2025年8月16日土曜日

平均は吊り上がる

  世界のスーパースター,大谷翔平選手ですが,年収は日本円にして約150億円だそうです。

 この人を加えたら,日本人の平均年収のデータはさぞ釣り上がるでしょう。岩手県のご出身で,現在31歳とのことですが,本県の30代前半男性の年収分布に,この人を加えたらどうなるでしょう。

 以下の表は,2022年の『就業構造基本調査』より採取したデータです(統計表リンクはコチラ)。


 岩手県の30代前半男性有業者2万3900人のデータです。各年収階級に該当する人数が示されています。一番多いのは,300万円台ですか(5900人)。

 この表から平均年収を計算してみましょう。度数分布表から計算する場合,階級値を使うのですよね。各階級幅の真ん中の値で,300万円台の人(5900人)の年収は,一律に中間の350万円と仮定します。一番上の1500万円以上の人は,ひとまず2000万円としておきましょう。

 この場合,平均年収は,以下のように算出できます。

 {(25万×400人)+(75万×700人)+…(2000万×100人)}/23900人=359.0万円

 地方の30代前半男性だと,こんなものでしょうか。

 では,年収150億円の大谷選手1人を加えると,どうなるでしょう。


 たった1人ですが,インパクトありますね。上記と同じやり方で平均値を計算すると,421.7万円となります。

 岩手県の30代前半男性の平均年収は359万円。しかし,大谷選手1人を加えるだけで60万円ほど跳ね上がり,422万円となる次第です。

 代表値としてよく使われる平均値ですが,極端な値によって簡単に吊り上げられる。このことの典型例ですね。

 代表値というのは,分布全体の特性を1つの数値にまとめたもので,乱暴という誹りを免れないのですが,それが比較的少ないのが中央値です。ちょうど真ん中の値です。上記の度数分布表から,案分比例を使って中央値を出すと336万円。これは,大谷選手を加えた場合でも変わりません。

 極端な値の影響を除去するには,中央値がベターです。

2025年1月31日金曜日

教員のリクルート源

  午前中に,Xに何度か統計表をポストしましたが,いかんせん,細かい計算結果の表なので,後からミスが見つかるのがしばしばです。

 添付画像の差し替え機能があればいいのですが,Xにはそれがなし。そこで,ブログにアップすることとします。これなら,いつでも差し替え可能。

 私は,教員就職者の出身大学の偏差値分布を明らかにしました。使った資料は,旺文社の『大学の真の実力2025』です。各大学の学部別に,就職者数,公務員就職者数,教員就職者数が出ています。

 各学部の偏差値は,ベネッセの「マナビジョン」というサイトから得ました。「50~56」というように,幅がつけられていますが,中間の値をとっています(この場合だと,53)。

 分析したのは,就職者数と偏差値の双方が分かる,関東1都6県の231大学・865学部のデータです。全就職者20万3170人,公務員就職者1万594人,教員就職者9454人を,出身大学のタイプ別に分けました。私立大学は,学部の偏差値の階級ごとに分けました。

 百分比の分布は以下のようです。

 思う所については,別の場で書くこととします。ひとまず,暫定的な分析結果の開示です。