2014年2月11日火曜日

女性のすがたの変化

 未婚率の話ばかりが続いたので,話題を変えましょう。ツイッターでも発信したのですが,女性のすがたの変化図をつくってみましたので,ブログにも載せておこうと思います。

 ツイッターの図は,1992年と2012年の比較でしたが,ここでは1987年と2012年の比較図を提示いたします。男女雇用機会均等法が制定されたのは1986年のことですが,この四半世紀にかけて,女性の社会進出はどれほど進んだのでしょう。

 私は,総務省『就業構造基本調査』のデータを使って,①自営・家族従業等,②正規職員,③パート・アルバイト,④派遣・契約社員等,⑤専業主婦,⑥通学,⑦その他,という成分の比重をみて取れる統計図をつくってみました。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 ①~④は有業者,⑤~⑦は無業者です。では,ブツをみていただきましょう。


 読みとれる点は以下のごとし。

イ)結婚・子育て期のM字カーブの底が浅くなり,有業女性の比重が増えている。
ロ)しかし増えているのは,パート・バイトやハケンといった非正規雇用である。
ハ)この四半世紀において,女性の社会進出は確かに進んだが,それは「非正規依存型」のものであった。

 こんなところでしょうか。『男女共同参画白書』などで,昔に比べてM字カーブの底が浅くなったことが強調されますが,Mの中身をレントゲンで覗いてみると「・・・」という感じです。Mの外形だけに注目するだけでは足りないようですね。

 なお,北欧のスウェーデンなどは,わが国と様相を異にしています。80年代から今世紀初頭にかけて,両国の働き盛りの女性のすがたがどう変わったかを解剖してみましょう。下の図は,『世界価値観調査』の時系列データをもとに作成した,30~40代女性の組成図です。
http://www.wvsevsdb.com/wvs/WVSAnalize.jsp


 日瑞とも有業者の比重が増えていますが,その中身が違っています。スウェーデンではフルタイム就業の増加幅が大きいのですが,日本ではパートタイムの増が目立っています。

 前者の社会進出を「フルタイム(正規)型」とすれば,わが国のそれは「パートタイム(非正規)型」と性格づけることができるでしょう。

 働く女性の頭数やM字カーブの形状に関心が向けられることが多いのですが,その内訳を解剖するとこうなる,ということのご報告です。