2011年3月23日水曜日

49市区の子どもたち⑧

 これまで,東京都内49市区の子どもたちの状況を診てきました。今回は,最後の作業として,手元にある49枚のカルテを大雑把にタイプ分けしてみようと思います。

 方法はいたって簡単です。スコアが3.5を超える項目(突出項)がどれかに注目します。突出項が複数ある場合は,スコアが最も高いものをとります。たとえば,肥満が3.5,学力が4.7の千代田区の場合,後者を突出項と考えます。

 肥満が突出しているタイプを「肥満問題型」,学力が突出しているタイプを「学力順調型」,不登校が突出しているタイプを「脱学校型」としましょう。スコアが3.5を超える指標がない場合は,「中庸型」としておきます。


 この方法で49市区を分類し,地図上で塗り分けると,上記のようになります。大まかにみて,同じタイプが地理的に固まっていることが注目されます。肥満問題型は北東部,学力順調型は中央部,脱学校型は西部,という具合です。

 脱学校型は,都心のベッドタウンという郊外的な地域の性格と関連していると思われます。残りの2タイプの分布は,地域住民の階層構成の違いを反映しているのではないでしょうか。学力順調型は,明らかに住民の階層構成が高い地域に偏していると思われます。肥満問題型は,その逆であると思われます。1月12日の「健康格差」の記事をご参照いただければと存じます。

 今回の作業は,3つの指標だけを使った試行的なものです。今後,使える指標をもっと集め,作業の精密度を高めていこうと思います。これまで8回もの間,同じ主題にお付き合いいただき,ありがとうございました。