2017年5月29日月曜日

女性のすがたの変化(詳細)

 女性の地位構成は,以前に比したらだいぶ変わってきていることでしょう。出産・子育て期であっても,就業者の比重が増え,主婦のウェイトは減ってきています。

 この点は,白書等に載っている,いわゆる「M字カーブ」をみれば分かります。女性の就業率の年齢カーブです。

 しかるに,一口に就業者といっても,その中には下位カテゴリーが含まれます。『国勢調査』の労働力統計でいうと,就業者の中には,主に仕事,②家事のほか仕事,③通学のほか仕事,④休職中,という4つのカテゴリーが含まれています。いろんな働き方があるわけです。

 就業者の部分をこうした要素に分解して,女性のすがたが過去に比してどう変わったかを「見える化」するとどうなるか。どのグラフをご覧に入れようと思います。

 私は『国勢調査』の原データに当たって,女性の年齢別の地位内訳が,1985年と2015年でどう変わったかをみてみました。1985(昭和60)年といえば,男女雇用機会均等法が制定された年で,男女平等に向けた施策が始まった元年といわれます。はて,この30年間の施策の成果は如何。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?tocd=00200521

 『国勢調査』の労働力状態のカテゴリーは,A)就業,B)失業,C)家事,D)通学,E)その他からなり,AとBは働く意欲のある労働力人口で,C~Eはそうでない非労働力人口です。今回のミソは,Aの就業の部分を,上述の①~④の要素に分解することです。

 合計8カテゴリーの地位内訳の年齢グラフを描くと,下図のようになります。細かい1歳刻みの面グラフです。5歳刻みでは凸凹になりますが,1歳刻みだと滑らかな変化を見て取れます。


 水色の失業までが労働力人口ですが,両年とも,結婚・出産期に谷がある「M字」になっています。しかるに,この30年間で谷は浅くなり,右にシフトしています。未婚化・晩婚化の表れでしょう。

 まあ谷が浅くなったことは,白書等で誇らしげに書かれているように,幼子がいる母親の就業チャンスが広がった,ということでもありましょう。ですが「M」の中身,つまり働き方の中身を透視すると,オレンジの「家事のほか仕事」が結構な比重を占めています。家計補助のパートなどです。

 ちなみに2015年では,就業率の盛り返しは,もっぱらこの「家事のほか仕事」によって担われています。青色の「主に仕事」(フルタイム就業)は,結婚・子育て期に低下した後,盛り返しを見せません。「M」ではなく「L」になっています。

 同一世代を追跡したデータではないですが,フルタイム就業へのカムバックのチャンスが閉ざされている,ということでしょうか。1985年では「主に仕事」の率の再上昇が若干あるのですが,これは自営業がまだ残っていたためでしょう。しかし雇用労働化が極限まで進んだ現在では,女性のフルタイム就業率のカーブが「L字」になってしまっている。

 政府の文書では,M字の底が浅くなったことをもって,女性の社会進出が進んだと書かれていますけど,働き方の中身を透視すると,諸手を挙げて喜ぶわけにはいかないようです。子育て後の女性の復帰チャンスは非正規だけ,意地のよくない言い方をすれば,「非正規依存型の社会進出」です。

 女性のフルタイム就業率の年齢曲線は,「M字」ではなく「L字」になっている。ここでのファインディングです。ただ上述のように,同一世代を追跡した統計ではないので,まだ仮説の域を出ません。世代統計にて要検証です。

 私の1つ上の世代(75年生まれ)だと,2000年に25歳,2005年に30歳,2010年に35歳,2015年に40歳となりますが,この4時点で女性のフルタイム就業者数(主に仕事)がどう変わるか。前の世代に比してどうか。データはすぐ取れますので,追々,分析を深めていきましょう。

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