2017年8月22日火曜日

10代の劣等感の国際比較

 更新の間が空いてしまいましたので,今日ツイッターで発信した一葉のグラフを,ブログにも載せておきましょう。

 10代の青少年のうち,「自分は役に立たないと強く感じる」という者の比率の国際比較です。当該の項目に,「そう思う」という最も強い肯定の回答をした者の割合です。

 資料は,内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)なり。当該調査のローデータを加工して,%値を独自に出しました。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/h27/pdf-index.html


 日本は性差が大きくなっています。男子は6.9%でスウェーデンの次に低いのですが,女子は17.5%で比較対象国の中で最も高くなっています。

 おそらくは,役割期待のジェンダー差の表れではないかなと推測します。低い期待に順応し,「どうせ私なんて…」と思っているのか,高い期待(家事+仕事!)に応えられず,劣等感を募らせているのか。

 韓国の男子がメチャ高なのは,地獄とも形容できる受験競争へのコミットを万人が強いられるからでしょう。勝者の枠は決まっていますので,そこから漏れた多数の者が劣等感を植え付けられると。それは,とりわけ男子で顕著と思われます。

 日本の女子はもしかすると,成績良好な子ほど劣等感が強かったりして。周囲の期待との葛藤の所産です(女子なのに…)。

 ちなみに男子はというと,前に私がやった分析によると,性役割観に反対する者のほうが劣等感が強いという結果が出ています。周囲から「軟弱,ヒモ」とか言われるのでしょうか。
http://tmaita77.blogspot.jp/2016/01/blog-post_20.html

 日本は性役割観が強い社会ですが,それは未来を担う青少年の自我に反映されてしまっています。しかし人口減少社会では,「男は仕事,女は家庭」という分業では家計が成り立ちませんし,社会の存続も脅かされます。

 上記のグラフを見て,偏狭な性役割観の打破の必要性を,改めて思い知らされます。男女に関係なく,家庭や職場といった領域において,各人のタレントを十二分に開花させるためにもです。