総務省「住宅土地統計」(2013年)の地域統計分析,第3弾です。今回は,総住宅数に占める空き家の割合をみてみましょう。この資料によると,2013年10月時点の全国の空き家数は6063万戸であり,総住宅数の13.5%を占めます。人が住めるように建てられた住宅のおよそ7件に1件が空家であるわけです。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm
なお,一口に空き家といってもいくつかの種類があり,統計では4つのカテゴリーが設けられています。二次住宅,賃貸用住宅,売却用住宅,その他です。下の図は,これらの比重を面積図で表したものです。4つの比率の総和は,上記の13.5%と等しくなります。
最も多いのは,賃貸に出されているが借り手がつかない賃貸住宅です。別荘などの二次住宅は0.7%,売却住宅は0.5%と少数派。残りの5.2%は,これらのいずれにも該当しない「その他」です。
賃貸住宅や売却住宅は,定期的に業者によるメンテナンスが入るでしょう。二次住宅にしても,たまには寝泊まりに来る人間がいるでしょう。しかし,その他の空き住宅の中には,持ち主の放置プレイにより,荒れ放題になっている住宅も少なくないとみられます。朽ちた屋根瓦が落ちて通行人に当たる,不審な人物が出入りするようになるなど,地域生活の安全を脅かす要因にもなり得ます。いわゆる,空き家問題です。
言わずもがな,これらの空き家の割合(空き家率)は,地域によってかなり違っています。都道府県別にみると,最低の9.4%(宮城)から最高の22.0%(山梨)までのレインヂです。*山梨の空き家の多くは二次住宅(別荘)。
しかるに,それよりも下りた区市町村のレベルでみると,値はもっと広く分布しています。首都圏(1都3県)の214区市町村の空き家率を計算すると,3.4%から36.8%までの開きがあります。このデータをマップにすると,下図のようになります。最新の首都圏の空き家率地図をご覧ください。
濃い色は15%を超える地域ですが,周辺部に多くなっています。千葉の東部や南部が不気味な色で染まっていますが,海沿いのリゾート地ですので,別荘などの二次住宅も多いと思われます。
大よその生態学的構造は上記のとおりですが,それぞれの区市町村の空き家率はどうか。例によって,214区市町村の値を高い順に並べたランキング表を提示いたします。
赤色は20%を超える地域ですが,多くが千葉県内の周辺の市町です。トップは勝浦市の36.8%ですが,この市の空き家の半分ほどは別荘などの二次住宅です。しかし,3位のいすみ市は,賃貸・売却でも二次住宅でもない「その他」の空き家が最多となっています(空き家全体の57%)。
私が住んでいる多摩市は9.7%で,低い部類なんだな。散歩で目を凝らしてみると,空き家と思しき建物を結構見かけるのですが。ちなみに,私が住んでいる部屋の隣も空き家です。こちらは,賃貸に出されているタイプで,不動産屋さんが定期的に見回りにきています。駅からバスで15分ほどかかる丘の上,おまけに周囲に何もないときていますから,借り手がなかなかつかないのかなあ。でも家賃安いし,見晴らしはいいし,私は気に入っています。
話がそれましたが,首都圏214区市町村の空き家率のデータの紹介でした。資料としてお使いいただければと思います。