これに単身や無業という要素が加わると,家族や職業集団という縁を持たない,単身無業アラフォー男性となります。はて,こういう人たちはどういう暮らしをしているのか。ちょっとばかり興味が持たれます。2011年の総務省『社会生活基本調査』のデータを使って,彼らの1日の過ごし方を拝見といきましょう。
上記調査の時間帯統計では,1日の各時間帯(15分間隔)における,主な生活行動の実施率をまとめた表があります。たとえば18:00~18:15の時間帯に,食事をしている者が何%,雑事をしている者が何%,というデータです。
私は,35~44歳の単身無業男性について,平日の各時間帯における生活行動分布図をつくってみました。調査対象のサンプル数はわずか46人ですが,母集団全体ではおよそ7万人ほどいると見積もられています。
それでは,ブツをみていただきましょう。
平日ですが,どの時間帯でも仕事(バイト含む)をしている人は皆無です。1日の多くを,休養やマスコミ接触が占めています。夜型の人も少なくなく,4分の1ほどが夜中の3時くらいまでテレビなどを観ていて,1割ほどが昼前まで寝ていると。予想通り,面白い図柄になっています。
昼間は病院に行っている者もちょっといるようですが,病気という理由で職に就けない人も含まれるためでしょう。午後から夕方の時間帯では,学習や自己啓発をしている者も見受けられます。資格試験の勉強などでしょうか。
こういう,いささか「ぶっ飛んだ」暮らしをしている単身無業アラフォー男性の推計数は,全国でおよそ7万人。35~44歳の男性人口963万人(2011年)のうち0.7%,143人に1人の出現率となります。
2011年9月2日の記事でも書きましたが,私は,こういう「ぶっ飛んだ」生き方をしている方々に若干の敬意を持っています。彼らこそ,今の社会に新風を吹き込んでくれるのではないか。こういうことすら,思っています。普通のリーマンとは違った角度から,社会を眺める位置にいるわけですから。
同世代の143人に1人くらい,こういう「ぶっ飛んだ」暮らしをしている人間がいてもいいのでは…。逆にいえば,100人中100人が会社員をするような社会のほうが異常です。そういう社会では多様性も活気も出にくいし,社会を変革しようという機運もなかなか生まれますまい。
作家の雨宮かりんさんの『反撃カルチャー・プレカリアートの豊かな世界』角川学芸出版(2010年)にも,似たようなことが書いていました。いい本ですので,記して紹介しておこうと思います。