2011年7月30日土曜日

小学校教員の年齢構成

 2010年10月に実施された,文科省『学校教員統計調査』の結果の中間報告が出されました。それによると,公立小学校の教員のうち,50歳以上の者の比率が38.4%に達したそうです。つまり,小学校教員のおよそ4割が50代以上とのこと。「子どもの指導にあたって,体力面で問題がでないか」という懸念も上がっています。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201107280806.html

 年齢別の小学校教員数のデータを使って,人口ピラミッドを描いてみました。2010年10月1日時点のものと,1998年の同時点のものをつくり,比較してみます。統計の出所は,文科省『学校教員統計調査』です。以下のサイトより,1歳刻みの年齢別教員数の統計をハンティングできます。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001016172


 小学校教員の数は,1998年では397,043人でしたが,2010年では390,927人とやや減っています。年齢別にみると,1998年では42歳がピークでしたが,2010年では53歳がピークになっています。ピラミッドの形をみると,2010年では,50代の部分が膨らんでいるのが明らかです。50歳以上の比率は,1998年の19%から2010年の38%へと,ちょうど倍になっています。

 教員集団の年齢構成の変化は,学校での教育実践のありように,数々の影響を及ぼすことが予想されます。人間,加齢(エイジング)とともに体力が落ちてくるのは,致し方ないことです。50歳以上が4割という状況では,体力という生理的要因によって,子どもへのきめ細かな指導が行き届かなくなる恐れがあります。上記の朝日新聞の記事でいわれていることです。

 また,50歳以上の高齢教員は,近年の学校をとりまく状況変化に,最も戸惑っている層であると推測されます。その状況変化とは,保護者の高学歴化,学校の管理下などです。彼らが入職した頃とは,状況が大きく変わっています。精神疾患による休職者の輩出率が,50代において最も高いことは,6月3日の記事でみたとおりです。教員の職場不適応の総量が,ますます増えるのではないかと懸念されます。

 しかし,高齢教員が増えることは,悪いことばかりを伴うのではありません。長い教職経験の中で培われた,豊かな知や技の総量が増えることになるのですから。こうしたプラスの要素を存分に活用することは,マイナスの要素を補って余りあるといえましょう。

 ところで,教員集団の年齢構成は,地域によって多様です。公立小学校の教員について,50歳以上の者の比率を県別に出してみました。このほど公表された2010年調査の数字(暫定値)を使っています。下図は,47都道府県の値を地図化したものです。


 全国値は38.4%ですが,最大の和歌山では54.1%にも達しています。率が50%を超えるのは,和歌山と奈良です。この両県では,公立小学校教員の半分以上が50歳以上ということになります。逆に,北海道や鹿児島のように,率が3割に満たない地域もあります。

 このような,教員集団の組成の違いによって,教員の職務遂行のパフォーマンスがどれほど異なるかも,興味深い課題です。仮に,有意な差が見出されたならば,望ましい方向に,教員集団の組成を変えていくべきだという,政策方針を提示できます。個々の教員のパフォーマンスは,経験や研修の量だけに規定されるものではありません。当人をとりまく社会的文脈にも十分関心を払う必要があります。

 次回は,大学教員の性別や年齢の構成がどう変わったかを明らかにしようと思います。

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