2016年3月8日火曜日

高校就学支援金制度の効果

 2014年度より,高校就学支援金制度が施行されています。2010年度施行の高校無償化制度の後を継ぐものです。

 新制度では,対象者に所得制限を設ける代わりに,浮いた財源で「」に対する支援を手厚くすることとされました。全日制高校では月額9900円の支援金が支給されますが,私立の場合,世帯の収入に応じて,額が1.5~2.5倍されます。

 たとえば,年収250万未満の貧困世帯の場合,月額9900円を2.5倍し,年額29万7000円が支給される,という具合です。

 はて,一連の政策の効果は如何。2008年のリーマンショック以降,学費稼ぎのバイトに明け暮れる高校生,経済的理由による高校生の中退問題がたびたびメディアで報じられました。これを受け,2010年度より一連の就学支援政策が施行された経緯です。

 施行前年の2009年度と,データが分かる最新の2014年度で,経済的理由による高校中退者数はどう変わったか。文科省の統計によると,2009年度が1647人,20014年度が1208人です。439人の減,およそ3割弱の減少です。

 しかし,公立と私立に分けてみると,様相が違っています。


 経済的理由による高校中退者数は,公立では減っていますが,私立では増えています。政策の効果は,私立高校には届いていないのでしょうか。

 まあ私立の場合,年額11万8800円(9900円×12か月)では足りないかもしれません。私立は高い授業料のほかに,設備費とかもありますしね。

 高校でかかる教育費総額を,本制度による就学支援金はどれほどカバーしているのでしょう。この点に関するデータを作ってみました。


 生徒1人にかかる教育費年額は,学年によって違います。1年時にお金がかかるのは,制服代などがかさむためです。私立の場合は,入学金もバカ高。

 支給される高校就学支援金の標準年額は11万8800円ですが,教育費全体のどれほどをカバーしているかというと,公立では2~3割,私立では1割くらいです。私立の場合,貧困世帯には割増されますが,マックスの29万7000円でも,教育費総額の2~3割を賄うにすぎません。

 私立の場合,教育費の絶対額が多額ですので,貧困世帯でも大きな負担が課せられることになります。私立高校に子を通わせる家庭は,支援金をマックスもらっても,1年時で88万円,2年時で64万円,3年時で56万円を負担しないといけません(aからcを差し引いた額)。

 こうみると,制度の恩恵が私立高校に届いていないというのは,分かる気もします。うろ覚えですが,どこかの新聞で,私立高校の教員による「今の就学支援金制度では不十分だ」という趣旨の投稿を目にしたことがあります。

 この制度の有効性については,現場はどう考えているか。意識調査を実施し,必要とあらば,設計を見直すことも求められるでしょう。

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