各国の幸福度シリーズも4回目になりました。今回みるのは,北欧の2国です。フィンランドとスウェーデン。福祉国家として知られる両国ですが,国民の幸福度プロフィール図は,どういう形を示すでしょうか。
OECDの幸福度指数(BLI)は,収入,住居などの11項目の幸福度を,24の統計指標でもって測っています。まずは,上記2国の24指標の値がどういうものかを観察しましょう。
http://www.oecdbetterlifeindex.org/
OECDの原資料では,水準を異にする諸指標を同列に扱うため,各指標の値を0.0~1.0の標準スコアに換算する方法が提案されています。全対象国(36か国)の最大値は1.0,最小値は0.0になるように計算されます。犯罪率のようなネガティブ指標(下表の▼印)は,その反対です。スコアの計算方法の詳細は,5月25日の記事を参照ください。
下表は,このスコア値の一覧です。わが国の数値も掲げています。
どの指標のスコアも,値が高いほど(1.0に近いほど)好ましいことを意味します。0.8を超えるスコアは赤色にしましたが,どうでしょう。日本は6つですが,フィンランドは12,スウェーデンは13の数値が赤色です。両国の幸福度の高さをうかがわせる材料が多いことが知られます。
フィンランドは,教育,コミュニティ,環境,安全,そして生活満足の箇所がオール・レッド。学力は1.0です。全対象国の中で最も高い,ということです。ここでいう学力とは,PISA2009の平均点のことですが,この国の子どもの学力の高さは,広く知られているところです。
スウェーデンは,環境の指標がいずれも1.0で最高値。このことと関連してか,国民の健康状態もきわめて良好であるようです。
いやー,すごいですね。この2国は,収入のような経済面の幸福度はさほど高くないのですが,人々の「暮らし」の側面の幸福度がとても高いことがうかがわれます。
上記のローデータを均せば,様相はもっとクリアーになります。項目ごとのスコア平均を計算しましょう。教育の場合,教育普及度,平均在学年数,そして学力の3スコアの平均をとるわけです。結果は下表のようです。
フィンランドは5つ,スウェーデンは6つの項目において,スコア平均値が0.8を超えています。目立って低い項目はといえば,0.5を下回る収入ぐらいです。総じて,項目間のバランスがとれた円満な型であると思われます。視覚化すれば以下のごとし。
日本も,WLバランス,健康,社会参画,および生活満足度のスコアをもっとアップさせて,両国の図形に近いづきたいものですね。
これまで,先進5か国,途上国2か国,ならびに北欧2か国の幸福度カルテをみてきました。合計9か国。全対象国(36か国)の4分の1です。残りの27国のカルテはどうか,という関心をお持ちの方もおられると思います。この中には,お隣の韓国,大国ロシア,中東のイスラエルなど,興味をそそられる国も含まれています。
残りの国については,上図のようなカルテのみをご覧にいれます。さぞ,特徴的な型が並ぶことでしょう。それは機会をみてということで。本シリーズは,一旦おしまいにします。