2015年12月3日木曜日

県別・指定都市別の高校生・大学生のバイト率

 長いタイトルになりましたが,このデータを試算してみましたので,ご覧に入れようと思います。

 資料は,2012年の総務省『就業構造基本調査』です。この資料のデータは十分にしゃぶり尽くしたと思っていたのですが,まだまだです。公表されている統計表を目を凝らしてみると,まだまだ知見を引き出すことができます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 2012年の資料では,在学人口とそのうちの有業者数が,県別・指定都市別に集計されています。ここでいう有業者には,パートやバイトも含みます。よって,在学の有業者は学生バイトとみなしてよいでしょう。私はこれを使って,高校生と大学生のバイト率を地域別に出してみました。

 全国の数値を引くと,15~19歳の高校生人口は373.6万人,そのうちの有業者は20.7万人です(2012年10月時点の数値)。よって高校生のバイト率は,後者を前者で除して5.5%となります。大学生のほうは,15~24歳の大学生が269.2万人,そのうちの有業者が88.1万人ですので,バイト率は32.7%となります。

 大学生はおよそ3人に1人がバイトしていると。これは全国の数値ですが,値は地域によって違います。では,主眼の県別・指定都市別のバイト率をみていただきましょう。分母と分子の数値も提示いたします。下段の政令指定都市の数は,都道府県の内数の再掲です。


 高校生のバイト率8%超,大学生のバイト率35%超は赤色にしました。高校生のバイト率マックスは横浜市の11.0%,大学生のそれは浜松市の48.6%,半分近くです。やはり都市部は高いですね。東海地方で高いのは,製造業の工場が多いためでしょうか。

 県単位のデータでは,高校生の最高値は神奈川の9.4%,大学生は愛知の42.1%です。

 時系列的にみると,学生のバイト率はさして変わっていません。学生がバイトに精を出すのは,今も昔も同じこと。ただその目的が変わってきていて,大学生のバイト目的が遊興費稼ぎから生活費・学費稼ぎにシフトしていることは,先日のニューズウィーク記事で申した通りです。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/11/post-4152.php

 こうした生活苦と産業界の人手不足が相まって,ブラックバイトという病理が生まれるわけですが,その所在を明らかにし対策を講じるには,上表のような細かいデータも必要になるでしょう。各県・指定都市の飲食業界のうち,学生バイトが何%かという「学生バイト依存率」のような指標も,地域別に出せます。回を改めて提示しようと思います。