2011年2月8日火曜日

大卒無業率①

 前回は,大学院博士課程無業者のお話でしたが,博士課程修了者は量的にはごくわずかです。世間の人が関心を寄せているのは,大学卒業者の進路でしょう。2010年春の大学卒業者は541,428人でした(文科省『学校基本調査(高等教育機関編』)。このうち,無業者がどれほどいるのかをみてみたいと思います。

 上記の卒業者全体のうち,「一時的な仕事」は19,332人,「無業」は87,174人,「死亡・不詳」は10,807人です。これらを合算した117,313人を無業者と括ります。卒業生全体に占める比率は21.7%です。大卒者のおよそ2割が無業者ということになります。1990年では10.4%でした。それ以降の不況の影響をまざまざと思い知らせてくれる数字です。


 この無業率を県別に算出し,地図化すると上図のようになります。5%刻みごとに塗り分けています。最高は沖縄の39.2%です。最低は福井の6.8%です。地図をみると,率が高いのは都市的な地域です。首都圏や近畿圏が黒く染まっています。就業機会に乏しい地方のほうが高いかと思っていましたが,少し意外でした。

 こうした地域差の原因の一つに,都市にはアルバイト仕事が豊富にある,ということが挙げられるでしょう。事実,東京では「一時的な仕事」が6,362人もいるのに対し,秋田では一人もいません。こういうバイトをしながら,本命の大企業を狙う,という就職浪人の存在があるのではないでしょうか。

 ところが地方ではそうはいかない。バイトの機会もない。大企業の立地もない。よって,中小企業も厭わず就職する,というような潔さがあるものと思います。2月5日の朝日新聞によると,大学生の中小企業志向が強まっているようです。都市の学生も,目の前にある選択肢の多さにキョロキョロしている場合ではない,ということでしょうか。

 ところで,1990年からの無業率の変化を県別にみると,いろいろなパターンがあります。当然,率を増加させている県がほとんどです。東京は,13.7%から24.3%へと10ポイント以上増えています。しかし,率が減っている県もあります。秋田,岐阜,高知の3県です。快挙といってよいでしょう。この3県の内実を調べてみるのも,また一興かもしれません。

 次回は,性別や専攻学科などの属性によって,無業率がどう違うかをみてみたいと思います。

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