このブログの記事も少しはたまってきました。ブログの統計ツールにて,どの記事の閲覧頻度が高いかをたまにチェックしますと,「大学の退学率」とか「大学の定員割れ」とかいう,大学関連の記事を見てくださる方が比較的多いようです。
それを受けてではありませんが,今回は,大学のせんせいに関するお話です。大学教員の年齢や性別の構成はどうなっているかを明らかにしようと思います。わが国の大学教員に占める女性比は国際的にみて,かなり低いことがいわれています。年齢構成については,高齢層が多いことが指摘されています(たとえば,潮木守一『職業としての大学教授』中央公論新社,2009年)。
まずは,時計の針を30年ほど戻して,1977年の状況をみてみましょう。下図は,各年齢層の教員が全体に占める比率(%)を表現したものです。性別の組成が分かるようにもしてあります。ここでいう大学教員とは,本務教員のことです。非常勤講師は除きます。資料は,文科省『学校教員統計調査』によります。
モード(最頻値)は,30代前半にあります。右上の簡略図をみても分かるように,おおよそ,若年層が多く,高齢層が少ないピラミッド型であったようです。20代が少ないのは,この業界の常です。大学院博士課程を最短で終えたとしても27歳なのですから。
では,最新の2007年の統計を使って,同じ図を描いてみましょう。この30年間の間に,大学教員の数は9万6千人から16万8千人へと増えました。女性の割合は,8.4%から18.2%へと伸びました。最近,教員採用に際して,女性を優遇する向きがあるようですが,今後,女性比はますます高まることと思われます。結構なことです。
さて,年齢構成はどうでしょうか。まず,右上の簡略図からみると,30年前のピラミッド型が崩れて「壺型」に移行しています。高齢層の比重が増していることが一目瞭然です。50歳以上の教員の比率は,1977年では26.7%でしたが,2007年では44.0%にもなっています。60歳以上の教員も17.7%と,2割近くを占めるようになっています。
社会全体で高齢化が進んでいるといわれますけれども,大学教員の世界では,それがもっと顕著です。ベストセラー『世界がもし100人の村だったら』的にいうと,「大学のせんせい100人のうち,44人は50歳以上の人です」となります。この点についての解釈は,イデオロギー的な感情が出そうですので,控えさせていただきます。