2011年3月7日月曜日

大学教員の女性比

 内閣府の『平成22年版・男女共同参画白書』によると,わが国の研究者に占める女性の比率は,国際的にみてかなり低いようです。白書には,2005年前後の36ヵ国の統計が載っていますが,日本はわずか13%で,堂々の最下位です。白書の該当図表のURLは以下です。
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h22/zentai/html/zuhyo/zuhyo103.html

 他の先進国をみると,ロシアが42%,アメリカが34%,フランスが28%,イギリスが26%,ドイツが25%であり,大きく水を開けられています。ちなみに,36ヵ国の1位はリトアニアの49%です。この国では,研究者がちょうど男女半々の構成になっていることを意味します。

 このことを危惧してか,研究者の女性比を少しでも高めようという動きが出ています。女性教員の比率の目標値20%を掲げ,教員公募の文面に「業績が同等と認められる場合は女性を採用します」と明言する大学も多くなりました。お上も,女性教員を雇い入れた大学には,給与の補助を行うという厚遇ぶりです。

 その甲斐あってか,大学教員に占める女性の割合は,1983年では8%でしたが,2010年では20%にまで高まっています。女性教員の実数も,この期間中に,約9千人から3万5千人にまで増えています(文科省『学校基本調査』)。ところで,大学教員といっても,いろいろな年齢の人がいます。女性比が高まっているのは若年層だと思いますが,年齢別の動向もみてみましょう。資料は,文科省の『学校教員統計調査』です。本調査は,3年おきに実施されています。


 上記の図によると,最近の2007年の20代では,女性の比率が3割を超えています。まあ,20代の教員はごくわずかですが,30代でも25%,つまり4分の1を超えています。男女共同参画政策が敷かれた今世紀以降,高率ゾーンが徐々に垂れてきており,2007年では,50代前半までが,女性比15%以上となっています。

 「為せば成る」とはよく言ったものですが,やはり,社会というのは,政策によって変わるのだな,と実感させられます。どの社会でもいえることですが,成員の組成があまりに画一的になるのは,望ましいことではありません。

 昨年の12月17日に,第3次男女共同参画基本計画が策定されたところです。その中に,「2020年までの間に,指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という目標が掲げられています。このような可視的かつ検証可能な目標を少しずつ達成していくことで,真の男女共同参画社会が実現されることを欲します。