2014年5月26日月曜日

若者の道徳観の変化

 統計数理研究所の『国民性調査』では,大切だと思う道徳について尋ねています。以下の項目を提示し,2つを選んでもらう形式です。
http://www.ism.ac.jp/kokuminsei/table/index.htm

 1 親孝行をすること
 2 恩返しをすること
 3 個人の権利を尊重すること
 4 自由を尊重すること
 5 その他(自由記入)

 20代の選択率の変化をグラフにすると,下図のようになります。45年間にかけての,若者の道徳観の変化図です。


 「権利」「自由」が減り,「親孝行」「恩返し」が増えてきています。ほう。今の若者のほうが義理堅いではないですか。義理を知らない,自己チューとかよくいわれますが,それとは逆の事態をデータは示しています。

 この図をツイッターに載せたところ,見てくださる方が多かったのですが,「こういう若者の従順気質の上に,ブラック起業がのさばっているのではないか」という趣旨のコメントがありました。私も同じような危惧を持ちます。昔の若者だったら,大暴れしているかもしれません。

 「親孝行」と「恩返し」の選択率は1998年以降上昇していますが,社会奉仕体験活動が義務化されたり,道徳教育が強化されたりした経緯と重なります。現在,道徳を「教科化」しようという動きがありますが,それが実現したら,どういうことになるのか・・・。

 今求められるのは,義理や恩返しを重視する傾向が増していることを踏まえて,その上に,「自由」や「権利」の大切さを教え込むことであると思います。それは,自己チューやワガママとは異なる,社会性のある「自由・権利」意識を獲得させることです。労働法規の教育などは,それを具現させた形態の一つであるといえましょう。強化すべきは,この部分ではないかしらん。

 「孝行」と「恩返し」がセットで増え,「自由」と「権利」がこちらもセットで減っていく。この傾向に,自分の頭で物事を考えない,機械思考の人間の増殖を見て取ることもできます。予断や先入観を持つのではなく,データでもって現実を可視化することの重要性を改めて感じます。

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