新潟の中学校の臨時司書が,学校図書館の蔵書3000冊を転売していたそうです。動機は生活苦。「生活が苦しくほとんど食費に充てた」と供述しているそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130530-OYT1T01130.htm?from=tw
この司書の月収は8万円だったとのことですが,これでは確かに食べるのもしんどいでしょう。年収にすると96万円。完全なワーキングプアです。
「官製ワーキングプア」という言葉がありますが,非正規の公務員の給与って,こういうものなのでしょうか。興味を持ったので,官庁統計にあたって調べてみました。
総務省『就業構造基本調査』から,15歳以上の就業者の年収分布を,産業別・雇用形態別に知ることができます。2007年調査の結果によると,「公務」というカテゴリーの就業者は218万人。そのうち,パート,アルバイト,派遣社員,契約社員という非正規雇用就業者は約12万人。公務員の非正規率は5.4%ということになります。民間に比して,かなり低いですね。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
量的に少ない非正規公務員ですが,年収分布はどういうものなのでしょう。正規公務員と非正規公務員の年収分布曲線を描いてみました。公務員の特徴を見出すため,全産業の就業者の曲線もお見せします。
赤色が非正規の年収曲線ですが,低いほうに偏っています。公務員の場合,非正規の9割近くが年収200万未満のワープアです。全産業の非正規のワープア率(8割)よりも高くなっています。平均年収を出すと,非正規公務員は118万円。全産業の非正規は135万円。こちらの面でも見劣りしています。
一方,正規公務員は結構もらっているようですね。分布のピークは700万円台であり,平均年収は628万円。民間の正規就業者の458万円よりもかなり高くなっています。
参考までに,他の産業のデータも提示しておきます。ワープア率と平均年収を,正規と非正規に分けて掲げます。非正規率とは,全就業者に占める非正規雇用者の割合です。先ほど計算したように,公務員の非正規率は5.4%です。
細かいコメントはしませんが,公務員の特徴は,正規と非正規の格差が大きい,ということです。平均年収は5倍以上も違い,ワープア率に至ってはもう比較にもなりません。
最後に,この点を可視化しておきましょう。横軸にワープア率,縦軸に平均年収をとった座標上に,正規と非正規のデータをプロットし,線でつないだ図をつくりました。矢印のしっぽは正規,先端は非正規の位置を表します。矢印の長さによって,雇用形態の差が表現されています。
何も言いますまい。公務員の場合,正規から非正規になると,ワープア率がうんと上がり,平均年収が激減することに注目してください。正規と非正規の格差が,全産業を上回っていることにも。
巷でいわれる「官製ワーキングプア」,さもありなんです。働き方の幅を広げようということから,雇用形態による待遇格差の是正がいわれていますが,官公庁がこれでは示しがつきますまい。非正規公務員は量的にはごくわずかだからこれでいいのだ,ということで片付けられる問題ではないでしょう。
間もなく公表される2012年データでは,どういう事態になっているか。上図の矢印が短くなっていることを願うものであり,その逆であってほしくないと思います。
2013年6月11日火曜日
2013年6月9日日曜日
年層別・事業所の規模別にみたワープア率
ワーキングプア。すっかり知れ渡った言葉ですが,今のわが国にあっては,就業者の中にこうした「働く貧困層」が確実に増えてきています。
2007年の総務省『就業構造基本調査』によると,15歳以上の有業者6,598万人のうち,年収200万円未満の者は2,227万人となっています。働く人間の3人に1人がワープアです。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
これは,家計の補助的なパートやバイト等も含めた数値ですが,正規就業者に限定すると,ワープア率は10.4%となります。10人に1人。しかるに,正規就業者(正社員)といっても,いろいろな人がいます。言わずもがな,属性条件によって,ワープア率は大きく変異します。その様相を可視化してみましょう。
第1の分類軸は年齢です。給与が安い若年層ほど,ワープアは多いことでしょう。あと一つ,勤めている事業所の規模という軸を据えてみます。大企業,中小企業というような企業規模も,労働者の収入を規定する重要なファクターです。
私は,この2変数を組み合わせた属性ごとに,正規就業者のワープア出現率を計算しました。結果を,等高線図の形で表現します。色の違いに依拠して,ワープア率の大よその水準を読み取ってください。
図の左上に高率ゾーンがありますね。紫色は30%台,水色は40%台,黒色は50%(半分)超です。零細企業の若年労働者では,正規雇用であってもワープアが多いようです。しかし全体的にみると,青色(10%未満)や赤色(10%台)というような安泰色が幅を利かせています。
ですが,派遣社員になると,図の模様が激変します。正社員とほぼ同じ仕事をする「ハケン」の方々ですが,ワープアはどれほどいるのでしょう。上図と同様,年齢階層×企業規模のマトリクスでみてみましょう。
言葉がよくないですが,膿だらけです。多くの属性グループにおいて,ワープア率が50%を超えています。全職種への派遣労働の解禁により,この種の雇用形態が増えてきています。やる仕事は正社員とほぼ同じ。にもかかわらず。上の2図の模様の違うこと。「雇用の崩壊」とは,こういうことなのかもしれません。
間もなく公表される2012年の『就業構造基本調査』のデータを使って,同じ図を描いたらどうなることか。もしかすると,真黒になっているかもしれません。最初の正規就業者の図でも,黒色の領分が広がっている可能性が高いと思われます。
転職希望率などを同じ図式で表現してみるのもまた一興。『就業基本調査』は宝の山です。e-Sataにアップされている基礎集計表をみると,こういうことまで分かるのか,と気づかされることが多々あります。ああ,2012年データの公表が待ち遠しい。
2007年の総務省『就業構造基本調査』によると,15歳以上の有業者6,598万人のうち,年収200万円未満の者は2,227万人となっています。働く人間の3人に1人がワープアです。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
これは,家計の補助的なパートやバイト等も含めた数値ですが,正規就業者に限定すると,ワープア率は10.4%となります。10人に1人。しかるに,正規就業者(正社員)といっても,いろいろな人がいます。言わずもがな,属性条件によって,ワープア率は大きく変異します。その様相を可視化してみましょう。
第1の分類軸は年齢です。給与が安い若年層ほど,ワープアは多いことでしょう。あと一つ,勤めている事業所の規模という軸を据えてみます。大企業,中小企業というような企業規模も,労働者の収入を規定する重要なファクターです。
私は,この2変数を組み合わせた属性ごとに,正規就業者のワープア出現率を計算しました。結果を,等高線図の形で表現します。色の違いに依拠して,ワープア率の大よその水準を読み取ってください。
図の左上に高率ゾーンがありますね。紫色は30%台,水色は40%台,黒色は50%(半分)超です。零細企業の若年労働者では,正規雇用であってもワープアが多いようです。しかし全体的にみると,青色(10%未満)や赤色(10%台)というような安泰色が幅を利かせています。
ですが,派遣社員になると,図の模様が激変します。正社員とほぼ同じ仕事をする「ハケン」の方々ですが,ワープアはどれほどいるのでしょう。上図と同様,年齢階層×企業規模のマトリクスでみてみましょう。
言葉がよくないですが,膿だらけです。多くの属性グループにおいて,ワープア率が50%を超えています。全職種への派遣労働の解禁により,この種の雇用形態が増えてきています。やる仕事は正社員とほぼ同じ。にもかかわらず。上の2図の模様の違うこと。「雇用の崩壊」とは,こういうことなのかもしれません。
間もなく公表される2012年の『就業構造基本調査』のデータを使って,同じ図を描いたらどうなることか。もしかすると,真黒になっているかもしれません。最初の正規就業者の図でも,黒色の領分が広がっている可能性が高いと思われます。
転職希望率などを同じ図式で表現してみるのもまた一興。『就業基本調査』は宝の山です。e-Sataにアップされている基礎集計表をみると,こういうことまで分かるのか,と気づかされることが多々あります。ああ,2012年データの公表が待ち遠しい。
2013年6月6日木曜日
20代の正規就業者の収入状況
昨日,某報道機関の記者さんと地方青年の困難について語り合ったのですが,すさまじいお話を聞きました。
ある地方県の話ですが,正規の職を探しにヤング・ハローワークに出向いても,提示される求人というのは,月給12~13万円というのがザラ。中には「昇給なし」と明記されているものもあるのだそうです。
賞与(ボーナス)はといえば,年間1万円というものも。この場合の想定年収は,(12万×12か月)+1万=145万円ということになります。完全なワーキングプアですが,これは,れっきとした正規職の求人です。
まあ,雇ってもらった最初の年くらいは,これで辛抱しよう,という気構えを持てないこともありません。しかるに,上記のように「昇給なし」という条件が付いている場合,それがいつまでも続くことになります。まったく展望が持てないわけです。
ごく一部のブラック求人ではないかと思いましたが,決してマイノリティーではないとのこと。「雇用の崩壊」がいわれますが,安泰と信じられている正規職もその波を免れていないようです。そういえば,「名ばかり正社員」なんていう言葉を最近よく聞くようになりました。
私は,総務省『就業構造基本調査』の統計にあたって,20代の正規就業者の給与(年収)を調べてみました。前回までと同様,バブル崩壊直後の1992年と最新の2007年のデータを比べてみます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
この期間にかけて,20代の正規雇用就業者は1,080万人から707万人へと減少しました。有業者全体に占める比率も,80.0%から63.1%へと減じています。前々回みたような,雇用の非正規化と表裏です。
量的に少なくなった正規就業者ですが,年収分布はどう変わったのでしょうか。両年の年収分布曲線を描いてみました。比較対象として,非正規も含む有業者全体の曲線も添えています。
有業者全体では,低収入層のウェイトが増しています。これはワープアの増加を示唆するものであり,前々回の記事でもみた通りです。一方,正規就業者の年収曲線はこの15年間でほとんど変わっていません。
上記の年収分布から平均年収を計算すると,有業者全体では,1992年では267万円だったのが,2007年では250万円にまで下がりました。しかるに正規就業者に限ると,291万円から303万円へと増加をみています。
正規雇用の崩壊(崩れ)という現象は,2007年までのデータでみる限り,観察されませんでした。*収入という一つの視点を据えただけですが。
とはいえ,より近況ではどうなっているか分かりません。2008年には,「100年に1度の不況」とまで形容されたリーマンショックを経験しています。来月,2012年の『就業構造基本調査』の結果が公表されますが,それから描かれる曲線は,歪な型になっている可能性が十分あります。先の記者さんのお話も,最近3年間の取材結果だそうです。
最後に,都道府県別のデータも提示しておきましょう。若年の正規就業者といっても,状況は県によって異なるでしょう。1992年と2007年の正規就業者のワープア率(年収200万未満),および平均年収の一覧を掲げます。左端の正規率とは,有業者全体での正規就業者の比率です。
黄色マークは47都道府県中の最高値,青色マークは最低値です。上位5位の数値は,赤色にしています。
この15年間の変化は,ほとんどの県が全国的傾向と同じです。若年正規就業者ワープア率は減じ,平均年収はアップしています。
ですが,岩手,宮城,そして奈良のように,正規就業者でみても,ワープア率が微増している県もあります。表の数値からは読み取れませんが,宮城では,平均年収も微減しています(271.5万円→271.0万円)。
繰り返しますが,今回お見せしたのは,2007年までのトレンドです。直近の2012年データではどうなっているか。全国のヤングハローワークが冒頭のような状況になっているとしたら,正規雇用の崩壊現象がはっきりと可視化されることになるでしょう。
『就業構造基本調査』の分析ばかりが続いて恐縮ですが,既公表のデータを詰めておき,2012年調査のデータと直ちに接合させよう,という意図を持っています。
ある地方県の話ですが,正規の職を探しにヤング・ハローワークに出向いても,提示される求人というのは,月給12~13万円というのがザラ。中には「昇給なし」と明記されているものもあるのだそうです。
賞与(ボーナス)はといえば,年間1万円というものも。この場合の想定年収は,(12万×12か月)+1万=145万円ということになります。完全なワーキングプアですが,これは,れっきとした正規職の求人です。
まあ,雇ってもらった最初の年くらいは,これで辛抱しよう,という気構えを持てないこともありません。しかるに,上記のように「昇給なし」という条件が付いている場合,それがいつまでも続くことになります。まったく展望が持てないわけです。
ごく一部のブラック求人ではないかと思いましたが,決してマイノリティーではないとのこと。「雇用の崩壊」がいわれますが,安泰と信じられている正規職もその波を免れていないようです。そういえば,「名ばかり正社員」なんていう言葉を最近よく聞くようになりました。
私は,総務省『就業構造基本調査』の統計にあたって,20代の正規就業者の給与(年収)を調べてみました。前回までと同様,バブル崩壊直後の1992年と最新の2007年のデータを比べてみます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
この期間にかけて,20代の正規雇用就業者は1,080万人から707万人へと減少しました。有業者全体に占める比率も,80.0%から63.1%へと減じています。前々回みたような,雇用の非正規化と表裏です。
量的に少なくなった正規就業者ですが,年収分布はどう変わったのでしょうか。両年の年収分布曲線を描いてみました。比較対象として,非正規も含む有業者全体の曲線も添えています。
有業者全体では,低収入層のウェイトが増しています。これはワープアの増加を示唆するものであり,前々回の記事でもみた通りです。一方,正規就業者の年収曲線はこの15年間でほとんど変わっていません。
上記の年収分布から平均年収を計算すると,有業者全体では,1992年では267万円だったのが,2007年では250万円にまで下がりました。しかるに正規就業者に限ると,291万円から303万円へと増加をみています。
正規雇用の崩壊(崩れ)という現象は,2007年までのデータでみる限り,観察されませんでした。*収入という一つの視点を据えただけですが。
とはいえ,より近況ではどうなっているか分かりません。2008年には,「100年に1度の不況」とまで形容されたリーマンショックを経験しています。来月,2012年の『就業構造基本調査』の結果が公表されますが,それから描かれる曲線は,歪な型になっている可能性が十分あります。先の記者さんのお話も,最近3年間の取材結果だそうです。
最後に,都道府県別のデータも提示しておきましょう。若年の正規就業者といっても,状況は県によって異なるでしょう。1992年と2007年の正規就業者のワープア率(年収200万未満),および平均年収の一覧を掲げます。左端の正規率とは,有業者全体での正規就業者の比率です。
黄色マークは47都道府県中の最高値,青色マークは最低値です。上位5位の数値は,赤色にしています。
この15年間の変化は,ほとんどの県が全国的傾向と同じです。若年正規就業者ワープア率は減じ,平均年収はアップしています。
ですが,岩手,宮城,そして奈良のように,正規就業者でみても,ワープア率が微増している県もあります。表の数値からは読み取れませんが,宮城では,平均年収も微減しています(271.5万円→271.0万円)。
繰り返しますが,今回お見せしたのは,2007年までのトレンドです。直近の2012年データではどうなっているか。全国のヤングハローワークが冒頭のような状況になっているとしたら,正規雇用の崩壊現象がはっきりと可視化されることになるでしょう。
『就業構造基本調査』の分析ばかりが続いて恐縮ですが,既公表のデータを詰めておき,2012年調査のデータと直ちに接合させよう,という意図を持っています。
2013年6月4日火曜日
都道府県別のワープア率・非正規率
前回の続きです。今回は,有業者のワープア率と非正規率を都道府県別に出してみようと思います。資料は,総務省の『就業構造基本調査』です。本資料から,15歳以上の有業者の年収分布と雇用形態を知ることができます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
ワープアとは,ワーキングプアの略称です。私は,各県の有業者のうち,年収が200万円に満たない者の比率を明らかにしました。まさに「働く貧困層」です。
もう一つの非正規率とは,非正規雇用の者が有業者全体に占める比率です。非正規雇用とは,原資料でいうパート,アルバイト,派遣社員,契約社員,および嘱託等の合算です。近年,こうした非正規雇用の比重が高まっていることは前回みた通りですが,その程度は県によって多様でしょう。
前回と同様,1992年と2007年の比較をします。分析対象は,15歳以上の有業者全体と20代です。後者のデータをみるのは,近年困窮の度合いを殊に強めている若年層の県別数値に関心を持つからです。
なお,1992年の県別非正規率は,パートとアルバイトの比率であることを申し添えます。派遣,契約,および嘱託等の県別数値は載っていませんでした。当時は,この種の雇用形態がまだ少なく,県別にバラすと数がきわめて少ないからでしょう。ゆえに,前回お見せした全国値と値がやや異なることに留意ください。
下に一覧表を掲げます。黄色は47都道府県中の最高値,青色は最低値です。上位5位は,数値を赤色にしています。言わずもがな,WPとはワープアの略です。
資料として出す表ですので細かいコメントはしませんが,黄色のマークのほとんどが南端の沖縄についていますね。2007年の当県の20代でいうと,ワープア率は64.1%,非正規率は45.2%なり。全国値をはるかに凌駕する,すさまじい値です。
さて,上表のデータを,いくつかの観点から視覚化してみましょう。まずは,20代の非正規率地図の模様が,この15年間でどう変わったかです。私は,両年について,10%区分で塗り分けた統計地図をつくってみました。
ほう。1992年では薄い色でしたが,2007年になると全体的に怪しい色で染まっています。2007年では,若者の非正規率は全ての県で20%を超え,ほぼ半数の県で30%を超えています。
2007年の地図をみると,地方の周辺県のみならず,首都圏や近畿圏のような都市部も濃い青色になっています。ワープア率は賃金水準が低い地方で高い傾向が明瞭ですが,非正規率の場合,そういう構造にはなっていないません。
ちなみに,若者の非正規率の地域差が拡大していることも付記します。標準偏差を出すと,1992年では2.75でしたが,2007年では4.05となっています。近年の若者の非正規化は,地域格差の拡大を伴っていることにも注意しましょう。
あと一点,ワープア率と非正規率という2指標を使って,各県の若者の状況を性格づけてみようと思います。下図は,横軸に20代のワープア率,縦軸に非正規率をとった座標上に,47都道府県をプロットしたものです(2007年)。点線は,全国値を示唆します。
図の右上にあるのは,若者のワープア化,非正規化の進行の度合いが相対的に高い県です。沖縄は,暗雲が立ち込める「かっとんだ」位置にあります。ほか,黄色のループで囲った7道府県あたりが要注意県として検出できるでしょうか。
以上は,ほんの小手先の分析です。上表の基礎データをもっと深く分析することで,また別の側面も明らかになることでしょう。みなさんの参考に与するところがあれば幸いです。
来月には,2012年の『就業構造基本調査』の結果が公表されます。はて,先ほどの地図の模様はどう変わっているか。また,上のマトリクスにおいて,各県はどう動いているか・・・。
この5年間,08年のリーマンショックをはじめとして,さまざまなことがありました,と同時に,子ども・若者支援の充実等,政策的なアクションがなされた経緯もあります。その成果如何が教えられることにもなるでしょう。前回と同じ結びになりますが,結果公表を期して待ちたいと思います。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
ワープアとは,ワーキングプアの略称です。私は,各県の有業者のうち,年収が200万円に満たない者の比率を明らかにしました。まさに「働く貧困層」です。
もう一つの非正規率とは,非正規雇用の者が有業者全体に占める比率です。非正規雇用とは,原資料でいうパート,アルバイト,派遣社員,契約社員,および嘱託等の合算です。近年,こうした非正規雇用の比重が高まっていることは前回みた通りですが,その程度は県によって多様でしょう。
前回と同様,1992年と2007年の比較をします。分析対象は,15歳以上の有業者全体と20代です。後者のデータをみるのは,近年困窮の度合いを殊に強めている若年層の県別数値に関心を持つからです。
なお,1992年の県別非正規率は,パートとアルバイトの比率であることを申し添えます。派遣,契約,および嘱託等の県別数値は載っていませんでした。当時は,この種の雇用形態がまだ少なく,県別にバラすと数がきわめて少ないからでしょう。ゆえに,前回お見せした全国値と値がやや異なることに留意ください。
下に一覧表を掲げます。黄色は47都道府県中の最高値,青色は最低値です。上位5位は,数値を赤色にしています。言わずもがな,WPとはワープアの略です。
資料として出す表ですので細かいコメントはしませんが,黄色のマークのほとんどが南端の沖縄についていますね。2007年の当県の20代でいうと,ワープア率は64.1%,非正規率は45.2%なり。全国値をはるかに凌駕する,すさまじい値です。
さて,上表のデータを,いくつかの観点から視覚化してみましょう。まずは,20代の非正規率地図の模様が,この15年間でどう変わったかです。私は,両年について,10%区分で塗り分けた統計地図をつくってみました。
ほう。1992年では薄い色でしたが,2007年になると全体的に怪しい色で染まっています。2007年では,若者の非正規率は全ての県で20%を超え,ほぼ半数の県で30%を超えています。
2007年の地図をみると,地方の周辺県のみならず,首都圏や近畿圏のような都市部も濃い青色になっています。ワープア率は賃金水準が低い地方で高い傾向が明瞭ですが,非正規率の場合,そういう構造にはなっていないません。
ちなみに,若者の非正規率の地域差が拡大していることも付記します。標準偏差を出すと,1992年では2.75でしたが,2007年では4.05となっています。近年の若者の非正規化は,地域格差の拡大を伴っていることにも注意しましょう。
あと一点,ワープア率と非正規率という2指標を使って,各県の若者の状況を性格づけてみようと思います。下図は,横軸に20代のワープア率,縦軸に非正規率をとった座標上に,47都道府県をプロットしたものです(2007年)。点線は,全国値を示唆します。
図の右上にあるのは,若者のワープア化,非正規化の進行の度合いが相対的に高い県です。沖縄は,暗雲が立ち込める「かっとんだ」位置にあります。ほか,黄色のループで囲った7道府県あたりが要注意県として検出できるでしょうか。
以上は,ほんの小手先の分析です。上表の基礎データをもっと深く分析することで,また別の側面も明らかになることでしょう。みなさんの参考に与するところがあれば幸いです。
来月には,2012年の『就業構造基本調査』の結果が公表されます。はて,先ほどの地図の模様はどう変わっているか。また,上のマトリクスにおいて,各県はどう動いているか・・・。
この5年間,08年のリーマンショックをはじめとして,さまざまなことがありました,と同時に,子ども・若者支援の充実等,政策的なアクションがなされた経緯もあります。その成果如何が教えられることにもなるでしょう。前回と同じ結びになりますが,結果公表を期して待ちたいと思います。
2013年6月3日月曜日
有業者のワープア化・非正規化
現代の雇用の歪みとして,ワーキングプア化とか非正規化とかいうことがいわれますが,それが確実に進行していることは,日常感覚からも首肯できるところです。今回は,その程度が分かる,具体的なデータを提示しようと思います。
就業者の年収や雇用形態が分かる基礎資料は,総務省の『就業構造基本調査』です。5年間隔で実施されているものであり,現時点では,2007年までの調査結果が公表されています。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
私は,有業者のうち,年収が200万円に満たないワーキングプアの比率,ならびに非正規雇用者の比率を明らかにしました。非正規雇用者とは,パート,アルバイト,派遣社員,契約社員,および嘱託等を合算したものです。
バブル崩壊直後の1992年と最新の2007年の率を比べてみましょう。計算過程についてイメージを持っていただくため,分子・分母の数値も示します。
15歳以上の有業者の数は,6,600万人ほどで変化ありません。しかし,ワープアや非正規の量は増えています。その結果,全体に占める比率も伸びており,ワープア率は28.8%から33.7%,非正規率は14.5%から27.1%へと増えました,後者はほぼ倍増です。
今では,働く人間の3人に1人がワープア,非正規ということになります。巷でいわれる,雇用の「ワープア化・非正規化」,さもありなんです。間もなく公表される2012年調査の結果では,どういう事態になっていることか。08年のリーマンショックとかもあったし・・・。
それはさておき,一口に有業者といっても,その存在は一枚岩ではありません。細かい属性別の傾向も観察してみましょう。ワープア化・非正規化の程度が著しいのはどの層か。下表は,性別・年齢層ごとに比率を計算したものです。10代の子どもと60歳以上の高齢者は,分析対象から外しています。
資料的な意味合いで出す表ですので細かいコメントは控えますが,どの層でもワープア化・非正規化が進行しています。率の水準に注目すると,男性よりも女性で格段に高くなっています。
女性の場合,家計の補助的なパートやバイトが多いからだろう,といわれるかもしれませんが,女性の社会進出の必要がいわれ,男女共同参画の気運が高まっている今日,こうしたジェンダー差は看過できることはでありますまい。
次に年齢層別でみると,ワープア率,非正規率が最も高いのは20代です。1992年からの変化も,この若年層で顕著です。
1990年代以降の変化の様相を可視化してみましょう。私は,横軸にワープア率,縦軸に非正規率をとった座標上に,両年の各年齢層(男女)の数値をプロットし,線でつないだ図をつくりました。矢印のしっぽは1992年,先端は2007年の位置を表します。
どの年齢層も,右上の暗雲が立ち込めるゾーンの方向に動いていますが,変化の幅は20代で最も大きくなっています。ワープア率,非正規率とも,他の年齢層に比して大幅に伸びた,ということです。
就職難の状況をいいことに,低賃金や非正規形態で若者を雇い入れる企業が増えていることの表れでしょう。そうした戦略を極限にまで行使しているのが,いわゆるブラック企業です。このような状況の中,心身を病む若者が増えていることもよく知られています。
しかるに怖いのは,当の若者の側も,そのような悪条件を当然のこととして受け入れている面があることです。2月22日の記事では,20代の前半にかけて,薄給や長時間労働を厭わないように仕向けられていく過程があることを明らかにしました。私の造語でいうと「シューカツ洗脳」です。
さて,2012年実施の『就業構造基本調査』の結果が来月公表されますが,どの年齢層も,上図のマトリクスにおいて右上にシフトしていることでしょう。20代の場合,これまでのトレンドを伸ばしてみると,ワープア率,非正規率とも4割近くになることが見込まれます。5人に2人です。
08年のリーマンショックをはじめとして,この5年間でいろいろなことがありました。もしかすると,上図に描いたような機械的な予測よりも事態はもっと悪化しているかもしれません。結果を期して待ちたいと思います。
次回は都道府県別に,有業者のワープア率,非正規率を出してみようと思います。今回お見せしたのは全国値ですが,地域によってはもっとスゴイ値が観察されることでしょう。ではでは。
就業者の年収や雇用形態が分かる基礎資料は,総務省の『就業構造基本調査』です。5年間隔で実施されているものであり,現時点では,2007年までの調査結果が公表されています。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
私は,有業者のうち,年収が200万円に満たないワーキングプアの比率,ならびに非正規雇用者の比率を明らかにしました。非正規雇用者とは,パート,アルバイト,派遣社員,契約社員,および嘱託等を合算したものです。
バブル崩壊直後の1992年と最新の2007年の率を比べてみましょう。計算過程についてイメージを持っていただくため,分子・分母の数値も示します。
15歳以上の有業者の数は,6,600万人ほどで変化ありません。しかし,ワープアや非正規の量は増えています。その結果,全体に占める比率も伸びており,ワープア率は28.8%から33.7%,非正規率は14.5%から27.1%へと増えました,後者はほぼ倍増です。
今では,働く人間の3人に1人がワープア,非正規ということになります。巷でいわれる,雇用の「ワープア化・非正規化」,さもありなんです。間もなく公表される2012年調査の結果では,どういう事態になっていることか。08年のリーマンショックとかもあったし・・・。
それはさておき,一口に有業者といっても,その存在は一枚岩ではありません。細かい属性別の傾向も観察してみましょう。ワープア化・非正規化の程度が著しいのはどの層か。下表は,性別・年齢層ごとに比率を計算したものです。10代の子どもと60歳以上の高齢者は,分析対象から外しています。
資料的な意味合いで出す表ですので細かいコメントは控えますが,どの層でもワープア化・非正規化が進行しています。率の水準に注目すると,男性よりも女性で格段に高くなっています。
女性の場合,家計の補助的なパートやバイトが多いからだろう,といわれるかもしれませんが,女性の社会進出の必要がいわれ,男女共同参画の気運が高まっている今日,こうしたジェンダー差は看過できることはでありますまい。
次に年齢層別でみると,ワープア率,非正規率が最も高いのは20代です。1992年からの変化も,この若年層で顕著です。
1990年代以降の変化の様相を可視化してみましょう。私は,横軸にワープア率,縦軸に非正規率をとった座標上に,両年の各年齢層(男女)の数値をプロットし,線でつないだ図をつくりました。矢印のしっぽは1992年,先端は2007年の位置を表します。
どの年齢層も,右上の暗雲が立ち込めるゾーンの方向に動いていますが,変化の幅は20代で最も大きくなっています。ワープア率,非正規率とも,他の年齢層に比して大幅に伸びた,ということです。
就職難の状況をいいことに,低賃金や非正規形態で若者を雇い入れる企業が増えていることの表れでしょう。そうした戦略を極限にまで行使しているのが,いわゆるブラック企業です。このような状況の中,心身を病む若者が増えていることもよく知られています。
しかるに怖いのは,当の若者の側も,そのような悪条件を当然のこととして受け入れている面があることです。2月22日の記事では,20代の前半にかけて,薄給や長時間労働を厭わないように仕向けられていく過程があることを明らかにしました。私の造語でいうと「シューカツ洗脳」です。
さて,2012年実施の『就業構造基本調査』の結果が来月公表されますが,どの年齢層も,上図のマトリクスにおいて右上にシフトしていることでしょう。20代の場合,これまでのトレンドを伸ばしてみると,ワープア率,非正規率とも4割近くになることが見込まれます。5人に2人です。
08年のリーマンショックをはじめとして,この5年間でいろいろなことがありました。もしかすると,上図に描いたような機械的な予測よりも事態はもっと悪化しているかもしれません。結果を期して待ちたいと思います。
次回は都道府県別に,有業者のワープア率,非正規率を出してみようと思います。今回お見せしたのは全国値ですが,地域によってはもっとスゴイ値が観察されることでしょう。ではでは。
2013年6月2日日曜日
2013年5月の教員不祥事報道
ツイッター上にて私がストックした,2013年5月中の教員不祥事報道記事を整理します。今月は55件であり,先月よりもちょっと増えました。5月病?でしょうか。
高校の女性教員の風俗店バイトなど,世間の耳目をひいた報道もありました。教員の不祥事はさまざま。件の詳細に関心をお持ちの方は,記事名でググってみてください。
私がこの作業を継続するのは,ゴシップ的興味もありますが,地域や教員の属性を記録することで,教員の逸脱の社会的条件を明らかにするデータベースをつくろう,という意図からです。
<2013年5月の教員不祥事報道>
・野球用ネット倒壊で死亡、高校教諭2人を書類送検(5/1,TBS,東京,高男32,高男25)
・鹿島の飲酒物損事故:不申告疑い、教諭を書類送検(5/1,毎日,佐賀,小,男,41)
・「仕事しないことなじられ」母親殴った小学教諭(5/2,読売,山形,小,男,48)
・佐賀学園サッカー部監督、体罰繰り返し謹慎処分(5/2,読売,佐賀,高,男,51)
・文書訓告:児童を床に座らせ授業 鳴沢村教委、教諭に処分
(5/2,毎日,山梨,小,男,30代)
・府立高校の29歳女性教諭、風俗店でアルバイト (5/2,読売,大阪,高,女,29)
・銃刀法違反容疑で浜松の中学教諭逮捕(5/2,静岡新聞,静岡,中,男,57)
・酒気帯び運転など 教諭3人懲戒処分 府教委
(5/3,産経,大阪,酒気帯び:中男59),定期代不正受給:高男53,29))
・授業中机たたき続けた女子生徒たたいた教諭懲戒(5/8,読売,栃木,中,男,50)
・保護者装い同僚教諭の体罰告発…文科相にも手紙(5/8,読売,岡山,高,男,52)
・生徒たたき、鼓膜に傷 2010年、山形の私立高校部活顧問の男性教諭
(5/10,山形新聞,山形,高,男,49)
・男性教諭が男児の背中押し転倒、けがさせる 愛荘町立小で体罰
(5/11,産経,滋賀,小,男,35)
・酒気帯び運転の教諭を懲戒免職 岡山県教委(5/11,産経,岡山,中,男,38)
・元教え子女性に睡眠導入剤飲ませ、体触った教諭(5/11,読売,兵庫,高,男,58)
・懲戒免職:酒気帯び運転の教諭を--県教委(5/11,毎日,岡山,中,男,38)
・同上:同僚教諭の体罰について虚偽報告(5/11,毎日,岡山,高,男,52)
・指導中に興奮され…男性教諭が小3男児に頭突き(5/12,読売,栃木,小,男,55)
・学校PC遠隔操作も/システム妨害の中学教諭(5/12,四国新聞,香川,中,男)
・女子高生に「一目ぼれ」の教諭、逮捕 ひわいな行為容疑(5/14,朝日,長野,中,男,24)
・サッカー名門中で体罰、態度悪いと髪わしづかみ(5/14,読売,北海道,高,男,33)
・女子生徒に不快メール、59歳教諭に停職1か月(5/16,読売,広島,高,男,59)
・女子中生にわいせつ容疑=仙台の教諭逮捕(5/16,時事通信,愛知,小,男,48)
・自殺生徒の担任を減給処分 大津いじめ、調査や指導怠る(5/17,朝日,滋賀,中,男,41)
・児童ポルノを販売した小学校教諭を懲戒免職(5/17,産経,大阪,小,男,31)
・東山高バレー部で体罰 顧問教諭を処分(5/18,京都新聞,京都,高,男,40代)
・体罰:部活中、生徒に 男性教諭を停職に 県教委が処分(5/18,毎日,長野,中,男,27)
・生徒殴り骨折させた疑い 中学校教諭を書類送検(5/20,朝日,大阪,中,男,27)
・女子中高生に裸画像送らせた疑い 中学校教諭を再逮捕(5/21,朝日,兵庫,中,男,41)
・懲戒処分:県教委、2教諭を 酒気帯び運転と速度違反
(5/22,毎日,鹿児島,酒気帯び:小男25,速度違反:中男31)
・戒告処分:体罰の教頭を 道交法違反容疑の教諭も
(5/22,毎日,宮崎,体罰:小男57,道交法違反:中男38)
・県教委:交通事故の教諭2人を懲戒処分(5/22,毎日,香川,小女30,中男52)
・小学校教諭、高校の体育館女子トイレに侵入容疑(5/22,読売,愛知,小,男,41)
・熊本・中学講師盗撮:逮捕講師を懲戒免職(5/22,毎日,熊本,中,男,47)
・中学校でみだらな行為=男性教諭を免職(5/22,時事通信,大分,中,男,20代)
・男性教諭を懲戒免職 県教委 60万円私的流用で(5/23,産経,群馬,小,男,30)
・県教委:痴漢教諭を停職処分 飲酒運転の教頭も
(5/23,毎日,愛知,痴漢:高男34,飲酒運転:小男55)
・大学女子寮のぞいた疑い 中学体育教師を逮捕(5/24,朝日,岐阜,中,男,46)
・昨年の体罰、報告せず 相模原市教委、中学校長らを処分
(5/24,朝日,体罰:中男28,報告せず:中男57)
・児童に暴言の教諭退職 「子どもに申し訳ない」 (5/24,産経,東京,小,女,50代)
・酒気帯びで摘発の高校教諭免職(5/24,産経,青森,高,男,60)
・相模原市教委、体罰教諭を戒告処分(5/24,神奈川新聞,神奈川,中,男,28)
・富山県立支援学校教諭 メールでストーカー容疑(5/25,読売,富山,特,男,33)
・小学校教諭を住居侵入容疑で逮捕 「女性下着見ようと」
(5/27,山陽新聞,岡山,小,男,30)
・酒気帯び運転:容疑で小学校教諭逮捕(5/27,毎日,香川,小,男,54)
・バレー部顧問 現金賭けて指導(5/28,栃木,NHK,中,男,52)
・せがまれて…生徒とアダルト番組見た中学教諭(5/29,読売,北海道,中,40)
・麻薬輸入で小学教諭逮捕=「違法認識せず」容疑否認(5/29,時事通信,広島,小,男,41)
・無免許運転の中学教諭減給、市教委が処分(5/29,神奈川新聞,神奈川,中,男,36)
・下半身露出、いやがる女子高生を撮影 容疑の非常勤講師逮捕
(5/29,産経,神奈川,高,男,33)
・女子高生の尻触った疑い、都立高教諭逮捕(5/30,TBS,東京,高,男,47)
・中2少女買春、中学教諭逮捕 長野・茅野市(5/31,日本テレビ,長野,中,男,41)
・窃盗で女性教諭免職 県教委、3人を懲戒処分
(5/31,紀伊民報,和歌山,窃盗:特女52,中女57,飲酒運転:中男48)
・金曜夜は生徒と校内マージャン 大阪の中学教諭を処分へ(5/31,朝日,大阪,中,男,57)
・名作と誤って教室でアダルトビデオ再生した教諭(5/31,読売,香川,中,男,50代)
・中学教諭、深夜に少女連れ外出…減給処分(5/31,読売,静岡,中,男,30代)
2013年5月30日木曜日
19世紀後半期プロイセンにおける学生・生徒の自殺原因
週に一度,国会図書館通いをして,昔の教員の危機や困難に関する資料を収集しています。昨日は,明治中期の『教育時論』をくくってきました。戦前期のメジャーな教育雑誌です。
同誌の1890(明治23)年12月15日号に,「学校生徒自殺の原因」と題する短文が載っています。しかるに,わが国のものではありません。載っているのは,遠い西洋のプロイセンの自殺統計です。
それによると,1883~1888年の6年間に同国で自殺した学生・生徒数は,小学校で209人,高等学校で80人であったとのこと。高等学校とは,当時の日本でいう「高等中学校,尋常中学校,高等女学校等」に類する学校だそうです。
デュルケムが名著『自殺論』を刊行したのは1897年ですが,これより少し前の隣国プロイセンにおける,学生・生徒の自殺原因とは,どういうものだったのでしょう。
小学校では「懲罰」への恐れ,高等学校では「試験の恐怖・落第」という原因が最も多くなっています。小学生の自殺の3分の1が,「懲罰」を恐れてのことだったとは・・・。
ここでいう「懲罰」とは,おそらく体罰でしょう。中世のヨーロッパでは体罰は教育上の手段としてはっきりと容認され,近代化以降も,そうした流れが続いたといわれます。私が最近見入っている「トムソーヤの冒険」(19世紀前半,米国)でも,鞭打ちの体罰が頻繁に出てきます。他にも,過酷な体罰がなされていたのでしょう。子どもをして,死へと赴かせるまでに。
ひるがえって,同じ頃の日本では,子どもの自殺原因はどういうものだったのでしょう。戦前の日本の学校ですさまじい体罰がなされていたことは,3月30日の記事でみた通りです。もしかすると,上記プロイセンと同じような原因構造だったりして。
今年の初頭に,大阪の高校で体罰自殺事件が起きましたが,問題は通底しているのだな,という感じを持ちます。
同誌の1890(明治23)年12月15日号に,「学校生徒自殺の原因」と題する短文が載っています。しかるに,わが国のものではありません。載っているのは,遠い西洋のプロイセンの自殺統計です。
それによると,1883~1888年の6年間に同国で自殺した学生・生徒数は,小学校で209人,高等学校で80人であったとのこと。高等学校とは,当時の日本でいう「高等中学校,尋常中学校,高等女学校等」に類する学校だそうです。
デュルケムが名著『自殺論』を刊行したのは1897年ですが,これより少し前の隣国プロイセンにおける,学生・生徒の自殺原因とは,どういうものだったのでしょう。
小学校では「懲罰」への恐れ,高等学校では「試験の恐怖・落第」という原因が最も多くなっています。小学生の自殺の3分の1が,「懲罰」を恐れてのことだったとは・・・。
ここでいう「懲罰」とは,おそらく体罰でしょう。中世のヨーロッパでは体罰は教育上の手段としてはっきりと容認され,近代化以降も,そうした流れが続いたといわれます。私が最近見入っている「トムソーヤの冒険」(19世紀前半,米国)でも,鞭打ちの体罰が頻繁に出てきます。他にも,過酷な体罰がなされていたのでしょう。子どもをして,死へと赴かせるまでに。
ひるがえって,同じ頃の日本では,子どもの自殺原因はどういうものだったのでしょう。戦前の日本の学校ですさまじい体罰がなされていたことは,3月30日の記事でみた通りです。もしかすると,上記プロイセンと同じような原因構造だったりして。
今年の初頭に,大阪の高校で体罰自殺事件が起きましたが,問題は通底しているのだな,という感じを持ちます。
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