2011年10月29日土曜日

博士課程修了者の組成

 前回は,博士課程のそれぞれの専攻について,博士号学位取得者の数がどう変化してきたかを明らかにしました。人文科学系や社会科学系において,博士号所得者がかなり増えてきていることを知りました。

 しかるに,これらの文系の専攻では未だに,修了者の多くを単位取得退学者が占めることも事実です。博士課程修了者の組成(博士号取得者or単位取得退学者)がどう変わってきたのかにも,興味が持たれます。

 私は教育系の博士課程を修了し,学位を取得しました。文科省の『学校基本調査(高等教育機関編)』によると,2010年3月の教育系の博士課程修了者は375人です。そのうち,単位取得退学者は173人です。修了者のうち,単位取得退学者が46.1%を占めています。裏返すと,残りの202人(53.9%)が博士号取得者です。

 教育系の博士号取得者の比率は,20年前の1990年3月の修了者では,わずか21.2%でした。それが現在では,修了者の半分以上が学位を取っているわけです。すごい変わりようですね。

 私の恩師が,私の拙い博士論文に苦渋の面をつくりながらも,「昔と今では博論の意味づけが違うからね。仕方ないか・・・」とつぶやいておられたのを覚えています。博士号は,研究者としてのスタート地点に立ったことの証である。そこそこの水準に行っていればそれでよし。後は,今後の精進に期待しましょう,ということなのでしょう。別の某先生は,「今の博論なんて昔の修論だよ」と断言されていました。

 私は,前回みた10の専攻について,博士課程修了者の組成がどう変わってきたのかを示す図をつくりました。まずは,6つの専攻の図をお見せします。資料源は,文科省『学校基本調査(高等教育機関編)』の各年次版です。


 専攻名の隣のカッコに内は,1990年と2010年とで,博士号取得者の比率がどう変わったかを示しています。人文科学系と社会科学系では,青色の博士号所得者の比重が年々高まってきています。前者でいうと,博士号取得者の比率は,1990年の15.8%から2010年の42.7%まで増えています。

 一方,理系の4専攻では,さほどドラスティックな変化はみられません。博士号取得率は,微増というところです。理系では,以前から,「博士号=研究者のライセンス」という位置づけが根づいていたためでしょう。


 残りの4専攻の図をみてみましょう。私が出た教育系については,前述のとおりです。青色のゾーンが右上がりに広がってきています。芸術系は修了者の数が少ないので,傾向に波がありますが,学位取得率が40.0%から84.3%と,こちらも顕著な増加を呈しています。

 文系において,大学院博士課程修了者の組成が大きく変わってきていることが明らかになりました。今回みたのは,修了者の組成ですが,入学者のうち,最終的に学位取得に至るのはどれほどか,という点も気になります。

 この点を知るには,入学者を分母,3年後の学位取得者を分子に充てた計算が必要になります。文科省の『学校基本調査』の時系列データをつなぎ合わせれば,できないことではありません。機会をみつけて,手がけてみようと思います。

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