2014年2月6日木曜日

年収と未婚の関連(改)

 昨年の9月10日の記事では,30代後半男女の年収別の未婚率を出したのですが,この記事をみてくださる方が多いようです。

 結婚とは,男女の自由意思に基づくものとみられがちですが,フタを開けてみると,年収のような経済条件に強く規定されています。こういうデータが珍しかったのでしょうか。また,男女では傾向が逆になっていることも,興味をひいたのだと思われます。

 しかるに,問題点のご指摘もいただきました。一つは,各年収階層の量を考慮していないこと。二つは,無業者を入れていないことです。

 なるほど,年収1,500万以上の女性の未婚率が飛びぬけて高いのですが,この層は量的にはごくわずかです。各階層の量も提示しないといけませんよね。また,働いていない無業者の存在も無視することはできません。最近は,働き盛りの層でも無業者が増えてきていますし。

 今回は,こうした点をふまえて作り直した図をご覧に入れようと思います。まずは,素材から見ていただきましょう。無業者と,有業者の年収別の3階層です。先の記事と同様,30代後半男女のデータを収集しました。ソースは,2012年の総務省『就業構造基本調査』です。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
 

 男性では年収400万以上の有業者が最多ですが,女性では無業者と200万未満の有業者が拮抗しています。前者は専業主婦,後者は家計補助のパート等が多くを占めるでしょう。

 このデータを使って,層別の未婚率の様相が分かるグラフをつくってみましょう。とはいえ,単純な折れ線グラフでは,この前と同じです。ここでは,各層の量も分かる図にしたいと思います。


  横幅で4つの階層の量を表現し,各層の未婚・既婚構成が分かるようにしました。未婚者を除いた全てが既婚者とは限りませんが,離別・死別の者はそう多くないので,まあ既婚(有配偶)と括ってもよいでしょう。

 男性では,年収が上がるほど未婚率は低下していきます。男性にあっては,無業者と年収200万未満のワープア(Ⅰ)はわずかですが,量的に少ないこの層にしわ寄せがいっている模様です。無業者の未婚率は80.6%,ワープアの未婚率は61.7%なり。

 しかるに女性は,おおむね高年収層ほど未婚率が上昇します。自分で稼げるので結婚を望まないのか,結婚を望みつつも稼ぐ女性は敬遠されるのか。事情は分かりませんが,年収と未婚率の関連の性差に,「男が養うべし」というわが国のジェンダー観念がみてとれます。

 ところで,年収と未婚の関連のジェンダー差は,地域によって若干違います。上図のような傾向が顕著な東京と,それが比較的薄い沖縄のケースをみていただきましょう。


  東京の場合,年収と未婚の関連ならびにその性差が,全国傾向にも増してクリアーです。無業男性の9割,ワープア男性の8割が未婚であり,年収200万以上の女性の半分近くは未婚なり。

 対して沖縄はというと,無業男性やワープア男性でも既婚者が結構いるのではないですか。女性にあっても,年収階層による未婚率の傾斜がゆるくなっています。「男女ともに稼ぐ」。こういう考えが浸透しているのかもしれません。所得水準が低いので,共働きでないとやっていけない,という事情もあるでしょうが。

 「男は仕事,女は家庭」というジェンダー観念が強いのは地方であり,都市部ではそれがなくなってきているといわれますが,実情は逆なのかもしれませんね。

 偏狂なジェンダー観念についてどう思うかと世論調査で尋ねることは簡単ですが,口でなら何とでも言えます。ジェンダーの克服の度合いは,目に見える行動量でもって把握すべきでしょう。年収による未婚率の傾斜の男女差が,今から10年後,20年後になくなっているか。こうした点にも注意していきたいものです。

1 件のコメント:

  1. こんにちは、いつも興味深く読ませていただいています。

    今回のデータの分析ですが、原因と結果を反対に考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか?
    今年20歳で、将来高給取りをめざす娘は、男女で収入の分布に大きな差があることに注目し、これは結婚によって、女性がフルタイムで働くことが難しくなり、結果として、本来の収入の可能性を実現できない、ということではないか、と言っています。結婚すれば、家事や育児を担うので(本人の)収入が減り、結婚しない人はフルタイムで働き続けられるので、収入が上がりやすい、という考え方です。
    私も、なかなか説得力のある解釈だと思いますが、いかがでしょうか?

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