2015年12月23日水曜日

都道府県別の未婚男性の年収

 婚活産業が隆盛と聞きますが,当該産業の関係者さんが欲しい,知りたいデータがあるかと思います。それは,未婚男性の年収の相場です。

 女性会員が「年収**万超の男性を紹介してほしい」と,やや非現実的な要望を出してきた場合,「最近の未婚男性の年収はこんな感じですよ」とデータを突きつけたい…。こういう方もおられるかと思います。だいぶ前ですが,地方の某結婚相談所の社員さんから,この手のデータはないかと,相談を受けたことがあります。

 遅まきながらお答えしますが,あります。総務省『就業構造基本調査』には,男性有業者の年収分布が配偶関係別に集計されています。結婚相談所に通う女性の多くは30代あたりかと思いますが,同じ30代の未婚男性の年収分布はどうなっているか。

 最新の2012年の同調査によると,年収が判明する30代の未婚男性有業者は約294万人。その年収分布を大雑把にみると,200未満未満が6.8%,200万台が20.0%,300万台が24.2%,400万台が21.7%,500万台が12.4%,600万以上が14.9%,となっています。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 年収300万円台が最も多く,その下を合わせると年収400万未満が44.2%を占めると。願わくは600万超のお相手を希望する女性が多いのでしょうが,その条件を満たしているのは同年代の未婚男性の14.9%,およそ7人に1人。狭き門ですね。

 これを円グラフにして,相談コーナーの壁に貼っておくといいかもしれません。しかしこれは全国のデータであり,実情は地域によってかなり違います。上記の相談をもちかけてきた社員さんは,北東北の方でしたが,このゾーンでは,未婚男性の年収はもっと低いでしょう。

 そこで,同じ30台未婚男性有業者の年収分布を,都道府県別に出してみました。下図は,同じ階級区分の帯グラフです。


 全国統計では年収300万円台が最も多いのですが,県別にみると,200万円台が最多の県が多いようです。大都市の東京では,600万超が3分の1を占めます。

 これが官庁統計から分かる,30代の未婚男性の年収分布です。これをつきつけて,「本県の未婚男性の年収はこうですよ」と言ってみたい,という婚活関係者もおられるでしょうか。

 以上は30代のデータですが,他の年齢層はどうか,という関心もあるでしょう。しかし上記のような分布を年齢層ごとに示すのは厄介ですので,平均値に丸めた値を提示します。原資料の細かい階級区分の年収分布表をもとに,20代,30代,40代,50代の未婚男性有業者の平均年収を計算してみました。下表は,その一覧です。


 若い20代は,オール300万未満です。「20代の女性が結婚相手に求める年収は600万」という,週刊誌のつり広告を見たことがありますが,その願いが叶う確率はかなり小さいでしょう。地域を問わずです。

 年齢を上がると年収もアップしてきますが,400万以上(赤色)は多くないですね。この表も,目立つ所に貼ってみたらいかがでしょう。

 ここでお見せしたデータが,全国の婚活関係者の方々の参考になれば幸いです。

 私は,高望みする女性を批判しているのではありません。男性との収入格差,結婚・出産後のキャリア閉塞など,女性がそうせざるを得ない状況をば,まずもって変えないといけないことは,重々承知しています。

 今回のデータは,女性の社会進出の道を開かないと,わが国の未婚化・少子化は一向に解消されない,ということの主張とも読めます。男性の腕一本で一家を養える時代は,とうに終わっているのです。