3月1日の記事にて,首都圏214区市町村の平均世帯年収を出したのですが,教育社会学をやっている人間として,この指標が各地域の子どもの育ちとどう関連しているかを知りたくなります。
たとえば,学力との関連はどうでしょう。また,学力と並んで能力の重要な要素である体力との相関はどうか。さらには,病気にかかる頻度との関連は如何。これらを統計で明らかにすることは,学力格差,体力格差,健康格差という現象を「見える化」することと同義です。
個々の子どもの間で学力や体力に差があるのは当たり前ですが,それが当人の努力ではどうにもならない外的条件と結びついたものであるならば「格差」ということになり,人為的な働きかけによって是正すべき性質のものになります。ここでいう外的条件として,家庭環境は最たるものです。
私は,東京都内23区のデータを使って,この問題に接近することとしました。大都市という基底的特性を同じくするとともに,それぞれの区ごとで,社会階層による住み分けが明瞭であるからです(橋本健二「階級都市」ちくま新書,2011年)。不遜な言い方ですが,子どもの育ちの社会的規定性を解明するに当たって,最高のフィールドであるといえましょう。
では,順にみていきましょう。まずは学力との関連です。都教委が毎年実施している「児童・生徒の学力向上を図るための調査」(2013年度)から,公立小学校5年生の算数の平均正答率を区別に収集し,各区の平均世帯年収との相関をとってみました。年収は,2013年度の「住宅土地統計」から計算したものです。計算方法については,3月1日の記事をご覧ください。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr131128b.htm
予想通りといいますか,明瞭なプラスの相関です。年収が高い区ほど,算数の正答率が高い傾向にあります。相関係数は+0.7569であり,1%水準で有意です。
通塾や参考書購入の費用を賄えるか,落ち着いて勉強できる環境があるか,というような要因が想起されます。また,家庭の文化的環境と学校のそれとの距離という問題もあるでしょう(ブルデュー)。
なお,個人単位のデータでみても,子どもの学力は家庭の年収と強く相関しています。2013年度の文科省「全国学力・学習状況調査」では,対象児童・生徒の家庭環境も調査されたのですが,お茶の水女子大学グループの特別分析の結果,年収が高い群ほど教科の正答率が高い傾向が露わになりました。上記の地域データとつながっています。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/04/blog-post_3.html
次に,年収と体力の相関関係です。都教委は,都内の公立学校を対象に,毎年体力テストも行っています。複数の種目の合計点をもとに,A~Eの5段階の総合評価をつける形式です。私は,公立小学校4年生男子のうち,AもしくはBの評価を得た児童が何%いるかを区別に計算しました。10歳という代表的な発達段階である,この学年に注目した次第です。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/seisaku_sport-6.htm
さて,体力テストで良好な評価を得た児童の割合は,地域の平均年収とどう関連しているか。下図は,先ほどと同じ形の相関図です。
ほう,体力のほうも地域の平均年収と強く相関しています。相関係数は+0.7482であり,学力と同じくらい,社会的な規定を被っています。
体力にしても,学校外教育への投資がモノをいう面があるかと思いますが,スポーツの習い事をさせるにしても,それなりの費用がかかります。当然,通塾率と同じく階層差があり,水泳の習い事をしている12歳児の割合は,年収200未満の家庭では4.3%ですが,年収800万以上では32.6%にもなります。テニスに至っては階層差がもっと顕著で,順に3.8%,40.1%という次第です(厚労省「21世紀出生児縦断調査」第12回,2013年)。上図の傾向は,こういう差の反映ともいえるでしょう。
また,最近は子どもを狙った犯罪が多発しているので,子どもだけでの外遊びを禁止している学校もあるのだとか(ホントかどうかは知りませんが)。サンマ(時間,空間,仲間)の減少により,子どもの自発的な外遊びが減ってきていることも考えると,子どもが体を動かす機会(場)がおカネで買われる時代になっているのかもしれません。こうみると,上図に描かれている年収と体力の相関も分かろうというものです。
学校教育法第137条では,学校の施設を「社会教育その他公共のため」に利用させることができると定めていますが,こうした学校開放をもっと進めるべきかと思います。
最後に,健康の指標との相関です。私は,年少児童の虫歯率と肥満率を区別に計算しました。健康診断を受けた公立小学校1・2年生のうち,未処置の虫歯がある者,学校医によって肥満傾向と判定された児童の割合です。資料は,都教委の「東京都の学校保健統計」(2013年度)です。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/gakumu/kenkou/karada/shcp.html
これらの指標は,各区の世帯年収とどう相関しているか。左は「年収×虫歯」,右は「年収×肥満」の相関図です。肥満率のほうは,単位が‰(千人あたり)であることに注意してください。
学力や体力とはうって変って,右下がりの負の相関です。貧困な区ほど,虫歯や肥満の子どもが多い。低学年の虫歯率と年収の相関係数は,-0.8204と絶対値が大変高くなっています。
貧困家庭は子どもを歯医者にやれないという事情がまっさきに思い浮かびますが,都内23区では,義務教育修了までの医療費は無料ですので,この面を強調するのは憚られます。それよりも,子どもの健康に対する保護者の関心,歯磨きなどの生活習慣の躾の差とみられます。一人親世帯にあっては,親が仕事で忙しくて子を医者に連れて行けない,ということもあるでしょう。
肥満率のほうも,地域住民の富裕度と強く関連しています。アメリカでは,貧困と肥満の関連はよくいわれます。貧困層は安価で高カロリーのジャンクフードに依存しがちであるため,肥満になりやすいと。海を隔てた大国の話ですが,わが国でも,似たような状況がないとは限りません。母子世帯の貧困を特集した番組で,来る日も来る日も,100円ハンバーガーやポテトチップを夕食代わりにする子どもの姿を見たときはショックでした。
子どもの相対貧困率は15.7%,一人親世帯に限ると50.7%でしたっけ(2010年)。今述べたような子どもがネグリジブル・スモールであると,誰が断言できるでしょう。
学校に上がって間もない低学年児童のデータですが,学校における食育の重要性が強調されねばなりません。また,学校で行われる保健指導は,場合によっては保護者をも対象とすると規定されていますが(学校保健安全法第9条),こうした機会を通じて,保護者の意識を高めていくことも求められます。言わずもがな,子ども,とりわけ年少の子どもは,生活の大半を家庭で過ごすわけですから。
以上,細かい地域別の年収を出したということで,それが子どもの育ちとどう関連しているかを明らかにしてみました。東京都内23区という局地のデータですが,家庭環境とリンクした学力格差,体力格差,さらには健康格差が厳としてある可能性が示唆されます。
西の大阪など,他の地域での追試もしたいところですが,この手の作業ができるのは,情報公開に積極的な東京だけです。他の自治体も,ぜひ追随していただきたいと思います。
2015年3月12日木曜日
2015年3月10日火曜日
首都圏の空き家率地図(2013年)
総務省「住宅土地統計」(2013年)の地域統計分析,第3弾です。今回は,総住宅数に占める空き家の割合をみてみましょう。この資料によると,2013年10月時点の全国の空き家数は6063万戸であり,総住宅数の13.5%を占めます。人が住めるように建てられた住宅のおよそ7件に1件が空家であるわけです。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
なお,一口に空き家といってもいくつかの種類があり,統計では4つのカテゴリーが設けられています。二次住宅,賃貸用住宅,売却用住宅,その他です。下の図は,これらの比重を面積図で表したものです。4つの比率の総和は,上記の13.5%と等しくなります。
最も多いのは,賃貸に出されているが借り手がつかない賃貸住宅です。別荘などの二次住宅は0.7%,売却住宅は0.5%と少数派。残りの5.2%は,これらのいずれにも該当しない「その他」です。
賃貸住宅や売却住宅は,定期的に業者によるメンテナンスが入るでしょう。二次住宅にしても,たまには寝泊まりに来る人間がいるでしょう。しかし,その他の空き住宅の中には,持ち主の放置プレイにより,荒れ放題になっている住宅も少なくないとみられます。朽ちた屋根瓦が落ちて通行人に当たる,不審な人物が出入りするようになるなど,地域生活の安全を脅かす要因にもなり得ます。いわゆる,空き家問題です。
言わずもがな,これらの空き家の割合(空き家率)は,地域によってかなり違っています。都道府県別にみると,最低の9.4%(宮城)から最高の22.0%(山梨)までのレインヂです。*山梨の空き家の多くは二次住宅(別荘)。
しかるに,それよりも下りた区市町村のレベルでみると,値はもっと広く分布しています。首都圏(1都3県)の214区市町村の空き家率を計算すると,3.4%から36.8%までの開きがあります。このデータをマップにすると,下図のようになります。最新の首都圏の空き家率地図をご覧ください。
濃い色は15%を超える地域ですが,周辺部に多くなっています。千葉の東部や南部が不気味な色で染まっていますが,海沿いのリゾート地ですので,別荘などの二次住宅も多いと思われます。
大よその生態学的構造は上記のとおりですが,それぞれの区市町村の空き家率はどうか。例によって,214区市町村の値を高い順に並べたランキング表を提示いたします。
赤色は20%を超える地域ですが,多くが千葉県内の周辺の市町です。トップは勝浦市の36.8%ですが,この市の空き家の半分ほどは別荘などの二次住宅です。しかし,3位のいすみ市は,賃貸・売却でも二次住宅でもない「その他」の空き家が最多となっています(空き家全体の57%)。
私が住んでいる多摩市は9.7%で,低い部類なんだな。散歩で目を凝らしてみると,空き家と思しき建物を結構見かけるのですが。ちなみに,私が住んでいる部屋の隣も空き家です。こちらは,賃貸に出されているタイプで,不動産屋さんが定期的に見回りにきています。駅からバスで15分ほどかかる丘の上,おまけに周囲に何もないときていますから,借り手がなかなかつかないのかなあ。でも家賃安いし,見晴らしはいいし,私は気に入っています。
話がそれましたが,首都圏214区市町村の空き家率のデータの紹介でした。資料としてお使いいただければと思います。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
なお,一口に空き家といってもいくつかの種類があり,統計では4つのカテゴリーが設けられています。二次住宅,賃貸用住宅,売却用住宅,その他です。下の図は,これらの比重を面積図で表したものです。4つの比率の総和は,上記の13.5%と等しくなります。
最も多いのは,賃貸に出されているが借り手がつかない賃貸住宅です。別荘などの二次住宅は0.7%,売却住宅は0.5%と少数派。残りの5.2%は,これらのいずれにも該当しない「その他」です。
賃貸住宅や売却住宅は,定期的に業者によるメンテナンスが入るでしょう。二次住宅にしても,たまには寝泊まりに来る人間がいるでしょう。しかし,その他の空き住宅の中には,持ち主の放置プレイにより,荒れ放題になっている住宅も少なくないとみられます。朽ちた屋根瓦が落ちて通行人に当たる,不審な人物が出入りするようになるなど,地域生活の安全を脅かす要因にもなり得ます。いわゆる,空き家問題です。
言わずもがな,これらの空き家の割合(空き家率)は,地域によってかなり違っています。都道府県別にみると,最低の9.4%(宮城)から最高の22.0%(山梨)までのレインヂです。*山梨の空き家の多くは二次住宅(別荘)。
しかるに,それよりも下りた区市町村のレベルでみると,値はもっと広く分布しています。首都圏(1都3県)の214区市町村の空き家率を計算すると,3.4%から36.8%までの開きがあります。このデータをマップにすると,下図のようになります。最新の首都圏の空き家率地図をご覧ください。
濃い色は15%を超える地域ですが,周辺部に多くなっています。千葉の東部や南部が不気味な色で染まっていますが,海沿いのリゾート地ですので,別荘などの二次住宅も多いと思われます。
大よその生態学的構造は上記のとおりですが,それぞれの区市町村の空き家率はどうか。例によって,214区市町村の値を高い順に並べたランキング表を提示いたします。
赤色は20%を超える地域ですが,多くが千葉県内の周辺の市町です。トップは勝浦市の36.8%ですが,この市の空き家の半分ほどは別荘などの二次住宅です。しかし,3位のいすみ市は,賃貸・売却でも二次住宅でもない「その他」の空き家が最多となっています(空き家全体の57%)。
私が住んでいる多摩市は9.7%で,低い部類なんだな。散歩で目を凝らしてみると,空き家と思しき建物を結構見かけるのですが。ちなみに,私が住んでいる部屋の隣も空き家です。こちらは,賃貸に出されているタイプで,不動産屋さんが定期的に見回りにきています。駅からバスで15分ほどかかる丘の上,おまけに周囲に何もないときていますから,借り手がなかなかつかないのかなあ。でも家賃安いし,見晴らしはいいし,私は気に入っています。
話がそれましたが,首都圏214区市町村の空き家率のデータの紹介でした。資料としてお使いいただければと思います。
2015年3月8日日曜日
兄弟地位による人格比較
人間は社会の中で何らかの地位を占め,それに応じた役割を遂行するのですが,そのことが継続することで,当該個人に固有の行動性向,いわゆる人格が形成されるようになります。
これは家族という小社会についてもいえることでして,父親,母親,そして子どもにあっては兄姉・弟妹といった地位があり,それぞれに対し明示的・非明示的な役割期待が向けられ,各人はそれに沿った行為を遂行します。この違いは,子どもの人格形成に際して少なからぬ影響を及ぼすでしょう。
長子は下の面倒をみ指導もしなければならないことから,独立的・攻撃的な人格ができやすいといわれます。逆に末子は上に従属・依存する位置にあることから,依存的・甘えん坊的な人格になりやすい。上も下もいる中子は双方の「いいとこ取り」をできる位置にあるので,こすっからい,振舞い上手の向きに傾くと。
書店で立ち読みした育児書にこんなことが書かれていましたが,データでみるとどうなのでしょう。厚労省「21世紀出生児縦断調査(2001年出生児)」では,3歳児(第4回調査,2004年)と9歳児(第9回調査,2010年)の父母に,当該の子の人格について尋ねています。それを,兄弟構成とクロスさせた集計表も公表されています。下記サイトの表101です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001085569
私は,兄弟内の地位を自覚し,ある程度人格も固まりつつある9歳児のデータを使うこととしました。上記の調査は,2001年に生まれた子どもの追跡調査ですが,2010年,すなわち9歳の対象児童数は以下のようです。兄弟構成別の数を示します。
一人っ子(兄弟なし) ・・・ 4705人
長子(弟妹のみあり) ・・・ 12621人
中子(兄姉弟妹あり) ・・・ 4006人
末子(兄姉のみあり) ・・・ 13932人
これらの9歳児の人格を父母が主観評定しているわけですが,「おとなしい」と評された子どもの割合は,一人っ子では15.4%,長子では16.9%,中子では12.0%,末子では10.7%となっています。ほう,兄弟ありの子どもでみると,上にいくほど高いですね。「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」と抑えつけられることが多いためでしょうか。
では,他の人格項目の該当率もみてみましょう。下の表は,21の項目の該当率を群ごとに整理したものです。赤字は,4群の中の最高値です。右端の「傾向」の欄は,兄弟ありの3群の傾向を示すもので,上に行くほど高い場合は「>」,その逆の場合は「<」の不等号を記しています。
私が「ははあ」と思った数字には黄色マークをしましたが,やっぱ甘えん坊は末っ子に多いですね。「長<中<末」というきれいな傾向です。他の兄弟との関わりあいをしないで済む一人っ子で「マイペース」が多いのも納得。好奇心旺盛,飽きっぽい,落ち着きがないのマックスが一人っ子というのも注目かな。ふるまいの自由度が高いので・・・。
育児経験のない私に,上表のデータを解釈する経験知はありませんが,人によっては思うところもおありでしょう。どうぞ,上記の素材をさまざまな角度から眺めてみてください。
これで終わりでは芸がありませんので,長子と末子の該当率を視覚的なグラフにしてみましょう。上と下の違いの可視化です。横軸に長子,縦軸に末子の該当率をとった座標上に,21の人格項目を位置付けてみました。
斜線は均等線であり,この線よりも下にあるのは長子的パーソナリティー,上にあるのは末子的パーソナリティーと読んでよいかと思います。
ざっくりと対照させるなら,末子は活発,好奇心旺盛,お調子者,勝ち気,我が強いという「外向的」人格,長子は恥ずかしがり屋,慎重,おとなしい,気が弱いといった「内向的」人格でしょうか。個人の私的な体験が影響しているでしょうが,兄弟内の地位の違い,それに応じた役割期待の差という条件も効いていることは間違いありますまい。
ここでお見せしたのは,あくまで父母による主観評定のデータです。厳密にいうなら,それぞれの人格特性をしっかり定義して,各々を測る複数のメジャーを設け,それを合成するというような手はずが求められます。まあしかし,せっかくこういう公的なデータがありますので,世間の関心が高い「兄弟内地位による人格比較」という資料に仕上げてみた次第です。
ママさん・パパさんのティータイムの話ネタにでも使っていただけますと幸いです。さて,そろそろ休日の3時ですね。私も,おやつタイムといきましょう。
これは家族という小社会についてもいえることでして,父親,母親,そして子どもにあっては兄姉・弟妹といった地位があり,それぞれに対し明示的・非明示的な役割期待が向けられ,各人はそれに沿った行為を遂行します。この違いは,子どもの人格形成に際して少なからぬ影響を及ぼすでしょう。
長子は下の面倒をみ指導もしなければならないことから,独立的・攻撃的な人格ができやすいといわれます。逆に末子は上に従属・依存する位置にあることから,依存的・甘えん坊的な人格になりやすい。上も下もいる中子は双方の「いいとこ取り」をできる位置にあるので,こすっからい,振舞い上手の向きに傾くと。
書店で立ち読みした育児書にこんなことが書かれていましたが,データでみるとどうなのでしょう。厚労省「21世紀出生児縦断調査(2001年出生児)」では,3歳児(第4回調査,2004年)と9歳児(第9回調査,2010年)の父母に,当該の子の人格について尋ねています。それを,兄弟構成とクロスさせた集計表も公表されています。下記サイトの表101です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001085569
私は,兄弟内の地位を自覚し,ある程度人格も固まりつつある9歳児のデータを使うこととしました。上記の調査は,2001年に生まれた子どもの追跡調査ですが,2010年,すなわち9歳の対象児童数は以下のようです。兄弟構成別の数を示します。
一人っ子(兄弟なし) ・・・ 4705人
長子(弟妹のみあり) ・・・ 12621人
中子(兄姉弟妹あり) ・・・ 4006人
末子(兄姉のみあり) ・・・ 13932人
これらの9歳児の人格を父母が主観評定しているわけですが,「おとなしい」と評された子どもの割合は,一人っ子では15.4%,長子では16.9%,中子では12.0%,末子では10.7%となっています。ほう,兄弟ありの子どもでみると,上にいくほど高いですね。「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」と抑えつけられることが多いためでしょうか。
では,他の人格項目の該当率もみてみましょう。下の表は,21の項目の該当率を群ごとに整理したものです。赤字は,4群の中の最高値です。右端の「傾向」の欄は,兄弟ありの3群の傾向を示すもので,上に行くほど高い場合は「>」,その逆の場合は「<」の不等号を記しています。
私が「ははあ」と思った数字には黄色マークをしましたが,やっぱ甘えん坊は末っ子に多いですね。「長<中<末」というきれいな傾向です。他の兄弟との関わりあいをしないで済む一人っ子で「マイペース」が多いのも納得。好奇心旺盛,飽きっぽい,落ち着きがないのマックスが一人っ子というのも注目かな。ふるまいの自由度が高いので・・・。
育児経験のない私に,上表のデータを解釈する経験知はありませんが,人によっては思うところもおありでしょう。どうぞ,上記の素材をさまざまな角度から眺めてみてください。
これで終わりでは芸がありませんので,長子と末子の該当率を視覚的なグラフにしてみましょう。上と下の違いの可視化です。横軸に長子,縦軸に末子の該当率をとった座標上に,21の人格項目を位置付けてみました。
斜線は均等線であり,この線よりも下にあるのは長子的パーソナリティー,上にあるのは末子的パーソナリティーと読んでよいかと思います。
ざっくりと対照させるなら,末子は活発,好奇心旺盛,お調子者,勝ち気,我が強いという「外向的」人格,長子は恥ずかしがり屋,慎重,おとなしい,気が弱いといった「内向的」人格でしょうか。個人の私的な体験が影響しているでしょうが,兄弟内の地位の違い,それに応じた役割期待の差という条件も効いていることは間違いありますまい。
ここでお見せしたのは,あくまで父母による主観評定のデータです。厳密にいうなら,それぞれの人格特性をしっかり定義して,各々を測る複数のメジャーを設け,それを合成するというような手はずが求められます。まあしかし,せっかくこういう公的なデータがありますので,世間の関心が高い「兄弟内地位による人格比較」という資料に仕上げてみた次第です。
ママさん・パパさんのティータイムの話ネタにでも使っていただけますと幸いです。さて,そろそろ休日の3時ですね。私も,おやつタイムといきましょう。
2015年3月6日金曜日
乳児の父親の家事・育児実施度
暇をみては官庁統計をサーチして回っているのですが,厚労省が「21世紀出生児縦断調査」を実施しているようです。今世紀の初頭に生まれた子どもを追跡する調査であり,2001年と2010年の出生児とその父母が調査対象となっています。
公表されている統計表をみると,父母の子育て観,悩み,子どもの学校での様子,習い事の有無など,いろいろ尋ねています。しかもその結果が,父母の学歴別,収入別,都道府県別に集計されているのもうれしい。貴重な調査資料です。
やりたいことがわんさと出てきますが,私は2010年出生児調査のデータを使って,0歳児の父親の家事・育児実施度を都道府県別に明らかにしてみました。2010年5月に生まれた子どもの父親を対象に,同年12月に実施された調査の結果です。よって,生後7か月の乳児のパパということになります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-22.html
全面的な世話を要する乳児がいる家庭において,父親はどれほど家事・育児をしているか。まあ,この手のデータは白書とかでも目にしますが,ここでの主眼は都道府県比較です。複数の行動の実施率を合成した指数を県別に出し,ランキングにしてみようと思います。
上記の厚労省調査では12の行動を提示し,それぞれの実施頻度を尋ねています。選択肢は,「いつもする」「時々する」「ほとんどしない」「全くしない」の4つです。私は,前二者の回答割合に注目しました。下の表は,全国値と47都道府県の両端の値を整理したものです。比率の計算にあたっては,無回答(不詳)は分母からのぞいていることを申し添えます。*元データの表は,下記サイトの表50です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001109922
メジャーな家事・育児行動ですが,「入浴させる」や「家の中で相手をする」は実施率が高いですね。その一方,食事作りや洗濯などは,実施率は3割未満と低くなっています。
しかるに,県別にみると値はかなり違っており,両端の県で倍以上の差がある項目も見受けられます(食後の後片付け,洗濯など)。ちなみに最上位は沖縄,最下位は佐賀が多くなっています。
さて,12の行動の実施率を合成して,各県のパパの家事・育児実施度を測る単一の尺度をつくるのですが,それぞれは値の水準が異なるので,単純に足したり均したりすることはできません。そこで,47都道府県中の相対順位に基づいて,各行動の実施率を10段階のスコアにします。
1~5位を10点,6~10位を9点,11~15位を8点,16~20位を7点,21~25位を6点,26~30位を5点,31~35位を4点,36~40位を3点,41~45位を2点,46~47位を1点としましょう。
私はこの基準に依拠して,各県の12の行動実施率を相対スコアにしました。東京と郷里の鹿児島のスコアをチャート図にすると,下図のようです。
全体的にみて,東京のほうが図形が大きくなっています。食事作りや食後の片づけは,差が大きいなあ。そういえば,郷里の中学校の家庭科教師が,「男子は厨房に立つべからず」なんて,堂々と生徒の前で言い放っていたっけ。しかし,寝かすや相手をするなどのスキンシップ系は,鹿児島のほうが高いようです。
上図の12のスコアを平均すると,東京が7.83,鹿児島が6.17となります。軍配は東京にあり。この指標を家事・育児実施度指数とし,これでもって,各県のパパの頑張り度を可視化することにいたしましょう。下表は,この指数をランキングにしたものです。
トップは沖縄の8.917です。あくまで自己評定による結果ですが,赤ちゃんのパパの家事・育児実施度全国1位。在日アメリカ人が多い県でもありますが,こういう文化の影響もあるのでしょうか。2位は秋田,3位は山梨,そして4・5位は首都圏の神奈川と東京です。
スコアが7.0を超えるのは,宮崎を除いてすべて東日本の県です。反対に,スコアが低いのは多くが西日本の県。「東高西低」という構造がありそうです。この点を確認するため,上表の指数をマップにしてみましょう。4つの階級を設けて,グラデーションで塗り分けてみました。
確かに,大よそ東高西低になっています。近畿圏は色が薄くなっていますが,前に日経デュアル誌の記事でみたところによると,この地方では児童虐待の発生率が高い傾向にありました。「家事をしない夫→妻のイライラ→虐待」というような因果経路が存在しないかどうか・・・。ちと不安に感じます。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2612
「21世紀出生児縦断調査」は,字のごとく子どもの成長過程を追跡していく調査です。今回は第1回の0歳児調査のデータを使いましたが,これから詳細結果が公表される第2回(1歳),第3回(2歳),第4回(3歳)・・・のデータでは,どういう図柄になるでしょう。この点も,重要な観測ポイントです。
「21世紀出生児縦断調査」のサイトを,お気に入りバーに入れました。2001年出生児調査の場合,第12回調査までのデータが公開されており,0歳から12歳までの変化の過程を詳細にたどることができます。保護者の育児観,子どもの学校の様子,習い事,はてはその階層差の変化などを仔細に明らかにできます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-9.html
この調査データの分析結果も,随時報告していこうと思っております。
公表されている統計表をみると,父母の子育て観,悩み,子どもの学校での様子,習い事の有無など,いろいろ尋ねています。しかもその結果が,父母の学歴別,収入別,都道府県別に集計されているのもうれしい。貴重な調査資料です。
やりたいことがわんさと出てきますが,私は2010年出生児調査のデータを使って,0歳児の父親の家事・育児実施度を都道府県別に明らかにしてみました。2010年5月に生まれた子どもの父親を対象に,同年12月に実施された調査の結果です。よって,生後7か月の乳児のパパということになります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-22.html
全面的な世話を要する乳児がいる家庭において,父親はどれほど家事・育児をしているか。まあ,この手のデータは白書とかでも目にしますが,ここでの主眼は都道府県比較です。複数の行動の実施率を合成した指数を県別に出し,ランキングにしてみようと思います。
上記の厚労省調査では12の行動を提示し,それぞれの実施頻度を尋ねています。選択肢は,「いつもする」「時々する」「ほとんどしない」「全くしない」の4つです。私は,前二者の回答割合に注目しました。下の表は,全国値と47都道府県の両端の値を整理したものです。比率の計算にあたっては,無回答(不詳)は分母からのぞいていることを申し添えます。*元データの表は,下記サイトの表50です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001109922
メジャーな家事・育児行動ですが,「入浴させる」や「家の中で相手をする」は実施率が高いですね。その一方,食事作りや洗濯などは,実施率は3割未満と低くなっています。
しかるに,県別にみると値はかなり違っており,両端の県で倍以上の差がある項目も見受けられます(食後の後片付け,洗濯など)。ちなみに最上位は沖縄,最下位は佐賀が多くなっています。
さて,12の行動の実施率を合成して,各県のパパの家事・育児実施度を測る単一の尺度をつくるのですが,それぞれは値の水準が異なるので,単純に足したり均したりすることはできません。そこで,47都道府県中の相対順位に基づいて,各行動の実施率を10段階のスコアにします。
1~5位を10点,6~10位を9点,11~15位を8点,16~20位を7点,21~25位を6点,26~30位を5点,31~35位を4点,36~40位を3点,41~45位を2点,46~47位を1点としましょう。
私はこの基準に依拠して,各県の12の行動実施率を相対スコアにしました。東京と郷里の鹿児島のスコアをチャート図にすると,下図のようです。
全体的にみて,東京のほうが図形が大きくなっています。食事作りや食後の片づけは,差が大きいなあ。そういえば,郷里の中学校の家庭科教師が,「男子は厨房に立つべからず」なんて,堂々と生徒の前で言い放っていたっけ。しかし,寝かすや相手をするなどのスキンシップ系は,鹿児島のほうが高いようです。
上図の12のスコアを平均すると,東京が7.83,鹿児島が6.17となります。軍配は東京にあり。この指標を家事・育児実施度指数とし,これでもって,各県のパパの頑張り度を可視化することにいたしましょう。下表は,この指数をランキングにしたものです。
トップは沖縄の8.917です。あくまで自己評定による結果ですが,赤ちゃんのパパの家事・育児実施度全国1位。在日アメリカ人が多い県でもありますが,こういう文化の影響もあるのでしょうか。2位は秋田,3位は山梨,そして4・5位は首都圏の神奈川と東京です。
スコアが7.0を超えるのは,宮崎を除いてすべて東日本の県です。反対に,スコアが低いのは多くが西日本の県。「東高西低」という構造がありそうです。この点を確認するため,上表の指数をマップにしてみましょう。4つの階級を設けて,グラデーションで塗り分けてみました。
確かに,大よそ東高西低になっています。近畿圏は色が薄くなっていますが,前に日経デュアル誌の記事でみたところによると,この地方では児童虐待の発生率が高い傾向にありました。「家事をしない夫→妻のイライラ→虐待」というような因果経路が存在しないかどうか・・・。ちと不安に感じます。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2612
「21世紀出生児縦断調査」は,字のごとく子どもの成長過程を追跡していく調査です。今回は第1回の0歳児調査のデータを使いましたが,これから詳細結果が公表される第2回(1歳),第3回(2歳),第4回(3歳)・・・のデータでは,どういう図柄になるでしょう。この点も,重要な観測ポイントです。
「21世紀出生児縦断調査」のサイトを,お気に入りバーに入れました。2001年出生児調査の場合,第12回調査までのデータが公開されており,0歳から12歳までの変化の過程を詳細にたどることができます。保護者の育児観,子どもの学校の様子,習い事,はてはその階層差の変化などを仔細に明らかにできます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-9.html
この調査データの分析結果も,随時報告していこうと思っております。
2015年3月4日水曜日
首都圏の家賃地図
先日,2013年の「住宅土地統計」の確報結果が公表されましたが,県よりも下った区市町村別にいろいろな情報を知ることができるスグレモノです。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
前々回と前回は世帯の平均年収に注目しましたが,今度は平均家賃をみてみましょう。こちらは,原資料に計算済みの数値が掲載されています。各地域の借家世帯の平均家賃月額です。家賃0円の世帯は除外して算出された平均値です。
首都圏1都3県の214区市町村の値を収集し,マップにしてみました。8万以上,7万台,6万台,5万台,5万未満の5階級を設け,各地域をグラデーションで塗り分けています。
予想通り,都内の都心が濃い色になっていますね。それと横浜市の北部。周辺部に行くほど色が薄くなりますが,千葉で白色のゾーンがここまで広いとは初めて知りました。
上の地図では大まかな区切りにしていますが,個々の区市町村別にみると平均家賃はかなり広く分布しています。マックスは,東京・港区の15.9万円です。ほか,10万以上の地域は中央区,千代田区,渋谷区,目黒区というように,全て都内23区です。
反対に下をみれば,平均家賃が3万円台の地域もあります。ほとんどが千葉県内の周辺部ですが,安いですねえ。
自分が住んでいる市はどうか,あそこはどうか・・・こういうディティールに関心をお持ちも方もおられると思います。そこで前回と同様,214区市町村のランキング表をつくってみましたので,以下に掲げます。1万円刻みの区切りを設けています。
ご自分が住んでいる地域はどうでしょうか。私が住んでいる多摩市にマークをしましたが,6.2万円ですか。私のアパートの家賃は,これよりも安いです。丘の上で,何もないところですので。
しかし右下をみると,家賃が安い地域もありますねえ。引っ越そうかしらん。地方に移住する気はありませんが,首都圏内だったら,月1程度で国会図書館や統計図書館に行くのも不可能ではありませんし。まあ,今の住まいと環境が気に入っているので,当面はその考えはないですけど。
これは借家の全世帯の平均家賃ですが, 原資料には世帯主の年齢別のデータも掲載されています。若者の借家世帯のデータは,地方から出てくる学生の参考資料になるかも。大学の生協とかに貼っておくといいんじゃないかな。関心がある方は,「住宅土地統計」の原典に当たってつくってみてください。
今日は暖かかったですね。しかしまだしばらく,寒暖差の大きい日が続きそうです。年度末の多忙も加わって,体調を崩しやすい時期です(私はヒマですが)。ご自愛くださいますよう。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
前々回と前回は世帯の平均年収に注目しましたが,今度は平均家賃をみてみましょう。こちらは,原資料に計算済みの数値が掲載されています。各地域の借家世帯の平均家賃月額です。家賃0円の世帯は除外して算出された平均値です。
首都圏1都3県の214区市町村の値を収集し,マップにしてみました。8万以上,7万台,6万台,5万台,5万未満の5階級を設け,各地域をグラデーションで塗り分けています。
予想通り,都内の都心が濃い色になっていますね。それと横浜市の北部。周辺部に行くほど色が薄くなりますが,千葉で白色のゾーンがここまで広いとは初めて知りました。
上の地図では大まかな区切りにしていますが,個々の区市町村別にみると平均家賃はかなり広く分布しています。マックスは,東京・港区の15.9万円です。ほか,10万以上の地域は中央区,千代田区,渋谷区,目黒区というように,全て都内23区です。
反対に下をみれば,平均家賃が3万円台の地域もあります。ほとんどが千葉県内の周辺部ですが,安いですねえ。
自分が住んでいる市はどうか,あそこはどうか・・・こういうディティールに関心をお持ちも方もおられると思います。そこで前回と同様,214区市町村のランキング表をつくってみましたので,以下に掲げます。1万円刻みの区切りを設けています。
ご自分が住んでいる地域はどうでしょうか。私が住んでいる多摩市にマークをしましたが,6.2万円ですか。私のアパートの家賃は,これよりも安いです。丘の上で,何もないところですので。
しかし右下をみると,家賃が安い地域もありますねえ。引っ越そうかしらん。地方に移住する気はありませんが,首都圏内だったら,月1程度で国会図書館や統計図書館に行くのも不可能ではありませんし。まあ,今の住まいと環境が気に入っているので,当面はその考えはないですけど。
これは借家の全世帯の平均家賃ですが, 原資料には世帯主の年齢別のデータも掲載されています。若者の借家世帯のデータは,地方から出てくる学生の参考資料になるかも。大学の生協とかに貼っておくといいんじゃないかな。関心がある方は,「住宅土地統計」の原典に当たってつくってみてください。
今日は暖かかったですね。しかしまだしばらく,寒暖差の大きい日が続きそうです。年度末の多忙も加わって,体調を崩しやすい時期です(私はヒマですが)。ご自愛くださいますよう。
2015年3月2日月曜日
首都圏214区市町村の年収ランキング
昨日,首都圏の年収地図を公表したのですが,それの元データを見たい,という要望が数件ありました。上位40位までのランキング表は掲げましたが,それ以外の地域,とりわけ自分の地域はどうかという関心もおありかと思います。
ではそれにお応えして,1都3県214区市町村の世帯平均年収のランキング表を掲げます。2013年の「住宅土地統計調査」に世帯の年収分布が掲載されている,214区市町村のデータです。計算の方法については,前回の記事をご覧ください。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
字が小さくて見にくいかもしれませんが,ご寛恕のほど。700万以上,650万以上700万未満というように,50万区切りで線を引いています。
ヒストグラムを描けば分かりますが,年収450万以上500万未満の地域が最も多くなっています。平均世帯年収600万超の「お金持ち」の地域は12です。
一番下が千葉県勝浦市となっていますが,これは学生の単身世帯が多いためと思われます。国際武道大学があるあそこです。
http://www.budo-u.ac.jp/
2013年の官庁統計から計算した,首都圏214区市町村の世帯平均年収のランキング表です。資料として,参考にしていただければと思います。
ではそれにお応えして,1都3県214区市町村の世帯平均年収のランキング表を掲げます。2013年の「住宅土地統計調査」に世帯の年収分布が掲載されている,214区市町村のデータです。計算の方法については,前回の記事をご覧ください。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
字が小さくて見にくいかもしれませんが,ご寛恕のほど。700万以上,650万以上700万未満というように,50万区切りで線を引いています。
ヒストグラムを描けば分かりますが,年収450万以上500万未満の地域が最も多くなっています。平均世帯年収600万超の「お金持ち」の地域は12です。
一番下が千葉県勝浦市となっていますが,これは学生の単身世帯が多いためと思われます。国際武道大学があるあそこです。
http://www.budo-u.ac.jp/
2013年の官庁統計から計算した,首都圏214区市町村の世帯平均年収のランキング表です。資料として,参考にしていただければと思います。
2015年3月1日日曜日
首都圏の年収地図(2013年)
2013年の「住宅土地統計調査」の最終結果が公表されました。これまで,47都道府県の結果は少しずつ公表されてきたのですが,26日に人口の多い首都圏の分も公表され,最終的な確定結果とされています。
この調査では,都道府県よりも下った区市町村のレベルにおいて,世帯単位の年収分布が明らかにされています。したがって,このデータを加工すれば,区市町村別の平均年収も計算できる次第です。
県別の平均年収のデータはよく見かけますが,それよりも下りた区市町村レベルのそれはあまり知られていないのではないでしょうか。まあ,ネットアンケートによる「お金持ちの地域はどこ?」みたいな記事はありますが,信頼度の高い官庁統計を使って地図を描いてみるとどうでしょう。今回は,それをしてみようと思います。
本調査では,世帯の年間収入が調査されていますが,用語解説によると「世帯全員の1年間の収入(税込)」だそうです。給与のほか,ボーナスや年金なども含むトータルな収入額です。私が住んでいる多摩市(東京)の総世帯の年収分布は,以下のようになっています。年収が判明した63,870世帯の分布表です。
最も多いのは,年収300万円台の世帯です。単身世帯や高齢者世帯も含む全世帯の分布ですので,こんなところでしょう。年収1000万超の世帯は7.8%,およそ13分の1なり。余談ですが,都心の港区では,このレベルの世帯が全体の4分の1を占めています。さすがですね。
それはさておき,上表の度数分布表から世帯年収の平均値(average)を計算しましょう。各階級の世帯の年収を中間の階級値で代表させます。年収100万円台の世帯は150万,200万台の世帯は250万というように仮定します。上限のない1500万超の世帯は,ひとまず年収2000万とみなします。この場合,多摩市の総世帯の平均年収は,次のようになります。全体を100とした相対度数を使ったほうが,計算は楽です。
{(50万×6.1)+(150万×10.6)+・・・(2000×1.5)} / 100.0 ≒ 489.8万円
多摩市の平均世帯年収は490万円と出ました。取り立てて違和感のない数値です。私の年収がこれと比してどうかは,ご想像にお任せいたします。
私はこのやり方で,首都圏(1都3県)の214区市町村の平均世帯年収を明らかにしました。下の図は,それを地図にしたものです。世帯年収が調査されていない地域は,欠損値としています。
色は濃い地域は年収が相対的に高い地域ですが,東京の都心,千葉の北部近郊,横浜の北部に多くなっています。「お金持ちの地域」の分布図ですが,これも肌感覚に照らして頷けます。
ついでに,その具体的な顔ぶれも示しておきましょう。世帯平均年収が高い順に並べたランキング表をつくったのですが,全部は載せられないので,上位40位までの部分を切り取って掲げます。
トップは東京の千代田区で793万円です。わが多摩市と300万円以上の差!その次は六本木ヒルズのある港区,その次は横浜市の青葉区となっています。全世帯でみた平均年収が700万超ってのはスゴイですねえ。平均値にまとめる前の分布でみたら,特異性がもっと際立っていることでしょう。先ほど述べたように,港区では年収1000万超の世帯が25%超を占めます。
最後に,この点も可視化しておきましょう。上表で2位にあがっている港区と足立区の世帯年収分布を,百分比の折れ線で描いてみました。双方とも,都内の特別区です。
ほぼ左右対称の型になっています。足立区では低収入層が多いですが,港区は逆に右側の富裕ゾーンにが多いと。単一の平均だけでなく分布の様相も観察すると,収入の地域格差が大きいことがより一層伝わってきます。エンリコ・モレッティの名著のタイトルを借りると,まさに「年収は住むところで決まる」です。
問題は,こうした収入の地域格差が子どもの育ちとどう関連しているかです。学力との相関はどうか,中学受験をする子どもの率との相関はどうか・・・。さらには,肥満や虫歯など,発育面の指標との関連はどうか。こういう関心が出てきます。
基底的な経済格差と教育格差の関連分析ですが,この点は,3月12日の記事で行っています。子どもの学力,体力,健康の指標とどう相関しているか。こちらもぜひ,ご覧ください。
登録:
投稿 (Atom)


















