2017年6月24日土曜日

結婚は否定するが,子どもは欲しい

 前回は,婚外子の国際比較をしました。日本ではごくわずかですが,諸外国はさにあらず。フランスやスウェーデンでは,生まれてくる子どもの半分以上が婚外子です。

 さらに,各国の婚外子比率は合計特殊出生率とプラスの相関関係にあることも分かりました。婚外出産という選択肢がある国ほど,出生率が高い。こんな傾向です。

 日本もこの方向に動けば,少子化にも歯止めがかかるのではないか。「旦那はいらんが,子どもはほしい」。最近では,こういう女性も増えているでしょうから。

 では実際,こういう女性は何%くらいいるのか。その量的規模を明らかにしたい。こういう思いで,いろいろな調査データを探索してみたのですが,内閣府の『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)で,目的のデータを作れることを知りました。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf_index.html

 この調査では,13~29歳の若者に対し,「結婚(事実婚含む)についてどう思うか」(Q19),「子どもは欲しいか」(Q22)と尋ねています。この2つの回答をクロスすることで,上記の考えに近い女性の数を取り出すことができます。

 以下に掲げるのは,日本の20代未婚女性のデータで作成したクロス表です。本調査の個票データから,独自に集計したものです。


 双方の設問に有効回答を寄せた,20代の未婚女性は合計で192人。回答の選択肢は多岐にわたりますが,ア)結婚を肯定するか否か,イ)子が欲しいか否かに着眼して,4つのタイプに分けることができます(点線)。

 これによると,右上(B×a)のゾーンに入るのが,「結婚は否定するが,子は欲しい」という女性であることになります。その数は,3+23+9=35人で,全体(192人)に占める割合は18.2%です。およそ6人に1人。結構いるじゃないですか。

 これは日本の20代未婚女性のデータですが,他国はどうでしょう。他の調査対象国(6か国)についても,20代の未婚女性のサンプルを取り出し,同じデータを作ってみました。

 下図は,各国の結果のモザイク図で表したものです。サンプル全体を正方形に見立て,上表と同じく,結婚観(A-B)と出産願望の有無(a-b)で区分けしました。「瑞」は,スウェーデンをさします。


 色付き(B×a)が「結婚は否定するが,子どもは欲しい」という女性です。その比重は日本は18.2%ですが,欧米はもっと高くなっています。アメリカは36.4%,フランスは46.9%,スウェーデンに至っては62.0%です。

 なるほど,欧米で婚外子が多いのも頷けますね。結婚と出産をセットで考える,日本の常識は普遍的でも何でもありません。

 横軸に注意すると,日本では4分の3が結婚を肯定していますが(A),スウェーデンでは逆に4分の3が結婚を否定しています(B)。とはいえ,結婚否定派でも6割が子を望んでいる。この国では,結婚は否定するが(望まないが),子は欲しいという女性が大半なのです。こういう女性が不利益を被らないシステムになっていることは,婚外子の割合からもうかがえます。

 しかるに日本でも,20代未婚女性のうち,このタイプの女性が18.2%います。2015年の『国勢調査』によると,20代の未婚女性は442万5071人。この数に18.2%を乗じると,80万5363人となります。結婚と出産を切り離して考えている,20代女性の推定数です。結構な数ですね。

 2015年の我が国の出生数は100万5677人ですが(『人口動態統計』),上記の80万人あまりの女性が1~2人の子を産んだ場合,出生数は一気に倍増するこことになります。70年代初頭の第2次ベビーブームに匹敵する数です。

 結婚せずとも産める社会になったら,少子化はかなり改善されるであろうという,希望的な事実です。さしあたり,心理的障壁の低い事実婚のカップルに法的保護を与える,シングルの親への経済的支援を手厚くするなどの施策が考えられますが,出生数の大幅増という恩恵がもたらされるなら,そのコストは回収されて余りあるのでしょう。

 今回みたのは2013年の調査データですが,2020年,2030年には,先ほどの図のピンク色のゾーンがますます広がっていることは間違いありますまい。

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