2017年5月12日金曜日

結婚の損失の国際比較

 未婚化の原因には諸説がありますが,最近,次のようなことがよく言われるようになっています。「結婚すると稼げなくなるので,女性は結婚を躊躇う」と。

 女性の大学進学率が上がり,身に付けた知識や技術を活かしてガシガシ稼ぎたい,大学までの学費の元を取りたい…。こういう女性が増えていることを思うと,さもありなんです。

 結婚となると,自分が稼げなくなる分,相手の男性は稼げる人でないと困る。よって女性は男性に高い年収を求めざるを得ないのですが,このご時世,若い男性でそういう人は滅多にいない。ゆえに,条件のミスマッチから未婚化が進行する。声高には言われませんが,こういう事態になっているとも思われます。

 はて,これは他国でも同じなのでしょうか。最新のISSP国際調査(2014年)の個票データを使って,生産年齢の有業女性(in paid work)の収入を未婚者と有配偶者に分けて計算し,その差がどう違うかを国ごとに比べてみました。
http://www.issp.org/data-download/by-year/

 以下に掲げるのは,日本のデータです。日本は,年収を調査しています。


 ありがたいことに,各階級の階級値の統計表を得ることができます。150万円は100万円台,250万円は200万台…です。

 分布をみるとやはり未婚者のほうが稼いでいます。有業者といっても,夫がいる有配偶女性の場合,多くがパート・アルバイトといった非正規でしょう。

 上記の分布から平均値(average)を計算すると,未婚者が284.3万円,有配偶者が210.2万円です。どちらも絶対額が少ないことはさておき,未婚者のほうが高くなっています。その差は1.35倍なり。

 これは日本の未婚者と有配偶者の比較ですが,他国はどうなんでしょう。私は,主要7か国について上記の同じ統計表を作成し,それをもとに両群の平均収入を算出しました。日本とアメリカは平均年収,その他は平均月収です。


 どの国も,自由度の高い未婚女性のほうが稼いでいるかと思いきや,そうではありません。それに該当するのは日本とドイツだけで,残りの5か国は有配偶者のほうが稼いでいます。

 海外では,あまり稼ぎ過ぎると損をする「**円の壁」のようなものがないのでしょうか。従業地位の違い? 他国では,未婚女性より既婚女性のフルタイム(正社員)率が高い? それは考えにくいような…。

 ただ,結婚して子どもがいる女性でもバリバリ働ける条件が日本より整っているというのは,よく言われますよね。スウェーデンでは,保育所入所を希望する親に枠を用意するのは自治体の義務です。

 ①年齢をもっと狭く限定すべし,②子の有無を考慮すべし,③従業地位をフルタイムに統制すべし…。いろいろ難点のあるラフなデータですが,ISSP調査はサンプルが少ないので,細かい条件の統制は叶いません。

 日本の状況が普遍的でない可能性がある。一つの試算結果として,ここに載せておくことにしましょう。

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