11月ももう月末です。早いですね。今月,私がネット上でキャッチした教員不祥事報道は28件です。有害物質遺棄や不正乗車など,珍しい事案もみられました。
いつも通り,記事名と当該教員の基本属性を記録します。事の詳細を知りたい方は,記事名でググってみてください。
明日から師走ですね。今年もあとわずか。がんばりましょう。
<2014年11月の教員不祥事報道>
・教諭が公務PCでアイドル画像閲覧 高知(11/2,毎日,高知,中,男,40代)
・LINE返信遅いと不倫相手の女性を蹴った教諭(11/6,読売,大阪,小,男,44)
・少女にみだらな行為 疑いで公立中教諭逮捕(11/6,宮崎日日,宮崎,中,男,29)
・不起訴の教諭懲戒免職 飲酒運転「信用を失墜」(11/6,産経,秋田,高,男,51)
・盗撮で教諭2人懲戒免職 大阪府教委、セクハラで停職も
(11/7,朝日,大阪,盗撮:中男23,小男34,セクハラ:高男59)
・修学旅行中、宿泊先のホテルで女子生徒にわいせつ行為
(11/7,産経,神奈川,高,男,41)
・盗撮で逮捕の教頭ら3人を停職6カ月の処分
(11/7,毎日,愛知,盗撮:高男51,盗撮:高男31,自転車無断使用:高男25)
・FBに生徒を正座させた画像 中学講師「指導総括です」(11/10,朝日,兵庫,中,男,56)
・女子更衣室に隠しカメラ…仕掛けた教諭が映像に(11/11,読売,茨城,小,男)
・和歌山、投げたほうきで生徒けが(11/11,神戸新聞,和歌山,中,男,20代)
・自宅で生徒にわいせつ 20代高校臨時講師が懲戒免職
(11/11,神戸新聞,兵庫,高,男,20代)
・教諭 テスト結果を持ち出し子どもに見せる(11/13,NHK,山梨,中,女,50代)
・わいせつ行為の臨時講師らを懲戒免職
(11/13,神戸新聞,兵庫,わいせつ:小男25,営利事業:中男38)
・校舎内で女児にわいせつ未遂…元小学校講師逮捕(11/13,読売,茨城,小,男,20代)
・魚大量死、教諭2人を書類送検 有害物遺棄容疑(11/13,朝日,新潟,小男30代,小男40代)
・女性の脚撮影など 県教委が3教諭を処分
(11/14,神奈川新聞,神奈川,女性の脚撮影:高男54,宿泊学習での飲酒:特男57,人身事故:高男56)
・小学生女児の裸を撮影 幼稚園教諭の男逮捕(11/20,日テレ,幼,男,30)
・<危険ドラッグ>所持容疑で逮捕の教諭処分(11/20,毎日,岐阜,小,男,41)
・「1度に5教諭処分の危機」 わいせつ、脅迫、不正会計、体罰
(11/21,千葉日報,千葉,わいせつ:特男35,高男30,脅迫:小男49,不正会計:高男26,体罰:中男56)
・女子高校生の胸触り押し倒し殴る、中学教諭逮捕 (11/22,読売,神奈川,中,男,27)
・中学講師が不正乗車 滋賀・栗東(11/22,京都新聞,滋賀,中,女,34)
・中学教諭、体育大会打ち上げ後にバイク酒気帯び運転で停職6カ月
(11/22,産経,大阪,中,男,30)
・特別支援学校教員を逮捕 追突して逃げた疑い(11/22,朝日,佐賀,特,男,56)
・保管の問題 前日解かせる…発覚で生徒不合格(11/26,毎日,滋賀,高,男,34)
・勤務中に繰り返し飲酒 特別支援学校教諭を戒告処分
(11/27,神戸新聞,兵庫,飲酒:特男54,体罰:高男52)
・「やばい扉開けちゃうかな」児童買春容疑で中学教諭逮捕(11/28,TBS,東京,中,男,26)
・わいせつ2教諭懲戒免 宮崎県教委処分、本年度計3人
(11/29,宮崎日日,宮崎,中男26,中男29)
・<児童ポルノ禁止法容疑>岐阜の町立中講師を逮捕(11/29,毎日,岐阜,中,男,23)
2014年11月30日日曜日
2014年11月29日土曜日
年齢別の他殺被害者数
虐待防止について議論している厚労省の専門家会議が,次のことを提言しています。「虐待による死亡事案のうち1歳未満の赤ちゃんが犠牲となるケースが多い状況を踏まえ,妊娠期から出産,育児期まで切れ目なく母親を支援する態勢の整備」です。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014112801001513.html
私はこの記事に触発されて,年齢別の他殺被害者数のグラフをつくってみました。厚労省『人口動態統計』の死因統計には,他殺による死亡者数が載っていますが,その年齢別数値を棒グラフにしたものです。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
昨日の夜,試作版をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておこうと思います。
昨日の図は,2013年中の死亡者のグラフでしたが,より安定した傾向を見出すため,2009~2013年の5年間の数をグラフにしてみました。この5年間における,他殺による死亡者は2046人(年齢不詳は除く)ですが,その年齢分布を図示すると,下図のようになります。
昨日の単年の図では,ピークは73歳でその次が0歳の乳児でしたが,最近5年間のデータでみると,他殺による死亡者は乳児がダントツで多くなっています。普遍的な傾向としては,殺人被害に遭う確率が最も高いのは,生後間もない乳児であるようです。このうちの多くは,上記の記事でいわれているような虐待死であるとみられます。
児童虐待は,相談件数の上では「イヤイヤ期」に相当する3歳児に関わるものが最多なのですが,死に至るまでの深刻な事案は生後間もない乳児で最も起きやすいことが知られます。しかし,ここまでの集中度だとは・・・。上記の提言を,強く支持するエビデンスです。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014112801001513.html
私はこの記事に触発されて,年齢別の他殺被害者数のグラフをつくってみました。厚労省『人口動態統計』の死因統計には,他殺による死亡者数が載っていますが,その年齢別数値を棒グラフにしたものです。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
昨日の夜,試作版をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておこうと思います。
昨日の図は,2013年中の死亡者のグラフでしたが,より安定した傾向を見出すため,2009~2013年の5年間の数をグラフにしてみました。この5年間における,他殺による死亡者は2046人(年齢不詳は除く)ですが,その年齢分布を図示すると,下図のようになります。
昨日の単年の図では,ピークは73歳でその次が0歳の乳児でしたが,最近5年間のデータでみると,他殺による死亡者は乳児がダントツで多くなっています。普遍的な傾向としては,殺人被害に遭う確率が最も高いのは,生後間もない乳児であるようです。このうちの多くは,上記の記事でいわれているような虐待死であるとみられます。
児童虐待は,相談件数の上では「イヤイヤ期」に相当する3歳児に関わるものが最多なのですが,死に至るまでの深刻な事案は生後間もない乳児で最も起きやすいことが知られます。しかし,ここまでの集中度だとは・・・。上記の提言を,強く支持するエビデンスです。
2014年11月28日金曜日
秋の日帰り遠足
昨日は天気がよかったので,箱根に日帰り遠足に行ってきました。箱根は,2004年の夏に松本良夫先生と行って以来,およそ10年ぶりでした。
たどったのは,お決まりの定番コースです。ロマンスカーで湯本まで行き,登山電車で強羅,さらにケーブルカーで早雲山まで登ると。そこからはロープウェーです。標高がマックスの大涌谷で撮った富士山を一枚。
快晴だったこともあり,よく見えました。硫黄の匂いが漂う当地名物の「黒たまご」もナイス。5個入りの1袋500円なり。
ここからは芦ノ湖まで下り,港のビューレストランで昼食,それから遊覧船です。湖畔の紅葉が見事でした。
元箱根町の船着き場の近くに,箱根駅伝の往路ゴール(復路スタート)地点があります。年の初め,全国で最も活況を呈するスポットです。すぐ隣には,箱根駅伝ミュージアムもあります。歴代の名選手のユニフォームや写真集など,貴重な資料が数多く展示されています。ここにも入ってきました。
その後は,バスで湯本まで行き,近場の温泉で一休み。箱根の夕空を見ながらの露天風呂は実によかった。
まあ,お決まりのルートを機械的にたどっただけですが,心身ともにリフレッシュできました。かかった費用は,箱根フリーパスが5010円,その他諸々を含めて,トータルで一万とちょっとくらい。これくらいの金額で十分楽しめます。今度は桜の季節に出向いて,逆ルートで回ってみようかな。
秋のささやかな行楽の記録です。このブログには,日記の意味合いも持たせています。後々,「ああ,こういうことをしたな」と振りかえることができるので便利です。
たどったのは,お決まりの定番コースです。ロマンスカーで湯本まで行き,登山電車で強羅,さらにケーブルカーで早雲山まで登ると。そこからはロープウェーです。標高がマックスの大涌谷で撮った富士山を一枚。
快晴だったこともあり,よく見えました。硫黄の匂いが漂う当地名物の「黒たまご」もナイス。5個入りの1袋500円なり。
ここからは芦ノ湖まで下り,港のビューレストランで昼食,それから遊覧船です。湖畔の紅葉が見事でした。
元箱根町の船着き場の近くに,箱根駅伝の往路ゴール(復路スタート)地点があります。年の初め,全国で最も活況を呈するスポットです。すぐ隣には,箱根駅伝ミュージアムもあります。歴代の名選手のユニフォームや写真集など,貴重な資料が数多く展示されています。ここにも入ってきました。
その後は,バスで湯本まで行き,近場の温泉で一休み。箱根の夕空を見ながらの露天風呂は実によかった。
まあ,お決まりのルートを機械的にたどっただけですが,心身ともにリフレッシュできました。かかった費用は,箱根フリーパスが5010円,その他諸々を含めて,トータルで一万とちょっとくらい。これくらいの金額で十分楽しめます。今度は桜の季節に出向いて,逆ルートで回ってみようかな。
秋のささやかな行楽の記録です。このブログには,日記の意味合いも持たせています。後々,「ああ,こういうことをしたな」と振りかえることができるので便利です。
2014年11月26日水曜日
都道府県別の大学進学率のジェンダー差
今日の朝日新聞に「生まれながらの境遇,乗り越えろ,性別で地域で学びに差」と題する記事が出ています。生まれながらの境遇で教育機会に格差が出ているという趣旨ですが,私が計算した,性別・都道府県別の大学進学率のデータが掲載されています。
http://www.asahi.com/articles/ASGCT55SJGCTUTIL02L.html
記事には,大学進学率のジェンダー差が大きい5県と小さい5県の表が掲げられています。前者は,北海道,山梨,和歌山,埼玉,鹿児島です。後者は,熊本,岡山,東京,高知,徳島です。しかるに,他の県はどうかという関心もあるでしょう。記事には,全県の分を載せるスペースがなかったようですので,ここにてそれをご覧に入れようと思います。上記の記事の補足です。
まず大学進学率の概念ですが,私が計算したのは,18歳人口ベースの4年制大学進学率です。2014年春の大学入学者数を,推定18歳人口で除した値です。分母は,3年前(2011年春)の中卒者・中等教育学校前期課程卒業者で代替しています。
分子には,過年度卒業生(浪人)も含まれますが,今年春の18歳人口からも浪人を経由して大学に入る者が同程度出るものと仮定し,両者が相殺するものとみなします。よって,ここでいう大学進学率とは浪人込みの数値ということになります。もっと平たくいうと,同世代のうち大学に行くのは何人かです。
今年春の大学入学者数は60万8232人,分母の推定18歳人口は118万838人ですから,大学進学率は51.5%ということになります。よくいわれる,同世代の半分が大学に行くとは,こういうことです。
私は,この値を都道府県別に計算しました。男女の値も出しました。分子には,各県の高校出身の大学入学者数を充てています。言い忘れましたが,分子・分母とも,ソースは文科省『学校基本調査』です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
下表は結果の一覧表です。最高値には黄色,最低値には青色のマークを付しています。上位5位の数値は赤色にしました。右欄には,男子の率が女子の何倍かを表すジェンダー倍率と,その順位を掲げています。
大学進学率のマックスは東京ですが,最も低いのは,今年は郷里の鹿児島となっています(昨年は岩手)。うへえ,東京と鹿児島では,大学進学率に倍以上の開きがあります。女子では,40ポイント以上の格差です。
進学率のジェンダー差が最大なのは北海道で,およそ1.4倍です。男子が48.0%なのに対し,女子が34.6%と,大きな差が出ています。対して,四国の徳島では性差がほとんどありません。この県は,自県内の大学に入る女子が多いようですが,県内に女子をひきつける大学があるのでしょうか。自宅から通えるのは,大きい。
最後に,上表のジェンダー倍率を地図にしておきましょう。私は視覚人間ですので,こういうオマケをつけたくなります。
濃い色は,ジェンダー差が1.3倍を超える県です。北海道,埼玉,山梨,和歌山,そして郷里の鹿児島が該当します。上記の記事タイトルに引きつけていうと,「性別で学びに差」がある度合いが大きい県です。
以上,朝日新聞記事のデータの補足をしました。いやー,ブログって便利ですよね。何か補足で言いたいことがあれば,手軽に何でも発信できる。私見ですが,学者や評論家はこのツールを持つべきだと思います。潮木先生の言葉を借りるなら,自分の研究成果を思うままに発信できる「私設出版社」です。紙媒体と違って,文字量や図表の量にも制限はなし。間違いがあれば,すぐに修正もできます。*それゆえに信頼度が低いという問題もありますけど。
学生さんにも,この偉大な文明の恩恵を活用すべしと勧めているところです。自分を世に発信する。これも広義の「シューカツ」ですよ。
今日は雨でしたが,明日は快晴だそうです。私は,日帰り遠足に行く予定です。行き先は箱根。紅葉も見ごろだと思います。さて,今日はもう寝るとしましょう。
http://www.asahi.com/articles/ASGCT55SJGCTUTIL02L.html
記事には,大学進学率のジェンダー差が大きい5県と小さい5県の表が掲げられています。前者は,北海道,山梨,和歌山,埼玉,鹿児島です。後者は,熊本,岡山,東京,高知,徳島です。しかるに,他の県はどうかという関心もあるでしょう。記事には,全県の分を載せるスペースがなかったようですので,ここにてそれをご覧に入れようと思います。上記の記事の補足です。
まず大学進学率の概念ですが,私が計算したのは,18歳人口ベースの4年制大学進学率です。2014年春の大学入学者数を,推定18歳人口で除した値です。分母は,3年前(2011年春)の中卒者・中等教育学校前期課程卒業者で代替しています。
分子には,過年度卒業生(浪人)も含まれますが,今年春の18歳人口からも浪人を経由して大学に入る者が同程度出るものと仮定し,両者が相殺するものとみなします。よって,ここでいう大学進学率とは浪人込みの数値ということになります。もっと平たくいうと,同世代のうち大学に行くのは何人かです。
今年春の大学入学者数は60万8232人,分母の推定18歳人口は118万838人ですから,大学進学率は51.5%ということになります。よくいわれる,同世代の半分が大学に行くとは,こういうことです。
私は,この値を都道府県別に計算しました。男女の値も出しました。分子には,各県の高校出身の大学入学者数を充てています。言い忘れましたが,分子・分母とも,ソースは文科省『学校基本調査』です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
下表は結果の一覧表です。最高値には黄色,最低値には青色のマークを付しています。上位5位の数値は赤色にしました。右欄には,男子の率が女子の何倍かを表すジェンダー倍率と,その順位を掲げています。
大学進学率のマックスは東京ですが,最も低いのは,今年は郷里の鹿児島となっています(昨年は岩手)。うへえ,東京と鹿児島では,大学進学率に倍以上の開きがあります。女子では,40ポイント以上の格差です。
進学率のジェンダー差が最大なのは北海道で,およそ1.4倍です。男子が48.0%なのに対し,女子が34.6%と,大きな差が出ています。対して,四国の徳島では性差がほとんどありません。この県は,自県内の大学に入る女子が多いようですが,県内に女子をひきつける大学があるのでしょうか。自宅から通えるのは,大きい。
最後に,上表のジェンダー倍率を地図にしておきましょう。私は視覚人間ですので,こういうオマケをつけたくなります。
濃い色は,ジェンダー差が1.3倍を超える県です。北海道,埼玉,山梨,和歌山,そして郷里の鹿児島が該当します。上記の記事タイトルに引きつけていうと,「性別で学びに差」がある度合いが大きい県です。
以上,朝日新聞記事のデータの補足をしました。いやー,ブログって便利ですよね。何か補足で言いたいことがあれば,手軽に何でも発信できる。私見ですが,学者や評論家はこのツールを持つべきだと思います。潮木先生の言葉を借りるなら,自分の研究成果を思うままに発信できる「私設出版社」です。紙媒体と違って,文字量や図表の量にも制限はなし。間違いがあれば,すぐに修正もできます。*それゆえに信頼度が低いという問題もありますけど。
学生さんにも,この偉大な文明の恩恵を活用すべしと勧めているところです。自分を世に発信する。これも広義の「シューカツ」ですよ。
今日は雨でしたが,明日は快晴だそうです。私は,日帰り遠足に行く予定です。行き先は箱根。紅葉も見ごろだと思います。さて,今日はもう寝るとしましょう。
2014年11月25日火曜日
『スーパー過去問ゼミ 教育学・心理学』
実務教育出版社より,『国家公務員試験スーパー過去問ゼミ 教育学・心理学』が発刊されました。教育学のパートは,私が執筆しております。
http://jitsumu.hondana.jp/book/b183446.html
教育学は,国家公務員試験の選択科目の一つです。受験者が多い国家一般職(旧国家Ⅱ種)の試験でも,2006年度より取りいれられています。
これまでの出題傾向を分析し,実際の問題を解いてみての感想ですが,教育学は出題領域がほぼ決まっています。国家一般職試験は5問の出題ですが,毎年,①西洋教育史,②教育社会学,③学校経営,④生涯学習,⑤教育方法学からの出題です。教育社会学は教員採用試験では「アウト・オブ・眼中」なのですが,国家試験の教育学では必出。ちょっと嬉しい。
問題の難易度もそれほど高くないように思います。また「教育」は誰もが実際に経験してきていることなので,現実感を持って楽しく学習できるでしょう。総合的にみて,他科目に比して,学習に要する労力も少なくて済むのではないでしょうか。
教育学は,イチオシの科目です。ぜひこの科目を選択していただき,勝利の栄冠を勝ち取っていただきたいと思います。本書は,そのための過去問集です。試験で出題された問題の中から,出題頻度が高く,かつ広範な知識を吸収できる良問を厳選し,盛り込んでいます。教育学は,その数88問です(心理学は114問)。これらを繰り返し解くことで,国家試験の教育学に対応できる実戦力が確実に身につきます。
マイナーな科目ですので,類書はまだ出ていないと聞いています。教育学の選択を考えておられる皆さん,ぜひ本書をお手にとってください。今日か明日あたりから書店に並ぶことと思います。
以上,アナウンスをさせていただきます。
http://jitsumu.hondana.jp/book/b183446.html
教育学は,国家公務員試験の選択科目の一つです。受験者が多い国家一般職(旧国家Ⅱ種)の試験でも,2006年度より取りいれられています。
これまでの出題傾向を分析し,実際の問題を解いてみての感想ですが,教育学は出題領域がほぼ決まっています。国家一般職試験は5問の出題ですが,毎年,①西洋教育史,②教育社会学,③学校経営,④生涯学習,⑤教育方法学からの出題です。教育社会学は教員採用試験では「アウト・オブ・眼中」なのですが,国家試験の教育学では必出。ちょっと嬉しい。
問題の難易度もそれほど高くないように思います。また「教育」は誰もが実際に経験してきていることなので,現実感を持って楽しく学習できるでしょう。総合的にみて,他科目に比して,学習に要する労力も少なくて済むのではないでしょうか。
教育学は,イチオシの科目です。ぜひこの科目を選択していただき,勝利の栄冠を勝ち取っていただきたいと思います。本書は,そのための過去問集です。試験で出題された問題の中から,出題頻度が高く,かつ広範な知識を吸収できる良問を厳選し,盛り込んでいます。教育学は,その数88問です(心理学は114問)。これらを繰り返し解くことで,国家試験の教育学に対応できる実戦力が確実に身につきます。
マイナーな科目ですので,類書はまだ出ていないと聞いています。教育学の選択を考えておられる皆さん,ぜひ本書をお手にとってください。今日か明日あたりから書店に並ぶことと思います。
以上,アナウンスをさせていただきます。
2014年11月23日日曜日
都道府県別の保育士の年収
保育士不足が深刻化していますが,その原因の一つとして,待遇の悪さがあることがよくいわれます。なるほど,3月20日の記事でみたように,保育士の年収は他の職業に比して低くなっています。介護職も然り。
しかるに,様相は地域によって違うでしょう。昨日,厚労省『賃金構造基本調査』の公表統計表を眺めていたら,都道府県別・職種別に一般労働者の賃金をまとめた表を見つけました。私はこれを使って,保育士の年収を都道府県別に計算してみました。今回は,その一覧をお見せしようと思います。
集計の対象となるのは,短時間労働者を除く一般労働者の枠に含まれる保育士男女です。各県について,①決まって支給される給与月額と②年間賞与額を知ることができます。最新の資料には,2013年6月の①と,前年(2012年)中の②が掲載されています。ここでは,①を12倍した額に②を足して,年収を推し量ることにします。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin_zenkoku.html
東京でいうと,保育士男女の月収(①)は23万円,年間賞与額(②)は53万円です。よって,大都市・東京の保育士の年収は,(23×12)+53=328万円と見積もられます。言い忘れましたが,①には時間外勤務等の手当も含まれます。
同じやり方で,全県の保育士の年収を出してみました。下表は,その一覧です。参考までに,全職業の従事者の年収も掲げています。右端の数値は,これと照合して算出した,保育士の年収の相対水準です。黄色は最高値,青色は最低値です。赤色の数値は,上位5位を意味します。
保育士の年収は全国値は310万円ですが,県別にみると385万円から218万円まで幅広く分布しています。マックスは京都で,その次は群馬となっています。聞けば,群馬は保育士の待遇改善により,保育士不足を大幅に緩和したそうな。
最低は福島なのですが,当県の保育士の年収は2009年の318万円に比して,100万円もダウンしています。これは,2011年の東日本大震災の影響でしょうか。
なお,保育士の年収は,各県の労働者全体の年収水準に規定されると思われるかもしれませんが,必ずしもそうではないようです。表のaとbを比べると,順位はあまり一致していません。相関係数を出しても,+0.362という程度です。
やはり,各県の保育政策の影響もあるのでしょうね。それがどういうものかは,右端の相対水準値からうかがうことができます。保育士の年収が全従業者の何倍かです。どの県でも,保育士は全体に比して見劣りしていますが,九州の宮崎ではほぼ等しくなっています。全体と比した相対水準でいえば,保育士の待遇が最もよい県です。一方,福島や東京では,保育士の年収は全体の約半分なり。
ちなみに右端の相対水準値は,保育士の平均勤続年数と有意に相関しています。保育士は離職率が高く,平均勤続年数も他の職業に比して短いのですが,県別にみると結構バラけています。これが,上表の右端の数値と相関しているのです。
保育士の年収の相対水準が高い県ほど,平均勤続年数が長い傾向にあります。相関係数は+0.5675であり,1%水準で有意です。東京は右下にありますが,大都市の生活に見合う給与を保育士が受け取れていないことに,勤続年数の短さ(離職率の高さ)の一因があるのではないでしょうか。いわゆる「相対的剥奪感」が,東京の保育士にあっては大きいのかもしれません。
保育士の待遇改善の必要性が繰り返し指摘されていますが,公的なマクロデータも,それを支持しているように思います。
最後に,上表の左端に掲げた,保育士の年収の実値を地図にしておきます。昨日,ツイッターで発信した図にちょっと誤りがありましたので,これでもって訂正いたします。
今回のデータが,各県の保育施策の参考になれば幸いに思います。今日は,気持ちの良い秋空。よい連休をお過ごしください。
しかるに,様相は地域によって違うでしょう。昨日,厚労省『賃金構造基本調査』の公表統計表を眺めていたら,都道府県別・職種別に一般労働者の賃金をまとめた表を見つけました。私はこれを使って,保育士の年収を都道府県別に計算してみました。今回は,その一覧をお見せしようと思います。
集計の対象となるのは,短時間労働者を除く一般労働者の枠に含まれる保育士男女です。各県について,①決まって支給される給与月額と②年間賞与額を知ることができます。最新の資料には,2013年6月の①と,前年(2012年)中の②が掲載されています。ここでは,①を12倍した額に②を足して,年収を推し量ることにします。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin_zenkoku.html
東京でいうと,保育士男女の月収(①)は23万円,年間賞与額(②)は53万円です。よって,大都市・東京の保育士の年収は,(23×12)+53=328万円と見積もられます。言い忘れましたが,①には時間外勤務等の手当も含まれます。
同じやり方で,全県の保育士の年収を出してみました。下表は,その一覧です。参考までに,全職業の従事者の年収も掲げています。右端の数値は,これと照合して算出した,保育士の年収の相対水準です。黄色は最高値,青色は最低値です。赤色の数値は,上位5位を意味します。
保育士の年収は全国値は310万円ですが,県別にみると385万円から218万円まで幅広く分布しています。マックスは京都で,その次は群馬となっています。聞けば,群馬は保育士の待遇改善により,保育士不足を大幅に緩和したそうな。
最低は福島なのですが,当県の保育士の年収は2009年の318万円に比して,100万円もダウンしています。これは,2011年の東日本大震災の影響でしょうか。
なお,保育士の年収は,各県の労働者全体の年収水準に規定されると思われるかもしれませんが,必ずしもそうではないようです。表のaとbを比べると,順位はあまり一致していません。相関係数を出しても,+0.362という程度です。
やはり,各県の保育政策の影響もあるのでしょうね。それがどういうものかは,右端の相対水準値からうかがうことができます。保育士の年収が全従業者の何倍かです。どの県でも,保育士は全体に比して見劣りしていますが,九州の宮崎ではほぼ等しくなっています。全体と比した相対水準でいえば,保育士の待遇が最もよい県です。一方,福島や東京では,保育士の年収は全体の約半分なり。
ちなみに右端の相対水準値は,保育士の平均勤続年数と有意に相関しています。保育士は離職率が高く,平均勤続年数も他の職業に比して短いのですが,県別にみると結構バラけています。これが,上表の右端の数値と相関しているのです。
保育士の年収の相対水準が高い県ほど,平均勤続年数が長い傾向にあります。相関係数は+0.5675であり,1%水準で有意です。東京は右下にありますが,大都市の生活に見合う給与を保育士が受け取れていないことに,勤続年数の短さ(離職率の高さ)の一因があるのではないでしょうか。いわゆる「相対的剥奪感」が,東京の保育士にあっては大きいのかもしれません。
保育士の待遇改善の必要性が繰り返し指摘されていますが,公的なマクロデータも,それを支持しているように思います。
最後に,上表の左端に掲げた,保育士の年収の実値を地図にしておきます。昨日,ツイッターで発信した図にちょっと誤りがありましたので,これでもって訂正いたします。
今回のデータが,各県の保育施策の参考になれば幸いに思います。今日は,気持ちの良い秋空。よい連休をお過ごしください。
2014年11月20日木曜日
首都圏のIT産業マップ
20世紀は「ものをつくる」時代でしたが,21世紀は「イノベーション」の時代であるといわれます。それを牽引するのは,いわゆるIT産業でしょう。
エンリコ・モレッティ著『年収は住むところで決まる』でいわれている基本命題の一つは,「旧来の製造業都市の大卒者より,イノベーション都市の高卒者のほうが稼いでいる」というものです。衰退の途をたどる製造業都市と,これから伸びる可能性のあるイノベーション都市とに分化しつつある事態を物語りますが,IT産業のようなイノベーション産業は特定地域に集積する傾向があるのだそうです。
本書では,アメリカ国内のデータを使ってそのことが実証されていますが,日本ではどうなのでしょう。『年収は住むところで決まる』の追試作業第3弾として,わが国におけるIT産業の地域分布の様相を観察してみようと思います。
総務省の『経済センサス』から,各産業の従事者数を市区町村別に知ることができます。住所ではなく,事業所の所在地に依拠した統計です。私は,全産業の従事者に占める,情報通信産業(以下,IT産業)従事者の比率を計算してみました。
下の地図は,1都3県の242市区町村のIT産業従事者率を地図にしたものです。首都圏のIT産業マップをご覧ください。
トップは東京の品川区の18.4%,2位は港区の17.9%,3位は江東区の15.6%となっています。これらの区では,5~7人に1人がIT産業従事者ということになりますが,こういう地域は数の上では少数派です。IT産業従事者率が10%を超える地域は,242市区町村のうち10しかありません。
地図の上では,マックスの階級を「3%以上」としていますが,ここまで下げても,該当する市区町村は多くないことが知られます(濃い青色)。また,高率地域が都内の都心部に集中していることにも注目。なるほど,IT産業の地域的集積の傾向がみられます。
これを,IT産業従事者の地域的偏りという点からもみてみましょう。上図に掲載した上位5位の区のIT産業従事者は541899人であり,242市区町村全体の53.2%を占めます。首都圏全体のIT産業従事者の半分以上が,これらの都心の5区に集中していることになります。
こうした特定地域への集中度がどれほどすさまじいかをグラフで表してみましょう。IT産業従事者の数が多い順に242市区町村を配列し,全体に占める割合を累積グラフにしてみました。青色はIT産業,赤色は全産業の累積曲線です。
どうでしょう。色つきゾーンは,上位20位までの市区町村の占有率ですが,IT産業にあっては,上位20位の地域が全体の8割をも占めています。そこへの集中度は,全産業の倍以上です。
首都圏の市区町村データによる検討ですが,『年収は住むところで決まる』でいわれているがごとく,わが国においても,IT産業が特定地域に集積している傾向が分かりました。IT産業の場合,事業所はどこに構えてもよさそうなものですが,なぜ中枢部に集中するのでしょう。
エンリコ・モレッティの本がいうには,高度な知識や発想に触れる機会が多くあるからだそうです。なるほど,イノベーション産業としてのIT産業従事者には,絶えず一流の知や人と接する必要性がありますものね。それはデジタルを介してでも可能ですが,やはり,直に会う・接することによる効果のほうが大きいでしょう。潮木先生も言われていますが,人間はやはり「アナログ動物」です。
モレッティは,こうした効果のことを「相乗効果」と呼んでいますが,それは,いろいろなことに当てはまります。たとえば,低い階層の子弟であっても,高い階層の人間が多い地域に住んでいるならば,大学に行きたいというアスピレーションが高くなるでしょう。習熟度別学級編成にしても,低い者ばかりを集め,それを長い間継続させると,全体の士気がダウンし,よからぬ結果になってしまうこともあります。ある学生さんの言葉を借りると,「諦めムード」の蔓延です。個々人は,そういう集団のクライメイトの影響も被るものです。
わが国においても,衰退していく製造業都市と,勃興の可能性を秘めたイノベーション都市とに分化(segregate)していく事態が起こりえるのではないか。それは,子どもの教育格差をはじめとした,様々な病理現象が起こりえることの基盤的な条件にもなり得るでしょう。
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