都会に出た若者の何%がUターンするか? 地方創生が言われる中,誰もが関心を持ってい問いだと思うのですが,これに答えてくれるデータが見当たりません。
何とか捻り出せないものか。『国勢調査』の人口移動統計を丹念にサーチし,県別のUターン率を試算する方法を思いついたのですが,分子に外国人が入ってしまうことに気づき,これも断念。
https://twitter.com/tmaita77/status/970625185169645568
年齢別の県間移動者数は,人口総数のもので,日本人に限定した数値が得られません。惜しい,あと一歩なのに…。外国人が入るのを承知で率を出す手もありますが,若年層では外国人は結構な数になりますので,県によってはおかしな数値が出ちゃいます。
しかるに,Uターン率とは違いますが,出て行った若者がどれほど戻ってくるか(こなくなるか)をうかがい知る,簡便な方法があります。高校卒業時の大移動が起きる前の人口と,大学卒業後の人口を対比することです。
そうですねえ。15歳人口と,10年後の25歳人口を照合してみましょうか。私より1つ上の1975年生まれ世代だと,1990年に15歳(A),2000年に25歳(B)となります。私の郷里の鹿児島でいうと,Aは2万7603人,Bは2万146人です(日本人に限る)。差し引き7457人の減。やはり減りますね。
BをAで割ると0.73であり,進学や就職による県外流出で,同世代の人口が3割近く減ったことが知られます。大学等を出た後に戻ってくる人が多ければ事態はもっとマシなのでしょうが,厳しい現実が見えてきます。
これは鹿児島の75年生まれ世代のケースですが,より最近の世代では如何。最新の『国勢調査』は2015年のものですが,この年に25歳になるのは1990年生まれ世代なので,この世代を取り上げましょう。当該世代の場合,2005年の15歳と2015年の25歳を比べます。
以下に掲げるのは,両世代の東京・鹿児島のケースです。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200521&result_page=1
鹿児島の「25歳/15歳」比は,75年生まれ世代では0.73ですが,90年生まれ世代では0.63に下がっています。
最近の世代のほうが,ダメージが大きいですね。ア)出ていく人の増加,イ)帰ってくる人の減少,という2要素のどっちが強まっているかは分かりませんが,事態が深刻化している様が見て取れます。
対して東京はというと,こちらは大学等進学時と就職時に若者がドカッと入ってきますので,15歳に比して25歳人口は大きく膨れ上がりますが,最近の世代ほどその度合いが強まっています。90年生まれでは,1.6倍の増です。
こちらも,ア)地方から出てくる人の増加,イ)帰っていく人の減少,の2要素に分けられますが,大都会の吸引力が増しているのは確かなようです。
地方創生とは逆の方向に動いているようですが,他県はどうでしょう。47都道府県について,同じやり方で,2つの世代の「25歳/15歳」比をとってみました。
赤字は1.0を超える県,つまり15歳時より25歳時の人口が増えている県ですが,当然,大都市に限られます。90年生まれ世代でいうと,首都圏の1都3県,愛知,京都,大阪です。
東北の中枢の宮城は,75年生まれ世代では1.0を超えてましたが,90年生まれ世代では,他の地方県と同じく,減少タイプになっています。2011年の大震災の影響もあるかもしれません。中国・九州の中枢の広島・福岡も,進学・就職の移動で人口が減る型なのですね。
注目すべきは2つの世代の違いですが,比が上がっているのは7県だけで,残りの40県では下がっています。変化の絶対値が0.1を超える県には不等号をつけましたが,宮城以外の東北県,山梨,長野,高知,鹿児島では,状況の深刻化が大きいことがうかがわれます。
逆に比を大きく伸ばしているのは東京だけ。ひとり勝ち常態の進行でしょうか。
同一世代の15歳と25歳の人口量を比べただけですので,出ていく人の増加,戻ってくる人の減少の影響を仕分けできませんが,後者の影響も侮れません。都会に出た若者が戻ってこない傾向が強まっているのではないかと。
75年生まれ世代は,世紀の変わり目の氷河期に大学を出た真正のロスジェネですので,都会での就職が叶わず,実家にパラサイトすべくUターンした人が多かったのかもしれませんが…。
都市での若者の増加,地方での減少をもたらすのは,進学と就職という2時点における人口移動(mobility)です。これを抑えるためになされているのは,①安価な公立大学設置,②都内23区の私大定員抑制,③地元に帰ってくることを条件にした奨学金,④地元就職者の奨学金返済支援,⑤上京者に対するキャリア教育,というものです。
①と②は流出抑制,③~⑤は還流促進に関わります。私としては,18歳時の移動抑制よりも,都会に出た若者のUターン促進に力点を置くべきかと思います。
大学の原初形態は,教わりたい教師のもとに若者が積極的に移動し,各地に学びの共同体ができたことですので。移動とはすなわち文化交流で,これを抑えるのではなく,都会で学んだことを,郷里の発展に活かすよう仕向けるべきかと思います。
そのための施策として③~⑤があるのですが,奨学金をエサに若者の人生を管理・統制するのはいただけませんが,当面は,こういう強硬策もやむを得ないでしょう。それと,郷里への愛着を高める「郷土教育」の充実を,幼少期より図りたいもの。育むべきは,「ムラを捨てる学力」ではなく,「ムラを育てる学力」です。
2018年3月6日火曜日
2018年3月4日日曜日
公務員の年収の正規・非正規格差
正規と非正規の格差是正を命じる判決が相次いでいるそうです。
https://www.bengo4.com/c_5/n_7509/
正規と非正規の格差がとびきり大きいのは「官」の世界,すなわち公務員でしょう。アラフォー公務員男女を正規と非正規に分け,ラフな年収分布を描くと,下図のようになります。産業大分類が「公務」に含まれる者で,警察官や教員等は含まれません。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
正規は年収500万以上が最多ですが,非正規は年収200万未満がほとんどです。とりわけ女性は悲惨で,年収200万に満たないワーキングプアが8割を超えています。「官製ワーキングプア」という言葉がありますが,その量がとても多いことが知られます。
これは全国のデータですが,差がどれほどかは県によって違っています。各県の関係者の参考に資するため,公務員の年収の正規・非正規格差を都道府県別に明らかにしてました。差が大きい女性に注目します。
下の表は,女性公務員の正規・非正規の年収分布です(全国)。年収階層区分は,原資料によります。
正規職員36万2800人,非正規職員22万6100人の年収分布です。女性公務員の約4割が非正規なのですね。
それはさておき分布をみると,正規の最頻階級は400万円台,非正規は100万円台前半となっています。これだけでも差が大きいのは明らかですが,中央値を出してみましょう。累積%から,中央値は黄色マークの階級に含まれることが分かります。
按分比例の考えを使って,正規と非正規の中央値は,以下のようにして出されます。
正規=400+{100×((50-36.6)/(56.4-36.6))}=467.6万円
非正規=100+{50×((50-37.1)/(64.4-37.1))}=123.6万円
正規は468万円,非正規は124万円なり。3.8倍の格差です。同じ公務員ですが,この格差はスゴイ。やっている仕事や就業時間の違いもあるでしょうが,「同一労働・同一賃金」の原則が徹底された場合の理想型から,大きく隔たっているといえるでしょう。
上述のように,女性公務員の4割は非正規です。ここまで非正規依存率が高いにもかかわらず,ここまでの正規・非正規差があるとは…。
非正規依存率4割,正規・非正規の年収中央値の格差3.8倍。これは全国の女性公務員の状況ですが,同じデータを都道府県別に出してみました。
黄色マークは,「正規/非正規」の年収倍率が4倍以上,女性公務員の非正規率が4割以上の数値です。
黄色マークが2つ付いている県は,埼玉,神奈川,愛知,福岡,長崎,熊本,鹿児島,となっています。正規・非正規の年収格差が大きく,かつ非正規依存率が高い県です。
とりわけ埼玉と福岡は,状況の点検が求められるでしょう。非正規が半分以上にもかかわらず,正規との差が4.3倍も開いている,郷里・鹿児島も要注意かな。
「同一労働・同一賃金」「正規・非正規の格差撤廃」がトレンドになっていますが,全産業の模範となるべき「官」,公務員の世界がこれでは,示しがつきますまい。
https://www.bengo4.com/c_5/n_7509/
正規と非正規の格差がとびきり大きいのは「官」の世界,すなわち公務員でしょう。アラフォー公務員男女を正規と非正規に分け,ラフな年収分布を描くと,下図のようになります。産業大分類が「公務」に含まれる者で,警察官や教員等は含まれません。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
正規は年収500万以上が最多ですが,非正規は年収200万未満がほとんどです。とりわけ女性は悲惨で,年収200万に満たないワーキングプアが8割を超えています。「官製ワーキングプア」という言葉がありますが,その量がとても多いことが知られます。
これは全国のデータですが,差がどれほどかは県によって違っています。各県の関係者の参考に資するため,公務員の年収の正規・非正規格差を都道府県別に明らかにしてました。差が大きい女性に注目します。
下の表は,女性公務員の正規・非正規の年収分布です(全国)。年収階層区分は,原資料によります。
正規職員36万2800人,非正規職員22万6100人の年収分布です。女性公務員の約4割が非正規なのですね。
それはさておき分布をみると,正規の最頻階級は400万円台,非正規は100万円台前半となっています。これだけでも差が大きいのは明らかですが,中央値を出してみましょう。累積%から,中央値は黄色マークの階級に含まれることが分かります。
按分比例の考えを使って,正規と非正規の中央値は,以下のようにして出されます。
正規=400+{100×((50-36.6)/(56.4-36.6))}=467.6万円
非正規=100+{50×((50-37.1)/(64.4-37.1))}=123.6万円
正規は468万円,非正規は124万円なり。3.8倍の格差です。同じ公務員ですが,この格差はスゴイ。やっている仕事や就業時間の違いもあるでしょうが,「同一労働・同一賃金」の原則が徹底された場合の理想型から,大きく隔たっているといえるでしょう。
上述のように,女性公務員の4割は非正規です。ここまで非正規依存率が高いにもかかわらず,ここまでの正規・非正規差があるとは…。
非正規依存率4割,正規・非正規の年収中央値の格差3.8倍。これは全国の女性公務員の状況ですが,同じデータを都道府県別に出してみました。
黄色マークは,「正規/非正規」の年収倍率が4倍以上,女性公務員の非正規率が4割以上の数値です。
黄色マークが2つ付いている県は,埼玉,神奈川,愛知,福岡,長崎,熊本,鹿児島,となっています。正規・非正規の年収格差が大きく,かつ非正規依存率が高い県です。
とりわけ埼玉と福岡は,状況の点検が求められるでしょう。非正規が半分以上にもかかわらず,正規との差が4.3倍も開いている,郷里・鹿児島も要注意かな。
「同一労働・同一賃金」「正規・非正規の格差撤廃」がトレンドになっていますが,全産業の模範となるべき「官」,公務員の世界がこれでは,示しがつきますまい。
2018年3月1日木曜日
2018年2月の教員不祥事報道
昨日で2月は終わりでしたね。月末の教員不祥事報道整理をするのを忘れてましたので,今日やります。
先月,私がネット上でキャッチした不祥事報道は40件ジャストです。わいせつが多いのはいつものことですが,女子生徒ではなく,同僚の女性教員が被害者であるケースが見受けられます。
無免許授業の数件。静岡の私立高校で,公民の教諭が無免許で地理も授業もやっていた事案。社会は多そうですねえ。「社会の授業なんて誰だってできる」。社会科教員は低く見られる傾向があり。私は副免で中高の社会の免許を取りましたが,公民科教育法の授業で教授が「社会なんてなり手がいくらでもいるから採用ねえよ」と,受講生をバカにしていました。
私が中1のとき,体育教師が社会の授業もしていました(臨時免許付与による)。「俺免許ないけど,許してくれや」と断ってましたが,酷い授業でした。教科書の黒字を黒板に書きだし,「これ覚えとけ」みたいな授業…。
人手不足の波が学校にも及び,免許外授業が増えているそうですが,これでは生徒が可哀想です。高学歴社会では,高度な専門知識をもった人材は地域に数多くいます。こういう人たちに臨時免許状を付与し,教壇に立って貰ってもいいでしょう。戦後初期の教員不足の時代は,こうやって凌いでいたのですから。
http://tmaita77.blogspot.jp/2017/07/blog-post_13.html
暦の上では春です。今日は気温が上がりましたね。春一番も吹き荒れました。早いもので,横須賀に越してきてから1年が経とうとしています。
<2018年2月の教員不祥事報道>
・教え子とみだらな行為、高校教諭を免職 別の生徒から発覚
(2/1,北海道新聞,北海道,高,男,23)
・セクハラで顧問教諭出勤停止 聖カタリナ高、陸上部女子部員に
(2/1,産経,愛媛,高,男)
・殴られた生徒「体罰だ」…男性教諭、さらに殴る
(2/2,読売,神奈川,高,男,56)
・中学校教頭を酒気帯び運転の疑いで逮捕(2/4,朝日,福岡,中,男,63)
・酔って暴行した疑い 県立高校教諭を現行犯逮捕
(2/5,KSB,香川,高,男,28)
・市立小教諭を逮捕=中学生にわいせつ容疑―京都府警
(2/5,時事通信,京都,小,男,46)
・女子高生買春疑いで高校教諭逮捕(2/6,サンスポ,沖縄,高,男,29)
・高1に淫行疑い中学講師逮捕 ネット介して知り合う
(2/6,京都新聞,群馬,中,男,27)
・校内で児童盗撮の罪 教諭を起訴(2/7,NHK,北海道,小,男,32)
・高校で無免許勤務の疑い 「熱心に指導していた」女を逮捕
(2/7,サンスポ,茨城,高,女,67)
・中学教諭夫妻ら保険金だまし取る 容疑で在宅起訴
(2/8,神戸新聞,兵庫,中,男34,女33)
・教諭が体罰、停職6カ月 児童9人に繰り返す
(2/9,毎日,愛知,小,男,43)
・男性教諭を懲戒免職 高校生になりすまし、性的メッセージ送信
(2/9,産経,大阪,高,男,26)
・生徒と交際、キスや体触る 高校教諭を停職処分
(2/9,京都新聞,愛知,高,男,26)
・電車内で女性の体触る 大阪市立中教諭の男を逮捕
(2/10,大阪,産経,中,男,60)
・顔蹴った教諭を書類送検 児童は骨折、傷害の疑い
(2/13,西日本新聞,福岡,小,男,20代)
・“盗撮”で逮捕 講師を懲戒免職(2/14,NHK,千葉,小,男,25)
・姫路の小学校教頭が不正流用か 数十万円の使途不明領収書
(2/14,神戸新聞,兵庫,小,男,50代)
・通りすがりの女性に抱きついた疑い、小学校教諭を逮捕
(2/14,朝日,愛知,小,男,25)
・児童に不適切言動で停職3カ月 県内男性小学校教諭
(2/14,岩手日報,岩手,小,男,20代)
・女子トイレを盗撮容疑、小学校の講師を逮捕(2/15,朝日,奈良,小,男,34)
・忘年会で「覚えていない」 校長が男性教師に暴行か
(2/15,テレ朝,大分,中,男,60)
・教諭が部活で体罰、中学生骨折 胸ぐらつかんで倒し平手打ち
(2/17,京都新聞,福岡,中,男,56)
・「アホ、ボケ」暴言浴びせ足で尻押す 中学部活で顧問教諭
(2/20,神戸新聞,兵庫,中,男,37)
・無断で元交際相手の位置閲覧アプリ 容疑で高校教諭逮捕
(2/20,京都新聞,徳島,高,男,48)
・13歳とみだらな行為、小学校講師に停職処分(2/20,朝日,愛知,小,男,25)
・傷害容疑の教諭を書類送検へ 小3児童、鎖骨折れ重傷
(2/21,朝日,福岡,小,男)
・担任「いじめ見て見ぬふり」2年間不登校に(2/21,日テレ,神奈川,小,女)
・<わいせつ行為>女子中学生被害、千葉の26歳教諭逮捕
(2/21,毎日,千葉,中,男,26)
・窃盗容疑で高校教諭逮捕 受賞歴多数の書道部顧問
(2/21,産経,神奈川,高,男,61)
・LINEで女児に裸の画像送らせた疑い 小学教諭を逮捕
(2/22,朝日,広島,小,男,34)
・セクハラで高校教諭を停職処分(2/23,NHK,高知,高,男,50代)
・公民教諭が無免許で地理授業…県教委の許可なし (2/24,読売,静岡,高)
・窃盗で小学校女性教諭を処分 更衣室で3万円盗む
(2/24,京都新聞,石川,小,女,37)
・53歳教諭、レンタルルームからテレビ、電気ケトル盗む
(2/26,産経,東京,小,男,53)
・京都の小学校教諭を再逮捕 少女を強姦容疑(2/26,産経,京都,小,男,46)
・戒告:都教委、区立小教諭を テスト1697枚返却せず
(2/27,毎日,東京,小,男,36)
・教頭がパチンコ店でICチップ盗む 愛媛のパチンコ店
(2/27,産経,愛知,小,男)
・中学校の教諭が女子トイレのスリッパ隠す 「指導の一環で行った」
(2/28,読売,京都,中,女,55)
・20代女性教諭に抱きつく 男性教諭を懲戒処分(2/28,産経,大阪,中,男,36)
先月,私がネット上でキャッチした不祥事報道は40件ジャストです。わいせつが多いのはいつものことですが,女子生徒ではなく,同僚の女性教員が被害者であるケースが見受けられます。
無免許授業の数件。静岡の私立高校で,公民の教諭が無免許で地理も授業もやっていた事案。社会は多そうですねえ。「社会の授業なんて誰だってできる」。社会科教員は低く見られる傾向があり。私は副免で中高の社会の免許を取りましたが,公民科教育法の授業で教授が「社会なんてなり手がいくらでもいるから採用ねえよ」と,受講生をバカにしていました。
私が中1のとき,体育教師が社会の授業もしていました(臨時免許付与による)。「俺免許ないけど,許してくれや」と断ってましたが,酷い授業でした。教科書の黒字を黒板に書きだし,「これ覚えとけ」みたいな授業…。
人手不足の波が学校にも及び,免許外授業が増えているそうですが,これでは生徒が可哀想です。高学歴社会では,高度な専門知識をもった人材は地域に数多くいます。こういう人たちに臨時免許状を付与し,教壇に立って貰ってもいいでしょう。戦後初期の教員不足の時代は,こうやって凌いでいたのですから。
http://tmaita77.blogspot.jp/2017/07/blog-post_13.html
暦の上では春です。今日は気温が上がりましたね。春一番も吹き荒れました。早いもので,横須賀に越してきてから1年が経とうとしています。
<2018年2月の教員不祥事報道>
・教え子とみだらな行為、高校教諭を免職 別の生徒から発覚
(2/1,北海道新聞,北海道,高,男,23)
・セクハラで顧問教諭出勤停止 聖カタリナ高、陸上部女子部員に
(2/1,産経,愛媛,高,男)
・殴られた生徒「体罰だ」…男性教諭、さらに殴る
(2/2,読売,神奈川,高,男,56)
・中学校教頭を酒気帯び運転の疑いで逮捕(2/4,朝日,福岡,中,男,63)
・酔って暴行した疑い 県立高校教諭を現行犯逮捕
(2/5,KSB,香川,高,男,28)
・市立小教諭を逮捕=中学生にわいせつ容疑―京都府警
(2/5,時事通信,京都,小,男,46)
・女子高生買春疑いで高校教諭逮捕(2/6,サンスポ,沖縄,高,男,29)
・高1に淫行疑い中学講師逮捕 ネット介して知り合う
(2/6,京都新聞,群馬,中,男,27)
・校内で児童盗撮の罪 教諭を起訴(2/7,NHK,北海道,小,男,32)
・高校で無免許勤務の疑い 「熱心に指導していた」女を逮捕
(2/7,サンスポ,茨城,高,女,67)
・中学教諭夫妻ら保険金だまし取る 容疑で在宅起訴
(2/8,神戸新聞,兵庫,中,男34,女33)
・教諭が体罰、停職6カ月 児童9人に繰り返す
(2/9,毎日,愛知,小,男,43)
・男性教諭を懲戒免職 高校生になりすまし、性的メッセージ送信
(2/9,産経,大阪,高,男,26)
・生徒と交際、キスや体触る 高校教諭を停職処分
(2/9,京都新聞,愛知,高,男,26)
・電車内で女性の体触る 大阪市立中教諭の男を逮捕
(2/10,大阪,産経,中,男,60)
・顔蹴った教諭を書類送検 児童は骨折、傷害の疑い
(2/13,西日本新聞,福岡,小,男,20代)
・“盗撮”で逮捕 講師を懲戒免職(2/14,NHK,千葉,小,男,25)
・姫路の小学校教頭が不正流用か 数十万円の使途不明領収書
(2/14,神戸新聞,兵庫,小,男,50代)
・通りすがりの女性に抱きついた疑い、小学校教諭を逮捕
(2/14,朝日,愛知,小,男,25)
・児童に不適切言動で停職3カ月 県内男性小学校教諭
(2/14,岩手日報,岩手,小,男,20代)
・女子トイレを盗撮容疑、小学校の講師を逮捕(2/15,朝日,奈良,小,男,34)
・忘年会で「覚えていない」 校長が男性教師に暴行か
(2/15,テレ朝,大分,中,男,60)
・教諭が部活で体罰、中学生骨折 胸ぐらつかんで倒し平手打ち
(2/17,京都新聞,福岡,中,男,56)
・「アホ、ボケ」暴言浴びせ足で尻押す 中学部活で顧問教諭
(2/20,神戸新聞,兵庫,中,男,37)
・無断で元交際相手の位置閲覧アプリ 容疑で高校教諭逮捕
(2/20,京都新聞,徳島,高,男,48)
・13歳とみだらな行為、小学校講師に停職処分(2/20,朝日,愛知,小,男,25)
・傷害容疑の教諭を書類送検へ 小3児童、鎖骨折れ重傷
(2/21,朝日,福岡,小,男)
・担任「いじめ見て見ぬふり」2年間不登校に(2/21,日テレ,神奈川,小,女)
・<わいせつ行為>女子中学生被害、千葉の26歳教諭逮捕
(2/21,毎日,千葉,中,男,26)
・窃盗容疑で高校教諭逮捕 受賞歴多数の書道部顧問
(2/21,産経,神奈川,高,男,61)
・LINEで女児に裸の画像送らせた疑い 小学教諭を逮捕
(2/22,朝日,広島,小,男,34)
・セクハラで高校教諭を停職処分(2/23,NHK,高知,高,男,50代)
・公民教諭が無免許で地理授業…県教委の許可なし (2/24,読売,静岡,高)
・窃盗で小学校女性教諭を処分 更衣室で3万円盗む
(2/24,京都新聞,石川,小,女,37)
・53歳教諭、レンタルルームからテレビ、電気ケトル盗む
(2/26,産経,東京,小,男,53)
・京都の小学校教諭を再逮捕 少女を強姦容疑(2/26,産経,京都,小,男,46)
・戒告:都教委、区立小教諭を テスト1697枚返却せず
(2/27,毎日,東京,小,男,36)
・教頭がパチンコ店でICチップ盗む 愛媛のパチンコ店
(2/27,産経,愛知,小,男)
・中学校の教諭が女子トイレのスリッパ隠す 「指導の一環で行った」
(2/28,読売,京都,中,女,55)
・20代女性教諭に抱きつく 男性教諭を懲戒処分(2/28,産経,大阪,中,男,36)
2018年2月28日水曜日
アラフォー男性の年収中央値の変化
前回は,アラフォー男性の貧困化が全国的に進んでいることを明らかにしました。1992年と2012年の年収比較によってです。
しかるにそこで指標としたのは,平均年収です。平均値(average)はデータの傾向を端的に表す代表値ですが,分布の中の極端な値に引きずられる難点があります。年収の平均値は,メチャクチャ稼いでいる一部のスタープレーヤーに釣り上げられてしまうと。
そこで今回は補足の作業として,中央値を出してみようと思います。中央値(Median)とは,データを高い順に並べた時,ちょうど真ん中にくる値です。計算に手間がかかりますが,年収分布を集約した代表値としては,平均値よりもこちらのほうがベターでしょう。
度数分布表から中央値を出すやり方を説明します。下表は,2012年の『就業構造基本調査』から採取した,35~44歳男性有業者の年収分布です。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
年収が分かるのは871万5200人。全体を100とした相対度数(%)にすると,中ほどが厚いノーマル分布であることが知られます。最頻階級(Mode)は300万円台です。むーん,近年では働き盛りの男性でも,最も多いのは年収300万円台なのですね。
ここで明らかにしたいのは,ちょうど真ん中の値(中央値)ですが,右端の累積相対度数から,年収400万円台の階級に含まれることが分かります。中央値は累積相対度数が50ジャストの値ですが,それは何万円になるか。按分比例を使って推し量ります。以下の2ステップです。
按分比 = (50.0-41.9)/(60.1-41.9) = 0.4444
中央値 = 400.0 +(100.0 × 0.4444) = 444.4万円
2012年のアラフォー男性の年収中央値は444.4万円と推測されます。前回出した平均値(479.6万円)よりだいぶ低くなっています。一部のスタープレーヤーの影響が除かれた結果です。
20年前の1992年は497.0万円でした。この20年間で,アラフォー男性の年収中央値は50万円以上ダウンしたことになります。
同じやり方で,47都道府県の35~44歳男性有業者の年収中央値を都道府県別に計算しました。平均値は計算式が一律なので一発なんですが,中央値の場合,それが含まれる階級うが県によって異なるので,結構手間がかかります…。
下表は,1992年と2012年の年収中央値を高い順に配列したものです。
500万円を超える県が減り,代わって400万円に満たない県が増えています。2012年では,後者の県が20にもなります。
子どもの教育費がかさみ,介護保険などの負担も上乗せされるステージですが,年収400万円に満たないというのは,正直キツイでしょう。奨学金の返済どころではありません。ちなみに,上表のデータは税込みの額ですので,各種保険を差し引いた手取りはもっと少なくなります。
この20年間で年収中央値が80万円以上減っているのは,埼玉,千葉,神奈川,京都,大阪,奈良です。奈良では,100万円も下がっています(547.2万円→447.0万円)。
これらは子育て世帯の専業主婦率が高い県ですが,男性の年収がこうも下がっているとあっては,これまでのモデルも維持できなくなるでしょう。今日の朝日新聞によると,大阪市にいて,保育園落選者が「働かないと破綻します」と悲鳴を上げているそうです。
https://www.asahi.com/articles/ASL2H5JTDL2HPTIL01F.html
平均値ではなく中央値でみると,アラフォー男性の貧困化がよりクリアーに見えてきます。いろいろな角度から眺めてみるものですね。
今年の夏に公表される,2017年の『就業構造基本調査』のデータではどうなっているか。2017年といえば,私の世代(76年生まれ)が41歳の年です。世紀の変わり目の氷河期に大学を出た,ロスジェネ世代の悲惨さがますます露呈していると思われます。
最近の好況で労働者の賃金はアップしているといいますが,正規のキャリアを積めていないロスジェネは蚊帳の外という指摘もありますし。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26847110T10C18A2EE8000/
それはさておき,今回のデータでもって言いたいことは,前回と同じです。年功賃金を前提としたシステム(教育費の親負担,ローン奨学金…)は,もう成り立たなくなりつつある。こういうことです。
しかるにそこで指標としたのは,平均年収です。平均値(average)はデータの傾向を端的に表す代表値ですが,分布の中の極端な値に引きずられる難点があります。年収の平均値は,メチャクチャ稼いでいる一部のスタープレーヤーに釣り上げられてしまうと。
そこで今回は補足の作業として,中央値を出してみようと思います。中央値(Median)とは,データを高い順に並べた時,ちょうど真ん中にくる値です。計算に手間がかかりますが,年収分布を集約した代表値としては,平均値よりもこちらのほうがベターでしょう。
度数分布表から中央値を出すやり方を説明します。下表は,2012年の『就業構造基本調査』から採取した,35~44歳男性有業者の年収分布です。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
年収が分かるのは871万5200人。全体を100とした相対度数(%)にすると,中ほどが厚いノーマル分布であることが知られます。最頻階級(Mode)は300万円台です。むーん,近年では働き盛りの男性でも,最も多いのは年収300万円台なのですね。
ここで明らかにしたいのは,ちょうど真ん中の値(中央値)ですが,右端の累積相対度数から,年収400万円台の階級に含まれることが分かります。中央値は累積相対度数が50ジャストの値ですが,それは何万円になるか。按分比例を使って推し量ります。以下の2ステップです。
按分比 = (50.0-41.9)/(60.1-41.9) = 0.4444
中央値 = 400.0 +(100.0 × 0.4444) = 444.4万円
2012年のアラフォー男性の年収中央値は444.4万円と推測されます。前回出した平均値(479.6万円)よりだいぶ低くなっています。一部のスタープレーヤーの影響が除かれた結果です。
20年前の1992年は497.0万円でした。この20年間で,アラフォー男性の年収中央値は50万円以上ダウンしたことになります。
同じやり方で,47都道府県の35~44歳男性有業者の年収中央値を都道府県別に計算しました。平均値は計算式が一律なので一発なんですが,中央値の場合,それが含まれる階級うが県によって異なるので,結構手間がかかります…。
下表は,1992年と2012年の年収中央値を高い順に配列したものです。
500万円を超える県が減り,代わって400万円に満たない県が増えています。2012年では,後者の県が20にもなります。
子どもの教育費がかさみ,介護保険などの負担も上乗せされるステージですが,年収400万円に満たないというのは,正直キツイでしょう。奨学金の返済どころではありません。ちなみに,上表のデータは税込みの額ですので,各種保険を差し引いた手取りはもっと少なくなります。
この20年間で年収中央値が80万円以上減っているのは,埼玉,千葉,神奈川,京都,大阪,奈良です。奈良では,100万円も下がっています(547.2万円→447.0万円)。
これらは子育て世帯の専業主婦率が高い県ですが,男性の年収がこうも下がっているとあっては,これまでのモデルも維持できなくなるでしょう。今日の朝日新聞によると,大阪市にいて,保育園落選者が「働かないと破綻します」と悲鳴を上げているそうです。
https://www.asahi.com/articles/ASL2H5JTDL2HPTIL01F.html
平均値ではなく中央値でみると,アラフォー男性の貧困化がよりクリアーに見えてきます。いろいろな角度から眺めてみるものですね。
今年の夏に公表される,2017年の『就業構造基本調査』のデータではどうなっているか。2017年といえば,私の世代(76年生まれ)が41歳の年です。世紀の変わり目の氷河期に大学を出た,ロスジェネ世代の悲惨さがますます露呈していると思われます。
最近の好況で労働者の賃金はアップしているといいますが,正規のキャリアを積めていないロスジェネは蚊帳の外という指摘もありますし。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26847110T10C18A2EE8000/
それはさておき,今回のデータでもって言いたいことは,前回と同じです。年功賃金を前提としたシステム(教育費の親負担,ローン奨学金…)は,もう成り立たなくなりつつある。こういうことです。
2018年2月22日木曜日
アラフォー男性の年収変化
大学卒業時が就職氷河期だった,ロスジェネといわれる私の世代ですが,いよいよ40代に差し掛かってきました。子どもの教育費がかさむ時期で,学生時代に借りた奨学金の返済を続けている人もいるでしょう。
http://tmaita77.blogspot.jp/2018/01/blog-post_22.html
しかるに,今の40代は一昔前の40代とは違います。上述のように,学校から社会への移行期が不況のどん底でしたので,正規就職が叶わず,非正規雇用に滞留している人が数多くいます。わが国は,新卒時の一発勝負の社会ですので。順調にスキルやキャリアを積めていない人も多し。
それに年功賃金も薄れてきてますので,若い頃から右上がりに昇給してホクホク,という人も少なくなっているのではないでしょうか。
5年刻みで実施されている『就業構造基本調査』のデータをもとに,35~44歳男性有業者の年収変化を観察してみましょう。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
バブル末期の1992年と,最新の2012年調査のデータから年収(税引き前)の分布を拾うと,以下のようになります。
1992年のアラフォー男性有業者は912万人,2012年は872万人です。1992年は階級の刻みが粗いですが,最も多いのは年収500~600万円台となっています。対して2012年の最頻階級は,300万円台です。
階級を揃えて,人数の構成比(%)にしたグラフを作ってみましょう。
この20年間の変化が見やすくなりました。ピークは,年収500~600万円台ですが,2012年はその山が下がり,代わって低収入層が増えています。
緑のマークで囲った部分は年収300万未満ですが,この割合は,1992年では15.7%でしたが,2012年では23.6%に増えています。最近では,アラフォー男性の4人に1人が,年収300万未満であると。これは税込みの年収ですので,実際の手取りはもっと少なくなります。
このグラフをツイッターで発信したところ,多くの方に見ていただけました。中京大学の大内教授が言われていますが,奨学金の返済どころではない人が増えていることが知られます。
https://twitter.com/ouchi_h/status/965935583263522817
最初の度数分布表から,階級値(真ん中の値)を使って平均値を計算すると,1992年が548.4万円,2012年が479.6万円となります。この20年間で,アラフォー男子の年収は70万円近くも減っていると。
これは全国値ですが,都道府県別の度数分布も原資料に出ていますので,同じやり方で47都道府県のアラフォー男性の平均年収を計算できます。1992年と2012年のデータを対比すると,怖いことが分かります。
どの県も,出費がかさむアラフォー年代の年収はダウンしています。埼玉,千葉,神奈川,石川,岐阜,京都,奈良では,100万円以上の減です。
黄色マークは年収500万円以上ですが,その数は大きく減っています。1992年では25県でしたが,2012年では6県のみです。
これを地図化すると,身震いするような模様になります。下のマップは,アラフォー男性の年収が500万円を超える県に色をつけたものです。
「失われた20年」の可視化以外の何物でもありません。2012年では,埼玉や大阪も白色,働き盛りの男性の平均年収が500万円に達していないのです。
ツイッターでこの地図を発信したところ,かなり注目され,多くのリプがついています。そこで書いた,やや汚い言葉での主張をここで繰り返させていただきます。
https://twitter.com/tmaita77/status/965944504858525697
「もう成り立たねえよ。奨学金返済,学費の親負担という「年功賃金」を前提としたシステムは。」
これだけ収入が減っているのに,子どもの教育費負担,奨学金の返済がのしかかるのはツライ。そもそも,子どもの教育費の大部分を親に払わせる,高等教育の学費をローンで賄わせ,後から返済させるというのは,年功賃金を前提としたシステムです。
しかしここではっきり示したように,それは崩壊しつつあります。ロスジェネという特殊世代の要因かもしれませんが,より最近では,事態はもっと悪化しているかもしれません。昨年実施された,2017年の『就業構造基本調査』のデータではどうなっていることか…。
若い世代の皆さん。「一つの会社に長く勤めれば給料が上がる。石の上にも3年。若いうちは辛抱しろ」などという,上の世代の戯言に騙されるべからず。気に入らなければどんどん転職しましょう。副業をして,どこでも通用する汎用性のあるスキルを身に付けましょう。
年功賃金の崩壊というのは,教育費の家計押し付け型や,長期の飼い慣らしによる家畜労働というような,わが国の病理を克服するいい契機かもしれません。変化はチャンスです。
今回のデータは,奨学金政策の担当者の方に,ぜひ注視してほしいと思います。
http://tmaita77.blogspot.jp/2018/01/blog-post_22.html
しかるに,今の40代は一昔前の40代とは違います。上述のように,学校から社会への移行期が不況のどん底でしたので,正規就職が叶わず,非正規雇用に滞留している人が数多くいます。わが国は,新卒時の一発勝負の社会ですので。順調にスキルやキャリアを積めていない人も多し。
それに年功賃金も薄れてきてますので,若い頃から右上がりに昇給してホクホク,という人も少なくなっているのではないでしょうか。
5年刻みで実施されている『就業構造基本調査』のデータをもとに,35~44歳男性有業者の年収変化を観察してみましょう。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&toukei=00200532&result_page=1
バブル末期の1992年と,最新の2012年調査のデータから年収(税引き前)の分布を拾うと,以下のようになります。
1992年のアラフォー男性有業者は912万人,2012年は872万人です。1992年は階級の刻みが粗いですが,最も多いのは年収500~600万円台となっています。対して2012年の最頻階級は,300万円台です。
階級を揃えて,人数の構成比(%)にしたグラフを作ってみましょう。
この20年間の変化が見やすくなりました。ピークは,年収500~600万円台ですが,2012年はその山が下がり,代わって低収入層が増えています。
緑のマークで囲った部分は年収300万未満ですが,この割合は,1992年では15.7%でしたが,2012年では23.6%に増えています。最近では,アラフォー男性の4人に1人が,年収300万未満であると。これは税込みの年収ですので,実際の手取りはもっと少なくなります。
このグラフをツイッターで発信したところ,多くの方に見ていただけました。中京大学の大内教授が言われていますが,奨学金の返済どころではない人が増えていることが知られます。
https://twitter.com/ouchi_h/status/965935583263522817
最初の度数分布表から,階級値(真ん中の値)を使って平均値を計算すると,1992年が548.4万円,2012年が479.6万円となります。この20年間で,アラフォー男子の年収は70万円近くも減っていると。
これは全国値ですが,都道府県別の度数分布も原資料に出ていますので,同じやり方で47都道府県のアラフォー男性の平均年収を計算できます。1992年と2012年のデータを対比すると,怖いことが分かります。
どの県も,出費がかさむアラフォー年代の年収はダウンしています。埼玉,千葉,神奈川,石川,岐阜,京都,奈良では,100万円以上の減です。
黄色マークは年収500万円以上ですが,その数は大きく減っています。1992年では25県でしたが,2012年では6県のみです。
これを地図化すると,身震いするような模様になります。下のマップは,アラフォー男性の年収が500万円を超える県に色をつけたものです。
「失われた20年」の可視化以外の何物でもありません。2012年では,埼玉や大阪も白色,働き盛りの男性の平均年収が500万円に達していないのです。
ツイッターでこの地図を発信したところ,かなり注目され,多くのリプがついています。そこで書いた,やや汚い言葉での主張をここで繰り返させていただきます。
https://twitter.com/tmaita77/status/965944504858525697
「もう成り立たねえよ。奨学金返済,学費の親負担という「年功賃金」を前提としたシステムは。」
これだけ収入が減っているのに,子どもの教育費負担,奨学金の返済がのしかかるのはツライ。そもそも,子どもの教育費の大部分を親に払わせる,高等教育の学費をローンで賄わせ,後から返済させるというのは,年功賃金を前提としたシステムです。
しかしここではっきり示したように,それは崩壊しつつあります。ロスジェネという特殊世代の要因かもしれませんが,より最近では,事態はもっと悪化しているかもしれません。昨年実施された,2017年の『就業構造基本調査』のデータではどうなっていることか…。
若い世代の皆さん。「一つの会社に長く勤めれば給料が上がる。石の上にも3年。若いうちは辛抱しろ」などという,上の世代の戯言に騙されるべからず。気に入らなければどんどん転職しましょう。副業をして,どこでも通用する汎用性のあるスキルを身に付けましょう。
年功賃金の崩壊というのは,教育費の家計押し付け型や,長期の飼い慣らしによる家畜労働というような,わが国の病理を克服するいい契機かもしれません。変化はチャンスです。
今回のデータは,奨学金政策の担当者の方に,ぜひ注視してほしいと思います。
2018年2月17日土曜日
体験活動の効果
子どもの育ちにとって,各種の体験は大きな意義を持っています。自然や動植物への慈しみの念は,自然体験を通して育まれますし,弱者への思いやりは,そういう人を手助けする活動を通して身につきます。
勉強にしても,教科書に書いてある抽象的なことを理解するのは,自分が持っている原体験に引き寄せてです。教科書の内容は,社会生活に必要な3Rや,生活上の諸問題を解決するための知恵を体系的にまとめたものです。その原点は,先人が実生活の中で遭遇した体験です。それに通じるものを持っている子とそうでない子では,勉強の呑み込みにも差が出てくるでしょう。
今回は,体験活動の効果をデータで明らかにしてみようと思います。各種の体験の多寡によって子どもをグループ分けし,道徳行為,自己イメージ,勉強の得意度がどう違うかを分析してみます。
この手の分析は白書等でもなされていますが,ここでやる分析の特徴は,子どもの家庭環境の要因を統制することです。
用いるのは,国立青少年教育振興機構の『青少年の体験活動等に関する意識調査』(2014年度)の個票データです。小学生調査の問3で,各種の体験の頻度を問うています。
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/107/
家事,他人の世話,自然体験に関わる17項目です。これらの頻度の回答を合成し,体験活動の多寡を測る単一の尺度を作ります。
「1」という回答には3点,「2」には2点,「3」には1点のスコアを付与します。この場合,対象児童の体験活動のレベルは,17~51点のスコアで計測されます。全部「1」と答えたバリバリの体験っ子は51点で,全部「3」の子は17点です。
本調査の小学生調査の対象は4~6年生ですが,発達段階の影響を除くため4年生に絞ります。また,家庭環境の影響を除くため,年収が400万以上600万未満の家庭の児童に限定します。小4児童でみた場合,家庭の年収のボリュームゾーンはこの階層です。
このように,家庭の経済力を揃えた比較をするのが,ここでの分析のウリです。「体験格差」という言葉があるように,子どもの体験の量は,家庭環境と強く関連していますので。家庭環境の要因を統制しても,体験活動の効果が認められるかどうか…。
年収400万以上600万未満の家庭の小4児童のうち,上記の17項目全てに回答したのは654人です。この654人の体験活動スコアの分布を図示すると,以下のようになります。
中ほどが厚いノーマル分布です。この分布をもとに,体験活動のレベルを「低」「中」「高」の3群に分けましょう。20点台を低,30点台を中,40点以上を高とすると,「2:6:2」となり,きれいな配分になるかと思います。
フツーの家庭の小4児童654人を,このやり方で3つの群に分け,道徳行為,自己イメージ,勉強の得意度がどう違うかを比べてみます。まずは道徳行為です。7項目について,最も強い肯定の回答をした児童の割合を拾ってみました。
赤字は3群の中で最も高い数値ですが,どれも体験活動「高群」の肯定率がマックスです。席を譲ること,悪いことを止めさせることの肯定率は,低群と高群では大きく違っています。
京王線車内で,障害者に優先席を譲るのを拒否した若者がいたそうですが,おそらくは他人のケアをした経験がないのでしょう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180215-00207709-toyo-bus_all
次に,自己イメージと勉強の得意度です。関連する15項目を取り出し,肯定率を群ごとに計算しました。
友達も多さ,勉強・体力への自信,自尊心とも,体験活動のレベルとリニアな相関関係にありますね。体力への自信は,低群と高群では5倍以上違っています。家に籠っている子と,外を駆けずり回っている子ですから,当然ですが。体験活動が多い子は,行動範囲が広いためか,学校外の友人も多いようです。
自尊心とも関連していますね。お手伝いや他人の世話で,集団生活に貢献した経験,崇高なものに触れた経験が基盤になっていることは,想像に難くありません。
勉強が得意の割合も,低が10.9%,中が13.9%,高が16.5%と,リニアな傾向があります。教科ごとにバラしても同様です(下段)。実生活での体験の多寡は,教科書の抽象的な内容を吸収(定着)させるための接着剤のようなものです。
以上,体験活動の効果をデータで垣間見てみました。今回のデータは,発達段階(年齢)と家庭環境の要因を統制した比較によります。フツーの家庭の小4児童に限ったデータです。体験活動の効果を,ある程度支持するデータとみてよいでしょう。
あと一か月ちょっとすれば春休みですが,お子さんには,いろいろな所に出かけ,お子さんに「体験」を積ませたいものです。
当局もその重要性を認識し,昨年の学校教育法施行令改正により,各自治体が学校の休業日を独自に設定できることになりました。長期休暇の一部を割り振り,土日と接合させることで,学期中にもまとまった休暇(キッズウィーク)を設定できるという寸法です。そのねらいは,親子の体験活動を奨励すること。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1396748.htm
これが機能するには,親も有給休暇をとれるようにしないといけません。自治体が定めた体験活動休業日には,子持ちの従業員の休暇取得を促すなど,企業には配慮が求められます。この取組の集積で,社会全体のワーク・ライフ・バランスが促進されることになればしめたものです。
「体験が人を育てる」。昔から言われている格言ですが,この言は理屈抜きに正しいのです。
勉強にしても,教科書に書いてある抽象的なことを理解するのは,自分が持っている原体験に引き寄せてです。教科書の内容は,社会生活に必要な3Rや,生活上の諸問題を解決するための知恵を体系的にまとめたものです。その原点は,先人が実生活の中で遭遇した体験です。それに通じるものを持っている子とそうでない子では,勉強の呑み込みにも差が出てくるでしょう。
今回は,体験活動の効果をデータで明らかにしてみようと思います。各種の体験の多寡によって子どもをグループ分けし,道徳行為,自己イメージ,勉強の得意度がどう違うかを分析してみます。
この手の分析は白書等でもなされていますが,ここでやる分析の特徴は,子どもの家庭環境の要因を統制することです。
用いるのは,国立青少年教育振興機構の『青少年の体験活動等に関する意識調査』(2014年度)の個票データです。小学生調査の問3で,各種の体験の頻度を問うています。
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/107/
家事,他人の世話,自然体験に関わる17項目です。これらの頻度の回答を合成し,体験活動の多寡を測る単一の尺度を作ります。
「1」という回答には3点,「2」には2点,「3」には1点のスコアを付与します。この場合,対象児童の体験活動のレベルは,17~51点のスコアで計測されます。全部「1」と答えたバリバリの体験っ子は51点で,全部「3」の子は17点です。
本調査の小学生調査の対象は4~6年生ですが,発達段階の影響を除くため4年生に絞ります。また,家庭環境の影響を除くため,年収が400万以上600万未満の家庭の児童に限定します。小4児童でみた場合,家庭の年収のボリュームゾーンはこの階層です。
このように,家庭の経済力を揃えた比較をするのが,ここでの分析のウリです。「体験格差」という言葉があるように,子どもの体験の量は,家庭環境と強く関連していますので。家庭環境の要因を統制しても,体験活動の効果が認められるかどうか…。
年収400万以上600万未満の家庭の小4児童のうち,上記の17項目全てに回答したのは654人です。この654人の体験活動スコアの分布を図示すると,以下のようになります。
中ほどが厚いノーマル分布です。この分布をもとに,体験活動のレベルを「低」「中」「高」の3群に分けましょう。20点台を低,30点台を中,40点以上を高とすると,「2:6:2」となり,きれいな配分になるかと思います。
フツーの家庭の小4児童654人を,このやり方で3つの群に分け,道徳行為,自己イメージ,勉強の得意度がどう違うかを比べてみます。まずは道徳行為です。7項目について,最も強い肯定の回答をした児童の割合を拾ってみました。
赤字は3群の中で最も高い数値ですが,どれも体験活動「高群」の肯定率がマックスです。席を譲ること,悪いことを止めさせることの肯定率は,低群と高群では大きく違っています。
京王線車内で,障害者に優先席を譲るのを拒否した若者がいたそうですが,おそらくは他人のケアをした経験がないのでしょう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180215-00207709-toyo-bus_all
次に,自己イメージと勉強の得意度です。関連する15項目を取り出し,肯定率を群ごとに計算しました。
友達も多さ,勉強・体力への自信,自尊心とも,体験活動のレベルとリニアな相関関係にありますね。体力への自信は,低群と高群では5倍以上違っています。家に籠っている子と,外を駆けずり回っている子ですから,当然ですが。体験活動が多い子は,行動範囲が広いためか,学校外の友人も多いようです。
自尊心とも関連していますね。お手伝いや他人の世話で,集団生活に貢献した経験,崇高なものに触れた経験が基盤になっていることは,想像に難くありません。
勉強が得意の割合も,低が10.9%,中が13.9%,高が16.5%と,リニアな傾向があります。教科ごとにバラしても同様です(下段)。実生活での体験の多寡は,教科書の抽象的な内容を吸収(定着)させるための接着剤のようなものです。
以上,体験活動の効果をデータで垣間見てみました。今回のデータは,発達段階(年齢)と家庭環境の要因を統制した比較によります。フツーの家庭の小4児童に限ったデータです。体験活動の効果を,ある程度支持するデータとみてよいでしょう。
あと一か月ちょっとすれば春休みですが,お子さんには,いろいろな所に出かけ,お子さんに「体験」を積ませたいものです。
当局もその重要性を認識し,昨年の学校教育法施行令改正により,各自治体が学校の休業日を独自に設定できることになりました。長期休暇の一部を割り振り,土日と接合させることで,学期中にもまとまった休暇(キッズウィーク)を設定できるという寸法です。そのねらいは,親子の体験活動を奨励すること。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1396748.htm
これが機能するには,親も有給休暇をとれるようにしないといけません。自治体が定めた体験活動休業日には,子持ちの従業員の休暇取得を促すなど,企業には配慮が求められます。この取組の集積で,社会全体のワーク・ライフ・バランスが促進されることになればしめたものです。
「体験が人を育てる」。昔から言われている格言ですが,この言は理屈抜きに正しいのです。
2018年2月14日水曜日
危険な40代
今日の日経新聞に,「賃上げ,取り残される団塊ジュニア 若い世代優先で」と題する記事が出ています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26847110T10C18A2EE8000/
記事で紹介されている,正社員の賃金変化の年齢グラフがショッキングです。2012年から16年にかけて,多くの年齢層で所定内月収はアップしていますが,40代だけが下がっています。
今の40代といったら,70年代前半生まれの団塊ジュニアから,私くらいのロスジェネまでの世代ですが,量的に多いので人余りが生じているとのこと。学校卒業時が就職氷河期で,スキルや職歴を積めなかった人の賃金が伸びていないのでは,という見方も提示されています。
世紀の変わり目のどん底の時期に大学を出た,私なんかの世代には,こういう人が多いでしょうね。
http://tmaita77.blogspot.jp/2018/01/blog-post_22.html
40代といえば,いろいろな役割がのしかかってくるステージです。子どもが高校や大学に進学する時期で,おカネもかさみます。早い人では,老親の介護も始まるでしょう。にもかかわらず,給料が上がらないのはキツイ。年功賃金を前提に諸制度が組み立てられているわが国では,なおのことです。
40代にあっては,生活苦と犯罪が強く相関しています。注目されるのは,失業率と強盗率の時系列変化です。
失業率とは,就労意欲のある労働力人口のうち,職に就けずハロワ等で職探しをしている人(完全失業者)が何%かです。強盗率は,人口10万人あたりにした強盗検挙人員数です。
計算に使った要素も含めた時系列変化を整理すると,以下のようになります。a~cは『労働力調査』,dは『犯罪統計書』から採取した数値です。『労働力調査』の統計が1968年からになってますので,この年次から最新の2016年までの推移をみています。
http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/year.html
黄色マークは観察期間中の最高値,青色は最低値です。失業率・強盗率とも,マックスは2009年です。前年(2008年)のリーマンショックの影響でしょう。
失業率3%以上,強盗率2.0以上は赤字にしましたが,世紀末から今世紀初頭の10年間がヤバかったことが知られます。私の世代は,就職・結婚・出産といったイベントが,こういう時期と重なってしまったわけです。
表の数値から,40代の失業率と強盗率がかなり相関していることがうかがわれます。失業率が低い時期は強盗率も低く,その逆も然り。
恐ろしいですが,グラフにしてみましょう。
傾向が非常によく似ています。1968~2016年の49年次の数値をもとに,失業率と強盗率の相関係数を出すと,+0.9055にもなります。
これが因果関係とは限りませんが,失業に象徴される生活苦が,強盗という財産犯に結び付くのは,想像に難くありません。いろいろな重荷を背負う40代にあっては,それがひときわ顕著でしょう。
失業と強盗の時系列相関は,他の年齢層でも観察されますが,その程度は40代で最も強くなっています。
https://ci.nii.ac.jp/naid/40016941572
50代では失業と自殺が強く相関していますが,40代では,失業と強盗の関連のほうがクリアーです。子育ての最中ですので死ぬに死ねない,ないしはまだエネルギーがあるので,外向型の犯罪に走ってしまうのでしょうか。
これまでは,40代といえば,順調に給料が上がり,しっかりとした家族につなぎ留められ,生活態度は安定していました。しかし今は,そうではありません。人余り,氷河期に学校卒業という世代要因により,給料が上がらず(冒頭日経記事),キャリアを積めていない非正規雇用者も多く滞留しています。
団塊ジュニアの世代ですので量的にも多く,2016年の40代人口は1887万人にもなります(最初の表)。総人口の15%,7人に1人です。
この人たちが大暴れしたら恐ろしい。今回のデータでみたように,40代といったら,生活苦と凶悪犯罪が最も鋭敏に関連するステージといえます。現在では,このステージの人たちの生活がヤバく,かつ人口量も多いと。言葉が良くないですが,社会にとっての爆弾といってもよいでしょう。
時代にそぐわなくなった,これまでの社会の悪弊を吹き飛ばすために,この爆弾が使われるなら大いに結構なことですが。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26847110T10C18A2EE8000/
記事で紹介されている,正社員の賃金変化の年齢グラフがショッキングです。2012年から16年にかけて,多くの年齢層で所定内月収はアップしていますが,40代だけが下がっています。
今の40代といったら,70年代前半生まれの団塊ジュニアから,私くらいのロスジェネまでの世代ですが,量的に多いので人余りが生じているとのこと。学校卒業時が就職氷河期で,スキルや職歴を積めなかった人の賃金が伸びていないのでは,という見方も提示されています。
世紀の変わり目のどん底の時期に大学を出た,私なんかの世代には,こういう人が多いでしょうね。
http://tmaita77.blogspot.jp/2018/01/blog-post_22.html
40代といえば,いろいろな役割がのしかかってくるステージです。子どもが高校や大学に進学する時期で,おカネもかさみます。早い人では,老親の介護も始まるでしょう。にもかかわらず,給料が上がらないのはキツイ。年功賃金を前提に諸制度が組み立てられているわが国では,なおのことです。
40代にあっては,生活苦と犯罪が強く相関しています。注目されるのは,失業率と強盗率の時系列変化です。
失業率とは,就労意欲のある労働力人口のうち,職に就けずハロワ等で職探しをしている人(完全失業者)が何%かです。強盗率は,人口10万人あたりにした強盗検挙人員数です。
計算に使った要素も含めた時系列変化を整理すると,以下のようになります。a~cは『労働力調査』,dは『犯罪統計書』から採取した数値です。『労働力調査』の統計が1968年からになってますので,この年次から最新の2016年までの推移をみています。
http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/year.html
黄色マークは観察期間中の最高値,青色は最低値です。失業率・強盗率とも,マックスは2009年です。前年(2008年)のリーマンショックの影響でしょう。
失業率3%以上,強盗率2.0以上は赤字にしましたが,世紀末から今世紀初頭の10年間がヤバかったことが知られます。私の世代は,就職・結婚・出産といったイベントが,こういう時期と重なってしまったわけです。
表の数値から,40代の失業率と強盗率がかなり相関していることがうかがわれます。失業率が低い時期は強盗率も低く,その逆も然り。
恐ろしいですが,グラフにしてみましょう。
傾向が非常によく似ています。1968~2016年の49年次の数値をもとに,失業率と強盗率の相関係数を出すと,+0.9055にもなります。
これが因果関係とは限りませんが,失業に象徴される生活苦が,強盗という財産犯に結び付くのは,想像に難くありません。いろいろな重荷を背負う40代にあっては,それがひときわ顕著でしょう。
失業と強盗の時系列相関は,他の年齢層でも観察されますが,その程度は40代で最も強くなっています。
https://ci.nii.ac.jp/naid/40016941572
50代では失業と自殺が強く相関していますが,40代では,失業と強盗の関連のほうがクリアーです。子育ての最中ですので死ぬに死ねない,ないしはまだエネルギーがあるので,外向型の犯罪に走ってしまうのでしょうか。
これまでは,40代といえば,順調に給料が上がり,しっかりとした家族につなぎ留められ,生活態度は安定していました。しかし今は,そうではありません。人余り,氷河期に学校卒業という世代要因により,給料が上がらず(冒頭日経記事),キャリアを積めていない非正規雇用者も多く滞留しています。
団塊ジュニアの世代ですので量的にも多く,2016年の40代人口は1887万人にもなります(最初の表)。総人口の15%,7人に1人です。
この人たちが大暴れしたら恐ろしい。今回のデータでみたように,40代といったら,生活苦と凶悪犯罪が最も鋭敏に関連するステージといえます。現在では,このステージの人たちの生活がヤバく,かつ人口量も多いと。言葉が良くないですが,社会にとっての爆弾といってもよいでしょう。
時代にそぐわなくなった,これまでの社会の悪弊を吹き飛ばすために,この爆弾が使われるなら大いに結構なことですが。
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