この4月から,武蔵野大学の有明キャンパスがオープンしました。政経学部や環境学部などは,これまでの武蔵野キャンパス(西東京市)から有明キャンパス(江東区)へと移転になったようです。
これに伴い,引っ越しを迫られた学生さんも少なくないと思います。「都心だと家賃が高いんでツライです・・・」。こういう声をよく聞きます。そうでしょうね。
2008年の総務省『住宅・土地統計調査』から,都内23区(特別区部)の借家居住世帯の家賃分布を知ることができます。家計支持者が25歳未満の世帯の家賃分布をみてみましょう。このグループには,単身の学生さんも多く含まれると思われます。下表は,下記サイトの「市区町村表31」から作成したものです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001025143&cycode=0
23区の借家住まいの若年世帯は209万世帯ですが,このうちの3割弱が,家賃6~8万円台の物件に住んでいます。しかし,全体の7割近くが家賃6万円以上です。さすが都心。
私は学生の頃,家賃4万円のアパートに住んでいましたが,都心では,このレベルの物件の居住者は相当のマイノリティです。家賃が2万円以下の激安物件もあるようですが,いわゆる「ワケあり」物件か,大家さんが親類者というようなケースが多いのではないでしょうか。
上記の分布から平均値を出すと,およそ8万円なり。私の印象ですが,「高い!」ですね。冒頭で紹介した,学生さんの悲痛の声も分かろうというものです。武蔵野キャンパス近辺の物件に比したら,家賃水準はかなりアップしていることでしょう。
東京都内の家賃相場には,どれくらいの地域差があるのでしょう。上記の資料から,上表と同じデータを,都内の市区町別に出すことができます。私は,家賃の平均額をもとに各地域を塗り分けた「家賃地図」をつくってみました。
ご覧ください。きれいな「東高西低」型です。最高の港区と最低の羽村市で5万円以上違うこともさることながら,東西でこうもくっきりと色分けされることに驚かされます。キャンパスの新設に伴い,西から東へと移動を強いられた学生さんのお気持ち,お察しします。まあ,複数のキャンパスを擁しているのはウチの大学だけではないので,悪しからず。
でも,図をよくみると,東の区部の中に,白色の地域が一つだけあります。23区にあって,平均家賃が5万円未満の地域です。それは江東区。おお,武蔵野大学の有明キャンパスがある区ではないですか。学生さん向けの格安物件が多い地域なのでしょうか。
今回は東京だけの地図にとどまりましたが,隣接する3県も含めた「首都圏の家賃マップ」をつくったら面白いだろうな。地方から上京してくる学生さんの参考にもなるかも。
ちなみに,私が居住している多摩市の平均家賃は5万7千円なり。私のアパートの家賃は?決して高くはありません。