少年の非行といっても,さまざまな罪種があります。最も多いのは窃盗犯で,これだけで全体のおよそ6割を占めます。今回は,10代少年のうち,窃盗で御用となった者がどれほどいるかをみてみようと思います。
警察庁『平成21年の犯罪』によると,2009年中に窃盗で検挙・補導された10~19歳の少年は65,712人です(用語ですが,14歳に満たない触法少年が警察に捕まった場合は「補導」といいます)。この年の10代人口は1,202.8万人です。よって,前者を後者で除して窃盗犯出現率は5.5‰となります。百分率にすると,0.55%です。ピークであった1985年の9.9‰に比せば,かなり減ってきています。
ところで,少年といってもさまざまな年齢を含んでいます。1歳刻みで窃盗犯出現率を出し,その時代変化をみてみましょう。例の社会地図の登場です。これによると,1980年代の年少少年(14~15歳)の部分に,17.5‰を超える高率ゾーンが見出されます。
私よりも少し上の世代ですが,確かに,怖い先輩の話はよく聞かされました。今に比べれば,この頃の少年のほうが悪かったなあ,という印象も持っています。しかし,それだけではありますまい。犯罪や非行の原因は,逸脱主体の側の原因と,統制機関の側の原因に大別されますが,後者についても目配りする必要があります。
たとえば,セルフサービス店に,私服警備員を多く配置するなど,統制を強化すれば,万引きのような窃盗犯は自ずと多く捕まることでしょう。網を多くかければ,魚が多く獲れるのと同じです。
1980年代の前半は,少年非行戦後第3のピークなどと騒がれ,警察が少年の取り締まりにやっきになっていた時期です。網を多く張るものだから,少年が多く捕まる。少年がたくさん捕まる事態を憂いて,さらに統制が強化される。するとさらに多くの少年が御用となる…この循環です。
非行統計を読む際は,相応の注意が求められます。
2011年1月30日日曜日
2011年1月29日土曜日
朝食欠食率
「朝食パワーで学力アップ」。このような標語を掲げたポスターをよく目にします。その真偽のほどは明らかではありませんが,朝食を抜くことは,確かに体によくないでしょう。空腹で勉強や仕事がはかどらなかったり,昼食時のカロリーが過剰に体内に摂取され,肥満の原因にもなるといわれています。子どもの肥満の増加は,もしかすると,朝食欠食率の高まりと関連しているのかもしれません。
ところで,欠食が心配されるのは,子どもだけではありません。大人についても然りです。厚労省の『国民健康・栄養調査』によると,15歳以上の男性の朝食欠食率は,1975年では6.7%でしたが,2005年には13.3%にまで高まっています。これは全体の数字ですが,年齢層別にみると,興味深い傾向がみられます。
この30年間の朝食欠食率の変化を年齢層別に俯瞰すると,上図のようになります。欠食率30%を超えるデンジャラスゾーンが,20代の若者の部分に広がっています。じわじわと病巣が広がっていくような感じで気味が悪いです。高率ゾーンは,20代を中心に,上下へと広がっている感じで,2005年では,15%以上のゾーン(紫色)が,40代の部分にまで垂れてきています。
言い忘れましたが,この調査でいう欠食率は,「何も食べない」という回答のほか,「菓子,果物,錠剤,カプセル」等で済ませる,という回答も欠食とみなして計算されています。若者の率が高いのは,こうした横着な朝食摂取が多いことによるものと思われます。いずれによせ,あまり好ましいことではないでしょう。
今,学校現場では食育の取組が盛んです。その本当の成果は,彼らが大人になったとき,どれほど健全な食生活を営めるか,という観点から計測されるべきでしょう。今から10年後の調査において,20代の欠食率はどういう数字になるのか。食育に限らず,教育の効果というのは,長期的な観点からの把握が求められます。
*小・中学生の朝食欠食率については,5月17日の「朝食を抜く子どもたち」の記事で触れています。よろしければ,こちらもご参照ください。
ところで,欠食が心配されるのは,子どもだけではありません。大人についても然りです。厚労省の『国民健康・栄養調査』によると,15歳以上の男性の朝食欠食率は,1975年では6.7%でしたが,2005年には13.3%にまで高まっています。これは全体の数字ですが,年齢層別にみると,興味深い傾向がみられます。
この30年間の朝食欠食率の変化を年齢層別に俯瞰すると,上図のようになります。欠食率30%を超えるデンジャラスゾーンが,20代の若者の部分に広がっています。じわじわと病巣が広がっていくような感じで気味が悪いです。高率ゾーンは,20代を中心に,上下へと広がっている感じで,2005年では,15%以上のゾーン(紫色)が,40代の部分にまで垂れてきています。
言い忘れましたが,この調査でいう欠食率は,「何も食べない」という回答のほか,「菓子,果物,錠剤,カプセル」等で済ませる,という回答も欠食とみなして計算されています。若者の率が高いのは,こうした横着な朝食摂取が多いことによるものと思われます。いずれによせ,あまり好ましいことではないでしょう。
今,学校現場では食育の取組が盛んです。その本当の成果は,彼らが大人になったとき,どれほど健全な食生活を営めるか,という観点から計測されるべきでしょう。今から10年後の調査において,20代の欠食率はどういう数字になるのか。食育に限らず,教育の効果というのは,長期的な観点からの把握が求められます。
*小・中学生の朝食欠食率については,5月17日の「朝食を抜く子どもたち」の記事で触れています。よろしければ,こちらもご参照ください。
2011年1月28日金曜日
運転免許所有率
後期の授業もそろそろおしまいです。この時期になると,出席が芳しくなく,単位が危うい学生が必ず哀願にきます。昨日もいました。4年生です。「お願いします」,「どうして出れなかったの」,「免許の教習所に通ってて…」,「…就活というならねえ。教習所通いかあ」,「いや,内定はもう取ってるんです。でも,4月までに,免許とらないといけないんです」,「…」。
とまあ,こういうやり取りでした。確かに,社会人として働くには,今や,自動車の運転免許はほぼ必須でしょう。警察庁の『平成21年版・運転免許統計』によると,20代の若者の運転免許所有者数はおよそ1,229万人です。当該年齢人口の83%に相当します。全人口(16歳以上)の免許所有率は74%となっています。40年前の1970年では,わずか34%でした。われわれの生活世界で,モータリゼーションが進行していることが分かります。
では,免許所有率の年齢層別の動向を,例の社会地図で俯瞰してみましょう。所有率が90%を超える場合,黒色としています。いかがでしょう。20代前半では,1990年以降,率が9割を超えています。2009年では,この黒色ゾーンが,40代後半の部分まで垂れてきています。以後,50代の部分も黒色になることが予想されます。
2009年現在,70歳以上の高齢層の免許所有率は34%です。高齢ドライバーも増えています。事故防止の意図から,高齢層の免許返納を促進する動きがあるようですが,そうする以上,公共交通網の整備が要請されます。
私は,子どもの頃,バスの運転手になりたいと思っていた時期があります。お年寄りや体の不自由な人を,にこやかな笑顔で運ぶ,公共性の高い仕事だと感じていたからです。でも,労働条件のほうはあまりよくないとか。これからますます需要が高まるであろう,介護や公共交通機関などで働く人たちの労働条件が悪いということは,何とも残念なことだと思います。
とまあ,こういうやり取りでした。確かに,社会人として働くには,今や,自動車の運転免許はほぼ必須でしょう。警察庁の『平成21年版・運転免許統計』によると,20代の若者の運転免許所有者数はおよそ1,229万人です。当該年齢人口の83%に相当します。全人口(16歳以上)の免許所有率は74%となっています。40年前の1970年では,わずか34%でした。われわれの生活世界で,モータリゼーションが進行していることが分かります。
では,免許所有率の年齢層別の動向を,例の社会地図で俯瞰してみましょう。所有率が90%を超える場合,黒色としています。いかがでしょう。20代前半では,1990年以降,率が9割を超えています。2009年では,この黒色ゾーンが,40代後半の部分まで垂れてきています。以後,50代の部分も黒色になることが予想されます。
2009年現在,70歳以上の高齢層の免許所有率は34%です。高齢ドライバーも増えています。事故防止の意図から,高齢層の免許返納を促進する動きがあるようですが,そうする以上,公共交通網の整備が要請されます。
私は,子どもの頃,バスの運転手になりたいと思っていた時期があります。お年寄りや体の不自由な人を,にこやかな笑顔で運ぶ,公共性の高い仕事だと感じていたからです。でも,労働条件のほうはあまりよくないとか。これからますます需要が高まるであろう,介護や公共交通機関などで働く人たちの労働条件が悪いということは,何とも残念なことだと思います。
2011年1月26日水曜日
大学進学率の将来予測
2010年春の大学進学率は51.0%です。この数値は,将来,どうなっていくのでしょうか。
大学進学率とは,大学入学者数を18歳人口で除した値です。この2つの要素のうち,後者は,ある程度高い精度で予測することができます。国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位推計)によると,18歳人口は,2020年には116.1万人,2030年には89.1万人,2040年には75.6万人,2050年には68.1万人となることが見込まれています。
次に,分子となる大学入学者数ですが,2010年春の数値は61.9万人です。仮に,この数を維持しようとすると,下表のような事態になります。
大学入学者数はそのままで,18歳人口がみるみる減っていくのですから,大学進学率は加速度的に上昇することになります。2030年には69.5%,2050年には90.9%という,とんでもない数字が出てきます。
これから先,現在の入学者数が維持されるなんて,あり得ないだろう,といわれるかもしれません。しかし,1992年以降,18歳人口が大きく減ってきたにもかかわらず,大学入学者数を(がめつく)増やしてきたという,(悪しき?)実績があります。どうなることやら。しかし,こうなると,子どもの世界は,目を覆いたくなるような事態になるでしょう。何しろ,大学までが義務教育のようになるのですから。
まあ,上記の予測は極端であるとして,では,もう少し現実性のあるシナリオを考えてみましょう。今度は,大学入学者が5年ごとに2.5%減っていくという仮定を立てます。2010年の大学入学者数は62万人ですから,5年後の2015年には,61.9×0.975≒60.4万人となるであろうと考えます。以下,同じです。では,シナリオ2として,下表をご覧ください。
このシナリオによると,18歳人口減少の大波に抗うことができず,大学入学者数も減っていくことになります。2050年の入学者数は,2010年の8割ほどに落ち込みます。こうなると,学生を集めることができず,倒産する大学も多く出てくるでしょう。しかし,このシナリオでも,大学進学率のほうは,2030年に63%,2050年には74%にも達します。まだまだ,非現実的というべきでしょうか。となると,ますます廃業せざるを得ない大学が…
以前にもいいましたが,大学の顧客を伝統的進学層(18歳人口)のみに頼れる時代は過ぎ去った,というべきでしょう。生涯学習社会といわれる今日です。社会人など,非伝統的進学層にも目を向けていくことが求められます。
大学進学率とは,大学入学者数を18歳人口で除した値です。この2つの要素のうち,後者は,ある程度高い精度で予測することができます。国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位推計)によると,18歳人口は,2020年には116.1万人,2030年には89.1万人,2040年には75.6万人,2050年には68.1万人となることが見込まれています。
次に,分子となる大学入学者数ですが,2010年春の数値は61.9万人です。仮に,この数を維持しようとすると,下表のような事態になります。
大学入学者数はそのままで,18歳人口がみるみる減っていくのですから,大学進学率は加速度的に上昇することになります。2030年には69.5%,2050年には90.9%という,とんでもない数字が出てきます。
これから先,現在の入学者数が維持されるなんて,あり得ないだろう,といわれるかもしれません。しかし,1992年以降,18歳人口が大きく減ってきたにもかかわらず,大学入学者数を(がめつく)増やしてきたという,(悪しき?)実績があります。どうなることやら。しかし,こうなると,子どもの世界は,目を覆いたくなるような事態になるでしょう。何しろ,大学までが義務教育のようになるのですから。
まあ,上記の予測は極端であるとして,では,もう少し現実性のあるシナリオを考えてみましょう。今度は,大学入学者が5年ごとに2.5%減っていくという仮定を立てます。2010年の大学入学者数は62万人ですから,5年後の2015年には,61.9×0.975≒60.4万人となるであろうと考えます。以下,同じです。では,シナリオ2として,下表をご覧ください。
このシナリオによると,18歳人口減少の大波に抗うことができず,大学入学者数も減っていくことになります。2050年の入学者数は,2010年の8割ほどに落ち込みます。こうなると,学生を集めることができず,倒産する大学も多く出てくるでしょう。しかし,このシナリオでも,大学進学率のほうは,2030年に63%,2050年には74%にも達します。まだまだ,非現実的というべきでしょうか。となると,ますます廃業せざるを得ない大学が…
以前にもいいましたが,大学の顧客を伝統的進学層(18歳人口)のみに頼れる時代は過ぎ去った,というべきでしょう。生涯学習社会といわれる今日です。社会人など,非伝統的進学層にも目を向けていくことが求められます。
2011年1月25日火曜日
目が悪くなる子ども
前回に引き続き,子どもの発育に関するお話です。今回は,子どもの視力に関する統計をご紹介したいと思います。勉強のし過ぎか,ゲームのやり過ぎか,理由は分かりませんが,近年,目が悪くなっている子どもが増えているように思うのです。周りをみても,眼鏡をかけている子どもが多いなあ,という印象です。統計の役割は,日常生活の中で生じる,こうした主観的な印象に,確かな根拠を与えることです。
前回もいいましたが,文科省『学校保健統計調査』には,子どもの年齢ごとに,各種の疾病の疾患率が掲載されています。私は,裸眼視力1.0未満の者の比率に注目しました。2010年の統計によると,6歳~17歳(小学生~高校生)の率の平均値は42%です。子どもの4割が,視力1.0未満ということになります。1975年の28%に比して,率が大きく伸びています。
では,年齢別の値を細かくみてみましょう。上記の図にみるように,年齢が高くなるほど,目が悪い子どもの率が上がってきます。2010年でみると,6歳では19%であるのが,17歳になると55%にもなるのです。しかるに,時代による変化も明らかで,どの年齢でも,過去に比して率が高くなってきています。10歳と11歳では,1975年から2010年までの間に,率が2倍以上にもなっています。
視力の低下ということも,子どもの「健康な生」が蝕まれていることを示す,一つの客観的な事実です。
前回もいいましたが,文科省『学校保健統計調査』には,子どもの年齢ごとに,各種の疾病の疾患率が掲載されています。私は,裸眼視力1.0未満の者の比率に注目しました。2010年の統計によると,6歳~17歳(小学生~高校生)の率の平均値は42%です。子どもの4割が,視力1.0未満ということになります。1975年の28%に比して,率が大きく伸びています。
では,年齢別の値を細かくみてみましょう。上記の図にみるように,年齢が高くなるほど,目が悪い子どもの率が上がってきます。2010年でみると,6歳では19%であるのが,17歳になると55%にもなるのです。しかるに,時代による変化も明らかで,どの年齢でも,過去に比して率が高くなってきています。10歳と11歳では,1975年から2010年までの間に,率が2倍以上にもなっています。
視力の低下ということも,子どもの「健康な生」が蝕まれていることを示す,一つの客観的な事実です。
2011年1月23日日曜日
喘息疾患率
子どもが罹患しやすい病気の一つに,喘息(ぜんそく)というものがあります。喘息とは,気管支の機能狭窄によって,発作的に呼吸困難になることです。アレルギーによるものがほとんどですが,感染や心理的要因によって罹患することもあります。
文科省の『学校保健統計調査』には,子どもの年齢ごとの喘息罹患率が掲載されています。最新の2010年の統計にて,6歳から17歳(小学生~高校生)の罹患率の平均値を出すと,34‰となります。35年前の1975年ではわずか4‰でした。大気汚染の進行のためでしょうか。喘息を患う子どもが増えているようです。
例の社会地図形式で,各年齢の罹患率の変化を俯瞰すると,上記のようになります。図の模様は,タテ模様になっています。つまり,時代の変化が大きい,時代現象であることを示唆します。どの年齢の罹患率も上昇しています。2010年では,小学校の年齢帯(6~11歳)が,黒に染まっています。6歳児では,47‰(=4.7%),つまりおよそ25人に1人が喘息疾患者です。
文科省の『学校保健統計調査』は非常に充実した統計であり,この他にも,さまざまな病気の罹患率を知ることができます。これまでの教育社会学は,子どもの学力や進学率など,教育達成の側面に主に着眼してきましたが,それは,いってみれば,2階の部分です。それらに先立つ,基底部分(1階部分)は,「健康な生」に他なりません。上記の資料を使って,この部分の実態解明にも力を入れようと思います。
文科省の『学校保健統計調査』には,子どもの年齢ごとの喘息罹患率が掲載されています。最新の2010年の統計にて,6歳から17歳(小学生~高校生)の罹患率の平均値を出すと,34‰となります。35年前の1975年ではわずか4‰でした。大気汚染の進行のためでしょうか。喘息を患う子どもが増えているようです。
例の社会地図形式で,各年齢の罹患率の変化を俯瞰すると,上記のようになります。図の模様は,タテ模様になっています。つまり,時代の変化が大きい,時代現象であることを示唆します。どの年齢の罹患率も上昇しています。2010年では,小学校の年齢帯(6~11歳)が,黒に染まっています。6歳児では,47‰(=4.7%),つまりおよそ25人に1人が喘息疾患者です。
文科省の『学校保健統計調査』は非常に充実した統計であり,この他にも,さまざまな病気の罹患率を知ることができます。これまでの教育社会学は,子どもの学力や進学率など,教育達成の側面に主に着眼してきましたが,それは,いってみれば,2階の部分です。それらに先立つ,基底部分(1階部分)は,「健康な生」に他なりません。上記の資料を使って,この部分の実態解明にも力を入れようと思います。
2011年1月22日土曜日
雇用労働化
人の働き方には,いろいろあります。たとえば,『国勢調査』の就労形態のカテゴリーには,「自営業」,「家族従業」,「雇用者」,というものがあります。予想がつくことではありますが,今日,圧倒的に多いのは雇用者,つまり企業などに雇われて働く人です。昔に比べて,自営業や家族従業というのはかなり少なくなっています。
2005年の『国勢調査』によると,15歳以上の就業者61,505,973人のうち,雇用者は48,333,630人です。比率にすると,78.6%になります。働く人の4分の3以上が雇用者というわけです。半世紀前の1955年では,この比率は45.4%でした。労働の雇用者化が進んでいることが知られます。
雇用者率を年齢層別に出し,時代変化を俯瞰してみると,上図のようになります。時代を下るほど,若い年齢層ほど,雇用者の比率が高くなってきます。2005年では,最も若い15~19歳の就労者のうち,98%が雇用者です。また,30代前半の部分まで,90%以上のゾーンが伸びてきていることも注目されます。
こうした労働の雇用化は,親が子どもに,労働のモデルを見せる機会を減少させている側面があります。雇用者の多くは,自宅から遠く離れているオフィスで仕事をするわけですから。子どもが家で目にするのは,夜間や休日に,疲れてゴロ寝する父親の姿だけ,というようなケースもざらでしょう。
子どもは親の背を見て育つといいますが,かつて,自営業や家族従業が多かった時代は,子どもは,働く親の姿を観察したり,実際に労働に参加したりすることで,生き生きとした職業観を身につけていました。ですが,今日では,そのようなことは期待しづらくなっています。そこで,学校が肩代わりして,キャリア教育などに力を入れるようになっているわけです。
再び図をみると,現在の小学生の親世代にあたる,30~40代の就労者の8割以上が雇用労働者です。今の子どもたちにとって,労働のモデルの喪失というのは,大きな痛手となっています。こうしたハンディを人為的に補う手立てが要請されるでしょう。
2005年の『国勢調査』によると,15歳以上の就業者61,505,973人のうち,雇用者は48,333,630人です。比率にすると,78.6%になります。働く人の4分の3以上が雇用者というわけです。半世紀前の1955年では,この比率は45.4%でした。労働の雇用者化が進んでいることが知られます。
雇用者率を年齢層別に出し,時代変化を俯瞰してみると,上図のようになります。時代を下るほど,若い年齢層ほど,雇用者の比率が高くなってきます。2005年では,最も若い15~19歳の就労者のうち,98%が雇用者です。また,30代前半の部分まで,90%以上のゾーンが伸びてきていることも注目されます。
こうした労働の雇用化は,親が子どもに,労働のモデルを見せる機会を減少させている側面があります。雇用者の多くは,自宅から遠く離れているオフィスで仕事をするわけですから。子どもが家で目にするのは,夜間や休日に,疲れてゴロ寝する父親の姿だけ,というようなケースもざらでしょう。
子どもは親の背を見て育つといいますが,かつて,自営業や家族従業が多かった時代は,子どもは,働く親の姿を観察したり,実際に労働に参加したりすることで,生き生きとした職業観を身につけていました。ですが,今日では,そのようなことは期待しづらくなっています。そこで,学校が肩代わりして,キャリア教育などに力を入れるようになっているわけです。
再び図をみると,現在の小学生の親世代にあたる,30~40代の就労者の8割以上が雇用労働者です。今の子どもたちにとって,労働のモデルの喪失というのは,大きな痛手となっています。こうしたハンディを人為的に補う手立てが要請されるでしょう。
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