2017年10月31日火曜日

教員の教育職以外の経験年数

 OECDの国際教員調査「TALIS 2013」では,各国の中学校教員に対し,教育職以外の経験年収を尋ねています。
http://www.oecd.org/edu/school/talis.htm

 この問いに対し「0年」と答えた教員の割合は,教育職以外の経験がない教員の出現率と読むことができます。この数値を国別に出し,高い順に並べたグラフをツイッターで発信したところ,多くの方に見ていただけました。日本は79.2%で,対象国の中ではトップです。
https://twitter.com/tmaita77/status/924223243887640578

 しかるに,回答の分布にも関心が持たれるでしょう。アメリカでは,0年という教員(17.6%)よりも,10年以上という教員が33.6%と,ずっと多くなっています。この大国では,中学校教員の3人に1人が,教育職以外の仕事を10年以上経験してきているのですね。

 上記調査のローデータを加工して,ラフな4区分の分布を国ごとに出してみました。0年,1~4年,5~9年,10年以上,の4カテゴリーです。下表をご覧ください。赤字は,最頻値(Mode)です。無回答・無効回答は除いた有効回答の分布です。


 日本と同様,0年(≒経験なし)という教員が最多である国が多いですが,そうではない国もあります。メキシコとアメリカでは,10年以上という教員が最も多し。メキシコでは,4割近くにもなります。

 上表のデータをグラフにしましょう。そうですねえ。「0年」の比率と「5年以上」の比率を拾って,帯グラフにしましょうか。朝日新聞流に,中抜きのグラフにしてみました。国の配列は,0年の比率が高い順によります。


 かつてジョン・デューイは,「学校は陸の孤島である」と述べ,地域社会と学校の間に橋をかける必要があると提言しました。その中に人事交流が含まれていたか,記憶が定かでないですが,日本はそれが最も活発でない社会であるようです。

 22歳まで学生をやり,その後もずっと学校に奉職し続ける。学校の外の世界を知らない…。こういう教員が,全体の8割も占めるというのは,少しばかり怖い気がします。近年重視されているキャリア教育は,民間経験のある教員のほうが高いパフォーマンスを発揮するという説をどこかで聞いたことがありますが,そういう面もあるでしょう。

 現行の採用試験では,社会人採用の枠もありますが,これをもっと広げてもいいのではないか。もっと思い切ったことを言えば,一定年数の就業経験をもって,採用試験の受験資格にしてもいい。「学生しか経験してない私に何が教えられるのだろう?」。大学を卒業してすぐに教壇に立たされることに,戸惑いを覚えている学生もいるのでは。
https://twitter.com/kanas_office/status/924588992133083139

 ただ,現行の制度でも,民間人が教員になれる道は開かれています。にもかかわらず,現状は上記のデータのごとしというのは,教員は「ブラック」であることが知れ渡り,敬遠されているからかもしれません。待遇を改善しなければ,優秀な人材(社会人経験者)は集まらない。これは道理です。

 タイムカードや残業代という概念がない。民間の感覚からすれば驚愕するようなことが,学校ではまかり通っています。学校と外部社会の間に「橋」をかけるには,採用試験の制度改革だけでは足りないでしょう。

1 件のコメント:

  1. 確かに。例えば東京都の公立学校においては、民間経験が長いほど不利になりますよね。独自の主任教諭選考では、「国公立私立学校の教職経験8年以上」という制約があるため、40歳で民間から転職してしまうと、主任教諭になれるのは最短でも48歳になってから・・・。上昇志向が高い民間人にとっては、転職後の大きな落とし穴となっており、民間転職者のモチベーションは低い傾向にあるのではないでしょうか。

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