2011年3月28日月曜日

大学進学率の将来予測(続)

 日頃より,このブログを閲覧いただいている方には,感謝申し上げます。ブログの統計ツールにて,どの記事の閲覧頻度が高いかをチェックしますと,首位ではありませんが,1月26日の「大学進学率の将来予測」の記事を見てくださる方が多いようです。

 先の記事では,5年刻みのラフな予測をしましたが,ここでは,逐年の事態予測を,視覚的な統計図でご覧に入れようと思います。

 大学進学率とは,その年の大学入学者数を,18歳人口で除した値です。前者には,18歳よりも上の者(いわゆる浪人)も含まれますが,当該の年の18歳人口からも,ほぼ同じ量の浪人生が発生すると仮定し,両者が相殺するとみなします。よって,この意味での大学進学率は,浪人生込の大学進学率です。

 2010年春の大学入学者数は,およそ62万人です(文科省『学校基本調査(高等教育機関編)』)。この年の18歳人口122万人に占める比率は,51%となります。今後,この値はどうなっていくのでしょうか。分母の18歳人口については,国立社会保障・人口問題研究所による精密な予測があります。よって,分子の大学入学者数を想定すればよいことになります。まずは,2010年の数(62万人)が,この先ずっと維持されると仮定してみましょう。この場合の事態を図示すると,以下のようになります。


 今後,トータルの18歳人口はどんどん減少し,40年後の2050年にはおよそ68万人になることが見込まれます。その一方で,大学入学者の数は62万人のまま維持されるのですから,大学進学率(大学入学者のシェア)は著しく大きくなります。このシナリオによると,大学進学率は,2030年には70%,2050年には91%にも達します。まさに,「大学全入」です。

 100%あり得ない非現実的なシナリオと思われるかもしれませんが,どうだかは分かりません。18歳人口は,ピーク時(1992年)の205万人から,2010年の122万人にまで激減しましたが,それでも,大学側の(がめつい)努力により,この期間中,大学入学者の数は54万人から62万人に増えたという事実があります。

 まあ,この予測が極端であることは認めましょう。では,もう少し現実性のある仮定として,今度は,大学入学者数が年ごとに0.5%ずつ減っていくと考えます。これによると,2011年の大学入学者数は,前年の62万人に0.995を乗じて求められます。2012年の数は,2011年の数×0.995・・・以後,同じです。では,シナリオ2として,下図をご覧ください。


 これによると,大学入学者の数も減っていき,2050年には51万人ほどになると見込まれます。2010年よりも2割減です。これは大学にとっては手痛いことで,学生が集まらずに倒産する大学も多く出てくることでしょう。しかし,これでも,大学進学率は,2030年は63%,2050年は74%にもなります。まだまだ非現実的というべきでしょうか。

 大学がひたすらに利を追求し,シナリオ1のような事態になったら,子どもの生活は著しく歪められることになります。大学が,伝統的進学層(18歳人口)とは別の顧客を開拓すべきであることは,先の記事でも申し上げました。絵空事といわれるかもしれませんが,余暇社会・生涯学習社会といわれる今日,そのための条件は以前よりも熟していると思います。

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