2010年度の教員採用試験(2009年夏実施)の受験者数は166,747人だったそうです。そのうち最も多いのは東京都で16,121人です。東京だけで,全体の9.7%を占めています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/senkou/1300242.htm
今回は,この東京都の教職教養試験において,どういう事項が数多く出題されているのかをご覧に入れようと思います。
私は,時事通信社『教員養成セミナー』2011年3月号の26~63頁の資料を参考に,以下の表をつくりました。2007~2011年度の5回の試験において,4回以上出題されている事項を掲げたものです。5回(=一貫して出題)は「必出」,4回は「準必出」とみてよいでしょう。
都の教育施策や教員の服務の問題が一貫して出ていることは,出題傾向分析①・②の記事でも指摘しました。それ以外の必出事項をみると,教員研修や教科書に関する法規定が必ず出ているようです。
また,教育史の進歩主義教育が欠かさず出題されていることも注目されます。教育の歴史を知っておくことは,現代の教育を正しく理解するための前提条件となりますので,好ましいことだと思います。19世紀末~20世紀初頭の進歩主義教育の実践は,児童中心主義の原点ともいえるものです。今振り返っても教えられるところが大ですので,しっかり復習しておきましょう。
しかし,上記の表を全体的にみると,教育法規のウェイトが高くなっています。とくに,教員研修に関する法規定が大変よく出題されています。初任者研修,10年経験者研修,指導改善研修といった法定研修のほか,都が独自に実施している研修についても知識を得ておく必要があるでしょう。
教員研修についてよく問われるのは,団塊世代の大量退職に伴い,大量採用を余儀なくされているという,東京独自の事情からかもしれません。新規採用教員の質の低下を憂い,研修に力を入れよう,という方針なのでしょうか。都教育委員会は,2008年10月に,東京都教員人材育成基本方針を出しています。こういう文書の概要にも目を通しておいたほうがよいでしょう。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/jinji/jinzai.htm
採用試験受験予定のみなさん,自分が受けようとしている自治体について,上記のような表をつくってみることをお勧めします。自分で手を動かして数字を分析し,何がしかの傾向が明らかになった時の快感はひとしおです。こういう経験をぜひ味わっていただきたく存じます。