,20代後半では11,500人だったのが,30代前半では6,200人にまで減っています。ほぼ半減です。離職して自ら開業する開業医が増えるのかなと思いましたが,ツイッター上で教示いただいたところによると,そうではないようです。

 こちらもツイッターで教えていただいたことですが,「大学病院や医局はマタハラ,パワハラのジャングル」だそうです。「妊娠出産育児を少しでも考える女性医師は辞めるしか」なく,「そういう女性は初めから医師を目指さない」とのこと。これはヒドイ。
https://twitter.com/ftetsuo1/status/406990822228250624

 ちなみに,青色で囲っているのは専門・技術職ですが,このゾーンに黄色のマークが結構ついているではないですか。これはもう,女性の才能(talent)の浪費という問題にも通じるでしょうなあ。「ヒト」しか資源のない日本にとって,とうてい看過し得ぬことです。

 「ヒトの動き」というのは,正直です。ブラックの指標として,結婚・出産期にかけての正社員増加倍率というものも考えられてよいでしょう。願はくは,これを企業別に出したいのですが,『四季報』とかで,各企業の年齢層別正社員数を載せてくれないかしらん。こちらは,離職率などと違って回答を嫌がられることはないでしょう。

 『帝国データバンク会社年鑑』とかに載っているかな。今度,国会図書館に行ったときに調べてみようと思います。

1 件のコメント:

  1. 別の観点からすると、大いにけっこうな数字にも見えます。
    家庭という女性にとって、あるいは女性でしかできないような社会貢献の場へ人材が移っていった。というふうにも解釈出来るかと思います。

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