3連休の2日目ですが,いかがお過ごしでしょうか。秋晴れの空が広がっていますね。近くのソレイユの丘は,家族連れで賑わっていることでしょう。私は変わらず,自宅仕事ですが。
さて,毎年この時期になると,各社の大学調査の結果をまとめた冊子が公刊されます。翌年度の受験生の参考に供するためです。私は毎年,読売新聞社の『大学の実力』を購入していますが,旺文社も独自に調査をやっているようです。
受験雑誌『蛍雪時代』で知られる会社ですが,その特別号として,大学調査のデータをまとめた冊子が出るようです。その名は『大学の真の実力』。今年(2017年)の調査には,全国の751大学全てが回答しているとのこと。
https://www.obunsha.co.jp/product/detail/051009
今年の調査結果の冊子を,アマゾンで取り寄せました。
全大学が回答しているのは,大学(学部)別の退学率のようなデータは出さない,という編集方針の故でしょう。
しからば,読者の目を引く「きわどい」データが載ってないかというと,そんなことはありません。入学者の地元出身率・現役率,卒業者のうちの公務員就職者・教員就職者など,読売新聞調査にはないデータも載っています。
公務員就職者・教員就職者数を,全国の大学の学部別に知れるのはスゴイ。私は,東京学芸大学という教員養成大学の出身ですので,教員就職率という指標に関心を持ちます。
この資料が集計している教員就職者とは,無期雇用,ないしは雇用期間1年以上で週の労働時間が30~40時間程度の者,ということですので,フルタイムの雇用形態の者とみてよいでしょう。時間講師の類は含まれないと思われます。
はて,今の学大はどれくらい頑張っているか。300ページに,今年春の学大の卒業生(1131人)の進路が出ています。私の頃からのライバル,埼玉の私大・文教大学教育学部との優劣も,気になりますねえ。以下のシンプルな比較表を作ってみました。
教員就職者数は,学大が317人,文教大が347人です。卒業者は学大の方が多いのに,教員就職者は文教のほうが多し。就職の意思のない大学院等進学者を除く卒業生(学大の場合,1131-213=918人)に占める,教員就職者の割合は,学大が34.5%,文教が74.8%です。
ぐうう,倍以上の差です。だいぶ水を開けられていますねえ。まあ学大の場合,ゼロ免課程が結構ありますので,この部分を除いたら教員就職率はもっとアップするでしょうが,それでも文教の74.8%には及ばないだろうなあ。
上表のデータをグラフにしましょう。進学者を除く卒業生ベースの教員就職率がイメージしやすいようにします。この場合,横幅も使えるモザイク図が一番。横幅を使って,進学者とそれ以外に分かち,後者の中での教員就職者の比重を可視化します。
違いがよく分かりますね。進学先も就職先も決まってない進路未定者は,教員養成大学の場合は,多くが教員採用試験の浪人組でしょう。
これは2つの大学の結果ですが,他にも教員養成大学(学部)はたくさんあります。学大の教員就職率は34.5%ですが,全体の中の位置はどうなのかなあ。国立と私立の分布の差も知りたいところ。国立の教員養成大学は,未だに研究志向が強く,社会のニーズに応えていない,という社説を新聞で読んだことがありますが,国立と私立ではどっちに軍配が上がるか。
目下,首都圏(1都3県)の分のデータベースを作っているところです。おカネのある研究者なら,バイトを雇って全国の大学(学部)の卒業生の進路DBを作るのも容易でしょうが,私はそうはいきません。
https://twitter.com/tmaita77/status/916614544906117120
しかるに,限られた労力(資源)から有意義なアウトプットを引き出すのも,研究者の腕の見せ所。首都圏のデータをもとに,教員就職率の分布と,「教員ないしは公務員を目指すなら,**大学の**学部!」ということが分かるデータを作ってみようと思います。