教員採用試験の出題傾向分析の続きです。前回は,教職教養試験において,ローカル問題の出題頻度を県別に分析しました。今回は,教員の服務の出題頻度を明らかにしようと思います。教員の不祥事が続発していることを受けてか,よく出題される事項です。
教員が遵守すべき服務は,①職務上の義務と②身分上の義務に大別されます。前者は3つ,後者は5つです。
①職務上の義務
・服務の宣誓義務(地方公務員法第31条)
・法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(第32条)
・職務に専念する義務(第35条)
②身分上の義務
・信用失墜行為の禁止(第33条)
・秘密を守る義務(第34条)
・政治的行為の制限(第36条)
・争議行為等の禁止(第37条)
・営利企業等の従事制限(第38条)
新聞紙上でよく取り沙汰される,教員のわいせつ行為などは,上記の「信用失墜行為」に該当します。はて,2007年度~2011年度の5回の試験において,これらの服務に関連する問題はどれほど出ているのでしょうか。時事通信社の『教員養成セミナー』2011年3月号の62~63頁の統計をもとに,下図をつくりました。
前回のローカル問題の地図に比して,全体的に色が濃くなっています。それだけ,出題頻度が高い,ということです。黒色は5回,つまり,この期間中一貫して服務の問題が出ている地域です。茨城,埼玉,東京,静岡,滋賀,島根,高知,および長崎が該当します。これらの8都県では,2012年度試験でも,服務の問題がほぼ間違いなく出題されるでしょう。
私は,教員の不祥事が多い県で,この種の問題の出題が多いのではないかと思っていましたが,どうでしょう。懲戒処分の対象となった教員の比率と,上記のデータを関連付けてみると面白いかもしれません。
今度は,児童生徒の問題行動の出題頻度を分析しようかしらん。